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初めての人でも楽しく遊べる! 「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」開発者に聞く
システムは2on2に。ストーリーモードも搭載
2016年12月5日 16:04
12月3日より4日の期間で米国アナハイム開催された「PlayStation Experience 2016」。Opening Showcaseで上映されたトレーラーの中でも、1番の歓声が上がったのが、カプコンが2017年に発売を予定している「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」(以下、INFINITE)だ。
MARVELのキャラクターとカプコンのキャラクターが戦うこのシリーズは、2011年11月17日に発売された「MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds」まで3作ある。今回も「4」とすればよいと思われるのに、なぜ「INFINITE」となったのか。今回はMARVELのエグゼクティブ・プロデューサーのマイク・ジョーンズ氏とカプコンのディレクターの廣瀬紀生氏、カプコンUSAで本作のプロデューサーを務めるマイク・エバンズ氏から話を聞くことができたのでお届けしよう。
「『4』にしなかったのは訳がある」、とエバンズ氏。「『VSシリーズ』については人気もあり、たくさんのファンもいる。ただし今までは格闘ゲームとしては充実しているが、そもそもこの世界はどうやって融合されたのか。それを初めて語るのがINFINITEになる」という。
このため「充実したシネマティックなストーリーを実装する」とのこと。廣瀬氏も「今までのシリーズになかったストーリーモードというところで、MARVELとカプコンのキャラクターを生かした、それぞれのキャラクターが活躍するストーリーモードを実装する」と語る。
「INFINITE」という意味合いだが、その言葉通り「無限」という意味のほか、MARVELの作品で出てくる「インフィニティ・ストーン」という意味もある。そのほかゲームには無限の可能性があるということ、このタイトルには長く遊んでもらいたいからだとか。「無限の可能性をテーマとしている」(エバンズ氏)。
「15年近くシリーズを続けてきたが、システム自体が複雑化して、敷居が高く感じられていると言うことは気づいている」と語るエバンズ氏。このため本作はMARVEL、カプコン両方のファンだけでなく、キャラクター自体のファンに向けて作るため、遊びやすいシステムにしたうえで、戦略性を持たせたのだという。
「『4』となるとユーザーはどうしても、前作が難しかったから今回もプレイしづらいだろうということになる」(エバンズ氏)。このため今回は、これらのキャラクターたちがどうやって活躍していくかというストーリーが重要になるのだ。
ここで、先日発表されたトレーラーのロングバージョンを見ることができた。ショートバージョンでは、ロックマンX、RYU、キャプテン・マーベル、アイアンマンが登場することは明かされたが、ロングバージョンにはモリガンとキャプテン・アメリカが登場し、戦うシーンが収録されている。これで公開されたキャラクターは6人となる。
好きなキャラクター2人を選んで戦う
バトルシステムは2on2。開発の当初から、シリーズ自体をどうしていくのか話し合われたそうなのだが、その結果として採用されたのがこのシステム。「ここ15、6年くらいスリーオンはスタンダードとしてあったので、今回も4on、5onというのはあり得る話だった。しかし原点に戻って、チームワークをどうやって実現できるか。(シリーズとしての)4でもないし、4キャラでもない。今までアシストが当然あったのだが、キャラクターが出てきて、1つのアクションをして変えるというのは、ある意味でのチームワークだった。そのシステム自体がどうやって進化していくのか」と語るエバンズ氏。
「INFINITE」については、まず自分が好きなキャラクター2人を選ぶほか、「ストーン」を選んで戦うことになる。ストーンには「タイム」、「パワー」といった複数の種類があり、ここがプレーヤーの個性を出すところとなる。「例えば私がRYUとキャプテン・マーベルを選んで、ジョーンズが同じキャラを選択したとしても、私がパワーストーンを使い、ジョーンズがタイムストーンを使った場合は、戦い方が変わってくる。そこからも戦略性が生まれる」(エバンズ氏)。
廣瀬氏も「2on2に戻したのは今回の大きな判断だったが、このシリーズの元々のVSシリーズが2on2であり、今回大事にしたいのは共闘感。このためパートナーに対して、自分がもっと深く入り込むためには、3人というものは、頭の中のどこかで組み立てなければいけない。どちらのアシストを呼ぼうとか。それだけでなく、『任せた!』となって次が出てくるような所はこのゲームの大事なところであり、よりキャラクターの深みには入れるところだと判断した」と語る。
そこで登場したのがインフィニティ・ストーン。ジョーンズ氏と話をしながら、MARVELとしての大事なアイテムであるインフィニティ・ストーンを、「マーヴル・スーパーヒーローズ」以来かなり立ったが取り入れたとのこと。「映画にも出ているし、ものすごい力を持っているアイテム。MARVEL UNIVERSEを格闘ゲームに取り入れることで、ルールを破ることができる。パワーストーン、タイムストーンの意味について話をした」(ジョーンズ氏)。
