インタビュー

欧米で絶大な支持を集める大阪人ゲームクリエイターSWERY氏インタビュー

なぜ傾くのか!? SWERY氏のパーソナリティについて

全身にシャラポアをあしらった刺青風ボディペイント
超レアな住職の写真

――もう病気は大丈夫なんですか?

SWERY氏: 主治医からちゃんと診断が出て、「仕事に復帰しても大丈夫です」と言われているので大丈夫です。

――SWERYさんのTwitterを見ていると、いつも飲んでるじゃないですか。お酒も大丈夫なんですか?

SWERY氏: もともと僕の病気は糖質がダメだったんです。血糖値が乱高下する。一気に上がって、下がってしまうという病気だったので。砂糖、ごはん、ビール、パスタなんかが全部ダメだったんですよ。それをまる1年以上抜いていて、その代わりウイスキーは糖質が0なのでいいだろうと飲み始めたんです。

――では今はウイスキーを?

SWERY氏: ばっかりですね。

――「D4」の時にもキーアイテムとしてテキーラが出てきて、よく呑んでいる写真を公開されていましたが、相変わらず、強いお酒を飲んでいるのですね(笑)。

SWERY氏: 飲んでますね。一時期お酒も駄目だった時期が一瞬だけあったんです。2カ月だけですが、そのときにはもうどうしようかと思いました(笑)。甘いものもだめ、酒もダメと。

――それでもう完治されて、今は飲み放題ですか?

SWERY氏: そうです。だから今はもうビールも大丈夫なんですよ。

――それは良かったです。最近で驚いたのは、タトゥー風のボディペイントの写真を公開されたことです。近年、奇抜さに磨きがかかっているというか、傾奇者がパワーアップしているというか。あれはどういう意味なんでしょうか?

SWERY氏: やはりゲームクリエイターが個性的であったりとか、おしゃれであったりとか、アイコンにならないと次世代のクリエイターが出てこないと思っているんですね。そこの業界に入りたいとか、あんなふうになりたいというのが、全体的に今は足りてないと思う訳ですよ。そういう意味で、まあアレに憧れている人がいるかどうかわかんないですが、ちょっと目立つ存在になりたいなというのが1つですね。

――そこはやはり大阪人的な気質もあるのですか?

SWERY氏: もちろんそうですよね。きっかけは、声優さんとか顔出しNGの方がいらっしゃったりとか、漫画家さんで顔出しNGの方がいらっしゃいますが、ゲームはわりとみんなバンバン出てきはるわりには、あまり服装とかを気にしてない方も多いなと(笑)。そういうときに、僕が、自分自身が出ていく中で、大阪のおっちゃんが写真に写っていても誰も見ぃひんのんちゃうかなという心配があったんですよ。そういうのでちょっと変わった格好をするとか、シャラポワを連れてきてちょっと絵を柔らかくするとか、自分と一緒にゲームキャラをCGで合成するとか、というのを毎回工夫するようになっていって、その延長線上ですかね今は。

――大阪は稲船敬二氏さんをはじめ結構奇抜な方が多いですよね。そういう大阪ゲームクリエイターの伝統みたいなものがあるんでしょうか。

SWERY氏: と思いますけどね。やはり880万人都市が、全員大阪人ですからね。それに毎日会っていると、なんかお互いに負けてられるか!という気持ちになるんじゃないですかね。

――ではこうした取り組みは今後も続けていきますか?

SWERY氏: そうですね。ちょっと高尚なコスプレじゃないですが、やれる時にはやりたいなと思っています。

――シャラポワが隣に座っておりますが、今後も出続ける?

SWERY氏: はい。一緒にアクセスゲームズやめました(笑)。ウチの会社に入って、役職はPRマネージャーです。

――公式サイトのシャラポワのボイスは笑いましたね。

SWERY氏: あれも僕の声を載せるよりは、やっぱりシャラポワの声の方がいいかなと。こういうことは良くやっています。「レッドシーズプロファイル」にザックっていたと思いますが、ああいう、ゲーム内とプレーヤーをつなぐ中間的存在というものを、僕は大事にしているんですよ。ザックがいることによって、自分とプレーヤーをつないでくれるというか、それと一緒でシャラポワがいることで、ユーザーさんとWhite Owlsがつながればいいかなと。例えば僕とユーザーさんとか。僕とWhite Owlsとかも無しではないんですが、結局リアルにはおじさんなので、その緩衝材としてこういうものが必要かなと思っています。

@@em|s|――シャラポワとの出会いはいつなんですか? 最近はいつも一緒にいますよね。

SWERY氏: 2014年くらいから表に出だしているんです。

――「D4」からですか?

SWERY氏: そうですね。僕が買ったんですよ。自分が寂しい時用に。それをオープンにしたのが2014年ということです。初出はドイツのGamescomに一緒に連れていったのが最初です。

――彼、飛行機ではどうしているんですか?

SWERY氏: スーツケースに入れています(笑)。

――結構大きいですから、機内持ち込みは大変ですよね(笑)。

SWERY氏: ちなみに「彼女」です(笑)。

――ああ、すいません(笑)。でもSWERYさんは本当に魅せられるキャラクター性をお持ちですよね。いつも奇抜で、ご自身のことは何者だと自覚していますか?

