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スリムな筐体が魅力! メーカーに聞く! G-Tuneの新ゲーミングPC「NEXTGEAR-SLIM」

「NEXTGEAR-SLIM is100シリーズ」発売決定

3月22日 発売

価格:169,800円(税別)~

 マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」の「NEXTGEAR」シリーズに新コンセプトのNEXTGEAR-SLIMシリーズが加わった。ノートPCの筐体をベースにしており、ノートPCからディスプレイやキーボードを排除した、デスクトップPCとノートPCを融合したようなマシンだ。今回メーカーの方にいろいろとお話をうかがうことができたので紹介しよう。

コンセプトはゲーミングパソコン×デバイスフリー×レイアウトフリー

NEXTGEAR-SLIMと、今回お話しさせていただいたコンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室 主任の小林俊一氏

 「NEXTGEAR-SLIM」は先述したようにデスクトップPCとノートPCを融合させたようなマシンだ。

 今回主にお話しをうかがったのが、マウスコンピューターのコンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室 主任の小林俊一氏だ。写真に写っているのが小林氏で、その横にあるスタンドに立てられているのが、新製品の「NEXTGEAR-SLIM」。インタビューの前にどのような製品であるのかをプレゼン方式でご紹介いただいた。まずはその内容を紹介しよう。

 「NEXTGEAR-SLIM」のコンセプトはゲーミングパソコンとデバイスフリー、レイアウトフリーの3つのキーワードだ。ゲーミングPCのブランドであるNEXTGEARを冠するだけあって、性能については妥協のないものになっている。CPUにはCore i7-6700HQ、グラフィックスチップにはGeForce GTX 1070が採用されており、3Dゲームをプレイするのに十分な装備だ。メモリやストレージの構成は機種によって違うものの、上位機種では32GBのメモリにNVMeの512GB M.2 SSD、さらに1TBのSerial ATA 2.5インチHDDを搭載している。BTOによるメモリやストレージの増強なども可能で、ゲーミングノートPCとしての性能はハイエンドクラスだ。

 ベースになっているのはノートPCなのだが、キーボードやディスプレイを排した構造であるため、接続するデバイスは自由に選べるデバイスフリーなところもコンセプトの1つだ。モニタとしては、PC用のディスプレイをつなげてもよいし、リビングに置いてあるような大型の液晶テレビなどを接続してもよい。VRを意識している作りになっており、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を接続するためのHDMIポートやMini DisplayPortも用意されている。PCゲームをプレイするゲーマーの場合、キーボードやマウスといったデバイスにこだわりを持っている人も多く、それを自由に選んで使うことができるのもよいところだ。

 「NEXTGEAR-SLIM」の本体サイズは、幅22mm、奥行き385mm、高さ274mmで、非常にスリムな筐体だ。これをスタンドに挿し込むような形で立てかけて使用する。設置に必要な場所はスタンドにセットした状態で、幅が124mm、奥行きが385mmとなっており、実質的な占有面積は単純な四角形にならないため、もっと少なくてすむ。インターフェイスは上部と手前、背面にあるが、利用するシーンに応じて本体の向きを変えて使用することができるので、どちらが前か後ろ、もしくは側面などを意識して使わない用途になりそうだ。

 下の写真を見てもらえばわかるが、左の写真の向きで本体を置いた場合、手前に来るインターフェイスはUSBポートとMini DisplayPortだ。上部にはACアダプタのDC-inとHDMI、Mini DisplayPortが用意されており、背面には有線LAN、カードリーダー、USBポートのほか、オーディオ端子も用意されている。右の写真の置き方で手前になっている広い面には、電源ボタンと各種インジケータがあり、その裏側は排熱機構の吸気口だ。このようにレイアウトを自由にユーザーが考えて設置できることも、コンセプトと同時に特徴となっている。

本体の置き方は自由。利用したいインターフェイスに合わせて設置する向きを変えて利用してもよい

使い方はユーザーしだい!?

 筆者としては、まず小林氏に開発の経緯をうかがってみた。その答えはこうだ。この「NEXTGEAR-SLIM」の実現は、Pascalによるところが大きいと言う。Pascalとは、NVIDIAのGeForce 10シリーズに採用されているグラフィックスチップのコードネームだ。このPascalは実のところデスクトップ向けとモバイル向けの2つのラインが存在するのだが、現状ではその名前を区別していない。

 たとえば、「NEXTGEAR-SLIM」に採用されているGeForce GTX 1070だが、これはモバイル向けのグラフィックスチップだ。しかし、デスクトップ向けのディスクリートGPU、すなわちビデオカードに採用されているGeForce GTX 1070も同名なのだ。今までのGeForce 900シリーズまでは、デスクトップ向けとモバイル向けのグラフィックスチップには結構な性能差があった。たとえば、デスクトップ向けのGeForce GTX 970とモバイル向けのGeForce GTX 970Mでは性能差がかなりある。そのため、GeForce GTX 970Mのように、モバイル向けのグラフィックスチップの末尾にはMと付けられていた。

 しかし、今回の「NEXTGEAR-SLIM」に採用されているGeForce 10シリーズに関して、NVIDIA側はデスクトップ向けとモバイル向けの製品に大きな違いはほとんどないとうたっており、実際のスペックを見ても、それほど大きな差はない。

