ベクター、「転生絵巻伝 三国ヒーローズ」クローズドβテストレポート
古き良きターンベースSLGの味わいたっぷりのMMORPG

3月10日~19日 クローズドβテスト実施

4月7日 オープンβテスト実施予定




 台湾のChinesegamerが開発し、株式会社ベクターが運営を行なっているWindows用オンラインゲーム「転生絵巻伝 三国ヒーローズ」のクローズドβテスト(CBT)が3月10日~19日の日程で行なわれた。

 「転生絵巻伝 三国ヒーローズ」は三国志をモチーフに多人数で領土をめぐる対人戦やNPC戦を楽しめるMMOシミュレーションゲームだ。グラフィックスは2Dのチビキャラで、一見するとスーパーファミコン時代のようなチープさがあるのだが、実際にプレイしてみるとなかなか奥深く、味のあるゲームなのだ。

 CBTは3,000名の枠で行なわれ、参加したプレーヤーには正式サービス後に使用できるオリジナル「EX武将」がプレゼントされた。また、国戦や勲功戦などの対人戦イベントも行なわれた。4月7日からはいよいよオープンβテストも実施される。本稿では、「転生絵巻伝 三国ヒーローズ」のゲームの魅力をCBTの様子とともにレポートしていきたい。



■ オリジナルキャラを作って、三国志世界の一員となれ!!

呉で始めると、呉の有名武将、周泰らが登場する

 「転生絵巻伝 三国ヒーローズ」は、オリジナルキャラクターであるプレーヤーが、有名な三国の武将たちを仲間にしながら三国の覇権を争うシミュレーションゲーム。プレーヤーは魏・呉・蜀のいずれかを選んでキャラクターを作成し、本作独自のオリジナルストーリーが楽しめる。

 キャラクターには「歩兵」、「騎兵」、「弓兵」、「軽装兵」、「策士」、「薬師」、「砲兵」、「道士」という8つの兵種があり、プレーヤーキャラもこの中の1つを選択する。キャラクターのグラフィックスには、台湾オリジナルのリアル路線と、日本オリジナルのアニメ路線の2パターンが用意されている。それぞれフェイスパターン、髪型、服装を選べるのでかなりのバリエーションが作成可能になっている。

 ゲームを始めると、最初に選んだ勢力ごとに異なるプロローグイベントがある。三国志をベースとしているが、ゲームにはオリジナルのストーリーがあり、プレーヤーは有名武将たちと共に国の英雄のひとりとして登場する。しかし、謀計によって命を落とすも仙人に助けられ、記憶を失った状態で過去から歴史をやり直す。最初から有名武将が惜しげもなく出てくるイベントは、やや長めだがストーリーモードにつながる重要な序章なので、ぜひスキップせずに見てほしい。


8つの兵種。攻撃範囲や移動距離、成長して使える技が違う

豊富なキャラパターンから自キャラを作成可能だ。アフロなど変わった髪型のキャラも作ることができる



■ バトルはターンベース。「委任」コマンドで自動戦闘も可能

 プレーヤーはチュートリアル戦闘をこなした後、町で様々な依頼を受けてクエストをクリアしていくことになる。戦闘はマスを移動しながら敵味方が攻撃を繰り返すオーソドックスなシミュレーションタイプ。勝利条件を満たすか、画面にいる敵をすべて倒せばクリアとなる。

 戦闘には「一般」と「修羅」という2つの難易度があり、好きな方を選択できる。修羅は、一般より手ごたえのある戦いが繰り広げられる代わりに、報酬も高めとなっている。敵のターンや攻撃のエフェクトは設定でオフにすることができる。人数が多い戦闘ではオフにしておかなければ1回の戦闘に膨大な時間がかかるため、オフにしているプレーヤーが多いようだ。

 一度クリアした依頼でも繰り返し受けることができ、「委任」というコマンドを選ぶことで自動戦闘をすることができるので、掲示板の前にキャラクターを放置して、自動戦闘を繰り返しているプレーヤーが多くいた。

 放置して経験値がたまるというのは一見BOTのように思えるシステムだが、「委任」を続けていると、キャラクターの士気が減っていき、一定上減少すると出撃しなくなるので訓練所で回復してもらう必要がある。そのため、完全に放置することはできない。


