EAJ、「Warhammer Online」開発/運営チーム特別インタビュー
大型無料拡張「出撃指令(Call to Arms)」の魅力をMythicに直撃!!

3月12日収録

エレクトロニック・アーツ本社

 

「Warhammer Online :Age of Reckoning」の大規模無料拡張「出撃指令(Call to Arms)」のイメージイラスト

 「Warhammer」はゲームズワークショップが展開しているミニチュアフィギュアを使ったバトルゲーム。その世界観を踏襲し、オーダー軍、デストラクション軍の2つの軍と6つの種族が大規模対人戦を行なうMMORPGが、Mythic Entertainmentが開発し、エレクトロニック・アーツ株式会社が運営している「Warhammer Online :Age of Reckoning(以下、ウォーハンマーオンライン)」だ。

 その「ウォーハンマーオンライン」に、正式サービス開始以後はじめての大規模無料拡張「出撃指令(Call to Arms)」が導入される。3月のライブイベント「不倶戴天」を皮切りに、「チョッパ」と「スレイヤー」の2キャリア、新マップ「死者の国(The Land of the Dead)」の実装、月替わりのライブイベントなどさまざまな新規要素が追加されるとともに、既存キャラクターの全面的なバランス調整が行なわれる。

 そこで今回は、「出撃指令」実装に先立ち、Mythicの開発者に質問を送り、「出撃指令」の企画意図や遊びどころを聞いた。回答者はプロデューサーでキャラクターシステム担当のAdam Gershowitz氏、アソシエイト・プロデューサーのMark Davis氏、シニア・デザイナーのGabe Amatangelo氏が質問に回答してくれた。また、日本公式ホームページで行なわれているさまざまな企画について、日本でホームページの運営を行なっているエレクトロニック・アーツのオンラインパブリッシングプロデューサー桜井千晶氏と、コミュニティマネージャーの瓜生敏志氏に話を聞いた。



■ 追加される新キャリア「スレイヤー」と「チョッパ」について

プロデューサーでキャラクターシステム担当のAdam Gershowitz氏
プレイベント「不倶戴天」では、NPCとして一足早く登場した

今回、スレイヤーとチョッパの2キャリアが選ばれた理由は?

Adam Gershowitz氏: スレイヤーはウォーハンマーの世界ではとても代表的なキャリアだから、以前から導入を考えていたんだ。でも当初のゲームデザインではなかなか実現が難しかった。チョッパはβテストですごく好評だったから、このキャリアをゲームに戻すことは優先課題になっていた。

編: このタイミングでキャリアを追加した理由は?

Adam Gershowitz氏: これらのキャリアの開発はずっと続けていたので、無料拡張版の話が持ち上がった時に、リリースできるかどうか改めて評価してみた。「出撃指令」の内容を固めていくうちに、イベントの幕開けはこの2つのキャリア導入が最善だろうと確信したんだ。

編: それぞれのキャリアの特徴を教えてください

Adam Gershowitz氏: ダメージ、ダメージ、そしてさらにダメージ。これらのキャリアは敵を痛めつけるために作られたんだ。そのぶん、自分が受けるダメージも大きくなるんだけどね……

編: それぞれについて、勢力内でどういった位置づけを考えていますか?

Adam Gershowitz氏: 両者とも、近接攻撃型のキャリアだよ。ということは、彼等の主要目的は攻撃で、一撃集中ダメージ、持続性ダメージ、範囲ダメージの3つの特化が用意されている。どのプレイスタイルにも、必ず輝ける場所がある。例えば、範囲ダメージはプレーヤー数の限られているシナリオではイマイチかもしれないけど、オープンフィールドの乱戦の中では武器をぐるぐる振り回すのは、最高に効果的はなずだ。


オーダー軍に追加されるキャリア「スレイヤー」デストラクション軍に追加されるキャリア「チョッパ」


■ 4月から3カ月連続で開催されるイベントについて

アソシエイト・プロデューサーのMark Davis氏
シニア・デザイナーのGabe Amatangelo氏
トゥーム・キングの紋章

編: 4月のライブイベント「出撃指令:砂漠を越えて(Beyond the Sand)」とはどのようなイベントですか?

