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【A 5th Of BitSummit】「挑戦的な作品の多いSTEAMで勝負したかった」。ゲームフリークの「GIGA WRECKER」はどうやって作られたのか?
2017年5月20日 22:02
「A 5th Of BitSummit」では様々な講演が企画され、話題も多岐にわたる。その中の1つ、ゲームフリークの尾上将之氏、伊藤博人氏、小川一美氏による講演「ポケモンの開発元、ゲームフリークが育てるインディペンデント魂と“GIGA WRECKER”」をお届けしたい。
「ポケットモンスター」シリーズを手がけていることで知られるゲームフリークだが、実は数多くのインディタイトルを制作してきた経緯がある。その昔、ファミリーコンピュータ用アクション「クインティ」を制作し、当時のナムコ(現バンダイナムコゲームス)に持ち込み商品化したのは、紛れもなくインディからのスタートだった。そのゲーム制作への想いは今なお連綿と受け継がれている。今回はSTEAMでリリースされた最新作「GIGA WRECKER」についての想いが語られた。
「GIGA WRECKER」は、STEAMで2月にリリースされたアクションゲーム。近未来、悪のロボット軍団の侵攻を受け人類は大きな痛手を受けてしまう。主人公のレイクもその戦いで大きな傷を受け、サイボーグとして蘇ることとなる。
アクションのポイントはステージを壊して出来上がる瓦礫をくっつけて武器にするというシステムだ。ステージ構成的にはパズルアクションでありながら、ステージラストに登場するボスとの戦いはゴリゴリのアクションで、「難しく作った」という。
世界観については、キャラクターデザインを担当したあさぎり氏と共に作り上げられていった。これは伊藤氏があさぎり氏のファンだったこともあり、「この人と仕事がしたい」という思いから実現したのだとか。
尾上氏は1番の苦労として「瓦礫をくっつけて武器を作ると言うことについて、“なぜこうなっている?”と考えさせないようにした」という。当初は磁力によって瓦礫を集める設定だったが、こうなると鉄のものがくっつかない場合ストレスになってしまう。こういったストレスが、ゲームへの集中力をそぐと考えた尾上氏はかなり気を遣ったのだという。
ゲームとしては、前述の瓦礫を集めるというシステムがすべてであったため、このシステムを中心に物理エンジンを使ってカオスな雰囲気を徹底的に演出していったのだという。敵を倒すとバラバラになり瓦礫となり、派手に飛び散るというところも、このシステムありきだという。
レベルデザインについては、パズルゲームとしての楽しさを追求した内容となっている。伊藤氏は「会場でプレイしているのを見ると、皆さん違った解き方をしている」とバランス敵には満足しているという。物理演算のシステムを導入することで、「頑張っていると何とかなる瞬間があったりしてごり押しで解くこともできるのだが、自由度の高さとして、楽しさの1つと思っている」と語った。
ゲーム時間のプレイ時間は7時間を想定して制作されたが、ユーザーによっては10時間以上煮もなるかなりボリューム感のあるゲームとなっている。さらに「GIGA WRECKER」では、ゲーム制作時に使用されたレベルエディタとほぼ同等のツールが一般に公開されており、ユーザーが自由にステージを作成することができる。尾上氏によれば「ユーザーさんの作ったステージを見るのは純粋に楽しい」という。
ちなみに「ギアプロジェクト制度」はプラットフォームの選定も自由で、コンシューマゲーム機を選択することもできるが、なぜ今回STEAMを選択したのだろうか? これについては「STEAMでは、挑戦的なタイトルが多数リリースされている。そういった市場でやりたいと思った」のだという。また、ユーザーとの距離感が近いという点も大きかったようだ。
最後に、なぜ「GIGA WRECKER」がゲームフリークで作られたのかについて。ゲームフリークには「ギアプロジェクト制度」と呼ばれるシステムがあり、社内審査が通り、いくつか設定されたマイルストーンをこなしていけば、リリースすることができる。ただそこには予算管理から広報リリースもすべて自分で作成しなければならないなど、過酷な物だという。ただ、これは社内におけるインディタイトルの作成が可能となっているシステムなので、新たなるゲームを制作できるハードルを下げているとも言えるだろう。
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