東京ゲームショウ 2011レポート

コーエーテクモ、オンラインゲームプロデューサーインタビュー
「信長の野望」、「大航海時代」、「真・三國無双」オンライン3タイトルの最新情報をさらに深堀り!


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


「ネットエンターテインメントフェスタ 2011」の様子

 株式会社コーエーテクモゲームスは、「東京ゲームショウ 2011」で、オンラインゲームを集めた恒例のステージイベント「ネットエンターテインメント フェスタ 2011」を開催した。

 「ネットエンターテインメント フェスタ」は毎回サプライズが飛び出す人気イベントだが、今年はプレイステーション 3/プレイステーション 2/Windows用戦国オンラインRPG「信長の野望 Online」の新拡張パック「鳳凰の章」の今冬発売と、PS3/WIN用一騎当千MMOアクション「真・三國無双 Online」の拡張パックが2012年春に発売されるというビッグな発表が行なわれた。またPS3/WIN用オンライン海洋冒険ロールプレイングゲーム「大航海時代 Online」の「Chapter 3」についても「Thanksgiving(サンクスギビング)」という名称と、新開拓地「フロリダ」、「ルイジアナ」や新しい内陸都市「オックスフォード」など内容の一部が発表された。

 イベント終了後に、各ゲームのプロデューサーからさらに詳細な情報を聞くことができた。「信On」のファンが気になる「天下分け目の決戦」の合戦場マップのスクリーンショットも入手したので、ぜひ見て欲しい。




■ マイ城下町を建て、家臣団と狩りに行く新しい「信On」スタイル

「信長の野望 Online」の開発プロデューサー、渡辺知宏氏
TGSで発表された「鳳凰の章」のロゴマーク

編: 「信長の野望 Online」の新拡張パックについて、まずは「鳳凰の章」というタイトルのコンセプトを教えてください。

渡辺知宏氏: 鳳凰は伝説の鳥で、天下人の出現を待って現われるという言い伝えがあります。その天下人が誰かということについて今は内緒にさせてもらいますが、その天下人が作っていく城下町の成長をテーマとしてこの章を作っています。

編: 城下町はどのようなものになるのですか?

渡辺氏: イメージしているのは箱庭です。今までにも「知行」というものがありました。戦国時代の生活の中で武将が持っている所領をプレーヤーが持てるのが「知行」だったわけですが、それをさらに面白くして、もっとそこにいろいろなものを建てたり、たくさんの人と交流したりすることで成長するような要素を入れていくというのが基本的な考え方です。

編: 今までの拡張パックは、狩場の追加や合戦といった戦いがメインの要素でしたが「鳳凰の章」はそうではないのですか?

渡辺氏: 今回の拡張パックでは、自分の城下町を発展させると、キャラクターも強くなるというようなゲーム性になっています。戦闘と生活という両方の部分を高めていこうと考えています。

編: 「大航海時代 Online」に街への投資というシステムがありますが、そういうものをイメージすればいいのでしょうか?

渡辺氏: ある意味近いですが、投資というよりはどちらかというと、箱庭を作ってその中にいろいろな建物――畑だったりお寺だったりを実際に作っていくという形です。

編: 城下町にはソーシャル性があるということですが、一門などで一緒に作るのですか?

渡辺氏: 基本的には自分1人のものです。戦国時代という舞台でできることを増やそうという考えが根本にあります。戦国時代の生活という部分を見直して、もっと生きている実感というか、そういう基盤部分を整備していくというのが大きいですね。

編: 「鳳凰の章」もチャプター制になるのですか?

渡辺氏: その形を予定しています。チャプターの中で天下人のストーリーを展開していきます。

編: 「天下人システム」は継続されるのですか?

渡辺氏: 継承しつつ、ブラッシュアップしてどんどん改良を加えていくつもりです。

編: 「天下人システム」に関わる新しいシステムは「鳳凰の章」で何か入りますか?