NPC戦では敵軍の行動表示をカットすることも可能依頼を受ける掲示板前は、たくさんのプレーヤーがたむろっている。白い名前はプレーヤーが護衛に付けている武将キャラ

チュートリアルではパンダを相手にして戦闘の練習をする。パンダさんは残念ながら仲間にできないようだ

依頼を受けると、他の人の参加を待つ状態になる。パスワードを設定することで、入場を制限することもできる戦局リストをチェックすると、現在参加者を募集している戦場がわかる

低下した士気は訓練をして回復させることができる



■ 「三国伝」や「武将列伝」など3つの任務をこなして武将を増やしていこう

 最初のチュートリアルを終了した後も、クエスト自動で追加されていく。町中で受けられるクエストは大きく下記の3つに分かれている。他にもお使いやクイズ、敵国に潜入する、など特殊な任務も存在している。何かのクエストをクリアすると、どんどん自動でクエストが追加されていくので、序盤はレベル上げのためだけに戦闘をする必要はない。

    (1)三国伝

     ゲームの根幹をなすストーリーモード、クエストは連続した物語になっていて、クエスト中に出てくる敵は撃破したり、説得したりすることで味方に加えることができる。

    (2)武将列伝

     特定の武将の物語を楽しめ、その武将を仲間にすることができるクエスト。皇甫嵩など、時代設定が違う武将も仲間にできる。物語同士につながりはない。

    (3)告示任務

     掲示板から受けることができる依頼。盗賊を倒してこいなどの、一般的な依頼が多い。

 戦闘では経験値と共にスキル点をためることができる。ためたスキル点で攻撃や防御のあらたな技能を覚えていく。技能の中には選択式でどちらか一方しか覚えられないものもある。またレベルが上がると、攻撃寄りの能力を高める「幻性」と、回復寄りの能力を高める「仙性」のいずれかを選ぶクエストが発生する。クエストをクリアすることで、どちらかを覚えることができるのだ。


レベルなど一定の条件をクリアすると、右下に新たなクエストが表示されるクエストの一覧。クエストには制限時間があるものと、無制限のものがある

三国伝では少しずつ進んでいくストーリーを楽しみながら、武将を獲得できる。連戦になるので、回復薬などの準備が欠かせない

いくつかの物語をクリアすると、有名武将を獲得できる武将列伝

クエストの最中に「説得」コマンドを使えば、敵武将を味方にすることができる。説得に応じた武将は画面から消えて、インベントリに巻き物が加わる武将の絵巻を使用すると、武将を獲得することができる

手に入れた武将は、次回の戦闘から味方として出陣する集めた武将によってボーナスがつくこともある。ボーナスは「武将宝典」で確認できる。キャラクターについている「普通」「優秀」などの文字は成長率を表している

解放設定にすると、入ってきた別のプレーヤーとの多人数プレイを楽しめる武将は忠誠度が落ちると逃げ出してしまう。忠誠度は恩賞を与えることで高くなる

NPCとの対戦で勝てという特殊なクエストもある。コマンドボタンで必殺技を繰りだそう必要な条件を満たせば、転職することもできる

他国に侵入することで始まる対人戦のクエスト。プレーヤーが来ない場合はNPC武将が出てくる

「仙性」、「幻性」のクエストをクリアすれば、どちらかを覚えることができる



■ 自動採取で材料を集めて生産。装備を強化してパワーアップ!

採集のための道具も町のNPCが売っている。道具は何回か使うと壊れてしまう

 CBTではアイテム配布テストでお金が配給されたが、序盤を自分の力で乗り切ろうと思うなら、回復薬などは店で買うより自作したほうが安く上がる。三国伝や武将列伝では、体力や気力が回復しない状態で連戦することになるので、薬が必須となる。

 また、木工や精錬の材料を集めて装備を作ることもできる。覚えられるスキルは「木工」、「精錬」、「製皮」、「紡織」のうちから1つだけだ。生産材料は戦闘でもドロップするが、レベル11になれば採取場での採取も可能になる。町にいる「農夫」「伐採師」などに話しかけるとそれぞれの採取場所に移動するので、適当な場所で道具をクリックすれば、自動で採取してくれる。採取の種類と取れるものの分類は以下の通り。

