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復活を遂げたスマホ向けRPG、「ラプラスリンク」インプレッション
「俺たちはこんなゲームが作りたい!」、開発者の想いが伝わる作品
2017年2月7日 20:29
スマートフォン向けゲームの中には、短命なものもかなり多い。リリースしたのに不具合などでスタートがうまくいかず、そのままフェードアウトするゲームも少なくない。そんな中、やたら骨のあるタイトルがある。それが今回取り上げる「LAPLACE LINK」だ。
このタイトルは2015年12月3日にオープンベータテストを開始したものの、動作の重さなどが指摘され、リリースの無期延期を発表した。そしておよそ1年後の2017年1月25日、再びテストを再開したのだ。現在、IDを登録すれば誰でもプレイできる。
見切り発車のまま不完全なサービスを続けるタイトルも多い中で、あえてスタートを大幅に延期し、時間をかけてあるしっかりとした物を作っていこうという志は好感を持った。筆者は前回プレイしていないが、今回触ってみると、キャラクターデザインはセンスが感じられるし、ストーリーはかなり骨太で、開発者達の気合いが確かに感じられる。そんな「LAPLACE LINK」の感触をレポートしていこう。
この世界を“犠牲”の力で支える「ラプラスの樹」を巡る戦い
本作をプレイしていて真っ先に感じるのは綿密に練りこまれた世界設定だ。この世界の住人は魔力「エーテル」によって魔法が使える。このエーテルは、タイトルにも含まれる「ラプラスの樹」によって生み出されている。物語はこの「ラプラスの樹」とエーテルが発生する理由を巡って展開していく実はエーテルを得るために“犠牲になる人々”が存在する。この犠牲をなくすため、「ラプラスの樹」そのものを無くそうと画策する敵対組織が登場し、そして重要な何かを知るライバルの存在が物語を牽引していくのだ。
剣と魔法のファンタジー世界に、銃や「コミュニケーター」と呼ばれるSF的ガジェットが登場する世界観、ストーリーもぶっちゃけてしまえば“ありがち”とも言えるが、だからこそ安心して楽しめる。テンポの良さも相まって、筆者は一気に現在実装されている部分を終わらせてしまった。2月以降も順次エピソードが追加される、とのことで世界の行く末がどのようになっていくのか今から楽しみだ。
特にお気に入りなのは、メインストーリーとキャラクターの密接な関係性だ。物語の中心となるのは4人のプレーヤーキャラクターで、彼らが濃厚に物語に絡んでくる。筆者がこれまでプレイしたスマホゲームはガチャで入手できるキャラクターで敵を倒していくタイプだったので、4人がストーリーを展開していく、コンシューマーの国産RPGのような展開は新鮮だと感じた。
4人のキャラクターはいずれも強い印象を受ける。主人公の「月代イツキ」は劇中に登場する学校「セントハイエ魔法学院」を中退して、フリーランスの「樹獣討士」として活躍する戦士だ。普段はクールであまり話をしないが、物語の重要なカギを握る“天使”の力が憑依されているらしい。
その相棒となるのが、魔法使いの「シュクナ」。彼女の経歴は現時点でほとんど語られておらず、謎の美少女といった雰囲気を醸し出している。「コミュニケーター」の扱いに長けており、アクセス可能な情報はクラッキングしてでも入手する強引な面も見せる一方で、本を読むのが好きなど、女の子らしい一面も垣間見える。喜怒哀楽がハッキリしているので、キャラクター同士の絡みが楽しい。
3人目の主人公が物語のキーを握っていそうなキャラクターで、月代イツキの元同級生の「雨宮ハルカ」。ラプラスの樹に祈りを捧げることでエーテル生成を促す能力を持ち、その能力から「祭祀姫」という国の役職についている。この能力は母から受け継いだ能力だが、その母は彼女が幼いころに「ラプラスの樹」を守るために命を投げ出している。この辺りがストーリーの根幹に関わってきそうな雰囲気だ。おっとりした性格だが、芯は強そう。しかし、若干天然の要素もあるのが面白い。
4人目もイツキの元同級生の「澤井ユウト」で、ストーリーの中ではどちらかというとおちゃらけたムードメーカー的な存在だ。普段はイツキとシュクナに突っ込まれまくりのボケ担当で、特殊な能力を持っている3人と比べるとスペックは明らかに普通の人だが、それが4人組のバランスをいい感じに保っている印象を受けた。
この4人を中心にシリアス重視のストーリーが展開していくことになるのだが、ストーリーの合間には雨宮ハルカがちょっとボケた事を言って、そこにイツキやシュクナが突っ込みを入れたり、またはユウトがおかしな事を言い出して、それを聞いたシュクナが激怒して追い回す、といったギャグもあり、物語をシリアス一辺倒にしないところで親しみを感じさせるところに好感を持った。