このようにシステムの中でもストーンは重要な役割を果たすのだが、ユーザーによってはシンプルになりすぎるのではと感じる人もいるかもしれない。「戦略性がなくなると思うかもしれないが、INFINITEに登場するキャラクターはいろいろと特徴があり、キャラクターごとに差が出てしまう。このため、前作でも人気のキャラクター5人しか使わないような形になってしまったという。このギャップを埋めるために、インフィニティ・ストーンを登場させたわけだ。
「システムレベルで、どのようなキャラクターでも、例えば私が大きくパワフルなキャラクターを使ったとしたら、動作が遅くなるかもしれない。その場合はタイムストーンを使ってスピードアップできる。キャプテン・アメリカも今まではあまり強くなかったかもしれないが、ストーンとの組み合わせで強くなれる」(エバンズ氏)。
「ストーンの力でそのキャラクターの長所を伸ばしてもいいし、弱点を補うのでもいいし、全然違うアビリティを伸ばして戦うのでもいい」(廣瀬氏)。
ちなみにストーンについてだが、カプコンのキャラクターでも使えることに対して、「ストーンを持つと普通の人は死んでしまうのだが 大丈夫ですか?」といった話もあったとか。ストーンを持つのはMARVEL側のキャラクターだけにしておいて、カプコンのキャラクターでは違うアイテムを持たせるという考えもあったわけだが、それは選択しなかった。そのあたりは、なぜこのユニバースは融合されたのか、というストーリーにかなり関わってくるという。「それがこのシリーズのよいところ」だとジョーンズ氏。
このため、ほかのMARVELタイトルではできないこと、カプコンタイトルではできないこともINFINITEでは可能となる。世界は融合されているので、ストーンをカプコンのキャラクターが使えるということがポイントとなってくる。
なおキャラクターの入れ替えだが、いつでもどこでもできるというのがこのシステムの特徴。必殺技を出している間にキャラクターを入れ替え、コンボを繋げるといった戦い方も可能だ。
「前作のシリーズよりも自由を感じる」とエバンズ氏。例えば、3対のキャラクターで戦うことになるとして、それをまずは選ばなければならない。あとは戦い方も3種類になってしまうわけで、それだけで面倒だと思うかもしれない。「交代すれば自分の思い通りに何でもできる」(エバンズ氏)。ジョーンズ氏も「MARVELでは、映画やコミックなど、誰でも楽しめるような展開をしている。このゲームは同じく、カプコンと協力して、誰でも楽しめるようにシステムをデザインした。ただし簡単というだけでなく、ハードコアゲーマーが楽しめる『深み』も入っている」と語る。
INFINITEについては、いったんすべてのゲームシステムを捨てた上で、1から作り直されている。「VSシリーズで必要なものは何なのか、VSシリーズはこれだよね、ということをきちんと理解した上で、新たに作り直した。これ以上増築するのではなく、いったん立て直そうということ」(廣瀬氏)。「キャラクターも、MARVELでは歴史のあるものなので、ファンが喜ぶものはキープしてあるが、これまでのシリーズに登場していないキャラクターも登場を予定している」とジョーンズ氏。キャプテン・マーベルも日本ではあまり知名度がないのだが、これから映画も用意されているほか、なんといっても社名が付けられているキャラクターなので、とても重要なのだとも。
「アベンジャーズ」により広がったMARVEL UNIVERSE
取り入れるキャラクターの選択は、とても難しかったそうだ。いろいろなところからインスピレーションを取りいれるというものの、MARVELのコミック、映画もいろいろあるし、カプコンにも様々なIPが存在する。「前作でもロケットラクーンとか誰も知らなかった。このため将来のことも考えているし、過去のことも考えている」とエバンズ氏。実のところ、前作が登場したときには「アベンジャーズ」シリーズの映画がまだ存在しなかった。しかしこれが登場することで、MARVELの中で、違う世界の融合ができた。これにより、それぞれのキャラクターだけでなく、その世界を深く掘り下げ、新たなストーリーが生まれたわけだ。
システムを一新するときは、確かにキャラクターも入れ替えるタイミングだとも言える。しかし前作で出てきたキャラクターは登場してほしいものもあるだろうし、選択には悩むところだ。登場させるキャラクターはほぼ決まっているそうだが、そのあたりは今後の情報を待ってほしいとのこと。ちなみに「ロックマンX」を出すのは、北米ですごく人気があるからだという。前作でアンケートを採ったときにはダントツでトップ。「今回はファンの要望に応えているというのはある」とエバンズ氏。公開されたトレーラーを元に、今後いろいろと分析する人もいるだろう。「そこは、言葉通りの融合なので、両方のよいところを取り入れて作っている」とも。
なお「ロックマンX」は変身するほか、キャプテン・マーベルとアイアンマンが一緒に戦っているのは、実はMARVELファンにとっては驚きのことだとか。「つい先日までコミックの『Civil War II』で対立していた。この2人が共闘しているのを見ると、何か期待してしまうだろう。そういう所を含めて、ストーリー性が重要。初期段階でこの3人は重要だ、というので決定していた」(廣瀬氏)。
ジョーンズ氏も「MARVELも75年、8,000キャラクター位の数がいる。キャプテン・マーベルも、将来を考えると大事なキャラクターで、女性を代表している尊敬されてきたキャラクター。映画もあるし、ゲームにと登場する予定もある。現代のヒーローは、と考えるとキャプテン・マーベルを考える」と語る。
来年発売が予定されている本作は、開発準備にかなりの時間をかけたとか。バトルやストーンのシステムもチューニングを進めているという。今後の展開に期待したい。
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