 装備は強化することで性能を上昇させることができる。装備を強化するには「ノミ」を使って装備に穴をあけ、そこに宝玉を埋め込む方法と、巻き物を使って精研する方法がある。


    「採薬」:気力を回復させる薬の材料
    「農耕」:兵力(体力)を回復させる食糧の材料
    「伐採」:木工の素材
    「採掘」:精錬の素材
    「剥皮」:製皮の素材
    「紡料収集」:紡織の素材
採取道具をクリックすると、後は道具が壊れるまで自動で採取してくれる巻き物で防御力などを上昇させる

ノミを使って穴をあけて、宝玉を埋め込むことで追加効果を得ることができる



■ 遭遇戦は運次第。イベント戦はギルドやチーム単位で参加が吉

国境沿いの対人戦に出陣できるのは、護衛として設定したキャラクターのみ

 対人戦は、他国に侵入することで発生する。侵入できるのは国境沿いにある国や地域で、侵入すると相手国のプレーヤーに、侵入を告げるアラートが流れる。システム側が侵攻を行なう場合もあり、NPCの武将が現われる。この場合、レベルにあった武将が出撃してくるとは限らず、蜀なら関羽や趙雲、魏なら夏候惇などの有名な武将が出てくる。

 大規模対人戦は、日時や時間の定まったイベントとして実施される。CBTでは「勲功戦」、「国戦」の2つの対人戦イベントが実施された。「勲功戦」はプレーヤーが5対5に分かれて行なわれるチーム戦で、制限時間内に稼いだ勲功の数で勝敗を競う。死んでも経験値は減少しない。参加するにはレベル21以上が必要で、簡単にレベルを上げることのできる薬が配布された。

 もう1つのイベント「国戦」は、レベル41以上のプレーヤーによる国対抗の領土獲得戦。異なる勢力に所属しているプレーヤーを倒すと、そのプレーヤーが所持している勲功の半分を獲得できる。死ぬと経験値や忠誠度が減少する。相手国の城内中央にある騎馬像を破壊すると占領完了となり、その領地の所有権が変わる。

 対人戦はレベル差があるとかなり辛い。また多人数戦だと、最初の方で死んでしまうとそのあとずっと見学になってしまう。CBTでは呉に高レベルのプレーヤーが多く、先行組の一方的な戦いになってしまうシーンも多く、レベル差補正が必要ではないかという声もあった。

 ギルドの設立に7日かかるため、このCBTではまだ活動していたギルドの数が少なかったこともあり、国戦はあまり盛り上がったとは言い難かったが、変わりに国境沿いでの遭遇戦が白熱していた。正式サービスが始まり、ギルドが充実してくれば、国の争奪戦が盛んになりそうだ。

護衛はプレーヤーのキャラクター情報から設定できる。設定すると普段から後ろをNPCキャラがついてくるようになるギルドの設立には、お金と他プレーヤーの承認が必要だ。CBT中には、ギルド承認を求める声が勢力チャットで流れていた

勲功戦の様子。倒されたプレーヤーは画面から退場して、後は見学するか撤退するしかない


 今回はお金や薬などが無料配布されたので、その部分でのストレスは全く感じることなくプレイできたが、正式サービスでは課金しないと序盤はきついバランスかもしれない。しかし、シミュレーション部分が良くできていることもあり、戦略・戦術を考えて闘う楽しさがあり、なかなか中毒性も高いと感じた。

 MMOには珍しくプレーヤーキャラクター自身がセリフを話すなど、古き良きSRPGをプレイしているような風情がある。シミュレーションゲームは1回の戦闘が長くなりがちだが、自動戦闘や自動採取などでライトプレーヤーにもプレイしやすく考慮されている。

 クローズドβテストではサーバーダウン等の大きなトラブルもなく、全体的に落ち着いていた。終了前にはパンダ変身薬で記念撮影をするイベントも開かれるなど、終始和やかなテストだった。オープンβテストではどのような盛り上がりを見せてくれるのか注目していきたい。


アイテムが満タンになったら銀行へ預ける。テストでは倉庫拡張アイテムが無料配布されたしゃべりまくる主人公。だんだん愛着がわいてくる

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(2009年 4月 3日)

[Reported by 石井聡]