【特別企画】

Windows 7のサポートが終わるぞー! PCゲーマーのためのWindows 7 EOS講座

64bit&DirectX 12環境を整えて快適なゲームライフを!

【Windows 7 32bit/64bit】

2020年1月14日サポート終了

 Windows 7が2020年1月14日にEOS(End of Support、サポート終了)を迎える。マイクロソフトは北米時間の4月18日から、Windows 7起動時にサポート終了を予告するメッセージの表示を始める。Windows 7のサポート終了問題は、実はPCゲーマーにとっても重要な話だ。本稿では、PCゲーマーを対象に、Windows 7終了問題とは何なのか、サポートが終了すると何が起きるのか、現在Windows 7を使用している人はどうすればいいのかといった基本的な情報をお届けできればと思う。

【Windows 7】


なぜWindows 7のサポート終了問題をGAME Watchが取り上げるのか?

 「なぜGAME WatchでWindows 7サポート終了の話をするの?」と訝しむ読者もいるだろう。もちろん理由がある。下にあるのはSteamが毎月発表しているユーザーデータだ。Steamは、OSの種類、ビデオカードの種類、CPUのコア数など、ユーザーが使用するコンピュータハードウェア及びソフトウェアの種類を月次で調査している。調査への参加は任意かつ匿名で、収集された情報は技術や提供する製品の選定に使用されている。

【Steam ハードウェア&ソフトウェア調査】
各デバイスの使用率
OSの使用率

 この調査から、ユーザーが使用しているOSの割合を示したのが、下の円グラフだ。このグラフを見ると、Windowsユーザーが95.9%と圧倒的多数を占めている。問題は使用しているOSのバージョンで、なんといまだに25.1%ものユーザーがWindows 7を使い続けているのだ。これはSteamユーザー全体の4人に1人という膨大な人数だ。8人パーティを組んでいるとその中の2人が、100人のバトルロイヤルなら25人はWindows 7で参加していることになる。これはかなり衝撃的な数字だ。

 WindowsOSには“サポートライフサイクル”というサポート期間が存在する。1つのOSには、最低5年のメインストリームサポートと、最低5年の延長サポートが保証されており、それら10年間が終了するとセキュリティ更新プログラムの提供や、仕様変更、新機能のリクエストなどが受けられなくなる。

 Windows 7はすでにメインストリームサポートが終了し、延長サポートの期間中だが、この延長サポートが2020年1月14日に終了するのだ。サポートが終了したらオフライン専用にすればいい。ひと昔前ならそんな言い訳もできただろう。

 しかし現代において、ネットとゲームは切り離せない要素になっており、我々のアカウント情報は常に悪意を持つ誰かに狙われている。そんな戦場に、多数のユーザーが装備も持たずに繰り出したら……。これは見知らぬ他人の話ではなく、PCでゲームを遊んでいる我々全員が共有すべき危機と言えるのではないか。

 繰り返しになるがマイクロソフトは、北米時間の4月18日より、Windows 7のユーザーに向けて、サポート終了の告知を始める。「またなにか鬱陶しいものが出てくるようになったぞ」と思わず、この機会に自分のプレイ環境を見直して欲しい。このレポートではその助けとなる情報を提供したい。


サポートが切れると「セキュリティ更新プログラム」の提供がなくなる

 まずはサポートが切れるとどうなるのか。具体的に解説しよう。下の表を見て欲しい。これはメインストリームサポート、延長サポートとサポート終了後のサービスの差を一覧にしたものだ。

【受けられなくなるサポートの内容】
サポートの内容メインストリームサポート延長サポートサポート終了後
使用変更、新機能のリクエスト××
セキュリティ更新プログラム×
セキュリティ関連以外の修正プログラム作成の新規リクエスト企業向けの一部のみ対象×
無償サポートライセンス、ライセンスプログラムおよび、その他の無償サポート×(個人向けは別表)×
有償サポート×
【別表:個人向けサポート】
サポートの内容メインストリームサポート延長サポートサポート終了後
セキュリティ更新プログラム配信××
Anser Desk×
Anser Deskプレミアムサポート(有償)×

 数あるサポートの中でも特に重要なのが「セキュリティ更新プログラム」だ。マイクロソフトは製品の発売後に発見されたプログラムの不具合やセキュリティ上の問題点を修正するために、セキュリティ更新プログラムを定期的に提供している。

