セガ、PSP「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」開発者インタビュー
PSPでの新作制作におけるチャレンジについて語る

2009年12月16日収録

会場:セガ本社

 

「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」のタイトルロゴ

 シミュレーションゲームとしての思考とTPSのようなリアルタイムアクションが融合した、アクティブシミュレーションRPGという新たなジャンルを生み出したプレイステーション 3「戦場のヴァルキュリア」。その後、コミカライズやTVアニメ化が行なわれ、人気となった同タイトルの正式な続編となるPSP「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校(以下、「戦場のヴァルキュリア2」)」が、いよいよ1月21日に発売される。

 今回は、マスターアップしたばかりの製品版を体験する機会を2時間ほど得るとともに、開発の舵取りをした3人の開発陣にインタビューを行なうことができた。PS3からPSPへとプラットホームを変更した意図はもちろん、公開されている情報だけではわからない、細かな疑問にも答えていただいたので、紹介していこう。



■ PSPを選択したのは新規ユーザー獲得と通信プレイに適したハードを選んだため

「戦場のヴァルキュリア2」のチーフプロデューサー、田中俊太郎氏。不動のシュンターとして前作のゲーム中にも登場している

――今回、「戦場のヴァルキュリア2」のプラットフォームをPS3からPSPにしたのはどのような意図からですか?

田中氏 :いくつか理由があるのですが、1つ目はもっと広いユーザーさんに「戦場のヴァルキュリア」を知ってもらいたいという思いがあります。アニメも始まって、女性の人や若い人にも「戦場のヴァルキュリア」を知ってもらえたので、そういう人達に遊んでもらいたいという思いもありましたし、単純にプラットフォームが広がることで、今まで「戦場のヴァルキュリア」を買っていなかったという人にも手に取るチャンスが増えるかなということですね。

 あと、元々「戦場のヴァルキュリア」というのは、PS3で「CANVAS」というグラフィックス表現をしたり、「BLiTZ」という新しい戦闘システムだったりと、チャレンジャブルなことをするタイトルだと思っています。今回も、通信プレイなどの新しいゲームシステムにチャレンジして「戦場のヴァルキュリア」をもっと進化させたいところもあって、みんなですぐに集まってワイワイと遊べるPSPを選びました。

――ユーザーさんからプラットフォームが変わった上にナンバリングタイトルということで、「今回どうしてPSPなの?」という疑問があったと思うのですが……。

田中氏 :そうですね。この間ブログに書いて話題になりましたけど(笑)。ただ我々も、ナンバリングタイトルをやるからには本気のものを出したいということでPSPで作ってきて、実際に質・量ともに「戦場のヴァルキュリア2」と呼ぶにふさわしい内容ができたと思っていますので、ナンバリングタイトルにしました。

 これから先、ハードを何にするのかというのはこれから様子を見て、いろいろと選択肢を残しておきたいと思っているので、ユーザーさんの遊んでくださる姿とか意見を、十分に参考にしていきたいと思っています。



■ 兵科・兵種のバリエーションが増し、適材適所が重要に

シンディとして公式ホームページのブログや「本山動画」等のコンテンツでも活躍中の、プロデューサーの本山真二氏

――それでは、実際のゲーム内容について、今までに公開されている情報から質問していきたいと思います。まず、上級職が分かれる形になっていると思うのですが、最初の基本職から2つに分かれた段階で、最上級職の4つのうちの2つに決定してしまう、というような形なのでしょうか。

本山氏 :今回、士官学校が舞台ということもあるので、単位というものを取得してクラスチェンジの条件を満たしていくという形になっています。例えば、偵察兵から上級偵察兵と狙撃兵になるには、それぞれ行軍の単位であったり、射撃の単位を集めていくわけですね。でも、一旦狙撃兵になったら、そっちのルートにしかいけないのかというと、そんなことはなくて、必要な単位を集めれば上級偵察兵にもなれますし、最上級になってもそれは一緒です。

小澤氏 :最上級になるために上級になるのは必須なのですが、上級になったら戻れないわけではないです。

本山氏 :ミッションによって、ここは狙撃兵が有利ですとか、機動力が重視されるマップなどもあるので、そのへんはいろいろと変えてほしいと思っています。

――単位についてなのですが、今回ミッションをクリアした際に首席とか次席のキャラクターが選ばれますよね。それによってもらえる単位が多かったりするのかな?と思ったのですが、どうすると首席になるのかなどの判断基準を教えていただけますか?

小澤氏 :まず、ゲーム中にSELECTボタンを押すと単位評価表というのが表示されていまして、そちらに細かく、何が何点というのは表示されています。

 拠点を占拠した人だとか、敵を倒した人、仲間を助けた人が高評価になります。そういうのが苦手な兵種・兵科もいるので、クローズアップするために地雷を除去したりだとか、仲間を回復したりなどの、いわゆる戦闘において活躍したとみられるものを点数評価して、最終的に合計点で首席・次席とそれ以下というのが決まっています。

 首席・次席に関しては、その人たちしか入手できない単位もあります。大ざっぱに言うと普通の単位、レア単位、必修の単位というのがありまして、レア単位や必修単位は首席・次席のほうが取得しやすくなっています。

 なので、例えばリコリスを育てたい!というときは、なるべく最後のトドメはリコリスにさせるとか、拠点の占拠をリコリスにさせるとか、ちょっと頭を使ってもらえるといいかと思います。ただ、特定の誰かを育てるとかを考えなければ、普通にプレイしてもらえれば何かしら評価されるので。

――出撃して倒さなくてもダメージを与えるだけで評価されたりするのでしょうか?

