株式会社コーエーテクモゲームスは9月2日、コーエーテクモゲームス本社にてWindows/プレイステーション 3用オンラインアクションゲーム「真・三國無双 Online」の第2弾となる拡張パック「真・三國無双 Online ～蒼天乱舞～」を発表した。「蒼天乱舞」は拡張パックの規模感を備えながら、アップデートという形で11月11日にすべてのユーザーに無料で提供される。PS3版についてはパッケージも発売される。こちらには様々な特典が同梱され、価格は7,140円。

　発表会に合わせ、本作のプロデューサーを務めるコーエーテクモゲームス執行役員ネットワーク事業部副事業部長の藤重和博氏、開発ディレクターのネットワーク本部ネットワーク一部マネージャーの越後谷和広氏、そして運営プロデューサーを務めるCJインターネットジャパンパブリッシング事業部の木部高広氏の3名にインタビューを行なった。今回は、新コンテンツを中心に、コンテンツ実装の意図、今後の展開などを質問した。

■　「信On」を上回る接続数。ゲーム性を広げる騎乗動物第1弾は、藤重氏思い入れの“象”

本作のプロデューサーを務めるコーエーテクモゲームス執行役員ネットワーク事業部副事業部長の藤重和博氏

ディレクターを務めるコーエーテクモゲームスネットワーク本部ネットワーク一部マネージャーの越後谷和広氏

運営プロデューサーを務めるCJインターネットジャパンパブリッシング事業部の木部高広氏

編：　今回、拡張パック第2弾「真・三國無双 Online ～蒼天乱舞～」発売決定おめでとうございます。発表会の挨拶が誇らしげでしたね。

藤重氏：　やっと「人前を歩けるようになった」、というところでしょうか(笑)。今年に入ってから、打つ手打つ手が結構当たって、接続数が右肩上がりになりました。基本無料に移行してユーザー数が何倍にもなり、拡張パック第1弾、そしてPS3版発売でユーザー数が大きく増加しました。サーバーの増強なども積極的に行ないました。

　PS3のパッケージ版は、受注などでユーザーの増加が予想できたので、そこに合わせてあわてて増強した、ということもありました。現在、4割近くのユーザーがPS3版で遊んでいたただいています。「真・三國無双」シリーズのファンの、コンシューマーユーザーの方に遊んでいただけているかなと思っています。

越後谷氏：　正直、スタート時は暗中模索の状態でした。現在は、社内外から「順調だね」という評価を受けています。こちらとしても開発スタッフにいろいろものが頼みやすくなりましたね(笑)。ディレクターとして、仕事がやりやすくなりました。プレーヤーの皆様にも楽しんでいただいていて、コミュニティーが大きくなっている。長く遊んでいただける土壌になったのかなと感じています。

編：　サーバーは増えるのですか？

藤重氏：　できるだけ1つのままで行きたいと思っています。サーバーを増やすのを考えていたのですが、がんばれるだけがんばりたいと。登録会員数は公開できないのですが、コーエーテクモゲームスのオンラインタイトルの中では1番になりました。PS3版「真・三國無双 Online ～神将乱舞～」から大きく伸びましたね。

編：　運営側の木部さんには7月に「Revolution 7」で取材したばかりですが、今回の「真・三國無双 Online ～蒼天乱舞～」発表の印象はいかがでしょうか。

木部氏：　拡張パックは、前回から1年半経っているんですよ。ユーザーの皆様は待ち望んでいましたね。本作は数カ月ごとに大型アップデートしていますので、11月という時期も丁度良いと思います。拡張パックはいつもの大型アップデートよりもより違ったコンセプトで提供できるので、喜んでもらえると思っています。

編：　新要素として、騎乗動物の追加があります。「象に乗りたい」というのは藤重さんがずっと前から言っていたことでしたね。

藤重氏：　ずっとやりたかったんです。ネックになっていたのは通信量でした。象は1番負荷がかかりますが、これができれば他もできるだろうと。

越後谷氏：　実際に入れてみたときに、視点が違うと言うところに驚かされましたね。アリだと思いました。

藤重氏：　間違ってなかったでしょ(笑)?　破壊のインパクトとか、視点の高さ、何よりも象が向かってくるインパクトがすごい。「真・三國無双 ２」の時、私はプレーヤーの立場でそれを体験しまして、ぜひ「真・三國無双 Online」のユーザーの皆様にも体験してもらいたいと思いました。

編：　象が入ることで、PC版のユーザーの負荷が増大してしまうのかな、とも思うのですが。また、乗り物に乗ると、持っている武器で戦い方は変わってくるのでしょうか。

藤重氏：　大丈夫なように設計しました。

越後谷氏：　象は「新しい武器」と考えていただければと思います。象に乗ったら「象のアクション」が攻撃となります。足を踏み下ろして周りにダメージを与えたり、牙と鼻でなぎ払ったりします。非常に強力に見えますが、他の武器と大きなバランスの差は持たないようにはしています。

　象の強化は「副将強化」のメニューで行なえます。象は副将としていくつかの技を持っており、建物など破壊のパラメーターが高いですね。1月に追加されるトラはまた違った特性を持ちます。そうやってプレイスタイルに合う副将を選んで行ければと思います。

編：　トラに関しては、以前も動物副将としてトラがいますが、新しく騎乗できるトラが追加されるのでしょうか。

越後谷氏：　両方です。現在プレーヤーの皆様が仲間にしているトラも騎乗できるようにできます。また、庭の追加に伴い、騎乗用の副将枠が追加されます。

■　新たなコミュニティーを生み出す桃源郷と、交流の核となる崑崙山(コンロンサン)、今後はファンタジー要素も!?