Mark Davis氏: 冒険! そして興奮! 本当だよ。「砂漠を越えて」は無料拡張の第2章だ。イベントが展開していくにつれて、プレーヤーはトゥーム・キングの謎と、彼らがどのような力を持っているのか学んでいくことだろう。クエスト、オープンフィールドRvR、パブリック・クエスト、称号、そして超クールな報酬なんかも用意されているよ。

編: 6月に実装される「死者の国(The Land of the Dead)」との関連を教えてください。

Mark Davis氏: 「砂漠を越えて」では「死者の国」がある南方の探検物語がつづられている。デストラクション軍は究極の力(正直になろう。誰でも欲しいでしょ?)を探索する一方、オーダー軍はそれを阻止しようと試みるんだ。

編: 5月のライブイベント「トゥーム・キングの覚醒」とはどのようなイベントですか?

Mark Davis氏: 「トゥーム・キングの覚醒」は無料拡張の最終章だ。現時点で詳細については答えられないけど、このイベントは「ウォーハンマーオンライン」でこれまで見たこともないようなものになる。そしてイベントの結果は、この世界にずっと影響を与え続けるものになる。

編: 「トゥーム・キング」にいるのはどのような特徴を持つ種族ですか?

Gabe Amatangelo氏: トゥーム・キングはネフェキーラの古代支配者たちで、肉体を保存することで今の世に残るものたちだ。王や妃に死が訪れると、彼らの遺体には防腐処理が施され、不死の祭司たちにより祈祷がささげられる。王国の文化と民を滅亡に追い込んだ裏切り者の、強力な死霊術のためにトゥーム・キング(墳墓王)たちはふたたび目覚める。自尊心、憤怒、そして生者への憎しみが彼らを突き動かし、世界を支配しようと白骨の兵団を蘇らせたんだ。



■ キャリアのバランス調整について

近接職が弱体され、相対的に術攻撃キャリアの重要度が増した?
純ヒーラーのアークメイジとシャーマンに強化が入るかも?

編: バランス調整は、どのような意図で行われるのでしょうか?

Adam Gershowitz氏: プレーヤーとゲームが進化すると、ゲームも自然と変化していくので、バランス調整とはこの進化に対する対応だね。バランス調整に終わりはない。どのキャリアをプレイするかに関わらず、すべてのプレーヤーにとってできるだけ公平になるように、絶えず調整を続けているよ。

編: 今回のバランス調整のポイントは?

Adam Gershowitz氏: バージョン1.2で特に重要な変更点は、魔法耐性に関する調整だ。プレーヤーの魔法に対する防御力は、私たちが当初予想していたものより大きくなってしまっていたんだ。だから過度の耐性ボーナスに対してはリターンを少なくすることで、魔法耐性値を調整したんだ。

編: バランス調整で難しい部分は?

Adam Gershowitz氏: キャリアバランス調整で1番難しい点は、プレーヤーの認識だね。プレーヤーのみんなは膨大な時間を費やしてプレイしているわけで、そのキャリアに愛着を持っている。だからどんな変更でも、特に下方修正だと思われてしまうような変更は、反発を生む可能性がある。そういうわけで、調整を行なう時は、いつ、どのように修正するのか細心の注意を払わなければならない。例えそれがポジティブな調整だったとしても、プレーヤーにとってはそのキャリアが慣れ親しんだものとは違うものになってしまった、と感じてしまう可能性があるから。

編: どういったキャリアバランスが好ましいと思いますか?

Adam Gershowitz氏: プレイしているキャリアに関わらず、すべてのプレーヤーのみんなが、ゲームが面白く、楽しいと感じられるようなものだね。

編: バージョン1.3ではどのような調整が入る予定ですか?

Adam Gershowitz氏: これまでのパッチで行なってきたような調整を引き続き行なうけれど、バージョン1.3では特にアークメイジとシャーマンの改善に力を入れることを約束しよう!


■ EAJの「ウォーハンマーオンライン」担当者に聞く!!

