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【特別企画】全ゲーマーに贈るWindowsゲーム環境アップグレードガイド(前編)

Windows 10&最新GPUでワンランク上のゲーム環境を実現しよう!

 ゲームに、仕事に、日常作業にと、縦横無尽に活躍するPC。そこにいま大きな世代交代の波がやってきている。Windows 10/DirectX 12世代のゲームが続々登場しているほか、VRゲームも普及が進みつつある。さらにはハードウェア面でも、CPU/GPUの14nmプロセス化による低消費電力化・高パフォーマンス化が急速に進み、最新世代のゲーミングPCはよりスマートかつ高性能、そして多目的に使用できるゲーミング環境に進化しているのだ。

 ソフトウェア、ハードウェアの両面でこういった世代交代の波が次から次に押し寄せたのが2016年という年だった。2017年にはこの変化を受けた新ゲームが続々登場することになるだろう。というわけでこの年末は、PCゲーマー的にマシンアップグレードを図るには絶好の機会だ。

 そこで本稿では最新世代のPCにアップグレードをすることのメリットや、その方向性について前編後編の2本立てでご紹介。ゲーミング環境を充実させれば、日々の楽しみや快適性ももまたぐっとレベルアップさせることができるはずだ。まず前編では、PCゲーミング環境のアップグレードについて解説していきたい。

まずは最新世代のゲーミングPCでできることをチェック!

ゲーミングPCは進化を続ける

 最新パーツを搭載したPCは、単にゲームを遊ぶだけでなく、様々な点でワンランク上の快適さを実現することが可能だ。充分なマシンパワーがあればゲームの動作がスムーズになり、ローディングなどの待ち時間も短くなることはもちろん、次のような贅沢な機能・環境を構築することができる。代表的なメリットをチェックしてみよう。

最新タイトルを最高画質でプレイする

 近年のAAA級ゲームタイトルの多くは柔軟な設計がされており、グラフィックスオプションを調整することで幅広い環境でプレイアブルなパフォーマンスを出すことができる。しかし、そのタイトル本来の品質で遊ぶための推奨環境は、最新世代のPC性能に合わせて上がっていくばかりだ。特に性能差が出やすいのは陰影の表現。最新タイトルの多くではソフトシャドウ効果やアンビエントオクルージョンなど高度な陰影処理をサポートしているが、処理能力が不十分な古いシステムでは動作が重くなり、オフにせざるを得ない場合も多い。実際の映像を比較してみると質感の差は明らかだし、せっかくの新しいゲームは最高の画質設定でプレイしたいものだ。

【Deus Ex: Minkind Devided】
Low設定
Ultra設定

オーバーフルHD/マルチディスプレイ! PCならではの映像環境でプレイする

 PCの世界ではもはや2K(1,920×1,080)ディスプレイは狭く、日頃使いでも2.5K(2,560×1,440)や4K(3,840×2,160)解像度の高解像度ディスプレイがメジャーになりつつある。デスクトップが広々と使えて各種作業が捗るのはもちろん、ゲーム映像もより高詳細にクッキリと楽しめるのが高解像度ディスプレイの魅力だ。また、モニターが2台あれば手軽にマルチディスプレイ環境が利用できるところもPCのメリットだ。

 これまでハイエンドなゲームで1080pを超える高解像度は処理量が非常に多くなるため、前世代以前のGPUでは荷が重く、使用が敬遠されてきた面もある。それが最新のハードウェア世代では2.5k、4Kを充分に活用できるGPUが出てきているため、ディスプレイを含めたハードウェアアップグレードの動機として非常に魅力的だ。

【Rise of the Tomb Raider】

2Kを拡大
4Kを拡大

オーバー100Hzのハイリフレッシュレートでプレイする

 高解像度ディスプレイと同様に最近のWindowsゲームにおけるトレンドになっているのが、120Hz、144Hz、165Hzといった高リフレッシュレートをサポートするゲーミングディスプレイだ。高リフレッシュレートは3つの点で大きなメリットがある。残像の低減、動作の滑らかさ向上、操作レスポンスの高速化だ。120Hz以上の滑らかな描画とクイックなレスポンスに慣れてしまうと、もう60Hz環境には戻れないほどのインパクトで、多くのゲーマーがハイリフレッシュ環境を支持している理由がよくわかるはずだ。高速描画のためには充分に強力なマシンパワーが必要になってくるが、嬉しいことに最新世代ではミドルクラス以上のGPUで高リフレッシュレートゲーミングに充分な性能を実現している。