田中氏 :ダメージを与えるだけでは評価はされないで、倒さないとダメですね。拠点を占拠するとボーナスが大きかったりはありますが。

兵科訓練場では、ミッションで貯めた単位を使用することで、上級職へとクラスチェンジできる。単位さえあれば、上級職になった後に別の上級職へとクラスチェンジすることも可能だ



――いろいろな種類の上級職があると思うのですが、特にここを見てほしい!というのはありますか?

鉄人オザヴァルドとして前作にも登場した、ディレクターの小澤武氏

小澤氏 :今回、兵科ごと新規になった技甲兵というのがあるのですが、その上級職で剣甲兵というのがあるんですね。今までになかった1つの要素として、近接戦闘をやってみようということで、剣を振り回すようになっています。これが見た目はもちろん、実際に触っていただくと気持ちがいいと思うので、ここが僕のオススメのポイントになりますね。

田中氏 :俺もブログに書いたけど、剣甲兵は気持ちいいよね。

本山氏 :敵が集まっているところに突っ込んでいって、剣でひと薙ぎするとバッタバッタと倒せるという。

田中氏 :ただ、重装備なので移動力が低いんですよ。最初は盾を持っているので守りの兵種かなと思っていたら、「モグリですよそれは」と言われまして(笑)。前線に突っ込ませてナンボですよと言われて、突っ込ませてみたらホントに倒しまくれるという。

本山氏 :人型の戦車みたいな、そんなイメージもあるかも知れないですね。

田中氏 :敵に技甲兵がいるとまた面倒くさいんですよ(笑)。

本山氏 :どうやってこれを突破するのかというのは結構考えますよね。

田中氏 :後は迎撃ができないので、実は防御には不向きだったりと、一長一短がすごくあります。前作だと突撃兵が攻撃一本槍で、あと偵察兵が突っ込んでと、戦法が固定化していたんですが、今回はかなり広がったかなと思いますね。技甲兵グループが出てきたので、突撃兵とどっちを使うかという使い分けが大事になっています。

本山氏 :実際、突撃兵の使用率が僕の中では非常に高いのですが、人によって違うみたいなんですよね。拠点を防御するために突撃兵を置くことも多いですし、攻撃の主軸としても使うのですが、アバンの部屋とかで使用率を見ると、突撃兵の兵科を多く使っているな、ということがあったりしますね。

田中氏 :僕は狙撃兵ですね。マップがエリア制になったので、いろいろな拠点からちょこちょこ出せるようになったんですね。前作はマップが広かったので、狙撃兵はついていけずに落伍することが多かったんですが、今回は拠点からすぐに出せるので、別のエリアを占領したらそこの拠点からピョッと狙撃兵を出して、パーンと撃った後にすぐ拠点に戻したりできる。ヒットアンドアウェイという感じで使えるので、新しいエリアに行ったら、まず狙撃兵で1人2人片づけてから進軍しています。

本山氏 :スナイパーものの映画みたいな「そこから撃つか!?」みたいなことができますよね。

田中氏 :今度は狙撃兵はイケてますよ。うまく使い分けると非常に有効かなと思います。

本山氏 :狙撃兵がいたり、対戦車狙撃兵がいたりもするので、かなりバリエーションも増えました。

――小澤さんはやはり技甲兵がオススメですか?

小澤氏 :そうですね。中でも剣甲兵がオススメです。使用率で言うと本山と同じで結構突撃兵が多いのですが……。

本山氏 :ここまできて、誰も楽奏兵に触れないという(笑)。

小澤氏 :あれは意外と今はネタキャラとされているのですが(笑)、後半のミッション、特に対ボス戦などで有効です。

田中氏 :楽器が強くなってくるとすごいよね。

小澤氏 :楽奏兵がいないと倒しきれないような敵もいるので。

本山氏 :まんべんなく使うようにはなっているんじゃないかな。もちろん人によっていろいろあるとは思うんですけれど。「死に兵科」というのはなくなっていると思います。

小澤氏 :そういう意味では、今回は衛生兵というのも、兵種の中に入ってきました。我々も作った立場でありながら、その場で復活して立ち上がったときは、衝撃でしたね。

田中氏 :でも、俺は衛生兵って育てたけど使ったことがないな。倒されちゃったら「いいや、新しいユニット出撃!」って(笑)。

本山氏 :いのち安っ(笑)。


新たな兵科である技甲兵。敵のターンに迎撃はできないものの、防御力と攻撃力に優れるため、攻める際に使いたい前作にも登場した突撃兵は、迎撃も行なえるため、攻撃はもちろん防御にも役立つ兵種だ



■ それぞれのクラスメイトにストーリーとミッションがあり、それぞれの内面を知ることができる

主人公と共に戦うG組のクラスメイトたち。彼らのすべてに、イベントや特別なミッションが用意されている

――サブキャラについてなのですが、前作は人物総覧でエピソードがちょっと出ていたくらいでしたが、今回は特別なミッションがあったりすると伺ったのですが……。

本山氏 :サブキャラに関しては、前作もゲームが発売される前くらいからこいつカッコイイとかカワイイとか、そういったところで盛り上がっていたところもありますので、今回その辺をもうちょっと大事にしようかと。

