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【特別企画】正直何度か死にそうになった世界有数のワイルドな軍事博物館「スターリンライン」体験レポート

死にかけた体験型アクティビティを写真と動画で紹介!

野営陣のようなシューティングレンジ
戦車は実際に乗り込んで射撃する

 さて、今回有料のアトラクションをいくつか体験することができた。1つは射撃体験だ。すべて空砲ながら小銃、機関銃、対空砲、そして戦車砲まで様々な火砲を撃つことができる。

 気になる価格は1発いくらと言う明朗会計となっており、海外の観光地で楽しめる実弾射撃と比較してかなりリーズナブルに楽しむことができる。ちなみに価格は、ピストル/ライフル/マシンガンで/1発4ルーブル(約230円)、ヘビーマシンガンで3発10ルーブル(約570円)。安い!

 今回はそれぞれの銃火器で代表1人のみということで筆者は後ろから見ていただけだが、これが想像以上に凄まじかった。防音用の遮音ヘッドセットを着けずに真後ろから撮影しようとしたところ、射撃時の射撃音と衝撃波で後ろによろけてしまった。

 遮音ヘッドセットを装着しても射撃時の衝撃からは逃れられず、圧がドカンドカンと体全体を襲う。よくこの衝撃に耐えながら射撃行為というか、戦闘行為ができるものだと驚かされる。

 戦車砲の射撃体験はさすがにシミュレーションで、車内で射撃スイッチを押すと、主砲から射撃音と煙が上がり、その奥にあるドイツ軍の軽戦車からボーンと炎が吹き上がり、見事撃破成功! という内容。

 射撃前に軍服姿のスタッフがドイツ戦車まで赴き、後部ハッチを開けて何やら準備するプロセスがあり、若干子供騙し風だが、戦車自体は本物で、中でレバーを回して砲塔を左右上下に動かしたり、照準器を覗いた状態で狙いをつけて撃てるため、戦車乗りの気分は存分に味わえる。

【シューティングレンジ】
ズラリと並べられた銃器
これは機関銃
対空砲は足で射撃する
撃ったばかりの重機関銃の空薬莢。まだ温かい

【スターリンライン 重機関銃射撃体験】

【スターリンライン 対空砲射撃体験】

【スターリンライン 戦車射撃体験】

この左半分が走行エリア
体験搭乗した戦車PT-76
このような形で捕まり乗りする。手を離したら終わりである
足場はこんな感じ。凄いアトラクションである
体験搭乗を終えたらいつの間にかサングラスのレンズが外れていた通訳さん

 そしてお待ちかねの戦車体験搭乗は、ベトナム戦争等に投入された水陸両用戦車PT-76に乗ることができた。ボービントン戦車博物館で乗ったレオパルド2ほどの圧倒的な馬力は感じられなかったが、今回は特別に最大出力に近い8割ほどの出力で走行したと言うことで、驚かせるための急発進、急停止も含め、体感速度はこちらが圧倒的に上だった。

 しかも今回は、砲塔を取り外したいわゆるバスタブ仕様ではなく通常車両。上部ハッチを全開にした状態で、砲塔の周りにしがみつく形で10人ほどが搭乗して、先述のダートコースを10分ほど走った。

 アトラクションとして盛り上げるためか、ダートコースには短い間隔で起伏が設けられ、ガッコンガッコン暴れ馬のように激しく揺れ動き、走行中何度も振り落とされそうになった。搭乗前は体験走行を丸ごと動画で収めようと思っていたが、実際に走り出したらとてもそんな余裕はなく、両手でハッチを掴み、内部の主砲弾装填部に両足を突っ張って必死に耐えた。

 正直なところ、本物の戦車に乗っているというワクワク感より、振り落とされたらただ事では済まないという恐怖が遥かに上回り、開始5秒で降りたくなったが、途中下車の選択肢がないことを脳が理解すると、あとは振り落とされないように必死で耐え続ける時間となった。我ながらなかなかすごい体験をしたと思う。

 あくまで個人的な感想だが、過去に振り落とされたり、急勾配の登り下りで手足や頭をハッチなどに痛打して怪我をした人は絶対いたと思うし、日本ではまず安全面の懸念から間違いなく営業許可が下りないと思われる。実際、同乗していた通訳の女性は、衝撃でサングラスの片方が外れていたし、筆者も首から提げているカメラが振り子時計のように揺れていたがどうすることもできなかった。ベラルーシならではの豪快なライドアトラクションだ。

 気になる価格は、1台1搭乗でいくらという価格設定で、最大10人まで搭乗可能。大勢で乗ればそれだけ安く乗れる寸法だ。今回体験搭乗したPT-76が200ベラルーシルーブル(BYN、約11,500円)でもっとも安く、T-55が600BYN(約34,500円)、三号戦車レプリカと38tレプリカが1,000BYN(約57,500円)、T-34とT44が1,600BYN(約92,100円)、三号突撃砲が2,000BYN(約115,100円)という感じで、年代を遡るほど高くなる。

 さすがに戦車の体験搭乗は、それなりの値段だが、92,000円で“カチューシャごっこ”、115,000円で“カバさんチームごっこ”ができると考えれば、グラッとくる「ガルパン」ファンはいなくもなさそうな、そんな価格設定と言えるだろう。なお、T-34や三号突撃砲のような古い戦車は常に稼働しているとは限らないため、事前に問い合わせておくことをオススメしておきたい。

 ともあれ、「安全が保証されたバスタブではなく通常仕様の戦車に乗りたい!」、「しかも命の危機を感じながら乗りたいんだよ!」と言う奇特な方は、ぜひこのミュージアムを訪ねることをお勧めしておきたい。言うまでもなく何かあっても責任は持てないので、くれぐれも自己責任でお願いします!

【スターリンライン PT-76体験搭乗(途中まで)】
序盤は比較的穏やかだが1分を超えたあたりから揺れが激しくなっていく

【レストア車輌倉庫】
走行展示エリアの奥には、レストア用の倉庫がある。普段は入れない場所だが特別に入ることができた
これはなんと驚き、SU-76Mの砲だけ本物で、あとはすべて自作という力技のレストアが行なわれていた
三号突撃砲
Pz.Kpfw. 38 (t)
BT-7
三号戦車
ZSU-23-4シルカ
SU-100
T-34-76
KB-1

【お土産ショップ】
スターリンラインの売店の最大の謎は、軍服のマネキンが血まみれだったこと。ちょっとした恐怖体験だった
定番の戦車や戦闘機のマグネットがズラリ
世にも珍しいスターリングッズも売られていた