藤重氏の強い思い入れで実装第一弾となった騎乗動物の象。副将強化で強くなる、新たな武器といえる存在だ

3桁を超える階層があるという崑崙山。コアプレーヤーがどの階層まで到達するのか、注目したい

プレーヤーの新たな交流の場となる桃源郷。勢力が別れたプレーヤーもこの地で交流できる

編：　桃源郷は、新しい街としてどのような機能を持っていますか？

藤重氏：　「崑崙山」に行ける、というのが1番大きな特徴です。そして他勢力と交流できることでしょうか。今回、こういったユーザーが一堂に会する土台ができることで、いろいろなアイデアが盛り込めるようになると考えています。ただし、今後全てを桃源郷に入れていくのではなく、他勢力の人達と何かする、というものもあれば、自勢力の中で楽しむ要素も今後盛りこんでいきます。

越後谷氏：　2011年3月にはまた新しい要素を盛りこんでいきたいです。崑崙山とはまた別な要素を追加していきます。

編：　崑崙山では他勢力のプレーヤーと遊べるのでしょうか。

越後谷氏：　できます、最大4人でプレイでき、4人でのゲームバランスを考えて作っています。武器の制限などがないので、ベテランが初心者を助けるなど、制限無しでパーティーを組むことができます。コツコツプレイすればいつか必ずレアアイテムが手にはいる、というところも魅力です。

編：　桃源郷という幻想的な場所と言うことで、既存のイメージを広げるようなファンタジー要素が盛りこまれるのかな、と思ったのですが、崑崙山に出てくる敵は、既存のシステムに近い現実的な敵のようですね。

藤重氏：　まずは既存のイメージを崩さない方向で行っています。今後は、ファンタジー色が出せるような設定も視野に入れて、桃源郷や崑崙山を作っています。現在のプレーヤーの前に立ちはだかるのは武将や兵士達ですが、今後広げていけるように、その素地を作りました。架空の世界として、いろいろ追加できるようにしました。

　ゲーム的には「攻略できるダンジョン」という感じです。今考えているマイルストーンとしては、鬼や竜などの登場も視野に入れています。ただ、動物武将もそうでしたが、他の武器とのバランスなど、どう入れていけばいいのか、技術的な部分でも検討していきたいと思っています。現在のバランスを崩さず、新しいものを提供していきたいです。できればファンタジー的なものも入れていきたい、遊びの幅を広げていきたい。一気に変化させるのではなく、徐々に拡張していきたいと思います。

編：　初心者とベテランができる一方で、ベテランだけでずっと奥まで行って、ひたすらプレイする、というユーザーが出てくると思います。ともすれば初心者お断りになりそうな気もするのですが。ユーザー達の交流に対して、助長するようなシステムは考えているのでしょうか。

越後谷氏：　初心者と遊ぶ人もいれば、コアプレーヤーだけで高みを目指す人もいると思います。仲間達でどんどん進んでいくような、そういう流れが生まれるのも、そこはそれで良いのではないかと判断しています。対戦とは違うテクニックが必要となりますので、そのために攻略を進めていくユーザー達など、新しいゲームの楽しみ方が出てきて欲しいですね。

木部氏：　ユーザー同士の交流を助長できるような要素は、ゲーム内が良いか、ゲーム外が良いかで考えています。11月の実装時期に、というわけではありませんが、今後の施策として検討中です。

編：　崑崙山の階層を“無限”にしたのはどういった意図があったのでしょうか。

越後谷氏：　やるならばやり込み要素を持たせたかった、というところからです。100階とか、200階とか決めなくても良いかなと。理論的には上限はあるのですが、行けるところまで行ってほしいと思っています。階層は200や300ではなく、桁が1つ違うくらいのところまで行ける設定です。奥の階層は非常に厳しいですが、その分の見返りも得られます。

編：　4桁の階層があるとなると、ステージのバリエーションをつけるのが大変そうですね。

藤重氏：　今すぐ4桁分のバリエーション、というのは思っていないんですが、先ほどお話ししたファンタジー色や、違ったギミックなど、組み合わせを広げていきたいと思います。無双武将だけではない、「中国」、「三国志」といったキーワードで、バランスに折り合いがつけば色々入れられるのではないかと思っています。

