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吉祥寺で街を踏み潰せ!「特撮体感VR 大怪獣カプドン」が稼働
カプコン初のアーケード向けVRアトラクションがお披露目
2016年9月17日 18:56
カプコンは9月16日より、直営ゲームセンターのプラサカプコン吉祥寺店にてVRアトラクション「特撮体感VR 大怪獣カプドン」の稼働を開始した。プレイ料金は1回500円で、13歳以上のプレーヤーに対応する。
本アトラクションはカプコン初のアミューズメント施設向けVRコンテンツで、4.5×4.5メートルの専用空間でVRシステムを装着することで、街を踏み潰す巨大な大怪獣「カプドン」にプレーヤー自身がなりきって大暴れできるという内容だ。
使用VRシステムはHTC Vive。しかもルームスケールトラッキングに対応したViveコントローラーを両手両足の4つ使用するという仕組みで、前足でビルを破壊したり、車や戦車を足で踏み潰したりといった痛快なアクションを完全な直感操作で楽しめるようになっているのが特徴。広いプレイエリアと特注のシステムが必要なことから、アミューズメント施設のみで楽しめるVRコンテンツとなっている。
被害総額○千億円!自分が大怪獣なら、どこまで街を破壊できるか?
ゲームではふつう、怪獣が敵でプレーヤーは戦車や戦闘機を使って戦うようなものになりそうだが、本作はまったく逆のアイディアで、身長数十メートルの大怪獣となって思う存分に暴れまわり、人類の防衛隊も圧倒的なパワーで返り討ちにしていくという、ただひたすらに爽快な内容だ。
プレイ開始にあたっては、店舗スタッフの案内を受けながらHTC Viveのヘッドセットを装着。両手にViveコントローラーを持ったうえ、さらに、Viveコントローラーが装着された特製のサンダルを履く。これにより、両手両足がバーチャル空間の中で正確にトラッキングされるようになり、腕・足を使ったアクションを直感的に行なえるようになっているのだ。
ゲームが始まると、目の前には高層ビルが林立する都会の風景が現れる。とはいっても、見上げるような摩天楼ではない。自分が身長数十メートルの巨大怪獣「カプドン」の視線なので、高層ビルが自分の身長と変わらないくらいに感じられる、いつもとは全く違ったスケール感の世界が眼前に現れるのだ。
その視界には自分の手足が見えていて、実際に腕を動かせばバーチャル空間内の腕がそのように動き、足を踏み出せばバーチャル空間内の足がそのままの動きを反映してくれる。Viveを持っていても家では体験できない「地に足の着いた」VR体験だ。
この状態でビルをパンチすれば瓦礫となって崩れ落ちるし、足で勢い良く踏むと衝撃波jが発生して周囲の戦車や車は爆発。壊す前に手で掴んで、別のものに投げつけて破壊するということもできる。こうして両手両足を振り回しながら歩き回るだけで、大都会の風景はあっという間に更地になってしまう勢いだ。大怪獣の視点とパワーを得て、思う様あばれまわる、そんな体験がものすごく簡単にできてしまう。
操作が簡単ならゲームルールも簡単で、「制限時間以内に、街のどこかに隠された子供怪獣を見つけて救助しよう」というもの。子供怪獣はビルの影などに隠れていて簡単に見つかるのでステージクリアは簡単だが、プレイ中に破壊した人工物の質と量に応じて「被害総額」がカウントされていくのがアトラクション的に面白いところになっている。
ビルをなぎ倒せば「被害総額は6000億円に達しました。人類の命運は尽きたのでしょうか?」という感じで60~70年代のラジオニュースじみた音声でアナウンスが流れるものだから、ついついさらに被害総額を増やそうと、プレイエリア獣を闊歩して破壊の限りを試したくなってきてしまう。おかげで、簡単なはずの子供怪獣の発見と救助も忘れてしまい、気がついたらタイムオーバーになってしまうほどだ。反応もすごく良くて、何の苦もなくドカン、ドカンと巨大なはずの人工物が次々に破壊できるので痛快極まりない感覚だ。