【Forza Horizon 3】
Xbox One版ではわずか30fpsの本作も、PCなら120Hz以上の滑らか描画で楽しめる

高画質の録画・配信を行なう

 最新世代のゲーミングPCでは、ゲームプレイに影響を与えることなくゲーム画面を高画質で録画したり、各種のストリーミングサービスにプレイ模様をリアルタイム配信することが可能だ。これはNVIDIAやAMDのGPUに4K解像度まで対応したハードウェアエンコーダーが搭載されており、録画・配信中もCPU/GPUがゲーム処理に集中できるおかげ。ゲームプレイ中の最高の瞬間を録画してあとから楽しんだり、友人とシェアするといったことはPCゲーマーの間で一般的に行なわれるようになってきているので、ハードウェアエンコーダーを搭載しない世代のPCを利用しているならアップグレードの理由として大きな意味がある。

NVIDIAの録画・配信機能「Share」
AMDの録画・配信機能「ReLive」

最新のVRシステムを楽しむ

 2016年にはOculus Rift、HTC ViveといったハイエンドのPC用VRシステムが相次いでローンチした。国内デベロッパーからのものを含め対応タイトルは増え続けており、導入のタイミングを見計らっている人も多いだろう。最新世代のPCではミドルクラス以上のGPU搭載でハイエンドのVRをフルに楽しめるようになってきているため、そこそこのゲーム環境を整えるついでにVR環境も整う、という状況が出てきている。PCをアップグレードしてVRゲームを楽しむ準備をするにはいいタイミングだ。

Oculus Rift
HTC Vive

“ゲーミングOS” Windows 10導入のススメ

Windows 10

 PCのアップグレードを考える際に、ぜひ同時に検討してもらいたいのがWindows 10の導入だ。2015年7月のローンチ時点ではいくつかの不具合や機能不足もあったWindows 10だが、リリースから1年余りの間に度重なるアップデートが行なわれた結果、ゲーム用OSとしても数々のメリットを発揮するようになっているからだ。

DirectX 12対応タイトルが続々登場

 最新のゲーム用グラフィックスAPIであるDirectX 12は、Windows 10にのみ搭載されている。よりハードウェアに近いグラフィックス制御を可能とすることでゲームのパフォーマンスを大幅に向上させるポテンシャルを秘めている……のだが、2015年の時点では対応タイトルがほとんど出なかった。

 2016年に入って対応タイトルが続々と出始め、現時点では20近いAAAタイトルがDirectX 12に対応している。2017年にはさらに50タイトル以上が対応すると言われており、急速な主流化が進行中だ。中でもWindowsストアアプリの「Forza Motorsport 6: Apex」や、「Forza Horizon」など日本マイクロソフトタイトルの多くはDirectX 12オンリーだ。すなわちWindows 10でなければプレイできない!

 また、サードパーティーを中心にDirectX 11と12に両対応した多くのタイトルでは最新のCPU/GPU環境にてDirectX 12でのさらなるパフォーマンスアップが望めるので、マシンパワーを最大限に引き出すためにも、これからプレイしたいタイトルが対応しているかは要チェックだ。

【主要 DirectX 12対応(予定含む)タイトル】
StarWars: Battlefront
Battlefield 1
Forza Motorsport 6: Apex
Forza Horizon 3
Halo 5: Forge
Quantum Break
Rise of Tomb Raider
Deus EX: Mankind Devided
HITMAN
Civilization VI
The Division(対応予定)
Watchdogs 2(対応予定)

Windows 10/Xbox Oneオンリーの注目作品も

たくさんのゲームタイトルも販売されているWindowsストア

 マイクロソフトでは“Windows 10のゲームOS化”を強力に推進しており、公式ストアであるWindowsストアにてAAA級のゲームタイトルを多数販売し始めている。マイクロソフト自身による、Steamのようなゲーム配信プラットフォームというわけだが、ゲームやアプリのみならず、音楽や映画など、幅広いコンテンツを配信するストアとなっている。

