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【必見! エンタメ特報】映画「スーサイド・スクワッド」ハーレイ・クインだけじゃない!

悪人ウィル様からウネウネ魔女まで、見どころたっぷりの悪人大集合映画

9月10日 公開

極悪犯罪者大集合!

 バットマンにスーパーマン、ザ・フラッシュ、ワンダーウーマン……。これらはすべて、アメリカのコミック会社「DCコミックス」が生んだヒーローたち。「アベンジャーズ」をはじめとした数々のヒット映画を擁するマーベルと並び立つ、2大コミック出版社の1つだ。

 DCコミックスはこれまでにも、バットマンやスーパーマンを主人公とした映画を数多く制作しており、シリアスさをより強調したクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」3部作や、最近ではバットマンとスーパーマンが激突した「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)が特に話題となった。

 ところが、今回DCコミックスが打ち出してきた映画「スーサイド・スクワッド」は、ヒーローではなく悪人(ヴィラン)を主役とした映画だ。狂った女に百発百中のスナイパー、ブーメラン男、炎野郎、そしてワニ人間……。あまり有名ではない、というか日本では全然知名度のない方々ばかりだが、要はキャラクター濃すぎのワルい奴らが強制的に徒党を組まされて、ハチャメチャやりながら頑張る話である。

【映画『スーサイド・スクワッド』予告2【HD】2016年9月10日公開】

 舞台となるのは「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でスーパーマンが去った後の世界。地球外生命体からのさらなる脅威に対抗する手段として、政府は投獄されている悪人で部隊を結成するタスクフォースX作戦を実施する。

 そこで選ばれたのが、最強かつ最凶の狂人ジョーカーの恋人ハーレイ・クイン、凄腕スナイパーのデッドショットなど、バットマン並に尋常ではない能力を持つ悪人たち。タスクフォースX作戦の発案者、アマンダ・ウォラーは減刑を報酬としてチラつかせつつ、彼らの首に爆弾を仕込んで逃げ場を排除。「言うことを聞かなかったら爆破するぞ!」というこれ以上ない脅し方で、即席チーム「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」が結成される。

 しかし一方で、アマンダがその心臓を確保することでコントロールし、部隊の一員として活躍させることを考えていた御年6,313歳の魔女、エンチャントレスが反旗を翻そうとしていた……。

エロカワ路線でファンを獲得しまくっているハーレイ・クイン(右)。ちなみにバットをメイン武器に持ちだしたのはアクションゲーム「バットマン:アーカム・シティ」(2011年)が初出だそう
ウィル・スミス演じるデッドショット(左)。悪人とウィル・スミスのハイブリッドな感じのキャラクター

記事中は敢えて触れていませんが、もちろんジョーカーも大活躍。ギンギラ装飾に身を包み、捕らえられたハーレイ・クインを救うためあらゆる手段を尽くすという、これまでとは少し違うジョーカーになった。演じるのはジャレッド・レト

 部隊の中でもメインを張っているのがハーレイ・クインとデッドショット。映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でレオナルド・ディカプリオの妖艶な若妻を演じたマーゴット・ロビーがハーレイ・クインを、これまで映画で何度も地球を救ってきたウィル・スミスがデッドショットを演じているのだが、この2人はかなりの当たり役と言える。

 TVCMでもよく見かけるように、美人かつ狂人というハーレイ・クインはインパクト絶大で、バットと銃で敵をぶち倒しながらヘラヘラ笑いを忘れないキャラクター、戦闘が進んで化粧や衣装が崩れていくほど彼女らしさが際立つファッション性など、ハーレイ・クインのために映画を観に行くだけでも十分価値がある。

 またデッドショットは、賞金稼ぎの殺人者として罪を重ねる一方で、1人娘の健やかな成長を誰よりも願っているという、これまでのウィル・スミスとはまた少し違うキャラクターだ。ウィル様が悪役になるのも珍しいが、ウィル様らしさが映画の絶妙なタイミングで顔を覗かせるところもあり、終わってみれば最もおいしい役どころになっていた。

 ほかにも強力な火炎能力を持ちながら心を閉ざしているエル・ディアブロなども個人的にはお気に入りだが、もう1つ忘れてはならないのがエンチャントレス。エンチャントレスはモデルとしても活躍するカーラ・デルヴィーニュが演じているのだが、これがもうとにかくウネウネしている。とっても悪い呪文を唱えながらひたすらウネウネ動いていて、彼女が何を喋っているかよりウネウネした動きの方が気になるほど。子供が好んでマネしそうな類の動きが映画の後半でずっと繰り返されているので、親子で観に行く場合はぜひみんなでネタにしてみてください。

 またストーリーに関しては、反抗的でやる気ゼロのどう考えてもまとまらない悪人たちが、それ以上の脅威にいかに立ち向かっていくかは想像がつくとして、その過程で浮かび上がってくる悪人たちの「人間としての心」も見どころの1つとなっている。

 たとえばハーレイ・クインは、精神科医としてジョーカーと接する内に心を奪われ、身も心もすっかりジョーカー色に染まった上で、なおもジョーカーとごく普通の幸せな家庭を築くことを夢見ているキャラクターでもある。

精神科医時代のハーレイ・クイン。身も心もすべてをジョーカーに捧げることとなる
キャラクターは少し変わったが、カオスの化身たる残虐非道ぶりはむしろパワーアップ。何を考えているか、何をしでかすかわからないので、登場シーンは本当に怖い

 娘が弱点のデッドショットしかり、こうした悪人たちのハートウォーミングな面も垣間見えることで、キャラクターの深みはより増している。ポスターやTVCMでは何よりもハーレイ・クインが目立つが、デッドショットだけでなくエル・ディアブロ、さらには福原かれん演じる仮面剣士のカタナなども印象的で、映画を見終わったあとはそれぞれお気に入りのキャラクターができていることと思う。

 ジョーカーを「プリンちゃん」と呼び、恋に恋するハーレイ・クインの狂気的かわいさ(今年のハロウィーンの仮装で人気が出ると言われているほど)が何よりも映画を引っ張っているが、「悪党どもがハチャメチャやる」アンチヒーロー的な味わいが前面に押し出されつつ、エンターテイメント作品としてちゃんと楽しいのが素晴らしい。

 本作は世界観を共有する映画群「DCエクステンディッド・ユニバース」の第3弾とされており(第1弾、第2弾は「マン・オブ・スティール」と「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」)、今後もワンダーウーマンが主役の映画、さらにDCコミックス版「アベンジャーズ」となる「ジャスティス・リーグ」が本命作として控えている。

 映画作品はマーベルに遅れを取っていた印象のDCコミックスだが、全米や日本でもヒットを飛ばしている「スーサイド・スクワッド」を皮切りに巻き返しなるか。「スーサイド・スクワッド」の続編も期待したいし、今後のDCコミックス映画に注目である!