エレクトロニック・アーツ株式会社パブリッシングプロデューサー桜井千晶氏
エレクトロニック・アーツ株式会社コミュニティマネージャー瓜生敏志氏

編: それぞれのお仕事内容を簡単に教えてください。

瓜生敏志氏: 主な仕事は、日本のウェブサイトの管理や更新、お客様へのアンケートを集計してウェブサイト上にアップしたり、イベント企画を考えたり、アップデート内容を翻訳したり、などです。

桜井千晶氏: プロダクト全体を見ている感じです。アメリカの開発スタジオとのやり取りや、予算管理、ローカライズ関連などで、プロダクトマネージャーのようなポジションです。

編: サービス開始からの日本のユーザーの動向はどのようになっていますか?

桜井氏: 具体的な数は申し上げられないんです。でも、プレーヤーがゲームを始めたり、ゲームから離れていったりする変動って、世界的に見てもある程度足並みがそろっているものなんですが、日本ではその変化が他の地域ほど大きくはありませんね。

編: プレーヤーの年齢層は?

瓜生氏: アンケートを取ると20代後半から30代の方が多いですね。

桜井氏: 今の10代の方は基本が無料ゲームになっているじゃないですか。だから月額課金+英語でハードルが高いんでしょうね。

編: 「ウォーハンマーオンライン」は、サービス開始当初から、日本での知名度は高かったですね。

桜井氏: 日本語版がでていないゲームとしては、結構高かったと思います。でもまだまだコアゲームなので、これが最初のMMOという人よりは、すでにMMOをプレイしたことがあるお客様のほうが多いですね。

編: 日本で直接運営することは考えていますか?

桜井氏: もし日本で運営するとしたら、クオリティの高い運営を行ないたいと思っています。満足のいくサービスを提供するためには、ある程度のプレーヤー数が必要ですので、どのくらいの人がこのゲームに興味を持っていただけるのか調査中という感じですね。

編: クライアントの日本語化についても、要望が多い部分だと思いますが。

桜井氏: 確かにたくさんの要望をいただくんですが、中途半端にはしたくないんです。一度クライアントの日本語化を進めてしまいますと、クライアントに限らずどこまで日本語化するのか、GMサポートや課金システムなど、どこまでサービスをするのかなど、どれくらい続けるのかという問題がありますから。本音を言えば、クエストログと知識の書はぜひ日本語で読んでもらいたいんですけどね。

瓜生氏: いまは英語版のサイトでデータベースが充実しているので、アイテム名や地名を翻訳してしまうと、逆にお客様に支障が出てしまう可能性もあるので、試行錯誤する必要がありそうです。


■ 運営とプレーヤーが一緒に楽しめるコミュニティー作り

日本語の公式サイト。アメリカのパッチ情報もいち早く翻訳されてアップされる

編: 日本語版のウェブサイトが日々充実してきていますね

桜井氏: 私たちもプレーヤーなので、一緒にコミュニティーを作っていきたい、楽しんでいただきたいという気持ちが最初にありました。日本のお客様がどれだけこのゲームに興味を持っていただいているのか、何を期待されているのかをウェブサイトから推し量りたいとも思っています。自分達がこのゲームを好きというのが、1番にあるのかもしれないですけど、やっぱりただ単純にアメリカの情報を流すだけじゃなくて、日本のユーザー向けに日本独自の物を作りたいと思っていました。基本的にはアメリカのローカライズバージョンなんですけど、日本ならではということをいろいろ考えてやってきたつもりです。

編: スクリーンショットコンテストなど、日本独自のイベントも行なわれていますね。

桜井氏: 基本的にアメリカの開発スタジオの力を借りるのではなく、日本の中で完結できることをやろうという感じになっています。アンケートなどはもちろん翻訳してアメリカに報告していますが、イベントの企画自体はこういうものをやっているよと報告するだけで、企画は全部日本で行なっています。

編: ユーザーさんの評判はいかがですか?

瓜生氏: 最初の頃には応募が少なかったのですが、クイズ、川柳と回を経るに従い、驚くほどのお客様に参加していただけるようになりました。反応も、最初は「WEB企画を実施するより、ゲーム開発を先行してほしい」という感じだったんですが、最近では「どんどんコンテストをやってください」とか「日本語のサイトを充実してください」という嬉しい声が届くことが多くなってきました。そういった企画をネタに、ウェブやゲーム内でのコミュニティが盛り上がることも多いですし、日本で何かをしたからといって、開発が遅れてしまうといった影響はありませんので、今後も色々な企画を実施してユーザーと運営が共に盛り上がっていくことができればと考えています。

編: ユーザーと運営が一緒に楽しめるような場になりつつあるということでしょうか?