 あと、部隊メンバーがクラスメイトなので、彼とか彼女たちとのふれあいというのを、きちんと描いてあげたいなと思ったのが1番大きいところです。

 いろいろとイベントを進めていくと、そのキャラクターの過去であるとか、どうしてこの士官学校に入学したのかなどの、そういったところがきちんとわかるようになっています。最初は「なんでこんなヤツが士官学校にいるのかな?」と思うキャラクターがいるんですけれど、ちゃんとそのキャラクターのイベントを進めていくと、「ああ、なるほど。このキャラクターにはこのキャラクターなりの辛い問題や秘めているものがあるんだな」というのがわかるわけですね。

 最終的には、そのキャラクターに見合ったミッションをこなしていただくという感じなので、ある意味キャラクターを攻略していく点では、ものすごいボリュームがあるかなと思います、クラスメイト全員分ありますから。


キャラクターごとのイベントの1コマ。ミッションの合間に、士官学校のさまざまな場所でサブキャラクターたちとのイベントが発生する主人公であるアバンの部屋では、サブキャラクターたちの情報を確認できる。イベントを通して彼らとの思い出を増やしていこう


――前作だと、主要キャラだけにあった特別なミッションが、今回は全員分に入っていると考えてよろしいでしょうか?

本山氏 :そうですね。

田中氏 :あと、最後のエピソードを見ると、新ポテンシャルがピカーンって覚えたり、開花したりします。運動音痴とか弱気なんかのネガティブなポテンシャルがある場合も、エピソードを進めて克服するとポテンシャルが上書きされて、マイナスだったポテンシャルがプラスになったりもしますね。

 なので、エピソードを深めていくと、そのキャラクターの新たな一面が見えます。戦闘の新しい性能が目覚めるみたいな感じで。結構強いよね、覚醒したポテンシャルって。

本山氏 :覚醒するときが好きなんですよね。「いよっしゃー!」という感じがすごくあって。

田中氏 :というわけで、最初使ったとき、「変なマイナスポテンシャルを持っているヤツ!」って思うかもしれませんが、我慢して使って仲良くしていくと、実は使える仲間になるかもしれません。

小澤氏 :前作では、サブキャラたちは本筋にまったく絡んできませんでしたが、今回は本編のほうにも顔を出してきたりします。主人公やヒロイン達は当然いるんですけれど、「G組はクラスという単位で立ち向かっていくんだな」というところを出したかったので、ちょこちょことクラスメイトたちも出てきます。

――前作では、倒された後に衛生兵を呼ばないと死亡してしまうということがありましたが、今回もそのような形になっているのでしょうか?

本山氏 :今回、サブキャラにもドラマというかいろいろなイベントが豊富にあるので、ちょっと死なれちゃうと困るということで、「入院」ということにして数ミッション出撃不可ということになります。

田中氏 :これ、意外と痛いんですよね。1人しかいない剣甲兵が入院しちゃうと、「困ったー」なんてことになったり。

小澤氏 :単位がたまっていれば、その場で「ほかのキャラをとりあえず剣甲兵にしておこう!」とかもできるのですが、単位もたまってないときは大変ですね。

キャラクターたちには、マイナスのポテンシャルも設定されているが、イベントを進めていくことで克服することもあるとのことメインシナリオにおいても、サブキャラクターたちが登場する模様。彼らがどのような活躍をするかも楽しみだ



■ 初心者救済のための能力は残しつつ、CPを増やすことでオーダーのバランスを調整

自分のターンであっても、敵が迎撃してくることが「BLiTZ」の大きな特徴のひとつだが、技甲兵は戦車のように、正面からの迎撃をものともせずに接近できる

――兵科もそうなのですが、戦闘に絡むキャラクターが増えてくるということで、今回バランスどりが相当大変なのではと思うのですが。

小澤氏 :1番気をつけたのは、まず今回技甲兵が入った点ですね。

 「BLiTZ」と呼ばれる戦闘システムは、ある意味迎撃で成り立っているところがあるのですが、技甲兵は正面に関しては迎撃を受けないわけですよ。これが猛威を振るいかねないので、いい意味でどう弱点をつけるかというところで、相当苦労はしました。あと、単純な弱体化ではなくて、「接近さえすれば」、といった一長一短を作ったところと、剣甲兵にするのではなく、そのまま技甲兵という道も残されていますので、どう両立させるかというあたりも大変でしたね。一応バランスはとれたと思っています。

本山氏 :あとはマップの広さが変わっているところがあるので、狙撃兵の性能などはいろいろと調整しています。操作系が変わっているところもあるので、全般的に手を入れていますね。

――バランスの話が出たところで、今回オーダーがCPを多く使うようになっているのですが、これはどういった意図ですか?

小澤氏 :もともとオーダーは最終手段というか、初心者救済な部分がありまして、比較的強めにはしていました。ただ、やはりいろいろとご意見をいただく中で、「オーダー無双」という言葉に象徴されるように、オーダーさえかけてしまえば我々の意図する以上の効果が得られてしまうところが散見されました。

 ただ、先ほど言いました通り、不得手な方用の救済措置というポジションを残しておきたかったので、強さはそのままにしてコストを多めにして、使うからにはSランクは諦めてもらう代わりにクリアは保障しますよ、というものにしたかった。そこで、CPとして1、2個増やした感じです。

本山氏 :僕達としては、オーダーありきのバランスという風には考えていなくて、一発逆転の要素というか、どうしようもないところから巻き返すための手段としては使ってほしいのですが……。前作でもオーダーを重ねがけしてクリアしても楽しいけれど……という部分があったので、その辺のバランスは直しましたね。

