【特別企画】

NECのゲーミングPC「プロジェクト炎神」総合プロデューサー森部浩至氏直撃レポート

ラズパイベースのミニゲーム機「PasocomMini PC-8001」も触ってみました

8月5日発表

 NECの「PC-8001」が発売されてから今年で40年。その節目に当たって発表会が開催された。会場ではかつてNECの支配人を務めた渡辺和也氏、PC-8001を開発した後藤富雄氏が登壇し、その時の思い出話に花を咲かせたほか、ライバルメーカーである富士通やマウスコンピューター社長からのライバル心むき出しのビデオメッセージが流れるなどして場内は和やかな雰囲気に。これに加えてアスキー創業者の西和彦氏も登壇して、これもまた今だから話せる40年前の話をぶっちゃけていて、懐の広いNECを目の当たりにした、とても気持ちのよい発表会だった。

 そこまではまあ予想されたことだった。会も終わりに近づいたとき、“これからの未来について語る”という形でNECパーソナルコンピュータの森部浩至氏が登壇した。森部氏からは、なんとゲーミングPCプロジェクト「プロジェクト炎神(エンジン)」の存在が語られた。本稿では、現時点で判明した情報をお届けしたい。

NECパーソナルコンピュータ プロジェクト炎神 総合プロデューサー 森部浩至氏

それは前触れもなく始まったゲーミングPC復活の狼煙

 パソコンの進化について考えたとき、1979年から1994年までの、キーボードによるCUI操作が主だったPC-8001を「PC 1.0」とすると、1995年から2019年までは、インターネットの時代になり、マルチメディアツールとして変化していき、操作もCUIやタッチによるものへと変わっていった。これまでが「PC 2.0」である。そしてここで2020年以降のツールとして求められているのは、インテリジェントパートナーだと森部氏は説く。デバイスをボイスで操作するのは当たり前になりつつあり、触らずとも思考や行動を判断してサポートするPCが登場し、ライフスタイルやワークスタイル全般へと浸透していく「PC 3.0」の時代を迎える。

 しかし変わらないのは、テクノロジーが誰かの喜びのためにあること。LAVIEについてはプロ、エデュケーション、ホームの分野で展開しているが、そこにもう一つの柱として「ゲーミング」が加わるとして、「プロジェクト炎神(えんじん)」が発表された。

 ゲーミングの分野では後発であることは認識していると森部氏。ゲーマーやゲームコミュニティの人たちと一緒に、どのようなマシンがいいのかをディスカッションし、新しい、みんなが欲しいと思うような製品を生み出すべく格闘しているという。近々に紹介できるとのことなので楽しみに待っていたい。

総合プロデューサーの森部氏に直撃

 発表会では「フェニックスには起源、オリジンという意味と、復活という意味が2つある。その思いを込めていきたい」と語っていた森部氏だが、しかしこれだけでは何のことなのかさっぱり分からないので、終了後に森部氏へ話を伺ってみた。

プロジェクト炎神のイメージ

 大まかな流れとしてはまだ“検討中”の項目が多く、詳しく聞くことはできなかったが、発表する時期については、発表会でも語っているとおり「近々」だ。しかし製品発売のマイルストーンはすでに決まっていて、1年とか2年先の話ではないという。

 想定しているターゲットはコアゲーマーではなく、ミドルレンジのユーザーたち。その人たちに喜んで買ってもらえるような製品を作り上げていくとのこと。スペックを重視するゲーマーに受け入れられるような製品にしたいとも。CPUやビデオカードといったパーツについても総合的に判断していくという。まだこれらは未決定で検討中ということだが、それだけ真剣に考えているということは窺えた。

 本体だが、メーカーから販売されているパーツを集めて作るのではなく、あくまでも台湾ベンダーとNECパーソナルコンピュータの協業で1からから作り上げていく方針だ。その際には本体だけでなく、キーボード、マウス、そしてディスプレイまで含めて製品化したいと森部氏。ただしすべてを自社でそろえるのではなく、メーカーとの協業により製品を提供する可能性もある。

 ゲーミングPCを作り上げる上で重要なのが「NECらしさ」。CPUやGPUのスペックだけで価格が決まるとすると、NECが作ったPCはショップブランドPCよりも当然ながら高くなってしまう。何らかの付加価値を持ってNECのゲーミングPCを買いたい、と思わせる何かを加えて行くことに意義がある。

