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【スマホアプリ今日の1本】「The Trail」ピーター・モリニュー、弾けたな!

山道をひたすら進んで生き延びる、22cans最新作が登場

11月4日 配信

ダウンロード:無料

利用料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

「The Trail」の3大ポイント

・ピーター・モリニュー氏の最新作は不思議な山道歩きサバイバル
・世知辛さが身に染みるアイテム「取ったもの勝ち」システム
・どうかしている世界設計も魅力の1つ

 野外スポーツの1つに、「トレイルランニング」と呼ばれるレース競技がある。舗装された道路以外の山道、主に登山道をランニングで進んでいく競技なのだが、この“山道を進む”というテーマを持ったゲーム、その名も「The Trail」がAndroid/iOS用に配信されている。

 この「The Trail」が不思議なのは、山道を徒歩、あるいはジョギングでひたすら進むというそのコンセプトにある。加えて、本作は「ポピュラス」や「Fable」などで知られるピーター・モリニュー氏率いる22cansが開発を行なっており、その点でもかなりの注目作だ。

【プロモーションムービー】

端的に言えば、ただひたすら山道を歩くゲーム
チェックポイントとなるキャンプでは、クラフトや他プレーヤーとのトレードができる

 本作で行なえるのは、山道を進むことと、その道中で各種アイテムを拾うこと、そして拾ったアイテムからさらなるアイテムを作ること(クラフト)の3つが基本となっている。山道を進めば体力が減り、来ている衣服は消耗されてしまうので、衣服は常に新しいものに取り替えたりクラフトしながら進まなくてはならない。

 道中は一定の間隔でチェックポイントがあり、チェックポイントでは体力の回復とクラフトなどが行なえるのだが、斬新なのはチェックポイントから1度出発したら後戻りはできず、常に前に進むしかないということ。

 つまり進んでいる最中は衣服が壊れようが体力が尽きそうになろうがとにかく前に進むしかないわけで、準備不足で出発したときにはかなりのスリルが味わえる。あえて表現するならジャンルは「山道歩きサバイバル」といったところだが、さらにスリルがあるのは本作がオンラインゲームだという点にある。

 本作では山道を進んでいると同じ方向に向かう様々な他プレーヤーに出くわす。それぞれ歩くペースが異なる(自身で調整可能)ので追い越したり追い越されたりするのだが、落ちているアイテムは「取ったもの勝ち」となっていて、貴重アイテムは時に奪い合いになる。

 また道中で体力が尽きてしまうとその場に倒れ込み、課金アイテムを消費するか体力が全回復するまでじっと待たなければならないのだが、待つことを選択した場合、手持ちのアイテムを徐々にドロップするというオマケも付く。ドロップしたアイテムは、もちろん他プレーヤーの獲得対象であるため、後ろから来たプレーヤーにガンガンアイテムを奪われていく。

 天使のようなプレーヤーがいた場合、ごっそり落ちたアイテムをそっとしておいて先へ進んでくれることもあるかもしれないが、はっきり言ってそれは期待できない。たとえアイテムを奪われたとしても報復手段が皆無であるため、基本はアイテムを全さらいされるだろう。世の中は“弱肉強食”、あるいは“死人に口なし”という世知辛さがあることを本作は嫌というくらいに教えてくれる。

 ところで本作の目的だが、ゲーム開始直後は「Eden Falls」にたどり着き、そこに定住することが示される。「Eden Falls」に着くまでは歩き、チェックポイントに付き、また出発し、ということを延々繰り返していくのだが、そこでアイテムの集め方とクラフト方法、そして他プレーヤーとのトレードなどを進めることで段々と装備が充実していく。この世界での生き延び方を学ぶ過程の楽しさは本作ならではの体験であり、ハマればどんどん前へ進んでしまう。

 優れたゲームシステムを体験するタイトルとしても楽しいが、ゲームを進めていると本作の主人公がどんな出身であり、故郷にどんな人を残してきたかもやり取りされる手紙によって少しだけ明らかにされるのが興味深い。手紙によれば、差出人は「お金がまったくない」、「ジフテリアとコレラが猛威をふるっている」、「大家はディケンズに影響されて家賃を上げようとしている」などなど、どうもどん底のようである。さらに「サリーがひどい咳なので、喉の通りが良くなるようにお父さんに近くで葉巻たばこを吸うようにお願いしている」などともあり、見ているこちらが心配になってくる。

 というようなどうかしている世界設計も含めて、ここに来て「ピーター・モリニュー、弾けたな」というのがプレイしての感想だ。プレイしているとものすごい勢いで端末のバッテリーを消耗していくのが玉に瑕だが、1度プレイするとそれほどハマれる魅力を持っている。オススメの1作だ。

【スクリーンショット】