田中氏 :でも、僕は結構使いましたね。「敵を全滅させろ」というミッションがあるのですが、敵がどこにいるのかわからないときがあるんですよ。今回、霧とか夜とかの視界が狭くなるマップがあって、いくらうろついても見つけられないことがある。「もういいや」ってことで、オーダーで全部見えるようになる偵察命令を、結構使いましたね。6CPくらい使うんですけど、6回動かすよりもこっちのほうが早い気がして(笑)。

小澤氏 :使うときは使いますね。先ほど「楽奏兵で強化してボス」と言いましたけれども、そのボスに対して楽奏兵を作っていない場合はオーダーに頼らざるを得ないときもありますし。

 あと今回はハードの制約もあって、マップをエリア化したのですが、逆にエリア単位のオーダーという新しい道もできたんですね。前作は1人か全員かだったところが、今回はエリア単位も追加されたので、ゲームとしても落としこめたかなという感じはします。

田中氏 :バランスという意味では、今回は難易度もついているんですよ。EASYモードを選べるので、「戦場のヴァルキュリア」は初めてという人や、こういうタイプのゲームをやったことがない人は、相当やられにくくなって、わりと手軽に遊べるので、まずはEASYモードで遊んでほしいですね。

 ただ、ボスとかはすごく強いと思います。前作でもセルベリアが出てくるところは悪夢のようでしたが、今回も敵の3兄弟が出てくるステージでは、最初はみんな「こんなのできるかーっ!?」って投げると思います(笑)。

小澤氏 :田中が怒鳴り込んでくるんですよ、「どうなってるんだ!ふざけるな!」って(笑)。

――前作の7章のバリアス砂漠とか急に難しくなりましたものね。

田中氏 :あえて、遊ぶ人にヴァルキュリアの強さを思い知ってもらいたいと思ってやっちゃったんですけれど、トラウマになりそうですよね。今回も反乱軍3兄弟はトラウマになると思いますよ、人造ヴァルキュリアも。なんだコイツらっていうほどの強さです。

本山氏 :トラウマが4つに増えましたみたいな(笑)。

 
オーダーは全体的にCPを多く消費するように変更された。オーダーを重ねがけした力押しはできるものの、ターン数を消費してCPを貯める必要がある



■ 携帯機に適したプレイ時間にする代わりに、ミッション数は大幅に増加

――エリア制になったということなのですが、1人用プレイだと出撃できるユニットの数が1つのエリアで5つまでで、全部合わせても6つと抑え目になっていますよね。この辺りの数を調整された意図は?

田中氏 :もちろんハードの性能はあるのですが、前作も結構主要な6ユニットくらいしか動かしていないということもあります。あとは動かさないけれど、CP要員としてラルゴとロージーを出撃させるみたいな(笑)。

 今回エリアが結構あるんですけれど、たくさんユニットが出せると結構守れてしまうんですね。それが6人だと、どうしても手薄なエリアができちゃうので、エリアを取ったり取られたりが起きるんですよ。拠点を放置していると取り返されるという。なので、6人くらいがいいバランスなのかなと思っています。

 「あっちのエリアが取られちゃう!」っていうのが結構頻繁に起こるんですよね。6人より多かったら多分余裕で守れていたと思うのですけれど。

――確かに、先ほどプレイした際にも1つのエリアを占領して、ゴールに向かって一直線に向かったのですが、別のエリアから割り込まれたりしました。

田中氏 :今回、別のエリアになったことで、例えばAエリアで活躍したユニットは占領して引っ込めると、当然1回動かした後なので、行動力(AP)が減った状態になる。なので、Bエリアから出撃させるときは、同じ兵科でも別のキャラを出そうということになって、いろいろなユニットを入れ替えながら使うようになるんですよ。前作は、ほとんどメンバーが固定されているようなところがあったんですけれど、今回はクラスメイトを満遍なく使いますね。

小澤氏 :スタートはハードのスペックから始まったのですけれども、スペックが落ちたのでしょうがない、という風にはしたくなかったんですよ。システムとしてユニットを出撃させる・後退させるというのだけはCPを使わないで済む、といった施策をどんどん入れることによって、ゲームのルールとして消化できたかなという気はします。

田中氏 :やってみると、すごく戦略性は上がっているし、いろいろなクラスメイトを使うから実は良いなっていう。

小澤氏 :頭使いますよね。テスト中に頭がジンジンしてくることがあったり。

田中氏 :あんまり言うと難しそうに思われちゃうかもしれないけれど(笑)、でも歯応えは本当にありますね。普通にやってクリアすることはできるのですが、本気でやりこもうと思うと、もっと少ないターンでというのが突き詰めていけるというか。Sランクを取ろうと思うと、奥深く遊びこめるバランスになりました。

本山氏 :ゲーム中の時間で3月、4月くらいから出てくると思うんですけれど、自分の中で「これが最高の手だろう。Sランク間違いなし!」って思っているとAランクだったりして、アレ?っていうのがあったりするんですよ。この先どうやって詰めていこうかなと考えると、エリア切り替えの際に後方待機を使いこなさないといけなかったり。そういった部分は、「戦場のヴァルキュリア2」になって向上した部分じゃないかなと思います。

1つのエリアにユニットを集中させると、別のエリアには1人しか配置できない。各エリアへのユニット数の配分が重要となりそうだ拠点エリア内にいる味方ユニットは、CPを消費することなく後方待機させられるようになったので、防御する必要がなくなった拠点から、前線へユニットを移動させやすくなっている



――今回、ミッションの数がかなり増えたそうなのですが、どういった意図で増やしたのでしょうか?