 また悩ましいのが、キーボードやマウスを提供してもゲーマーはお気に入りのキーボードを持っていてそれに変えてしまうので、あまり意味をなさない可能性もあること。果たしてどのようなキーボードならば受け入れられるのか、そのあたりも含めて検討を重ねているそうだ。

 そして個人的に気になっているのが「NECのゲーミングPCは光るのか」。意見を求めたところ、すでに調査済みで6割のユーザーは「光らなくても買う」という結果を得ているという。筆者は光った方が何となくゲーミングPCっぽく思えるので推しておいたのだが、「光るパーツは高いんです」。確かにそれはそうだ。ただ海外展開すると必要になるという気もするのだが、まずは日本市場でしっかりと認知されることを目指すそうだ。

 ところで発表されたスライドにあるフェニックスとロゴがいいですね、そのまま使ってみたら、と聞いたのだが権利関係もあるからそのままでは使えません、とのこと。ただしフェニックスは使われる可能性もある、とか。

 いずれにしてもいきなり発表されたNEC製のゲーミングPC。そのラインアップはどのようなものになるのか楽しみに待っていたい。

「PasocomMini PC-8001」はこんな感じ

 すでに速報でお伝えしているが、本日発表された「PasocomMini PC-8001」で動作するゲームは「SPACE MOUSE」、「LUNAR CITY SOS!」、「SNAKE WORLD」、「ASTEROID BELT」、「CHECK P.」、「PC-ジャン!」、「PARACHUTE」、「SUB-MARINE」、「SPACE SHIP」、「ROCKET BOMB」、「MARINE BELT」、「平安京エイリアン」、「JUPITER LANDER」、「モールアタック」、「オリオン 80」、「走れ! スカイライン」の16本だ。本記事では、それ以外に聞いたところについてお伝えしていく。

プレスレビュー用に用意された「PasocomMini PC-8001」

 PasocomMini PC-8001の本体は開けると分かるように中身は「Raspberry Pi Zero WH」だ。自宅で試してみたのだが、microSDカードにRaspbianを入れて起動させたら当然ながら動作した。ラズパイユーザーの目から見るとRaspberry Pi Zeroは1GHzのクロックだし、非力な印象。しかし今回のように、ラズパイの上にPC-8001のエミュレーターを載せ、その上にまたN-BASICで動くゲームを載せるといった構造でも、PC-8001発売当時に比べたらRaspberry Pi Zeroは超ハイスペックなマシンなわけで、まったく問題なく動く。エミュレーターはC言語で作られており、Raspberry Piでよく使われるPythonではない。

 なお、ゲームについては今回収録したもののほか、ダウンロード版で提供されるのだが、それ以外、かつてカセットテープで保存していたN-BASICのプログラムデータ(ぴ~ひょろろの音)をWAVファイルに変換し、microSDカードに入れると動くそうだ。今まで取っておいた人がどれくらいいるのか分からないが、なかなかな仕様を入れてきたものだと思う。

ふたを開けたらそこにはRaspberry Pi Zero WHが

 なお、なぜRaspberry Piを採用したのかというと、HDMI出力が欲しかったから。ほかのデバイスにHDMI出力を載せようとするとパーツ代などでコストが上がるためだ。なるほどRaspberry Piの中でも廉価なZero WHを選んだというのも納得がいく。また組み込み型の「Rasberry Pi Compute Module 3」ではHDMIがないからダメ。

 PasocomMini PC-8001を開発したのはハル研究所だが、同社は以前にもシャープの「MZ-80C」のPasocomMini版を発売しているので、今回のPC-8001についても特に問題なく制作できたという。ちなみにこの2製品については、1人の技術者がこだわりを込めて作っている。

 GAME Watch読者ならば、PasocomMini PC-8001をとても欲しいと思っている人も多いと思うのだが、残念ながら一般発売の予定はない。手に入れるためにはLAVIEを購入し、2,000名当選の抽選に応募するか、500台限定のLAVIEを買うしかない。ユーザーの反応が高かったら商品化も検討するということなので、要望を送ってみるのもいいのかもしれない。