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中国発新型ゲームコンソール「戦斧 F1」とは何だ?

ハードとUIはPS4、コントローラーと外箱はXbox Oneにそっくりな今年の残念大賞

7月28日~7月31日開催



会場:Shanghai New International Expo Center

 ChinaJoyの楽しみのひとつは、新進気鋭のメーカーによる独自のゲームコンソールだ。古くはWindows XPベースのPS3コピー「Shanda Station」から、毎年様々なオリジナルのゲームコンソールが出展される。共通点は2年連続で出展したメーカーは未だになく、すべて単年止まりで、いつのまにか消えているというのがお約束だ。

【FUZEのゲームコンソール「戦斧 F1」】
日本人の感覚からすると、よくここまで露骨にパクれるなというレベルのパクりハードで、外箱のデザインまでパクっているのには恐れ入る

中国独自のゲームコンソールということで来場者の注目は高かった

 ゲームプラットフォーム戦争を長年見守ってきた日本や欧米のゲーム市場では、ゲームコンソールをビジネス的に成功させることの難しさを知っているだけに、新規メーカーからフルスクラッチのゲームコンソールが出てくることはまずないが、中国ではゲームコンソールが15年の長きにわたり法律で禁止されていたことと、Androidという初期コストゼロで導入できる優れたOSが存在するため、セットトップボックス(STB)の延長線上の存在としてゲームコンソールを企画し、新規参入してくる。その毎年変わらない風景は、喜劇であり悲劇でもあり、ChinaJoyに欠かせない風物詩でもある。本稿では、今年初出展を果たしたニューカマーFUZEの「戦斧 F1」をお伝えしよう。

 「戦斧(TOMAHAWK) F1」は、2016年4月に発売されたばかりの中国独自のゲームコンソール。本体はPS4をコンパクトにしたような薄型正方形のデザインで、コントローラーはXbox One Wireless Controllerにそっくりだ。UIは、独自開発だが、PS4にそっくりで、ゲームコンソールとしてのオリジナリティは皆無だ。ベースとなっているOSはAndroidで、Androidタイトルをポーティングする形で70タイトルを用意している。

 ChinaJoyの「FUZE」ブースでは、100台近くの試遊台を展示し、「真・三國無双7」や「GRID」など著名なタイトルを中心に自由にプレイする事ができた。Xbox One Wireless Controllerにそっくりなコントローラーは、本家本元より薄く軽くなっており、PS4やXbox Oneと同じワイヤレス接続ながら応答速度はやや鈍く、「GRID」は遊べる水準に至っていない。

 ハードウェアは、MPUにNVIDIAのTegra K1とKepler世代のGPU、メモリは4GB、ストレージは32GBのフラッシュメモリを採用している。価格はコントローラーが1つ付いて899元(約14,000円)で、上記モデルに500GB HDDを内蔵したモデルが約23,000円となっている。いずれにしてもPS4やXbox Oneの半値以下で、価格面では非常に大きなアドバンテージを備えている。

 スペック的にもAndroidタイトルを遊ぶには十分だが、ハイスペックで動作させたからといってグラフィックスが綺麗になるわけではなく、大きなTVモニターでプレイすると、グラフィックスの粗が目立ってしまう。

 機能面でもコンテンツ面でもとりたてて見るべきものはなく、なぜこれをリリースしようと考えたのか不思議に思うレベルのゲームコンソールだ。価格面では確かに優れているものの、Android端末として考えれば、モニター無し、バッテリー無しで899元は、安いどころか高いぐらいだ。

 FUZEでは、簡体中文に加えて、英語表記にも対応し、グローバル展開を目指しているということだが、このゲームコンソールが海外展開されることはまずないと思われる。毎年別のメーカーが売れないゲームコンソールを出展し続けるのもChinaJoyの変わらぬ風景のひとつだ。

【中身もパクり】
Android OSに独自のランチャーを被せているが、これがPS4の丸パクリ。ここまで何から何までパクりで構成されたゲームコンソールは久しぶりだ