メインクエストを中心に、登場キャラクターたちのサイドストーリーが楽しめるサイドクエスト、本編以外の街中の人たちの問題を解決するサポートクエストに加え、期間限定のイベントクエストも用意されている。さらに他のプレーヤーたちと協力して最大4人でレイドボスを退治するマルチプレイも用意されており、ボリュームも結構ある。そして後述する戦闘は様々な要素が絡むアクションバトルとなっており、こちらも好感触だ。
BGMや音声などブラウザ上で動作するゲームにしては音についてもかなり頑張っている。キャラクター全員に声優が割り当てられ、技の名前などを叫んでもらえるので声好きな人にとっては嬉しい限りだ。全体的に「俺たちはこんなゲームが作りたかったんだ」というスタッフ達の主張がしっかり伝わってくる盛りだくさんなゲームだと感じた。
4つの役割を駆使して戦うアクションバトル
本作のアクションバトルはなかなかしっかり作られている。本作のキャラクターは「アタッカー」、「ブレイカー」、「キュアラー」、「ディフェンダー」のいずれかの役割が割り当てられている。
ソロプレイでは戦闘に参加するのはプレーヤーが操作できるメインキャラクターと、AIが自動で操作するサブキャラクターの2人。アタッカーとブレイカーなど、役割を考えて組ませていく。敵との戦闘の場合、体力ゲージは全キャラクターが共有している。ペアは3組まで、つまり合計で6人のキャラクターを登録できるので、1人はキュアラーを入れておいて、体力が減った場合はキュアラーに切り替えて体力を回復していくのが基本的な戦い方となる。。
各役割をもう少し細かく紹介しよう。アタッカーは1番シンプルで、とにかく攻撃力が高い。敵が弱い場合に速攻で戦闘を終わらせたい場合などは、アタッカーを前面に出しておくとあっという間に戦闘が終わる。
ブレイカーは、「BP(ブレイクポイント)ゲージ」を上昇させる特殊攻撃を行なう役割。BPゲージを満タンにすると、敵が一定時間行動不能に陥り「ブレイクパート」という大チャンスとなる。この時はキャラクター達のスキルのクールタイムが半分になり、バンバン攻撃を加えて大ダメージを与えることができる。しかし、倒しきれず敵が生き残った場合は、敵が「怒りパート」に突入し、敵の攻撃力が増すので注意が必要だ。怒りパートは一定時間で解除される。
ディフェンダーは敵の注意を惹きつける役割。ディフェンダーは敵の注意を他のキャラクターよりも引きつけられる「ヘイト攻撃」が行なえる。他のプレーヤーとのマルチバトルではいるとありがたい存在だ。最後にキュアラーは回復や味方の防御力などをアップさせるバフのアビリティがメインの役割となる。
戦闘では、特にブレイクパートで敵が動けない間にガンガン攻撃するのが非常に気持ちいい。敵からの反撃がないため、アタッカーに切り替えて攻撃することで、より多くダメージを与えられる。敵が戦闘に復帰する前にトドメをさせた時はかなりの爽快感がある。
これらのキャラクター特性が最も発揮されるのがボスクラスの巨大モンスターとのバトルだ。ボスクラスは全体的にHPが高いため、無謀にアタッカーで突撃してはあっという間に返り討ちにあってしまう。そのため、まずはブレイカーで攻撃してBPゲージを貯めていき、ブレイクパート突入のタイミングでアタッカーに切り替えて一気にトドメをさすのが基本的な戦略スタイルだ。ブレイク前にダメージを貰いすぎてHPが厳しくなってきたらキュアラーに切り替えて回復してしのぐ。この辺りの戦略性がなかなか奥が深くて面白い。
なお、最大6人でパーティを組むのにメインキャラクターは4人しかいない。本作にはガチャがあり、キャラクターを増やすことができる。キャラクターは武器や防具も装備できるが、これらもガチャからしか出てこないため、より強くするためにはガチャを回す必要がある。ガチャには課金でしか回せないガチャもあるし、ゲーム内で入手可能な「ジェム」を使って回せるガチャもある。
今回はジェムが貯まったところで10連ガチャを回してみたところ、より強力でレア度の高いキャラクターが出現した。レア度の高いキャラクターは全てのステータスが高いため、これをパーティに組み込むことで戦闘がかなり楽になった。ジェムはちょっと進めていくと割とすぐに10連ガチャが回せる分が貯まるので、貯まった瞬間にでもすぐ回してどんどんキャラクターや装備を増やしていくのをおススメしたい。
なお、キャラクターが追加されると、キャラクターにまつわるサイドクエストも追加になるので、本編とはまた異なるストーリーが楽しめるようになっているのはうれしいポイントだ。
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