瓜生氏: そうですね。「WARルトラクイズ」なんてタイトルからも、我々のノリを感じてもらえれば。あのタイトルは僕が我がままを言わせてもらったんです。

編: 「THE SENRYU WAR」の作例として載っていた川柳も運営で考えたものなんですか?

桜井氏: 10個くらい考えた中の自信作です。

瓜生氏: ファンサイトなんかにも作品を投稿してくれているところもあって、嬉しかったです。

桜井氏: 逆に投稿されたものよりも、そういう掲示板なんかにぽろっと書いてあるもののほうが面白かったりして。それを投稿してよと(笑)。

【いままでの日本独自イベント】
第1回スクリーンショットコンテスト(2008年11月7日~2008年11月17日)。「RvR」をテーマにユーザーからスクリーンショットを募集「WARルトラクイズ」(2008月12月22日~2009年1月5日)。景品の当たるクイズ大会。後半にはかなり手ごたえのある問題も出て、参加者をうならせた。「THE SENRYU WAR」(2009年1月23日~2009年2月9日)。ゲーム内の出来事を川柳で表現。力作が集まった


■ プレーヤー最後の視点からみられるギルド紹介を

ギルド紹介コーナー。ギルドでのRvRやメンバーの集合写真などもあり、和気あいあいと楽しい雰囲気が伝わってくる

編: 連載中の「ギルド紹介企画」は、どういった意図で始められたのですか?

瓜生氏: 「ウォーハンマーオンライン」というゲームはRvRが主体で、それにギルド単位で参加することが核になっていると思っています。だからいまギルドに入っていない人にも、ギルドで遊ぶ楽しさを味わって欲しいという気持ちで、この企画を立ち上げました。運営側がギルドってこういうものですと説明するよりも、お客様から実際の活動の内容をスクリーンショットなんかで見せて、それを実際に見ていただいた方が、ギルド活動の楽しさがよりわかっていただけるんじゃないかと思います。

編: 取材はどのような方法で行なっているんですか?

桜井氏: メールでのインタビューです。公式ウェブサイトに応募いしてきた方にメールで質問をお出ししてという感じです。

編: ユーザーからの反応はどうですか?

桜井氏: その後ギルドリーダーさんから、サイトを見て入ってもらいましたというような話をいただいたりもしてます。

編: 今後も続けていく予定ですか?

瓜生氏: ゲームを始めたばかりの方って、どこを見ればいいのかわからないじゃないですか。公式にギルド紹介があれば、ああ日本人のギルドも活動しているんだなとわかるので、そこをきっかけにギルドに参加していただいて、ギルド単にで大規模RvRを楽しんでいただけるようになればと。そのためにも、これからも続けていくつもりです。

編: 最後に日本のユーザーさんに対してメッセージをお願いいたします。

瓜生氏: ウェブサイトに関しては、もう少しマニュアルっぽいものが欲しいという要望をいただきました。それで先月くらいから、サイトにスタートガイドという、基本的な操作方法を説明するページを作っています。英語版MMORPGの日本語公式ページが、ここまで内容が充実して更新頻度が高いサイトはないと思います。あとは日本独自のイベントを何かやって欲しいというものです。いま現在は、無料拡張版「突撃指令(Call to Arms)」の導入と共に、大規模アップデートやライブイベントが実施されているので、独自企画はお休みしていますが、スクリーンショットコンテストやクイズ、川柳にとどまらず、今後の企画にもご期待ください。

桜井氏: 日本のサイトは日本のサイトで味を出してもいいんだということが、ようやくわかってきたので、これからも日本ぽくやっていこうかなと思っています。アメリカで始まった10日間無料体験のクライアントを、日本でダウンロードできるサービスが今日から始まります。ニュースレターではあらゆる情報をいち早くお届けしますので、ぜひ登録してみてください。

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(2009年 3月 19日)

[Reported by 石井聡 ]