小澤氏 :携帯機ということもありまして、まず、どういう層がプレイするかな?というのを考えたときに、中高生が多いかなというところを考えると、通学中とかちょっとした休み時間にというのがプレイとして多いかなと考えました。

 前作は1ミッションに1時間とか下手するとかかったと思うのですが、今回は1ミッションを短くして、代わりに数を用意しようというところからスタートしました。数は当初300は作りたいと言っていたのですが、プロデューサーから「大丈夫?無理だからやめろ!チェックできないから」と言われ、200になりました。

本山氏 :結果的に200くらいのミッションがあってやり応えもあるし、単位によってはこのミッションにはこの単位がよく出るから取りに行こうみたいな、いろいろな楽しみができました。単位だけではなくて、素材やパーツもそうですが。

小澤氏 :あと、飽きさせないように、ランダムの要素を入れています。単位を稼ぐとかやりだすと、どうしても繰り返しのプレイになると思うんですね。このゲームは詰め将棋になりがちなところがあるので、ガラッと変わることはないにしても、「アレ?さっきここに突撃兵がいたのに、今回はいない」とか、そのくらいの変化があったほうが新鮮味は出るかな、ということで。

 なるべく数を増やした上でランダム的な要素を加味して、繰り返し遊べる「さっくりと遊べる『BLiTZ』」というのをコンセプトにいろいろと考えた結果、現在のミッション数になっています。

――テンポを良くしたりというのを意識したところはありますか?

小澤氏 :まずは、単純にダイアログを極力少なくしました。1番顕著なのが、行動終了時に“はい・いいえ”を聞かなくするとか、そういう細かいところで時間って稼がれているので、行動終了したい人はしたいだろうという割り切りも含めて。あと、通信プレイで相手を待たせるということに繋がるので、極力待たせるという要素を省いてテンポを上げていきました。

――先ほどの体験プレイでも1回間違えて行動終了しちゃったことはありますが、わかってしまえば確かに間違えなくなりますしね。

小澤氏 :誤動作だけは避けたかったので、最終的に普段使うボタンとはやや離れたSTARTボタンにしました。

――先ほど、敵兵士がランダムに配置されるという話があったのですが、配置してある兵種自体は変わらないけれども、位置が変わるということでよろしいですか?

小澤氏 :そうですね。あるミッションにどの兵種が出るだけは固定になっています。エリアの中に突撃兵と偵察兵がいた場合も、候補の中に支援兵がいた場合は、支援兵が配置される場合もあります。ただし、全体として配置してある兵種は同じです。

本山氏 :マップによっては、「あれ?さっきここに戦車いなかったのに」とギョッとすることがありますね。

小澤氏 :前情報として、戦車って書いていない場合に戦車が出ることはないので、部隊編成にまで影響することはないですね。「敵がこいつらなら、この編成で行こう」というのは変わらないです。ただし、ミッションが始まらないと何がいるかはわからない。

田中氏 :角を曲がったところに、いきなり戦車がいたときはショックでしたけどね(笑)、ビックリすると思いますよ。

出撃前のブリーフィングでは、敵の兵力の情報を確認できる。兵士相手にあまり役に立たない対戦車兵などは、ここで情報を確認してから出撃させたい



■ さまざまな機能を持つパーツの追加により、戦車の役割が拡大

戦車の大きさやオプションパーツの選択など、戦場に合わせて戦車をカスタマイズしていこう

――合成素材など、戦車がかなりカスタマイズできるという話を伺いましたが、どのような変更があるのですか?

本山氏 :今回、ドリルを戦車に装備して岩を壊して進めたり、マップ中に橋が壊れているようなところがあって、工作装置を戦車につけておくと橋をかけることができたりと、新しい進撃ルートができて戦い方が変わることがあります。

 あとは夜とか霧のマップなど、マップごとに索敵に関わる効果があるんですけれども、そこに照明装置であるとか、霧を除去する装置をつけていくと、通常と同じく視界が届くというか敵を見つけやすくなるといった要素もあります。

 このマップはこういう効果があるから、この装備をつけていこうとか、結構考える必要があるようになっています。単純に砲塔を強くするとか、防御力を強くするだけではなくて、オプションパーツの考え方が重要かなと思いますね。

小澤氏 :あと、1番大きな変更としては装甲車があります。今回、戦車と装甲車という2種類になって、車体が変えられます。戦車は前作からあるもので、対人・対甲とも常に最強という形なのですが、装甲車にすると装甲や攻撃力は落ちますが、人を載せられるようになります。移動力は全兵種中、人も含めて最大ぐらいのAPがありますので、先ほど話が出た狙撃兵など、置いていかれがちな兵科をピックアップして先に進んで、そこで降ろすといったことができたり、移動型拠点のように使えるので、戦車で行くか装甲車で行くかというのも、ユーザーの選択肢として大きな変化になると思います。

本山氏 :戦車も、軽戦車・中戦車・重戦車という種別があって、軽戦車は最終的にはCPが1で動かせるようになっていますが、その分ちょっと弱い。中戦車はわりとバランスが取れているというか、前作相当という感じです。重戦車については、CPを3使うのですが、やられることはまずないという強さになっています。戦車の車体だけをとってみても、変化があるので、いろいろとカスタマイズしてほしいですね。

――戦車の素材というのは、敵の戦車を破壊すると手に入るのでしょうか?