渡辺氏: 予定はしていますが、まだお話できる段階ではないです。

編: 自分の城下町が作れるという部分が1番の目玉要素になるわけですね

渡辺氏: 城下町を発展させるには金や資材が必要になるのですが、そういったものは冒険や合戦に出て獲得したり、プレーヤー同士で取引して入手していきます。城下町を発展させると、自分たちの家臣を鍛えることができるようになります。

編: 家臣というのは、いま知行で使っている「村役」のようなものですか?

渡辺氏: もともとは村役のようなものをイメージしていたのですが、それがどんどんグレードアップして、一緒に連れて歩けるようなものにしようと思っています。家臣と一緒に冒険に出る場所についても、色々と検討しているところです。

編: 新しい戦闘エリアができるということですか?

渡辺氏: そういったものも予定しています。

編: 「天下分け目の決戦」は前回のインタビューで秋というお話でしたが、詳細は決まったのですか?

渡辺氏: もう固まってきて、実施する準備が整ってきています。天下統一というところが「鳳凰の章」の前に行なわれて、泰平の世が訪れる。そしてまた新しい天下統一に向けて「鳳凰の章」が動き出すという形でイメージしています。


【「天下分け目の決戦」合戦場】
戦国時代を締めくくる最後の大合戦、大坂夏・冬の陣をモチーフにした合戦場。巨大な天守閣や、堀の周囲の市街地が戦場になる

渡辺氏: これは「天下分け目の決戦」で使われる新しいマップです。ピーク時に行なわれる一大合戦場というところです。

編: 城のマップと町のマップは別の合戦場ですか?

渡辺氏: 大勢のみなさんにプレイしていただけるように非常に広いマップになっていまして、基本的には大坂夏の陣・冬の陣というイメージでデザインしたものになります。ですから城を中心に城下町にまでエリアが広がり、広大な範囲での戦いになると思います。

編: 決戦の舞台は大坂なのですね。

渡辺氏: あくまでモチーフにしているということですね。史実では、天下人となった秀吉が大坂城を築きましたが、「信長の野望 Online」で天下を争う2勢力の本拠地は、同じくらい発展しているだろう、と思いまして。戦国最後の戦いに、全員が集結して戦う「天下分け目の決戦」にふさわしいマップになっていると思います。

編: スケジュールはいつごろ発表になるのですか?

渡辺氏: 今冬の前半あたりくらいになりそうです。

編: 以前は秋ということでしたが、冬に延びたのですか?

渡辺氏: 以前にお伝えしていた情報よりも少し遅れてしまって、冬になりそうです。

編: 前回のチャプターではまだ「独眼竜の野望」の敵で実装されていないものがいますが、どのタイミングで入るのでしょうか?

渡辺氏: それは、「天下分け目の決戦」の前にお見せできると思います。実は「TGS 2011」の試遊台上のモニターで再生されているPVにもちらりと見たことがない場所を入れています。気づかれた方はぜひ楽しみにしておいてください。

【「信長の野望 Online」TGSプロモーションムービー】
「TGS 2011」のコーエーテクモブースで流れていたプロモーションビデオ。よく見ると、未実装の敵や、ダンジョン内部の様子を見ることができる

編: 他に予定されているアップデートはありますか?

渡辺氏: 新しいサービスとして、キャラクター名の変更サービスが導入されます。今までもご要望が多く寄せられておりましたので、導入することになりました。また、アカウント共有倉庫の拡張第2弾も行ないます。アカウント共有倉庫を増やしたいというご要望も多く寄せられているので、さらに便利に使っていただけるようになると思います。

編: いつから可能になるのですか?

渡辺氏: 10月12日からです。それから、これは期間限定になりますが、成長促進のアイテムを入れたいと思っています。新章が出る前に、今中級レベルの人たちがもう少し上級レベルの人たちに追いついて一緒に遊べるようになっていただきたいです。

編: それは課金アイテムとして販売されるのですか?

