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Xbox Liveを軸に融合するXbox OneとWindows 10
Microsoftが仕掛ける新たなプラットフォーム戦略をチェック
2016年6月18日 12:37
E3 2016に合わせて数多くの発表を行なったMicrosoftだが、その中で特に重要な位置を占めたのがXbox One/Windows 10を含むXbox Liveプラットフォームサービスについてのアップデートだ。
「Xbox Play Anywhere」を筆頭として今回Microsoftが披露した各種の施策は、Xbox Oneを中心にしてきたゲームプラットフォーム戦略をWindows 10にも本格波及させようという、OS企業らしい意図がよく見えるものになっている。
本稿では「Xbox Play Anywhere」をはじめ、Xbox One/Windows10を取り巻くゲームプラットフォーム機能のアップデートについてご紹介する。
ハードウェアプラットフォームを超えるゲームサービスの拡張
Xbox Play Anywhere
Microsoftのゲームプラットフォーム戦略において最も重要な位置を占めるとみられるのがこの「Xbox Play Anywhere(以下『XPA』)」というサービスだ。アイディアはシンプル。XPA対応ゲームを買えば、Windows 10とXbox Oneのどちらでもそのゲームを遊べるという仕組みだ。
Steamにはゲームを買うとWindows/Mac/Linuxのどれでも遊べる「SteamPlay」という仕組みが以前より提供されているが、XPAはそれをXbox OneとWindows 10の間でやるものだと考えればいい。ゲームはそれぞれのストア上で販売され、その購入情報はMicrosoftアカウントに紐付けられて、両プラットフォーム版のインストールとプレイが可能になる。
またXPAタイトルはクラウドストレージを通じてユーザープロファイルを同期するため、Windows 10でプレイした続きをXbox Oneでプレイしたり、Xbox Oneで解除した実績がWindows 10上でも表示される、ということができる。Windows 10とXbox Oneがひとつのゲームプラットフォームになるわけだ。
Windowsストアではすでに「Forza Motorsport 6: Apex」、「Killer Instinct」、「Rise of Tomb Raider」といったゲーミングPCを必要とするフルスペックのゲームが配信されるようになっており、一部のタイトルはクロスプラットフォームプレイも可能になっているが、XPAはそれをさらに推し進め、MicrosoftにとってのWindows 10をXbox Oneと同質のゲームプラットフォームとして位置づけることになる。
XPA対応タイトルは、9月13日発売予定の「ReCore」を皮切りに、「Gears of War 4」や「Forza Horizon 3」など、Microsoftファーストパーティタイトルの全てが対応予定。サードパーティ製タイトルも含めると、現時点で全16タイトルがラインナップされている。
ちなみにサードパーティ製のXPA対応ラインナップの中には「Ark: Survival Evolved」のようにSteamでも配信されているタイトルが存在する。そのようなタイトルではWindowsストア版とSteam版がどのような扱いになるか気になるところだ。
iOS/Android対応のXbox App
プレスカンファレンスでは触れられなかったが、E3 2016の開催に合わせ、MicrosoftはiOS/Android対応のXbox Appを配信開始している。
このアプリはXbox OneやWindowsで利用できるXbox Live機能をスマホ上でも利用できるようにしたもので、フレンドとのチャットなどの各種コミュニティ機能はもちろん、Xbox OneやWindows 10で配信されるGameDVRの視聴、スクリーンショットの閲覧など、Xbox Liveのコミュニティ機能を完全網羅。
さらに、アプリ上でゲームを購入することも可能だ。カタログからゲームを購入すると、所有しているXbox One上でダウンロード・インストールを開始することができる。
あらゆるWindowsゲームのためのゲームハブ機能
こちらはWindows 10で利用できるXbox App向けの拡張機能だ。Xbox Appが提供する機能は従来、Xbox Live機能に対応したWindowsストアゲームでのみ利用できた。それが今回のアップデートで、全てのWin32/Win64ゲームタイトルで利用できるようになる。
PC上にはSteam/Origin/Battle.net等々、様々なゲームコミュニティハブが存在するが、Xbox Appの拡張により、その全てをXbox Live上で可視化するというのがMicrosoftの狙いだ。
例えばSteamで配信されている「Age of Empire II:HD Edition」をプレイすると、それをXbox Appが感知して、Xbox Liveのプロファイル上にプレイ中の表示がなされる。他のフレンドが非Windowsストアアプリをプレイしていることも可視化される。GameDVRによる録画機能やスクリーンショットの撮影・共有といったXbox App機能も、全てのPCゲームで利用可能になる。Xbox One上で「Halo」をプレイしている人と、Windows 10上で「League of Legends」をプレイしている人が、同じグループでボイスチャットを楽しむ、といったことも可能だ。
様々なゲームサービスによって分断されたゲームコミュニティを、Windows 10+Xbox Liveのもとで1つに統合するというわけである。
オンライン大会機能も! Xbox Liveの新機能
上述のようなゲームサービスの垣根をマルチプラットフォームで広げていこうというMicrosoftだが、今秋、Xbox Live自体にも3つの大きな機能強化が行なわれる。
Looking for Group on Xbox Live
Xbox Live上で特定のゲーム、特定の目的でマルチプレイ参加者を探すための新機能。ゲーム毎にタグを指定して募集内容を編集することができ、例えば“上級クエストを攻略したい”、“無駄なお喋りなしでプレイしたい”、といった目的別のグループ募集を見つけたり、作成することができる。
ゲームごとには今現在Looking For Groupしている人数も確認でき、グループ募集にぶら下がって簡単にパーティプレイを楽しむことが可能。フレンドとのパーティプレイとはちょっと違ってその場限りのパーティとなるわけだが、多くのマルチ対応ゲームで便利に使えることは間違いない。
Clubs on Xbox Live
共通の関心事に基づいた永続的なコミュニティグループを作成したり、参加できる機能。グループにはタグが設定されていて、好みに合うグループを簡単に見つけ出すことが可能だ。仕組み自体はSteamの同様の機能によく似ていて、グループ内では参加者同士でチャットをしたり、グループ内で今ゲームを遊んでいる人を確認したりできる。スクリーンショット等の作品共有も可能だ。
Arena of Xbox Live
Xbox Live上でトーナメントイベントを開催する機能。Microsoftでは複数の大会主催者とパートナーシップを結んでおり、ESLのような各種e-Sports団体や、「Killer Instinct」のような各ファーストタイトル、あるいは「FIFA 17」のようなサードパーティ製タイトルの大会を、各メーカーがXbox Live上で開催することが可能となる。これによってEスポーツへの敷居をぐっと引き下げ、多くの人が競技シーンにチャレンジできるようにすることが狙いだ。
トーナメントに登録すると試合時間前にXbox Live上で通知されるようになり、規定の試合時間を逃さず参加できる仕組み。試合前には次の相手を確認することも可能だ。試合時間がきてマッチが成立すると、対応ゲームの専用マッチロビーに移動し、試合が始まる。試合の結果は自動的にシステムにフィードバックされ、試合結果の確認も専用の画面で簡単に行なうことが可能だ。
このシステムは多くのゲームデベロッパーに、公式大会を開催するための非常に簡単な方法を提供する。各トーナメントには勝利リワードとしてゲーム内通貨などを設定可能なので、ちょっとしたお試しの大会から、格式の高い大会まで、様々なトーナメントを実施できるだろう。「FIFA 17」のUltimate Clubコインを商品とした大会など、盛り上がりが容易に想像できそうだ。