小澤氏 :あれは単位と似たような考え方なのですが、ミッションに紐づいていますね。あるミッションをクリアすると、鉄とか木材など、いろいろと手に入ります。それを入手することで、武器や戦車を開発できます。

 後に人造ヴァルキュリアなどもそこに入ってくるのですけれども、戦車を倒すと重要ユニットの撃破という形でボーナス素材が得られます。そういう意味では戦車などの強敵を倒すと、より素材を手に入れられますね。



■ 兵器としてのヴァルキュリア人やダルクス人などのメッセージ性も健在

――今回のヴァルキュリアと人造ヴァルキュリアについてですが、どのような存在になるのでしょうか?

田中氏 :深くはストーリーのネタバレになるので言えないのですが、前作の最後にマクシミリアンが人造ヴァルキュリアの装置を使ってきました。戦場のヴァルキュリア」の世界の中ではヴァルキュリアというのは、1度で大量の破壊を行なうことができる、核の象徴みたいなところもあるんですよ。

 それによって国を守ろうとするファルディオとかは、核武装をして国を守ろうとするところと一脈通じますし。敵が核を持ったら、こっちも核を持つんだという均衡によって平和を保たせるというのは、実際の第二次大戦後の歴史なわけですけれど。第二次大戦というのは核が登場した戦争でもあるので、それを描きたかったということでヴァルキュリア人というのが出てきました。

 実際に核はいろいろな国が持っていますけれども、そういうものって拡散していくというか、広まっていくし、それをテロリストが使うということもありえる。

 反乱軍というのはそういう組織なわけですけれども、前作から2年経って、人造ヴァルキュリアの技術がいろいろ流出すると、悪用するヤツが出てくる。そこで、今回は人造ヴァルキュリアがぞろぞろと出てくるわけです。オリジナルほどの強さはないんですけれど、この世界の人にとっては大変な脅威だと思いますね。

 我々の世界も普段はあまり実感しないかもしれないですが、よく考えると身近な問題としてあるわけで、そういったメッセージというかテーマ性を、「戦場のヴァルキュリア」シリーズでは持っていきたいですね。

――テーマ性といえば、今回もダルクス人に対する差別のようなものがありますよね。

本山氏 :その辺りは、いろいろなキャラクターを通して描いていますね。

田中氏 :前作でイサラがかなり頑張って、よくなったところもあります。正規軍が前作はツンケンしていたのが、今回は意識改革をコーデリア姫の下にされているとかあるんですけれど、何しろダルクス人のことで国は割れているし、依然として士官学校の中でもダルクス人がというヤツもいるので、なかなか容易には払拭できない。でも、少しずつ増えてきていると思うんですよ。そういう希望みたいなものは描きたいですね。

本山氏 :ダルクス人の中にも、メインキャラの1人であるゼリのように意識が違う人が出てくる。ただ単に抑圧されているだけではなくて、「俺が変えてやるんだ!」みたいな強い意思を持つキャラクターが出てきたというのは、あれから2年経った1つの象徴みたいなものかなと思います。

ダルクス人であることを公表したコーデリア姫だが、それが内紛のきっかけとなってしまうことにダルクス人に対する差別は、このユリアナだけではなくG組のクラスメイトたちの中にも根強く残っている



■ 通信プレイには対戦はもちろん協力プレイを用意! ゲームが苦手な人も協力してもらえば大丈夫

通信プレイは、昨年の12月26日に秋葉原で行なわれた店頭体験会で初めて体験できた。中には4人組で訪れ、声を掛け合いながら協力プレイを楽しむグループも見受けられた。

――今回協力と対戦という通信プレイが追加されたわけですが、通信プレイの特徴についてお話いただけますか?

本山氏 :対戦に関しては、単純に「BLiTZ」を1対1でやってもらうと思ってもらえればいいと思います。

 協力の方に関しては、最大4人まで参加できるんですけれど、同時に動かすことができるのが大きな特徴です。例えば、田中が行動してから僕が行動して、小澤が行動するという形ではなくて、4人同時で動かせるんですよ。リアルタイムに技甲兵が盾になって、その横から対戦車兵などで攻撃できるので、声のかけあい方などのリアルタイムな面白さが増したかなと思います。

 実際にテストプレイの中でも、技甲兵が盾になっている間に、偵察兵が後ろに回って手榴弾で攻撃するといったプレイが出てきていますよ。

小澤氏 :象徴的なこととしては、1人が1度もコマンドモードを抜けることなく、周りの人が目の前の敵と拠点の敵を倒していって、拠点だけを占拠するというプレイをする人が出たんですよ。これはものすごいことになったな、と思いましたね。

本山氏 :「BLiTZ」自体がそうだというのもあるんですけれども、なかなか言葉で伝わりにくいところがあると思うので、リアルタイムに協力する「BLiTZ」というのはこんな感じだよ、というあたりは動画で後々配信したいと思います。

本山氏 :あと、協力プレイでもう1つポイントがあって、今回ほとんどすべてのミッションで協力できるようになっているんですよ。「ちょっと手伝って」といったことがすごくやりやすいように。「戦場のヴァルキュリア」はストーリーがメインというか、1人でやるイメージが強いんですけれども、周りの人と進行状況を確認しながら、「俺、ここまで行ったよ」、「あ、じゃあちょっと手伝ってよ」というのはやりやすくなっていると思います。

――それはミッションが進んでいる人と遅れている人がいる場合に、遅れている人が進んでいる人を手伝ったりもできるのですか?