渡辺氏: 期間限定でシリアルナンバーを販売する形で、使用することでアイテムが獲得できます。

編: どういう成長要素になるのですか?

渡辺氏: 技能経験値などですね。それも成長途中の方向けのものとして考えており、上級の方とあまり差が開かないようなケアをしています。時間のない人向けのアイテムです。みんなが同じ上昇率だと今までと同じようにしか上がっていかないので、追いつきたいという要望に応えるようなアイテムになっています。

編: どういう制限が入るのですか?

渡辺氏: 技能経験値のボーナスは「新星の章」までの技能に使えるといった感じです。




■ 「大航海時代 Online」では海賊行為に関する仕様の変更も

「大航海時代 Online」の運営プロデューサー、渥美貴史氏

編: 「大航海時代 Online」について、「Thanksgiving(サンクスギビング)」という名称が発表されましたね。

渥美貴史氏: 今までは11月8日という実装日だけの発表だったのですが、今回名前を発表させていただきました。「Thanksgiving(サンクスギビング)」というのは、いわゆる感謝祭です。ちょうどシーズン的にも11月のお祭りですし、今回はアメリカ大陸が強化されるということがポイントになっているので、それにふさわしい名前ということで「Thanksgiving」にさせていただきました。ポイントとしては3つあります。

 1つめのポイントが北米地域の強化。新しい開拓地として「フロリダ」と「ルイジアナ」の2つが入ります。「Tierra Americana」の実装時に開拓という仕様が入ったわけですが、その後に始められてまだ開拓をしたことがないという方のために、今回導入する開拓地では人口が増えやすくなったり、開拓地の成長が早くなる仕組みを入れています。ひらたく言えば、後発の方向けの開拓地という位置づけです。そうは言っても、既存の商会の方でルイジアナに開拓地を建てたいよという方は、今の開拓地を1回破棄していただければ新しく作ることも可能です。

編: 両方には作れないのですか?

渥美氏: 両方は無理です。今は1つの商会につき1カ所ということでやっていただいているので。基本は後発の方向けです。ただ開拓地の人口上限を現状の5,000よりも増やしますので、もっと開拓できるように、新しい建造物などを入れる予定です。家だけではなく、今までに出てこなかった建造物をいくつか開拓地に投入する予定です。

編: それはどんなものですか?

渥美氏: アメリカらしい外観で、特別な機能を持っている施設です。何ができるかは楽しみにしていてください。

編: 2つめのポイントはなんですか?

渥美氏: ヨーロッパ地域の強化のために、大学で有名な「オクスフォード」の街が追加され、そのままズバリ「大学」というシステムが入ります。この「大学」を説明する前に、「スペシャルスキル」という新しく入るスキルについてお話します。


【「Chapter3 Tahnksgiving」のスクリーンショット】
「Chapter 3」では新開拓地と、オクスフォードの街が入る。ネイティブアメリカンの街も登場

 今までスキルには、プレーヤーが覚えて使用するスキルと、船につけるオプションスキルと、副官につける副官スキルがあったのですが、これらとは別にもう1つスペシャルなスキルを作れるようにしようというものです。大学で与えられる色々な研究テーマをこなしていくことで、この「スペシャルスキル」を獲得できるようになります。

編: これは全く新しい種類のスキルになるのですか?

渥美氏: 全く新しい概念のもので、様々なプレイが便利になるようなものが、既存のスキルとは別枠で用意されます。この「スペシャルスキル」によって、今まで覚えてきたスキルや持ち歩くアイテム類をやりくりできる可能性があります。

編: スキル枠が足りないという声は大きいのですか?