 サポート終了後のOSには、このプログラムが提供されなくなる。サポート終了後に新たな脆弱性が判明したり、強力なウイルスやマルウェアが現れたとしても、それを直したり対抗するためのプログラムは配布されない。まったくの無防備になってしまうのだ。

 古いOSを使い続けるリスクはセキュリティだけではない。例えばインテルの第7世代(Kaby Lake)やAMDの第6世代Ryzen(Bristol Ridge)以降のCPUは、Windows 10のみがサポート対象になっている。

 GPUでも、NVIDIAは32bit版OSへのサポートを、2018年4月に終了し、AMDもRadeon Softwareによる32bit版OSの対応を10月に終了している。古いOSを使い続けていると、最新の機器を導入してもその性能を十分に発揮できないどころか、使用できない可能性もある。

 ゲームについても影響はある。今後ゲームのメインストリームになっていくだろうDirectX 12はWindows 10でしか使用することができない。DirectX 12はCPUのマルチコアをフルに使ってGPUの負担を軽減しつつ処理に必要な時間を短縮することで、それ以前のDirectX以上にハードのグラフィックス性能を引き出すことができる。同じビデオカードを使っていてもDirectXのバージョン違いがフレームレートに直結してくるわけだが、それ以前にWindows 7ではDirectX 12のゲームを動かすことができない。

 また、近年は高解像度、大画面のモニターが増えてきたがWindows 7はこの環境に最適化していない。例えば4Kモニターを使った時、Windows 10は自動的に文字や画像を大きくしてくれるが、Windows 7には自動設定の機能がないため手動でスケーリングする必要がある。デザイン的にも機能的にも優等生だったWindows 7だが、やはり発売から10年という歳月によって現代の環境に合わなくなってきている。

【DirectX 12対応タイトル「バトルフィールドV」】
「バトルフィールド V」のリアルタイムレイトレーシングやDLSS(ディープラーニング スーパー サンプリング)もDirectX 12でなければ体験することができない

 Windows 7を使い続けることができない以上、より新しいOSへと移行する必要がある。現状ではWindows 10が最も有力な候補となるだろう。というのも、Windows 8.1にも同様のサポートライフサイクルがあり、こちらは2023年1月10日で延長サポートが切れるからだ。

 Windows 10は、Windowsとしては最後のバージョンだ。これまでのWindowsは数年おきにバージョンを変更しながら新製品が発売されてきた。しかし2015年にリリースされたWindows 10からは、定期的に大型アップデートをしていくという方式に変更された。

 毎年春と秋に大規模なアップデートが行なわれており、アップデートしたバージョンごとにモダンライフサイクルポリシーによってサポートする期限が決められている。サポート期間内に適切なアップデートをしていれば、ずっとサポートを受け続けることができる。

【各Windowsのサポートライフサイクル期間】


Windows 7ゲーマーはどのOSに移行すべきなのか?

 さて、ここまでWindows 10へアップグレードしたほうがいい理由やメリットを一通り説明してきた。ここからは、ではどのWindows 10を選べばいいのかということについて考えていきたい。個人的にもっともオススメなのは「Windows 10 Pro 64bit版」だ。以下にその理由を説明したい。

【Windows 10のメトロUI】
タブレット操作を想定して作られたWindows 10のメトロUI
マウス操作を想定したWindows 7のUIは指で操作するには小さい

 ご存じの通り、Windows 10には「Windows 10 Home」と「Windows 10 Pro」という2種類がある。価格は店によってばらつきがあるが、2つのパッケージにはおおむね6,000円前後の開きがある。「Home」は家庭用、「Pro」はビジネス用というイメージだが、実は「Pro」にはゲーマーにとっても非常に便利な機能がいくつか含まれているのだ。

 まず「Pro」ではWindowsアップデートを任意のタイミングに変更することができる。プレイ中にいきなり始まった更新がいつまでたっても終わらずにイライラせずに済むというわけだ。「リモートデスクトップ機能」は、パソコンを別のパソコンから遠隔操作する機能。「Pro」の入ったPCなら出かけた先から遠隔操作することができるので、デスクトップに置き忘れたファイルを遠隔操作でクラウドに放り込んだり、画像処理など外出先の環境では負荷の大きなものを自宅の旗艦PCに任せたりといったことができる。