小澤氏 :ミッションの横に「★」マークがあったと思うのですが、これが等級と呼ばれるもので、ざっくりと前編・後編・クリアー後で分かれているんですね。ですから、一応足切りのようなものはあります。ただ、進んでいる人が遅れている人を手伝う分にはほぼフリーですね。中盤にストーリー的にもひと山あるので、それを見ているか否かで足切りをする形です。それを見ていない人は、「その先のミッションに関しては手伝えないよ」とか、クリアしていない人は、「クリア後のミッションは手伝えないよ」という足切りはあります。

――普段シングルプレイでやるようなミッションも、協力プレイすることができるわけですよね?

小澤氏 :先ほどお話したキャラクターのミッションだけは、友好度に関係しているので、「僕は仲良くなっているけど君は仲良くなっていない」というときに、ちょっといろいろと起こるので協力できません。あとは、ゲーム序盤の通信が開放される前のミッションは、協力プレイができないくらいですね。それ以外は、すべて協力プレイ可能です。

田中氏 :さきほど話したトラウマになるボスとかがいるミッションも、助けてもらうことができます。

小澤氏 :シングルプレイだとユニットの制限が6人なのですが、協力プレイでは最大で9人まで出撃させられる。そういったアドバンテージもあるので、単純に手伝ってもらうだけでもメリットはかなり大きいですよ。

――協力する際のCPは共有ですか?

小澤氏 :いや、それぞれが一定数持っている形です。ただ、CPを譲渡することができますので、例えば支援兵を選択したプレーヤーが、支援する必要がないときに「じゃあCP分けてあげる」なんてこともできますし、「オーダーをかけるから、みんなのCPをオラに分けてくれ!」なんてこともできます(笑)。基本的に割り振ってはいるのですが、プレーヤーが望めばCPの行き来は自由にできるわけですね。

本山氏 :結構、コミュニケーションを取り合う必要があるんですよ。ターン制のシミュレーションゲームなのに(笑)。

――協力プレイでクリアした場合と、シングルプレイでクリアした場合に変わってくることはありますか?

小澤氏 :変わるってほどではないですけれど、シナリオが絡むミッションに関しては、クリアしたという情報はホストのプレーヤーのみに残ります。ですから、全然進んでいない人が、進んでいる人の等級範囲内で手伝ってクリアしたとしても、クリアしたことにはならないです。

 「僕のを助けて!」ということで、その人がミッションを立てて、みんなが手伝うという形ですね。それ以外に関しては、まったくシングルと一緒です。

――対戦に関しては、今までのまま対戦する形でしょうか?

本山氏 :そうですね。今までのコンピューターが人に置き換わった形です。

小澤氏 :従来のミッションと同じで、ミッションに勝利条件が紐づいていますので、今回はお互いに殲滅したら勝ちとか、先に拠点を占拠したほうが勝ちといったものを友達と選んでもらえるようになっています。

 あと、持ち時間も選べますので、「今日はゆっくりやろうか」というときは長くしたりとか、さっさとやりたいときは短くしたりといったこともできます。持ち時間が切れた時点でCPが残っていようがターンが終わるので、相手を放置で待たせることもありません。そのあたりはアドホック通信で面と向かったプレイが前提なので、相談しながら遊んでもらえればと思います。

――アドホック通信ということですが、PS3のアドホックパーティには対応していますか?

小澤氏 :対応しています。アドホックパーティの場合は、声をかけ合えない場合は、代わりにチャットなどで連絡をとってもらえればと思います。あとは、こまめに画面下にログという形で「○○さんが占拠しました」とか、「敵を倒しました」といった表示はしているので、画面上だけでもこういう状況なんだということが、ある程度はわかるようにはなっています。

――アドホックパーティでの協力プレイもかなり面白くなりそうですね。

本山氏 :リアルタイムのコミュニケーションじゃない協力プレイってどうなるんだろうね。

小澤氏 :ただ、コマンドモード上で他人のユニットが動き出すので、「あ、こいつ動かしているのか。ついていこう」とか、画面見ているだけである程度の情報はわかります。

本山氏 :このゲームの場合、戦略目標を達成するために、いくつかの迂回路がありますよね。アドホックパーティでプレイした場合、そのコミュニケーションをどうとっていくのかに興味がありますね。



■ 気になる発売後の追加コンテンツは、ミッションのほかにゲストキャラクターと戦車のステッカーを用意

――ダウンロードコンテンツについて、前作では途中から足したみたいな形で、いろいろ難しかったのではと思いますが、今回は最初からいろいろと考えていると伺いましたが?

本山氏 :ダウンロードコンテンツというか、後々の追加コンテンツということで区切っていうと、ミッションとキャラクター、戦車のステッカーという3つがあります。この中で、ミッションのみ基本的に有料ということで考えているのですが、発売した週から基本的にはほぼ毎週、何かしらのミッションなどのコンテンツを配信していきたいと思います。

 ゲストキャラクターに関しても、ちょっとまだ言えないのですが、おなじみのキャラが登場したり、バリエーション違いのキャラがいたりとか、この辺はパスワードでどんどん公開していきたいと思っています。ステッカーに関しても同様に、いろいろとコラボレーションしているタイトルもありますので、ステッカーが手に入るようになる予定です。

 あと、ユーザーの皆さんからステッカーのアイデアとかデザインを募集して、その中から選んで配信できたら面白いかなと思っています。

――アニメのDVDを持っているとアニメ版のアリシアが出たりといった情報が出ていましたね。

本山氏 :あとコミックのほうからも、同様にそういうキャラクターが出たりします。よくユーザーさんから「そういうキャラクターが出てシナリオ崩壊しないの?」みたいな心配も受けたりするのですが、それはさすがに大丈夫です。予約特典のセルベリアとかが出てきて、シナリオで思いっきり絡んできたらまずいですけれど、あくまでもお楽しみ用のゲストキャラクターという扱いですね。

田中氏 :シナリオには絡まないですけれども、セルベリアを自分風に○○兵に育ててみよう、とかいうのは楽しいですね。ポテンシャルとかもどんどん発動するし。

――ゲストキャラクターにも専用のミッションがあったりしますか?

