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「電脳戦機バーチャロン」15年ぶりの新作「とある魔術の電脳戦機」が公開

「禁書目録」のキャラを活かした新アクション。1on1、2on2、Co-opに対応

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

プロデューサーの亙重郎氏(左)、ディレクターの鈴木誠氏(右)

 東京ゲームショウ2017のセガゲームスブースにて、プレイステーション 4/PlayStation Vita用対戦型バトルアクション「とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)」のステージイベントが開催された。ステージには、本作を含む「電脳戦機バーチャロン」シリーズのプロデューサーを務める亙重郎氏と、本作のディレクター鈴木誠氏、ゲストとして電撃PlayStationの千木良章氏が登壇した。

 本作は「電脳戦機バーチャロン」シリーズとしては、実に15年ぶりの完全新作となる。2016年に小説「とある魔術の禁書目録」の作者である鎌池和馬氏が、「電脳戦機バーチャロン」とのコラボ小説「とある魔術の電脳戦機」を執筆。そのゲーム化という流れでの新作登場となった。発売日は2018年2月15日の予定。

【プロモーションビデオ】

 亙氏は本作の開発に至る経緯について、「小説は『バーチャロン』しか知らない人、『禁書』しか知らない人のどちらが読んでも楽しめた。そういう完成度の高いものを見てしまうと、ゲーム側もちゃんとしたものを作らねばならないのではないかという無言のプレッシャーがあり、やらざるを得なくなったという感じ」と説明した。

 ゲーム化にあたっては、「キャラクターも世界観も組み合わせて、しっかりやらないと意味がない」として、「電脳戦機バーチャロン」の最新作、すなわちロボット対戦アクションとして開発。これに「とある魔術の禁書目録」のキャラクター性を盛り込んだ作品となっている。

 本作のストーリーは、小説版の続きとなるもので、鎌池氏が新たに書き下ろしたものになるという。全編フルボイスで、アニメ「とある魔術の禁書目録」と同じ声優を起用する。加えて鈴木氏によると、「アニメシリーズに出てこなかったキャラクターも登場するかも」とのことだ。

実に15年ぶりとなるシリーズ新作
コラボ小説「とある魔術の電脳戦機」のゲーム化という流れ

 音楽は古代祐三氏が担当。主題歌「Get Ready!」はアニメの主題歌も担当した井内舞子氏が作曲したもので、インデックス役の井口裕香さんと、御坂美琴役の佐藤利奈さんが歌う。

サウンドは古代祐三氏が担当
主題歌はアニメ版の声優が担当

 バーチャロイド(ロボット)は、「電脳戦機バーチャロン」シリーズを初期から手掛けるカトキハジメ氏がデザイン。今回は作中でe-Sportsとして流行しているという設定から、新コンセプト「バーチャロン・スポーツ・ライン(VSL)」を新たに考案し、今までとは異なる方向性のデザインを見せている。

主人公・上条当麻とテムジン 707。ブルーで爽やかなイメージ
御坂美琴のライデン“Judge Igniters”は、ユニフォームと合わせた可愛らしい色合い
一方通行のスペシネフ“Rusty Blood”。従来のスペシネフとは違う鮮烈なデザイン
インデックスはバル・バドスをもとに独自アレンジしたバル・ルルーン

 気になるゲームシステムだが、対戦形式は1on1だけでなく2on2、Co-op(協力プレイ)にも対応する。アーケード版3作品のうちの1作目、2作目は1on1、3作目が2on2だったことと、最近であればCo-op対応も必要だろうということから判断したという。オンラインプレイにも対応するとともに、PS4とPS Vitaのクロスセーブにも対応する。

 アクションの面では、「『禁書目録』のキャラクターが『バーチャロン』に乗るなら、彼ら、彼女らの能力を生かした攻撃ができなきゃ嘘だろう」ということから、シリーズ初の新兵器「ブーストウェポン」が登場する。方向性としては、「ゲームの流れを変えられるような武器であるべき」という。強力な攻撃が単発で発動するだけでなく、発動時間中は大暴れできるといったものを考えているという。

 亙氏は「『禁書目録』ではほとんどのキャラクターが様々な能力を持っている。それを強力増幅してバトルで使えるというのがコンセプト。上手く組み合わせて遊ぶと楽しめるものをお届けする」と語った。

 ほかには「トランジション」という新たなアクションが追加された。ダッシュ後に出すことで、次の奪取や攻撃にスムーズにつながるという。見た目にはダッシュの延長という挙動だったが、硬直を作らないような新たな動きの幅が出てくるのだろうと思われる。

登場シーンはセリフ付き
「トランジション」を使用中。足周りに火花のようなものが散る
「ブーストウェポン」を使用するとキャラクターがカットインする
御坂美琴の「ブーストウェポン」。ライデンの左手からレールガンのようなレーザーが放たれる

 さて、長年のシリーズのファンであれば期待したいのが、ツインスティックの対応と発売だろう。これに関しては亙氏から、対応が難しいことが明かされた。デバイスメーカーと交渉はしたものの、メーカーがスティックの根本部分のスイッチのコアパーツの型を既に廃棄してしまっており、型から作ると時間的に発売に間に合わないのだそうだ。