　桃源郷はただコミュニケーションの場として提供しただけではなく、ここにコンテンツがあるからこそみんなが集まると思っています。崑崙山はそのみんなが集まる目的として、「真・三國無双 Online ～蒼天乱舞～」の大きな柱になってくれるコンテンツだと考えています。

編：　魏、蜀、呉の3つの勢力にわかれて戦う「真・三國無双 Online」で、「勢力連合」という要素を新たに導入するのはどういった狙いがあるのでしょうか。

越後谷氏：　実際に「反董卓連合」などを組んで欲しいなと。後は他勢力のプレーヤー達が戦場で肩を並べる「ドリームチーム」を作って欲しいと考えました。連合を組んでいる間は他の勢力に行けるので、そこでパーティーを組んで出撃できます。

　連合はゲーム側が設定し、イベントのような形で一定期間他勢力との連合状態になります。パワーバランスを考え、決定的な結果にならないように、バランスを取るために入れます。大きな勢力に対し、他勢力が結集して立ち向かう感じですね。そこでパワーバランスが変わり、また新しい戦いが展開していきます。

編：　「董卓」、「袁紹」という2つの勢力が出てくるのですが、これにプレーヤーは属することができるのでしょうか。選べるとすれば、この2つを選ぶプレーヤーはちょっと少ないんじゃないかな、と思うのですが。

越後谷氏：　プレーヤーが所属できます。アップデート前に一旦ストーリーが終わり、「転生」状態になります。これまでのシナリオの新しいオープンと変わりません。「真・三國無双 Online ～蒼天乱舞～」ではプレーヤーは60日ログインすると勢力を変更できる「転生玉」というアイテムがもらえ、これを使うことで所属を変えることができるのです。

　董卓や袁紹を選ぶプレーヤーは多いだろうな、と予想しています。前回「官渡の戦い」の戦いのシナリオがあったのですが、この時袁紹が人気だったのです。また、今まで所属していない勢力だと、新しい服が手にはいるのです。街の雰囲気も違うので、新しい場所に行きたがるプレーヤーは多いと思いますね。実は以前も「反董卓連合」のシナリオがあり、この時所属していた人達は戻りたがるのではないかと思っています。勢力が分かれても、桃源郷で会えるので、コミュニティーはとぎれないと思います。

編：　反董卓連合の時代というのは、時代設定的に、現在のシナリオよりも過去になっているのでしょうか。

越後谷氏：　連合という要素を入れたので、群雄割拠の状態にしました。連合というルールに相性が良い時代だと思いました。呂布等古い時代の武将が出てくるので、PS3版から始めた新しいユーザーには新鮮だと思います。董卓に所属すれば呂布に仕えることも可能です。ただし、昇格するには呂布と戦わなくてはいけませんが……攻撃力が増えるので、呂布は人気を集める武将になると思います。

編：　今回のPS3版パッケージを買うことで、アカウントでキャラクターを追加できるとのことですが、この仕様にしたのは何故でしょうか。

藤重氏：　PS3版では2つのキャラクターでプレイしたいという場合は、PSNのアカウントを2つ作らなくてはいけなかったのです。それならば1アカウントで複数のキャラクターという形にするのがしっくり来るかなと。お客様からの要望もありました。

　新規の人は1キャラクターですが、前回のパッケージに加えて、今回のパッケージを購入してくださった人にはもう1キャラクタープレイできるようになります。いろいろなアイテムが追加されていますし、購入していただけるメリットを持たせたかったのです。

越後谷氏：　アイテムとしては、呂布と貂蝉の衣装、これはPS3「蒼天乱舞」パッケージ限定のカラーです。軍資金が5万、武器庫と道具棚、「君主雪だるま」、今回のゲームイメージの掛け軸が登場します。

藤重氏：　今回はPC版のパッケージは発売しません。PC版はクライアントも無料なので、アイテムだけのためにパッケージを買ってもらう、というのもちょっと違うかなと。

編：　最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。

越後谷氏：　今回、一騎当千の爽快感と、コミュニティーの広がり、オンラインとして不可欠な要素をメインで拡張していますので、オンラインゲームとして楽しんでほしいなと。桃源郷があることで新シナリオが始まり、勢力が変わってしまっても出会える場所もありますので、今までと同じように遊んでいただき、新規のお客様にも楽しんでもらえればと思います。

藤重氏：　私達もやっとお客様を理解しきれてきたと思っています。お客様が増え続けているのもだからこそだと思います。一生懸命考えながら作り上げた拡張パックなので、是非11月11日の実装を楽しみにしてください。

木部氏：　11月11日の実装に向け、初のオンラインゲーム大会「無双大会」や、現在のシナリオのクライマックスとなる「最終決戦」というイベントがこれから展開します。これから盛り上げていきますのでよろしくお願いします。

PS3版：(C)2006-2010 TECMO KOEI GAMES CO., LTD.　Published by TECMO KOEI GAMES CO., LTD.
Windows版：(C)2006-2010 TECMO KOEI GAMES CO., LTD.　Published by CJ Internet Japa