渥美氏: 非常に大きいですね。「スペシャルスキル」は、だいたい80種類くらい入れようと思っています。中には酒場娘を口説きやすくなるスキルや、帆と舵だけはアイテムを使わないと修理ができなかったものが、船全体を修理できるようになるスキルなどがあります。今まで予備帆や舵をたくさん持ち運ばなければいけなかったものが、そのスペシャルスキルだけでよくなります。

編: 既存のスキル枠を増やすのではなく「スペシャルスキル」という形にしたのはなぜですか?

渥美氏: 大学で何かを学んだ時にスキルが身に付くというのがストレートでわかりやすいのでそういった仕組みがいいのではないかと。ただ、スキル枠が足りないという問題に対して根本的な部分に手を入れたかったのも確かです。そこに対しては、追加のオプションサービスをご用意させていただこうかと思っています。

編: 本当に枠不足が深刻なのですね。これは「Thanksgiving」と同時に入るのですか?

渥美氏: そうです。「Thanksgiving」の最後のポイントは、プレーヤーの方が今不満に感じていたり、もっと良くなって欲しいと思っている部分の改善です。そういう意味で今回特に手を入れているのが、プレーヤー海賊周りの仕様になります。

編: 現状の問題点をどのように改善していくのですか?

渥美氏: 大きく2つあります。アンケートを取ってみたのですが、今「大航海時代 Online」をプレイしているお客様からはプレーヤー海賊行為に対するリスクが低すぎるのではないかという声が大きいです。また、プレイを辞められたお客様の声を集めてもやはり海賊行為が原因で辞めた方がいるので、そこへの対処が1つ。逆に海賊行為を行なっている方からすると、目標が足りないということがあるのでそれがもう1つです。前者に関しては、例えば今でも初心者の方は海賊行為を受けないようになっていますが、その下限を引き上げて今よりも広いレベル帯の方が海賊行為に遭わないようにしたり、あまりにもレベル差がある時には海賊行為ができなくなるような仕様を新しく入れたいと考えています。

編: 海賊行為のデメリット部分の追加はあるのですか?

渥美氏: 討伐された際の直接的な罰則は、今回手は入れていません。まずは初心者の保護やレベル差がある場合の防止策を入れてみたというところです。他には、いざ海賊行為をされて悔しいから今度は逆襲しようと思った時に、海賊がなかなか見つけられないということがあります。そこで、自分が攻撃をされた場合は宿命の海賊といったふうになんらかの形で相手を覚えておくようにして、アイテムを使うとその相手がどこにいるかを教えてくれるような新しいアイテムを入れようと思っています。それを使えば「商会のメンバーみんなで討伐に行こうよ」といったプレイがしやすくなるかなと思います。

 海賊行為をしている人たちに対してメリットが少ないという点については、海賊島に海賊の人しか得られない宝箱を入れたり、海賊専用の称号を追加することによって「俺は海賊として生きるんだ」という人たちにモチベーションを与えてあげたいと思っています。他にプレーヤーの方からの意見を反映させたものとしては、これもオプションサービスという形にはなるのですが、アイテム枠をご用意させていただこうと思っています。

編: どのくらいの数が追加できるようになるのですか?

渥美氏: スキル枠は5枠で、アイテムは30枠です。「Chapter 3」と同じ11月8日に実装します。

編: これまで陸戦の改善が続いてきましたが、今回は陸戦やコロッセウムに関する仕様の変更はないのですか?

渥美氏: 陸上に関しては「Chapter 1」も「Chapter 2」でもそちらを重点的に強化してきたので、今回も調整はするかもしれませんが、お客様から要望が多い他の部分を強化しようと思っています。




■ 「真・三國無双 Online」拡張パックではバトルロワイヤルを追加

「真・三國無双 Online」の開発プロデューサー藤重和博氏

編: 「真・三國無双 Online」も拡張パックの発表がありましたね。2012年春ということで、ずいぶん早い発表という気がします。

藤重和博氏: そうですね。もうずっとサービスしているものなので、変にもったいぶるのをやめようと思いまして。「信長の野望 Online」の渡辺君が言うなら「真・三國無双 Online」も言ってしまおうと(笑)。

編: 副題は発表されませんでしたが、まだ決まっていないのですか?