 最後に限定版の特典が紹介された。PS4版では、500ページの冊子「Chronicle 20」が付属。亙氏によるテキストの特典となれば間違いなく長文だが、今回はその中でも過去最大。さらに「600ページにならないかと言ったが『パッケージに入らない』と言われて削っている最中」という。また古代祐三氏の作曲によるサウンドトラックも付属する。「電脳戦機バーチャロン」シリーズのファンには嬉しい内容だ。

 PS Vita版は、鎌池和馬氏の完全新作短編を収録した「とある魔術の電脳戦機ノ全テ」と、「とあるラジオの禁書目録」の再集結ラジオドラマ、およびゲーム主題歌「Get Ready!」のフルバージョンを収録した「とある魔術の電音目録」が付属する。こちらは「とある魔術の禁書目録」のファンに向けた内容という趣向だ。

PS4の限定版
PS Vitaの限定版

 ステージの最後に、亙氏が挨拶した。「『バーチャロン』としても『禁書』としても、新しいスタイルの『禁書』ゲームが生まれるのを目撃して欲しい。私自身が『禁書』ファンでもあるので、『禁書』を盛り上げるお手伝いができればというミッションでもある。どちらのファンにも納得できる作品になってしまわざるを得ないので、よろしくお願いします」

試遊レポート

##本文開始

試遊コーナー。PS4版の体験版が10台出展された

 会場では体験版の試遊もできたのでレポートする。先に宣言しておくと、筆者はアーケード版「電脳戦機バーチャロン」の1作目からのコアプレーヤーであり、鎌池和馬氏の小説の大ファンでもあるので、本作はど真ん中ストライクのタイトルである。

 システム面で従来のシリーズ作品と大きく異なるのが、単純なライフ制ではないところ。小説版の設定を踏襲しており、敵をダウンさせるなど有効打を与えることでポイントを獲得できる。加えてライフも存在し、0になると全損扱いで敗北となる。全損にされない限りは、ポイントで優劣が決まるということになる。

 基本攻撃は左、右とセンターのノーマルショットとターボショットで計6種類。ターボショットは左右の違いがなく各1種類(ターボボタンと同時押しする概念がない)。これに「ブーストウェポン」が加わるという形になる。ただノーマルショットは移動の方向等によって発動する攻撃が変化するようで、うまく使い分けができれば攻撃パターンはかなりありそうに見える。

 操作で大きく変化したのは近接攻撃の扱い。従来はある程度接近するとダブルロックオン状態になり、攻撃が自動的に近接攻撃に変化したが、今回は独立した近接攻撃ボタンが用意されている。至近距離で単純に押すだけで近接攻撃が出せるというシンプルなものだが、ガードボタンが見当たらないので、至近距離での駆け引きは違ったものになりそう。ただジャンプやダッシュと合わせることは可能なようだ。

 操作に関しては、パッド操作にはある程度の慣れが必要なのは確かだが、ボタン配置さえ覚えれば結構なアクションができそうな手ごたえはある。それでも筆者としては、やはりツインスティックで動かしたい気持ちはある。過去の移植作でも、古いツインスティックを改造して使うプレーヤーが散見されたので(筆者もその1人だ)、自由なボタン配置ができるコンフィグがあればありがたい。

 バーチャロイドの挙動は、動きの質としては3作目の「電脳戦機バーチャロン フォース」に近いものの、スピード感は2作目の「電脳戦機バーチャロン オラトリオタングラム」をほうふつとさせるものがある。ダッシュだけでなく通常歩行も結構なスピードで、それに従ってかショットのホーミング性も高め。

 亙氏は挙動について、「3作のいいところ、悪いところを見て、DNAを受け継いでいる」としている。キビキビと動く感覚は強いが、きっちり回避ができないと被弾しまくるという印象なので、2on2では相当激しい戦いになりそうだ。もっとも現在も開発中のタイトルなので、製品版ではバランスが変わる可能性はあるだろう。

 最後にはっきり言っておきたいことは、本作は紛れもなく「電脳戦機バーチャロン」のシリーズ作品であるということだ。従来のシリーズ作品と様々な違いがあるのは、単なるアレンジではない完全な新作だということの証拠でもある。それでいて、「M.S.B.S. Ver.55.55の新作はこうなんだな」と素直に納得できるクオリティがある。15年ぶりのシリーズ続編として正しく期待していただきたい。

 「とある魔術の禁書目録」のファンの目には、相当難しいゲームと映るかもしれない。実際、最初は戸惑う部分もあろうかと思うが、小説版の続きを鎌池氏が書き下ろしたものを、アニメ版の声優陣がフルボイスで届けてくれるというだけで相当に魅力的なのは間違いない。加えてCo-opも用意されるなら、「電脳戦機バーチャロン」のベテランプレーヤーに協力を求めることも可能かもしれない。筆者としては、双方のファンが本作で繋がってくれる姿をぜひとも目にしたいものだ。

 現時点では主に科学サイドの6キャラクターのみが公開されているが、製品版では魔術サイドのキャラクターも登場するという。小説版では魔術サイドのキャラクターの登場機会が少なかったので、魔術サイドのキャラクターのバーチャロイドがどう表現されるのかも楽しみなところ。筆者は青髪ピアスが10/80に乗って登場するところをぜひとも見てみたい。

 なお、会場でプレイできる体験版のチュートリアルでは、「とある魔術の禁書目録」に登場する月詠小萌が、「とある魔術の電脳戦機」オリジナルガイドキャラクターのリリナとともに説明してくれる。小説版のファンはこちらもお見逃しなく。

【スクリーンショット】