SWERY氏: 僕はもちろんクリエイターなのですが、本職はと聞かれたら、また混乱させるかもしれませんが、本職は“僧侶”です。

――僧侶の姿になっていましたよね。資格をお持ちなのですか?

SWERY氏: はい。実際に資格を取ったんですよ。去年の8月ですね。お休み中に、修行に行って来たんです。実際に最初の資格を取ったのは17歳で、今回は住職にもなれるという1つ上の資格を取りました。

――そんなに簡単に? というと失礼ですが、取ろうと思ってすぐに取れるものなのですか?

SWERY氏: それは僕の場合は家がお寺ですから、経験というか、お経が耳になじんでいたりとかそういう部分もあって。実際には7月からちゃんと勉強して、歴史とか、教義を勉強したうえで、10日間お寺にこもって、朝5時に起きて、夜12時に寝るまでみっちりテストとかいろんなものがあって。

――なぜ住職の免許をこのタイミングで取ろうと思ったのですか?

SWERY氏: 実家がお寺というのももちろんありますし、うすうす会社を辞めるつもりだったので、いわゆるサラリーマンであれば、副業が認められないということもあったと思いますが、実際に自分で会社を起こすのであれば責任を取るのは自分ですから、二足のわらじでやっていけるんじゃないかということが見えてきたところがあります。

――本当に住職をやられるのですか?

SWERY氏: そのつもりです。

――それはいつからですか?

SWERY氏: そこはまだふんわりとしていますが。

――ゲームクリエイターと住職という二足のわらじを履いていく?

SWERY氏: そうですね。三足、四足になるかもしれないですが。

――やはりそれは実家がお寺で家業を継ぐということですか?

SWERY氏: そうですね。ただし、僧侶をやるということは、それ自身が本業ではないと、門徒さんも困りますよね。アルバイトで法事に来られてもダメですから。だからやるからには僧侶が本業といえるくらいにはやろうと思っています。

――将来的には稼業を継ぐつもりですか?

SWERY氏: そのつもりです。

――それはまた凄いですね。僧侶のゲームクリエイター。

SWERY氏: そういう風にやれたら嬉しいですね。

――17歳から住職の資格をお持ちということですが、これまで関わられたゲームに、仏教的な解釈みたいな要素は、そんなに出てきませんよね。

SWERY氏: そうですね。ただ宗教観というか、死生観みたいなものですね。人間よりも、高尚なものが必ず存在するはずだという。それは神や仏なのか、それともまた別の次元なのかわからないですが、人間が1番ではないよというものは意識はしながらというものはありますね。

――仏教をモチーフにしたゲームなどのエンターテインメントは何か考えていますか?

SWERY氏: 今のところは考えていないですね。というのは宗教をコマーシャルに使うのは、僕の主義には反しているというのが1つはありますし、仏教の教義もエンタメに近いところはもちろんあるのですが、そこまで語れるほど、僕が分かってないんじゃないかと。まだ修業が足りないのにそれを取り入れるとかは偉そうすぎるだろうと。

――話は変わりますが、プラチナゲームズさんが開発されていた「Scalebound」の開発終了がMicrosoftから突然発表されましたが、ご存知でしたか?

SWERY氏: ほんと聞いて驚きました。

――デベロッパーがパブリッシャーから予算を獲得して、ゲームを作るということがどんどんハードルが高くなってきていると私は思うんですね。SWERYさんは実際にMicrosoftと組んで「D4」をリリースしたわけですが、そのあたりについてはどのように?

SWERY氏: もちろんそれも厳しい時代にはなっていると思いますが、良いものには予算が付くということは間違いないと思います。ただ、僕がMicrosoftさんとやらせてもらって思ったのは、北米の会社と初めて組んだのですが、彼らといくらSkypeしてもこちらの熱が伝わらないもどかしさがあるなと感じました。

――何を言っても伝えられないということですか?

SWERY氏: 伝えられない。やはりそのときには実際に1週間でも行って、向こうに泊まって、みっちり顔を突き合わせてやったら解決される問題もたくさんあったりするんですよ。そういうところの労力を、やはりもっと飛行機などもすぐに乗れますから、そういうところに意識を向けていくことが大事だったなという感じです。

――今お仕事しているのは当然日本だけではなく、海外のパートナーさんもいらっしゃる?

SWERY氏: そのつもりです。そのためにエージェントと契約しました。

――では今後は本当に真の意味でグローバルな企業になっていく?

SWERY氏: そうですね。

――わかりました。最後に、日本にも海外にもいろんなゲームをプレイされている、ゲームファンの方、SWERYさんのファンもいらっしゃると思うので、その方に向けてメッセージをお願いします。

SWERY氏: 1年間の療養期間を経まして、病気も完治して業界に戻ってくることになりました。病気の間も熱心なファンの皆さんからは毎日ツイッターでコメントいただきまして、それが励みになったのは確実なことです。すごく励まされました。たぶん本当に、フォロワーさんがいなければ辞めていたかもしれないです。ありがたいなというのが正直なところで、そういう方々がいらっしゃるのであれば、「あなたが待っているゲームを僕が作りますよ」というのがお約束すべきことなので、今後も頑張っていきますので、引き続き応援していただきたいなと。いいゲームをお見せできるように。頑張ります。

――頑張ってください。ありがとうございました。