これだけだと非常に大味な感じもするが、足元をよく見ると蟻サイズの通行人がキャーキャーわめきながら逃げ回っているのが見えたり、それらを掴み取って顔に近づけてみると「怖い!」とか「キモイ!」とか叫んでいるのが聞こえてきたり。細かい部分の表現もとても行き届いているおかげで、自分自身が大怪獣なのだ、という圧倒的スケール感を実感できるようになっているのだ。絵柄がシンプルで可愛げのある感じなので、その暴虐に悲惨な雰囲気がまったくなく、純粋に面白がれるのもいいところだ。
冒頭のチュートリアルをすぎれば、全3ステージで破壊の限りを尽くして遊ぶことができる。人類の防衛軍もさかんに空母から飛行機を飛ばしたり、飛行船などで攻撃を加えようとしてくるが、大怪獣カプドンは無敵なので痛くも痒くもなく、被害総額に加算されるだけの存在だ。総プレイ時間は10分ほどだが、その間ずっとクライマックスという感じで、夢中に遊んでいるうちに気がついたら終わってしまった感じである。破壊行為が完全に自分自身の動きに連動するので、次はこんな動きもしてみたいなと、何度も試したくなってしまう面白さもある。
簡単プレイでVRならではの非日常なスケール感をリアルに体感でき、とても痛快な体験のできる本作。VR未体験の皆さんに非常にオススメだし、日頃ゲームをプレイしない人にもどんどん遊んで欲しいと思える魅力たっぷりのVRアトラクションだ。
本アトラクションはプラサカプコン吉祥寺店で試験的に稼働開始し、遊べるのはこのお店の中だけ。時期は未定だが、一定の期間をおいて他の都道府県にある直営アミューズメント施設(大阪、愛知、福岡など)にも移設して各地で楽しめるようにするという計画もあるとのとことだ。
日本ならではのVRコンテンツで驚かせたい!
本作ディレクターを務める中井実氏に話を伺うと、本作はVR研究の一環としての実験的な色彩が濃いコンテンツであることを明かしてくれた。
いつもはコンシューマーゲームの開発に携わっているという中井氏だが、開発に関わったスタッフにはゲームセンターのアミューズメント事業や、パチスロ系の開発事業に携わっている人もいるというから、カプコンのVRへの取り組みが非常に社内横断的に行なわれていることがよくわかる。
その中井氏によれば、カプコンでは今後、さらにコンシューマー機やアミューズメント施設といった様々な形でのVRコンテンツの展開をしたいと考えているという。だが現時点では未知なことも多いため、まずは実験として本アトラクションを稼働。吉祥寺店でしばらくの運営を続ける中でノウハウを蓄積したり、お客の反応を確かめていくことで、今後の展開につなげていきたいと考えているという。
本作について、「特撮ファンのみなさんが、怪獣になったらこんなことがしたい、あんなことがしたいということをVRを使ってしっかり実現したいと考えました」と語る中井氏。今後はアミューズメント施設向けに「バイオ」や「モンスターハンター」等のカプコン独自IPを使ったVRコンテンツの展開もありうるか?と伺ったところ、「社内でもそれをやってみたいと考えている人は多いです」と前向きだ。
そのための第1弾として特撮モノの怪獣体験という内容を選んだのは、それが非常にわかりやすくVR向けでもあるという理由もあるが、その前提として「日本ならではのVRコンテンツで人を驚かせていきたい」という中井氏の思いだ。VRというと海外で先行しているイメージもあるが、日本には多種多様な映像文化、キャラクター資産があり、日本でしか作れないVRコンテンツの世界というものが確かにあり、それがまた海外に対しても大きな競争力を持つに違いないという考えだ。
そのためのノウハウを蓄積していくため、という位置づけももつ「特撮体感VR 大怪獣カプドン」。VR初心者はもとより、日頃ゲームを遊ばない人にも直感的に楽しめるVRアトラクションとなっているので、最新VRシステムの面白さを知るためや、あるいは純粋に新鮮な遊びに触れるために遊んでみて欲しい。