 GeForce GTX 1070の場合、デスクトップ向けのベースクロックとブーストクロックはそれぞれ1,506MHzと1,683MHzでモバイル向けが1,442MHzと1,645MHzだ。モバイル向けのほうは少し動作周波数が小さくなっているが、搭載しているCUDAコアの数はデスクトップ向けが1,920個なのに対し、モバイル向けは2,048個と増やされており、周波数の低下による性能差を埋めている。実際のところ両者の性能に体感できるほどの大きな違いはない。このPascalの登場により、ノートPCとデスクトップPCのグラフィックス性能差があまりなくなってきたことが「NEXTGEAR-SLIM」の実現につながったというのだ。

 以下に各GPUの性能一覧を掲載するが、それほど大きなスペック差が無いことがわかる。

【GPUの仕様】

GPU名デスクトップ/モバイルCUDA Core数ベースクロックブーストクロックメモリメモリ速度(バス幅)メモリ帯域
GeForce GTX 1080モバイル版2,560個1,556MHz1,733MHz8GB GDDR5X10Gbps(256bit)320GB/s
デスクトップ版2,560個1,607MHz1,733MHz8GB GDDR5X10Gbps(256bit)320GB/s
GeForce GTX 1070モバイル版2,048個1,442MHz1,645MHz8GB GDDR58Gbps(256bit)256GB/s
デスクトップ版1,920個1,506MHa1,683MHz8GB GDDR58Gbps(256bit)256GB/s
GeForce GTX 1060モバイル版1,280個1,645MHz1,670MHz(最大)6GB GDDR58Gbps(192bit)192GB/s
デスクトップ版(メモリ6GB版)1,280個1,506MHz1,708MHz6GB GDDR58Gbps(192bit)192GB/s
デスクトップ版(メモリ3GB版)1,152個1,506MHz1,708MHz3GB GDDR58Gbps(192bit)192GB/s
GeForce GTX 980Mモバイル版1,539個1,038MHz設定による4GB GDDR55Gbps(256bit)160GB/s
GeForce GTX 980デスクトップ版2,048個1,126MHz1,216MHz4GB GDDR57.01Gbps(256bit)224GB/s
GeForce GTX 970Mモバイル版1,280個924MHz設定による3GB GDDR55Gbps(192bit)120GB/s
GeForce GTX 970デスクトップ版1,664個1,050MHz1,177MHz4GB GDDR57.01Gbps(256bit)224GB/s

 ゲーミングデバイスには、はやりすたりがある。モニタについても高リフレッシュレートに対応した3D用モニタやG-SYNCなど、さまざまなトレンドがここ数年だけでも見て取れる。ノートPCだとどうしてもキーボードやモニタなどに縛られ、トレンドが変わっても対応ができない。そんなときにお気に入りのデバイスが選べたらよいのではないかというのが、「NEXTGEAR-SLIM」の出発点だというのだ。ノートPCのようにコンパクトだが、お気に入りのデバイスも選べる。そんなノートPCとデスクトップPCのよいとこ取りができたのではないか、と小林氏は言う。

 さて、そんな「NEXTGEAR-SLIM」だが、小林氏に言わせればこの製品の販売自体が大きなチャレンジということだ。というのも、筆者が小林氏にメーカー側として想定する利用用途についてお尋ねしたところ、バッテリを載せているため、一般的には不意の停電対策になるが、電源を切らずに移動することも可能になっており、アイディア次第で使い方が広がるのでは無いかと言う。利用方法自体は確かにいろいろと考えられる。

 たとえば、プレゼンなどの用途だ。本体とスタンド、ACアダプタの重量は、それぞれ1.75kg、0.75kg、0.75kgと、合計で3.25kg。あとは、キーボードとマウスがあれば、ビジネスシーンの場合、モニタは行き先で利用できることがほとんどだ。本体に無線LANとBluetoothを内蔵しており、キーボードとトラックパットが一体化したBluetooth接続のモバイルキーボードなども販売されているので、さらに軽量化したいならそのような製品を利用するのもよい。また、家庭内でPCモニタがある場所とリビングの大型テレビがある場所を移動しながら使うといった方法も考えられそうだ。

 確かに、時にユーザーはメーカー側の意図しない方法で製品を利用していることがママある。どのような利用方法があるのかをユーザー側からフィードバックしてもらいたいところもあるのだろう。

チャレンジ精神と意欲を感じる新シリーズ

 メーカーにとってチャレンジになるという言葉は、筆者にとってとても印象的な言葉だった。大きくなっていくメーカーはだんだんと定番の製品を提供することになっていき、なかなかチャレンジがしづらい。マーケットの売り上げ見込みが立ちにくい製品を開発すること自体が難しい。しかし、メーカーが大きく羽ばたくためにはチャレンジも必要だ。NEXTGEAR-SLIMはマウスコンピューターにとって大きく羽ばたくチャンスなのかもしれない。

 なお、この「NEXTGEAR-SLIM」の実機の貸し出しをしていただけるということなので、近々本製品のレビューを掲載することになると思う。その際にはぜひ一読願いたい。