インタビュー

「Watch Dogs Legion」は超絶AIが全市民を作り出していた! クリエイティブディレクターに“キャラクターの生成方法”を聞いてみた

2020年3月6日 発売予定

価格:9,072円(税込)

 「街にいる市民全員が雇用可能であり、また操作可能である」という「Watch Dogs Legion」。記事ではこれまでにコンセプトへの感動ゲームの流れについてお伝えしてきたが、中でも大きな疑問は「どうやって市民を作り出しているのか?」ということだ。

市民全員を雇用できる「Watch Dogs Legion」

 一口に“市民”と言っても、街を歩く市民1人1人に詳細すぎる個人情報がある。名前、年齢、仕事、家族や他の市民との関係。どこに住んでいて、どんなライフサイクルなのか。どの時間にどの場所に行って、どんな行動をするのか。こうした情報が、あらゆる人に与えられている。

 どう実現しているかはゲーム画面を見るだけでは到底わからなかったので、Ubisoftで「Watch Dogs Legion」クリエイティブディレクターを務めるClint Hocking氏に「どうやって市民たちを作っているのか?」と直接聞いてみた。

Ubisoft Toronto「Watch Dogs Legion」クリエイティブディレクターのClint Hocking氏

 すると返ってきたのは、「自動生成をしている」という答えだ。実際にはありとあらゆる情報が組み合わされているが、最大のコア部分は人口調査(センサス)を始めとした統計情報を使っている。これとAIを組み合わせることで、ロンドン市民の生活をシミュレーションしているそうだ。

 例えば街に「ゴミ収集清掃員」がいて、その時が14時だったとする。見た目は先に決まっているので、それらの情報をもとに、人種、年収、年収から割り出させる住居の場所、ライフサイクルなどが瞬時に決まるのだとした。

 これはつまり、プレイする人によってまったく違う市民が生成されることを意味している。同じ場所の同じバーテンダーでもパーソナリティが同じとは限らない。もし人種が違った場合、同じ年収でも住む場所などはまったく変わり、それによってプレイ感もまた異なるものになるのだとした。

肌の色、仕事、時間帯から個人情報が決まっていく。しかも瞬時に、同時に

 またアニメーションについても胸を張って歩いたり、肩を落として歩いたり、ありとあらゆるパターンを入れている。喋り方やセリフも同様で、これらが複雑に組み合わさることで、市民のリアリティを生み出している。

 声については、同じ役者から様々なパターンのセリフを収録しているが、本作ではさらに「生成されたキャラクターの喉の形に合わせて声を調整する」というシステムを導入し、同じ音源から5~6種類のパターン、しかも「同じ音源だとは気づかれないほど」のものが生まれるようになっているという。

 ロンドンの統計情報がもとになっているということで、生成される市民の中には日本人もいる。今までの話を総合すれば、どんな日本人と出会うかはプレーヤーによって様々になるようだが、「初めて出会う日本人は雇用したいな」などとすでに筆者の頭の中ではプレイ時のシミュレーションが始まっている。発売は2020年3月6日と少し先だが、非常に楽しみなタイトルである。

これは小ネタだが、銃撃クラスの「Enforcer」が扱う格闘術は「ガン=カタ」。「リベリオン」などの映画で登場した架空の近接格闘術なのだが、まさか本作で見ることができようとは。最初は冗談かと思ったが、ゲーム画面にも「Gun=Kata」としっかり書いてあった