 そしてもう1つ、アップグレード前に気を付けたいことがある。今現在、あなたは何ビットのOSを使っているだろうか? Windows 10には32bit版と64bit版という2つの種類がある。32bit OSは最大4GBのメモリしか認識することができない。

 4GBというと、現行のPCゲームを動かすには甚だ心許ないスペックで、実際「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」を筆頭に、「Apex Legend」、「バトルフィールドV」、「モンスターハンター:ワールド」など最新のPCゲームはほとんどが32bit OSをサポートしていない。リッチなグラフィックスのゲームを動かすには力不足なのだ。

【32bit OSを最初からサポートしていない最新ゲーム】
「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」
「モンスターハンター:ワールド」
「Apex Legend」

 32bit問題は新作タイトルだけではない。長年32bit環境をサポートしてきた「ファイナルファンタジーXIV」も7月2日に発売される拡張パッケージ「漆黒のヴィランズ」から32bit OSへのサポートを終了する。同じMMORPGでは最大手の「World of Warcraft」も最新の拡張パッケージ「Battle for Azeroth」で必須環境が64ビットOSへと引き上げられた。最新のパーツを駆使して、最新のゲームを遊びたいならOSも最新のバージョンにしたほうがいいのは当然のことだ。

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の発売をもって32bit OSへのサポートが終了する


Windows 10に移行する前に見直したいPCパーツ構成

 さて、Windows 10へ移行する決意が固まったら、十分な準備をしたい。この機会にパソコンごと買い替えるぞ! という人はそのまま突き進んでいただいてまったく問題ないが、Windows 7世代に購入した古いマシンでOSだけを入れ替えようというなら、まずはそのPCの構成パーツがWindows 10に対応しているかを調べたほうがいい。2015年のWindows 10発売前に発売された製品で、その後ドライバがアップグレードされていないものなどは注意が必要だ。

 ソフトウェアでも非対応になっていることがある。フリーソフトなどは、対応表になくても動くことがあるが、日常の業務に使っているようなソフトなら念のために調べておいた方がいい。

 また、Windows 10はインストールに、メモリが2GB以上、ストレージの空き容量が20GB以上必要だ。Windows 7時代のマシンであれば、メモリやストレージ容量が不足している可能性があるので、こちらもインストール前に必ずチェックしておくべきだろう。

Windows 10システム要件

プロセッサ:1 ギガヘルツ (GHz)以上のプロセッサまたは システム・オン・チップ(SoC)
RAM:32 ビット版では1GB、64ビット版では2GB
ハードドライブの空き領域:32bit版OSでは16GB、64ビット版OSでは32GB
グラフィックカード:DirectX 9 以上 (WDDM1.0ドライバー)
ディスプレイ:800×600
インターネット接続

 Windows 10への移行には、もとのデータを残したままで行なうアップグレードと、完全に新規にインストールするクリーンインストールがある。アップグレードであれば、システムが入れ替わるだけで元のデータはそのまま保持される。しかし、引継ぎのできないデータはあるし、アップグレードでうまく動かなくなるソフトが出てくる可能性もある。

 安定した環境を手放して最初から構築し直すのは大変だが、ここは気分を新たにクリーンインストールがおすすめだ。その際、消えると困るデータは必ず外部記憶メディアやクラウドへのバックアップを取っておこう。昔のOS入れ替えに比べれば、最新のOSはあっけないほど簡単になっている。ここまでくれば後は最新のバージョンまでアップデートするだけだ。

 Windows 8時代には、あまりの使い勝手の悪さに、わざわざダウングレードしてWindows 7に戻す人も多く現われた。その時の悪印象をそのまま引きずってしまい、同じようなメトロUIを持つWindows 10を敬遠しているなら、それは大きな誤解だと力説したい。Windows 10は高速で使いやすく、Windows 7時代のソフトとも相性がいい。

 来年のEOSに向けて、そろそろ本気で考える必要があるWindows 10への移行。まだWindows 7を使い続けている人は、残された9か月の間にじっくり準備を進めて万全の態勢でWindows 10へと切り替えて欲しい。

【ようこそWindows 10へ】