 ここではゲームに絞って話を進めていくと、マイクロソフト自身が深く関わっているPC版タイトルの多くはWindows 10でのみプレイすることが可能となっている。また、「Forza Horizon 3」や「ReCore」などの最新タイトルはWindows 10のXbox Oneのどちらかで購入すると両方でプレイが可能となる「Xbox Play Anywhere」プログラムに対応しており、Windows 10を通じてPC・コンソールのゲーム環境を一体化させようとする施策が進行中だ。こういった最新のソリューションを享受するためにも、Windows 10はゲーマーにとって必須のOSとなってきている。

 Windowsストアではマイクロソフトのほか、カプコンやActivision、スクウェア・エニックスなど大手メーカーのタイトルも扱われるようになってきており、Steamほどではないものの値下げも行なわれるようになっている。基本プレイ無料の「Forza Motorsport 6:Apex」のほか、体験版が提供されている「Forza Horizon 3」や「ReCore」など、無料で試せるコンテンツも複数用意されているのでゲームファンはちょくちょく覗いてみてはいかがだろうか。

【Windowsストア主要ゲームタイトル】
Minecraft: Windows 10 Edition Beta
Halo Wars 2
Forza Motorsport 6:Apex
Forza Horizon 3
Quantum Break
ReCore
Deadrising 4
Scalebound(2017年リリース予定)

ホログラフィック技術「Windows Holographic」はWindows 10のみ!

 マイクロソフトが独自に開発を続けるホログラフィックOS技術「Windows Holographic」。もともとは開発者向けのMR(複合現実)デバイスであるHololens向けに作られていたものだったが、8月に行なわれた発表で、2017年のWindows 10アップデートで一般のPCからの利用も可能となることが明かされている。

 これによりOculus RiftやHTC ViveといったハイエンドVRヘッドセットや、2017年に各社から投入予定のWindows Holographic互換VRヘッドセットでもホログラフィックUIが利用可能となるが、当然、これをサポートするOSはWindows 10のみ。ホログラフィック技術の普及に合わせてゲームの対応も進んでいくはずなので、最新のデジタルエンタメをキャッチアップするためにもWindows 10の導入は欠かせない要素になってきている。

Microsoft Hololens

Windows Holographic
仮想空間にウィンドウを開き、未来的なマルチタスク環境を構築できるWindows Holographic

ゲームならGPUがポイント! 目的別アップグレードガイド

 ここまでご紹介してきたように、AAAタイトルを贅沢な環境で遊ぶにはPCの適切なアップグレードが欠かせない。数あるPCパーツの中でも特にゲーム品質を上げるために重要ポイントとなるのがグラフィックスの描画エンジンとなるGPUだ。

 GPUはPCパーツの中で最も値が張るパーツということで、グレードに応じて使用目的やできることも変わってくる。ここでは目的別毎に適した最新世代のGPUをご紹介していこう。

Eスポーツタイトルを快適に楽しみたい!

 「League of Legends」、「Dota2」、「World of Tanks」、「World of Warships」、「Overwatch」など人気のEスポーツタイトルは基本的に動作が軽いものが多いが、それでもリッチなグラフィックスで60fpsの安定した環境でプレイするためにはエントリークラス以上のGPUが欲しいところ。14nmプロセスを採用した最新世代のGPUであれば消費電力や騒音も抑えられ、システム全体をコンパクトにまとめられるのでゲーム環境のスリム化にも貢献することができる。

 この用途であれば、主要GPUメーカー各社のエントリーモデルであるNVIDIA GeForce GTX 1050や、AMD Radeon RX 460/470といったGPUが1万円前半の価格帯で入手でき、サイズや消費電力も少ないためオススメだ。

【エントリークラスGPU】
NVIDIA GeForce GTX 1050
AMD Radeon RX 460

VRを快適に楽しみたい!