藤重氏: 現在検討中ですが、コンセプトはもう決めてあります。今回は「つながる、広がる、一騎当千」というコンセプトで、人とのつながりの中で一騎当千感や爽快感が広がっていくようなものにしたいと思っています。

編: もともとオンラインゲームなので、人とのつながりや広がりはあると思いますが。

藤重氏: 確かに今も対戦であるとか、そういったところはコミュニティ性を意識してつくっているのですが、もう少し人とのつながりを意識したアクション性を、今回もう1度初心にかえって作りこんでいこうと考えています。


【「真・三國無双 Online」のスクリーンショット】
3つの勢力に分かれて、オンラインでつないだ多くのプレーヤーを相手に自分の力を競える
「蒼天乱舞」では騎乗できる動物副将や、勢力にかかわりなくPvEを楽しめる「桃源郷」などが実装された。次回の拡張パックでは、さらにバトルロワイヤル的な新バトルシステムが登場する

編: 今回の拡張パックの目玉要素はどんなものになるのですか?

藤重氏: バトルロワイヤル的なものを導入予定です。

編: 全員が敵の「乱戦」ということですか?

藤重氏: 全員で戦って、生き残る最後の1人を決める中で、途中までは協力したりといった色々な駆け引きの楽しみが出てくると思います。

編: これは同じ勢力同士でも戦うことになるのですか?

藤重氏: 桃源郷から遊べるようにしようと考えているので、基本的に勢力は関係なく誰でも入ってみんなで遊べます。

編: 何人くらいが参加できるのですか?

藤重氏: 何人まで一緒にプレイが可能かを、現在試しています。最低でも「乱戦」よりは多くしたいので、25人を最低ラインに考えています。大人数の方が面白いと思いますから。今は日々テストをしながら通信部分や、いろいろなモデルのサイズの最終調整をしています。

編: もう最終調整の段階まで開発が進んでいるのですか?

藤重氏: 形としてはだいたいできてきました。ここから調整をしてしっかりバランスを取るのにあと1~2カ月はかけなければなりませんが。

編: かなり開発が順調で、すぐにでも出せそうですね。

藤重氏: この部分だけなら早く出せますね(笑)。実はこの戦闘要素は「蒼天乱舞」に入れるつもりだったものなのです。通信部分などで思いのほか苦労して結局入れることができなかったので、その分今回は早く仕上がったわけです。今後は出撃の仕方について、「乱戦」のようにするのか、時間を区切っていくのかを考えていこうとしているところです。また、序盤に負けてしまった人がその後何もできないと面白くないので、倒された人も最後まで楽しめる仕様にしています。

編: どんな仕様なのですか?

藤重氏: 負けると、お邪魔キャラになり、生き残っている人を倒したりといった形で活躍できるようになります。例えばやられた人はもう少し強くなって、お邪魔キャラとして倒した人をやっつけに行くことができるのです。概念的にはそういった感じで、ゲームの中ではもう少し自然に見せられるようにしようと思っています。

編: 最後まで残っているといい報酬がもらえるのですか?

藤重氏: もちろん最後まで生き残っていた人にはそれなりの報酬がありますし、途中で倒された人もその後お邪魔キャラとしてたくさんの人を倒していれば、その分活躍したことになるのでその活躍に応じた報酬はもらえるようにします。

編: 今、新人とベテランの差が広がっていますが、そこに対するフォローはあるのですか?

藤重氏: そこについては、序盤のプレイを少しでも慣れやすくしてあげるというのが1つ。また、マッチングに関しては常々改善していきたいと思っている部分です。初心者にハラスメントをする方はやはりいらっしゃるので、今回は極端なマッチングにならないようもっと精度を上げていかなくてはならないと思っています。モードを増やすことも1つの解決策かもしれませんし、なんらかの制限を加えることも考えていかなくてはならないと思っています。マッチングについては常に調整をしていくつもりです。

編: 近々でなにか予定はありますか?