本山氏 :基本的にゲストキャラクターにはないですね。「ファンタシースターポータブル2」との連動に関してだけは、ミッションがありますけれども。ただ、その辺りも今後追加していくことができますので、ユーザーさんの反響次第というか、なにか思いつけば追加することは可能です。

――ステッカーで戦車の能力が変わると聞きましたが?

田中氏 :ごくわずかの気休め程度ですけれど(笑)。性能に縛られるよりは、好きなものを貼ってほしいので。ちょっとだけ攻撃力が上がるとか、ただ貼るだけではなく、多少の効果はあります。

本山氏 :シミュレーションゲームって基本的に数値のやりとりだから、あとちょっとが重要だったりするじゃないですか。そこのもう一押しにステッカーが役立つ……かも? ですね(笑)。

田中氏 :俺はそこは無視して好きなものを貼るけどね。

本山氏 :僕も基本はそうですね。

小澤氏 :まあ、最後の2枚までどっちにしようかと迷ったときの決め手になってくれればな、という程度の効果です。無味乾燥な、単に貼るもので終わるのもどうかと思ったので。

田中氏 :迷彩も、砂漠に行くときは砂漠迷彩ではなくて、色も普通のものを使ったりしています。

小澤氏 :形も色も変えられるんですよ。迷彩も一応効果があります。砂漠のマップに砂漠迷彩でいくと、敵の命中率が下がるなどの迷彩効果が得られます。

田中氏 :でも、俺は使わない(笑)!

本山氏 :そこはもう、その人の好き好きですよね。これだけパーツがあってカスタマイズできるのに、「このミッションに行くときは、これにしなくちゃ!」だと、同じ戦車に決まっちゃうじゃないですか。それよりはこだわりを持って、自分だけの戦車を作り上げてほしいという気持ちが強いかな。

小澤氏 :パラメータ重視の人は、ミッションに合わせて毎回こまめに迷彩を変えてもらえばいいですし、「俺はもう白一色だ!」という人がいてもいいようになっていますので。


――最後にこれを読んでいるファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

「戦場のヴァルキュリア2」のパッケージビジュアル

田中氏 :「戦場のヴァルキュリア2」といいながらも、前作をやっていない人にも遊んでもらえる作りになっていると思うので、これから初めてという人にもぜひやってほしいですね。敷居はわりと低めに、でも奥は深いという作りになっていますので「戦場のヴァルキュリア」は初めてという人も手にとってほしいですね。

小澤氏 :予約特典さえ見れば、すぐに誰でも世界に入れますのでぜひ予約を(笑)!

本山氏 :ものすごく力の入った豪華特典なので、よろしくお願いします(笑)。

――確かにナンバリングタイトルだと、逆に1をやっていないのに2から始めるのってどうなの?と躊躇する人がいるしれませんね。

本山氏 :でも、基本的にはキャラクターも新しくしていますし、前作のキャラクターがブワーッと出てくることもないので。ただ、前作のキャラクターたちがこうなったよ、というところもきちんと説明しているので、1をプレイしてくださった方には、その辺りは新しい物語として楽しんでもらえると思います。

――確かに先ほど1時間ほど遊ばせてもらったところでは、前作を遊んでいないとわからないようなことはなかったですし。

本山氏 :今回も、ヴァルキュリアプロジェクトの伝統に則って、新しい試みをたくさん仕込んでいます。通信はもちろん、エリア制もそうですし、新しい兵種もそうですね。

 本当に新しい人にもプレイしてほしいですし、前作のユーザーさんにも「戦場のヴァルキュリア」ってこういう方向性もあるんだな、というところを納得してもらえるデキになっていると思うので、その辺りを楽しみに待っていてもらえればと思います。いろいろなご意見等々、ブログで見させていただいているので、そちらもお待ちしています。

小澤氏 :ありがたいことに、前作は文章でしかクローズアップしていないかった、いわゆる義勇軍のサブキャラクターたちを本当に愛していただきました。

 皆さんが「もっと、お話を知りたい!」と思ってくださったのに、「ただの戦闘ユニットだったので本編に絡まないのが残念だ」といったご意見をたくさんいただきました。今回「戦場のヴァルキュリア2」を作るにあたって、「1番解消しなきゃな」と思ったところです。クラスメイトの個々人にエピソードをつけましたし、本編にもちょこちょこと登場して熱いことを言ったりするので、その辺りも楽しみにしていただきたいと思います。前作を超えるような、妙なヤツらがたくさん出ますので、お楽しみに(笑)。

田中氏 :前作を超えたよね。キャラのアホさというかスゴさは。

本山氏 :ラインナップを見たとき最初はギョッとしました(一同、笑)。

小澤氏 :前作も隠しキャラが5人いましたけれど、今回も5人いますので、そちらも楽しみに待っていてください。

――本日は、お忙しいところありがとうございました。


(C)SEGA

(2010年1月18日)

[Reported by 菅原哲二 ]