 VRゲームを快適に楽しむなら、OculusやHTCといったVRハードウェアメーカーが推奨しているスペック以上のGPUが必要だ。最新世代でそれを満たすGPUはミドルクラスに属し、前世代にくらべてコストパフォーマンスが大幅に上昇している。代表例はNVIDIA GeForce GTX 1060(2万円台前半から)や、AMD Radeon RX 480(2万円台後半から)。これらVR性能を確保したGPUでは、最新のAAAタイトルを高画質設定で快適に動作させることも可能なので、ゲーマーにとって非常に導入価値が高い。

【ミドルクラスGPU】
NVIDIA GeForce GTX 1060
AMD Radeon RX 480

最新ゲームを高リフレッシュレートや高解像度で楽しみたい!

 上記でご紹介したように、Windowsゲームの世界には2.5K、4Kといった高解像度環境や120~165Hzといった高リフレッシュレート環境にトレンドが進んでいる。「Battlefield 1」や「Dead Rising 4」、「Deus EX」といった最新ゲームを高画質設定かつ、通常よりも高い解像度や高いリフレッシュレートでプレイするなら、ミドルハイからハイエンドクラスのGPU性能が必要だ。

 このクラスのGPUを用いると、VR対応タイトルでもより高い画質と安定したフレームレートで楽しめ、遊びの幅が広がるといったメリットもある。代表例は、NVIDIA GeForce GTX 1070や1080、AMD Radeon R9 Nano、R9 Fury Xあたり。価格的にはGPUのみで4~8万円台と一気にランクアップしてしまうが、最高の環境を求めるならまずGPUにコストをかけるのがおすすめだ。

【ハイエンドクラスGPU】
NVIDIA GeForce GTX 1070
NVIDIA GeForce GTX 1080
AMD Radeon R9 Nano
AMD Radeon R9 Fury X

迷ったときには「推奨PC」を選ぼう!

 既存のPCにGPUとOSのアップグレードを施すだけでも遊べるゲームの幅はかなり広がるが、ゲーミングPC全体の構成としてはそのほかCPUやメモリ、マザーボード、ストレージなどがあり、目当てのゲームを適切なコストパフォーマンスで楽しめるよう過不足なく構成するのはなかなか苦労してしまうもの。特に既存のPCの世代が古すぎる場合は、何かひとつ変えるだけではすまず、結局マザーボードから全部交換……という羽目にもなりやすい。

 こういったPCアップグレード時の苦労や悩みを手軽に解決する方法は、目当てのゲームの「推奨PC」をゲーミングPCブランド各社のラインナップから選んでしまうことだ。たくさんのゲームで推奨PCを用意している代表的なゲーミングPCブランドを以下にご紹介しよう。

ゲームコントローラーの導入も忘れずに!

最新タイトルにはゲームコントローラーが必須!

 最近の主要ゲームタイトルはコンソール版とのマルチ展開タイトルが中心となっており、マウス・キーボードでも楽しめるものの、ゲームコントローラーによる操作がベストなものが多い。そこで導入をおすすめしたいのが、Windows 10でネイティブにサポートされているXbox Oneワイヤレスコントローラーだ。その名の通りゲーム機のXbox One用のものと同じものだが、ほぼ全てのWindowsゲームで標準対応しており、各種タイトルでの快適度や楽しさがグッと向上する。

 公式サイトでも確認できるように、Xbox Oneワイヤレスコントローラーは沢山のモデルが存在する。機能的には、Xbox Oneのローンチに合わせて登場した初期モデル、3.5mmジャックを備えた中期モデル、Xbox One Sと共に登場したBluetooth対応モデル、そしてハイエンドモデルとしてXbox Eliteワイヤレスコントローラーの4種類が存在する。

 これら全バージョンがWindowsでも利用できるが、ワイヤレス接続するためには、Xbox Oneワイヤレスアダプター(日本未発売)を利用するか、Bluetooth対応モデルを購入してBluetooth接続するかの2種類の選択肢が用意されている。お使いの環境に合わせて適切なバージョンを選択し、日々のゲームプレイに活用してほしい。

 後編では、PCそのものには手を付けずにゲーミング環境をグレードアップする方法をご紹介したいと思う。Windows PCと相性抜群のゲームコンソール、Xbox One Sを活用する方法だ。

【Xbox Oneコントローラー】
Xbox Oneコントローラー USBケーブル同梱版(6,180円)
Bluetooth対応新型Xbox Oneコントローラー(5,980円)