藤重氏: マッチングについては表から見えない部分の細かい調整は常に行なっています。見える部分では、レベルの差があったとしても楽しめるコンテンツを作っていくのが前向きな解決だと思っていて、今回も新しい戦闘モードなどを追加して、レベルの差があったとしても同じ戦場の中で戦えるようにしたいと考えています。1人だけ生き残るとなると、必ず強い人が残るように思いますがそうではなく、たとえば誰か強い人がいたら残りの人たちが協力して「まずはあいつをやっつけよう」というふうに共闘する可能性もありますから。前向きな改善の仕方を遊びとして提供するのが大事だと思っていて、この新しい戦闘モードはその1つになりますね。

編: 事前に作戦を立てて入ることができるのですか?

藤重氏: ブリーフィングのところで、ある程度情報を見て作戦を考えられる時間を取りたいと思っています。

編: 今PS3版とPC版のユーザーが一緒にプレイしているわけですが、ラグの問題はどうなっていますか?

藤重氏: PS3版を出した時に、PC版の方もパフォーマンスの調整をしました。ですからそこはできる限り差がないようにこれからも調整していこうと思っています。

編: ping値を出して欲しいという要望もあるようですが。

藤重氏: それは確かにありますね。実際にはチートなどの課題もあるので、この7月に少し調整をいれました。良い回線環境の人や何もしていない人がチートによって不利になるのは良くないので、チートした人が不利になるようなルール設定やゲームデザインという方向にこれからも調整していこうと思っています。若干イタチごっこの部分もあるのですが、常にやっていかなければならないと考えています。真面目に遊んでくださっているお客様が損をするのは良くないですから。

編: なにか具体的な対策はありますか?

藤重氏: 他のプレーヤーからも見えるマーカーを出すことを検討しています。例えばBOTツールを使っているのではないかとか、ある程度の閾値を超えている人に対してはほかのプレーヤーからも見えるよう表示を出すのも1つの改善策になると考えています。もしかしたら単に通信環境が悪い方がそういう表示になってしまう可能性もあるのですが、そういう部分は調整の範囲だと思っています。できる限り健全に遊んでくださっているお客様がこれからも楽しく遊べるような環境を最優先にして進めています。

編: MOではチートの問題が常に付きまといますね。

藤重氏: 対戦という要素を強くしているので、ズルをしても勝ちたいというお客様がどうしても若干名いらっしゃいます。そこをうまくコントロールしていかなければならないというのが今の状態です。




■ 今後も「信On」と「大航海」は定額課金でのサービスを継続

「my GAMECITY」の市長、ニャブラハム・リンニャーン

編: 「my GAMECITY」について、どのような形になるのですか?

藤重氏: 今テスターを使って調整しているところです。「my GAMECITY」に来てくださるお客様がゲーム感覚を持って滞留してもらえるようなものを実現していくことを目指しています。

編: 最近「ゲーミフィケーション」という概念が話題ですが、そういった考え方ですか?

藤重氏: 発想としてはものすごく近いと思います。最初に構想を建てたのは実は2年くらい前なのですが、そこにゲームが集まってサイト自体もゲームになっていて面白いものができるといいなと考えていました。

編: リニューアル後はどういったサービスを使えるようになるのでしょうか?

藤重氏: サービス自体は、今「GAMECITY」が機能として持っているもの、各ゲームの情報提供サイトだったり、オンラインショッピングのようなものは当然継続していきます。それにプラスして、昨年βサービスとしてスタートしたSNS機能、コミュニティを構築していくための機能。それぞれにゲーム性が絡むようなものにしていきます。たとえば情報サイトを見ること自体がゲームの一環だったり、オンラインショッピングで何かを購入していただいた場合ゲームにもフィードバックがあるとか、全体が1つのゲームとしてうまく絡んでいけるようリニューアルしていきます。

編: 今は「GAMECITY」があってその中に「my GAMECITY」というコミュニティがあってそれぞれ別のものという印象が強いのですが、それらが融合していくのですか?

藤重氏: ゲーム性を持たせることで、それらを融合して1つにしようというビジョンで作っています。

編: リニューアルオープンはいつごろですか?

藤重氏: 12月までのどこかのタイミングになりそうです。

編: 今PC向けにサービスをしている「のぶニャがの野望」などは「my GAMECITY」でも遊べるようになるのですか?

藤重氏: そこは状況を見ながらですね。今「のぶニャがの野望」を遊んでいただいているお客様のことを考えた時に、コミュニティを分断してもいいのかということがあります。ソーシャルゲームはコミュニティが楽しさを広げるので、それを分断することがいいことなのかをもうすこし考える必要があると思っています。ですから「myGAMECITY」でサービスをすることがお客様のためにベストだと思ったなら、そういったこともしていくかもしれません。

編: 「信長の野望 Online」と「のぶニャがの野望」がコラボしたりと、関連したタイトル同士のコラボレーションが行なわれていますが、今後「100万人の大航海時代」と「大航海時代 Online」とのコラボレーションもあるのですか?

渥美氏 : 同じように「大航海時代」という名前がついているものですから可能性としてはあります。「大航海時代」に限らずコーエーテクモの色々なコンテンツとコラボレーションしていけたらと思っています。一見異色の組み合わせである「大航海時代 Online」と「のぶニャがの野望」のコラボレーションも両方のお客様に好評でした。ですからこういったものを、ぜひともまたやりたいですね。

編: 「100万人の大航海時代」はプレゼンテーションの時に、オンラインゲーム版と同じような楽しみ方ができるという説明で、オンライン版からのフィードバックが大きかったのかなと思いました。

藤重氏: オンラインゲームで学んだことがたくさんあるので、そういったことで学んだ良さをソーシャルゲームに生かしていきたいです。それは1つのIPに限らずたくさんのタイトルに生かしていけると思います。逆に今はソーシャルゲームをたくさん展開していますから、そこで学ぶこともあります。同じネットに接続するゲームでも、オンラインゲームのコミュニティと、ソーシャルゲームの非同期のコミュニティは繋がり方や広がり方が違っているので、今度はそういう非同期のコミュニティをオンラインゲームに生かしていければ、両方やっている意義が生まれてお客様にいい還元ができるのではないかと思います。

編: 最近はオンラインゲームの中にも非同期のコンテンツが出てきていますね。

藤重氏: お客様の都合でどうしてもつなげない時間というものが出てきます。そういう方のためのフォローとして大事かなと思っています。

編: 今後、コーエーテクモゲームスのオンラインゲームの中にもそういった要素が入ってくるのですか?

藤重氏: 今一般に言われるソーシャル性はオンラインゲームの中にも取り込んでいった方が楽しんでいただけるお客様が増えるのではないかと思います。

編: 「鳳凰の章」もそういった方針に沿っているわけですね。

渡辺氏: そうですね。MMORPGにはもともと重厚な遊び方がありますが、その中に非同期にお手軽にコミュニケーションをとれる遊び方が入っても全く違和感はないと思いますし、その両者が絡み合ってさらに面白くなるのではないかと思います。MMORPGの中に入ることで、普通のソーシャルゲーム以上にリアリティがあって、かつ楽しめるようなものになるのではないかと思っています。

編: Facebookのソーシャルゲームでは、今「JollyWood」がサービス中ですが、今後はどんな展開を考えていますか?

藤重氏: 「JollyWood」は1つのチャレンジとしてやりました。Facebookは巨大なプラットフォームとして魅力はあるのですが、あそこで勝っていくにはもう一工夫、ふた工夫いるかなということが今回学んだことですね。ですから単純に次のタイトルを投入していくのではなく、「JollyWood」で良かった部分、悪かった部分が見えてきたので、そういったところを反省材料としてとらえて、より成功の確率が高いやり方でいかないと、遊んでくださっているお客様も不幸になってしまうと思います。ですから次はもう少し違うアプローチで考えていきたいと思っています。

編: 現在開発中のタイトルはあるのですか?

藤重氏: 直近で言うと正直ありません。どんなアプローチの仕方があるか、現在検討しているところです。

編: Facebookでもビッグメーカーの有名IPを使ったゲームが出てきています。コーエーテクモゲームスの既存IPを使ったFacebookゲームは作らないのですか?

藤重氏: それも1つの可能性だと思っています。「JollyWood」自体は新しいIPとして、こういったものがFacebookの市場に合うのではないかということで、カジュアル性を狙っていったものでした。確かに有名なIPは受けるかもしれませんが、それ以外に何かうまくFacebookのお客様に刺さるものはないか、私たちなりの戦い方ができるものはないかということを今模索しているところです。

編: Facebookに向けた開発は今後も続けていくのですか?

藤重氏: もちろんです。あれだけ大きなプラットフォームですからやめる理由はないですし、色々とチャレンジしていく市場の1つとして絶対にはずせないと考えています。ほかにもスマートフォンの市場であったり、アジアなど色々と狙っていくところはあるのですが、当然全世界で皆さんがプレイできるFacebookは外せないものの1つだと思っています。

現在のユーザーのことを考えると、現状のビジネスモデルを変更するつもりはないと3氏が強く約束してくれた

編: 最近日本でもアイテム課金が一般的に認知されてきました。その中で「大航海時代 Online」や「信長の野望 Online」は貴重な月額課金のゲームですが、今回新たなオプションアイテムが出たりとハイブリッド化しているのは将来アイテム課金に移行するための布石かなと勘ぐったりしてしまうのですが、どうなのでしょうか?

渥美氏: アイテム課金にはしないですね。アンケートを取っても、月額制の課金を支持する声が圧倒的で8割を超えていますから。ですから既存のお客様のことを考えると、アイテム課金という選択肢はないですね。

藤重氏: 今の環境だからこそ安心して遊んでいただいているお客様が「信長の野望 Online」と「大航海時代 Online」には多いという認識です。それを今アイテム課金が主流になってきているからといって、あえて切り替える理由はないかなと。

渥美氏: やはり定額制の安心感や、良質なコミュニティがキーワードですから、そこを維持したいです。アイテム課金にすることはないです。

編: 最後にファンにメッセージをお願いします。

渡辺氏: 今回「鳳凰の章」を発表できてとても嬉しく思っています。プレーヤーの皆様からも、「信長の野望 Online」の世界の中で短時間遊んだり、できることがいいなという要望をいただいておりますし、私自身も戦国時代はもっとやれることがあるだろうと思っていて、こういった要素をどんどん追加していきたいと思っています。今回の拡張パックでまた一段遊びの幅が広がることを期待していただきたいと思います。

渥美氏: 「大航海時代 Online」は「Chapter 3」で北米とヨーロッパ両方に大きなコンテンツが入りますのでそれを楽しんでいただきたいのと、先ほどお伝えしたように既存のお客様が不満に思っている部分や、こうなったらいいなと思っている部分に対して色々手を入れていますので、この機会にぜひ楽しんでいただきたいと思います。

藤重氏: おかげ様で「真・三國無双 Online」も11月で4周年を迎えます。それを記念したパッケージも出ますので、それを楽しんでいただきたいということと、その先にある新しい拡張パックで新しい戦闘モードを追加して皆様に楽しんでいただける環境を用意しようと思っておりますので、これからも末永く遊んでいただきたいなと思います。


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(2011年 9月 22日)

[Reported by 石井聡]