★ PCファーストインプレッション★


こだわりの2Dグラフィックと
“まったり感”が魅力のライト向けMMORPG

「トリックスター」

  • ジャンル:MMORPG
  • 発売元:ジークレスト
  • 開発元:ntreev soft
  • 利用料金:基本プレイ無料・アイテム課金制
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:オープンβサービス中

 動物をモチーフとしたかわいいキャラクタが活躍する韓国産MMORPG「トリックスター」。ジークレストが日本で運営するにあたり、キャラクタのイメージイラストを一新、より日本人に親しみやすいテイストが加えられた。

 本作は1月21日よりオープンサービスを開始した。アイテム課金のシステムを採用しており、基本的なプレイは無料で楽しめる。2Dグラフィックのゲームなため動作環境も軽く、手軽に楽しめる。MMORPG初心者には特におすすめできる作品だ。

 現在有料アイテムはまだ未実装になっており、本当の魅力が明らかになるのはこれからと言ったところだが、ちりばめられたクエストやユニークな“ドリル”システムなど、現在でも楽しめる本作ならではの要素はたくさんある。本稿では、「トリックスター」ならではの特徴を中心に紹介していきたい。


■こだわりの2Dグラフィックが楽しめるMMORPG

日本サービスにあたり、プレーヤーキャラクタのグラフィックを一新。店員のグラフィックなどで原作のテイストを見ることができる
 「トリックスター」の最大の特徴は、その可愛らしくて美しいグラフィックであるといえるだろう。キャラクタのアニメパターンは豊富で、頭身の低い可愛いキャラクタが、細かく書き込まれたフィールドで非常に多彩な表情を見せてくれる。その豊かな表情にプレーヤーは驚かされるに違いない。各キャラクタの2Dグラフィックは非常に細かく、操作しないで待っていると遊んだり、普通に歩いているだけでも笑みが浮かぶ可愛らしさがある。プレイスタイルだけではなく、キャラクタの外見で選択をするプレーヤーも多いだろう。

 本作は暖かみのあるグラフィックで統一されており、そのほのぼのとした空気が非常に心地よい。戦闘でも殺伐とした「戦い」といった雰囲気はなく、一生懸命武器を振るキャラクタを見ると、思わず応援をしたくなってしまう。

 プレーヤーが選べるキャラクタは、攻撃型、魔法型、感覚型、魅力型それぞれに男女の別があって全8タイプから選択する。攻撃型の女性はバニーの格好をした女子高生、感覚型の女性はキツネの格好をしたメガネをかけた理知的な考古学者と、それぞれイラスト付きで設定されている。イラストは日本で独自に追加されているのだが、ゲーム上のキャラクタと違和感なくマッチしており、イメージを膨らませてくれる。

 本作の可愛いキャラクタは操っているだけで楽しい。本作をプレイする上で、モチベーションを上げる原動力となってくれる。回復方法として、キャラクタは「座る」だけではなく、「寝る」こともできる。身体を丸めて丸くなる姿は実にほのぼのとしている。実際のところ、この座ることと寝ることのふたつのアクションを用意していることでのルール的メリットはあまり見いだせないが、プレーヤーキャラクタのアクションが増えていることで、表情が豊かになっている。ゲームの実用性よりも、キャラクタの表現を優先しているところが、本作のベクトルをよく表していると思う。

 各キャラクタの攻撃パターンもまた魅力だ。筆者は特にバニーのパンチがお気に入りである。大きなボクシンググローブをはめた女の子が真剣な顔で可愛らしくパンチを繰り出すところなど、本作のセンスの良さが感じられる。他のキャラクタも非常に表情豊かである。

 モンスターもまた可愛い。カモノハシはセリフを喋りながら攻撃してくるし、タコのモンスター「フラタコス」はその名の通り、フラダンスの踊り子の格好をしたタコでその外見には独特のおかしさがある。パイナップルのモンスターはやられると輪切りになるし、シェルクラブは貝殻の中から白旗を取り出す。彼らの凝ったキャラクタパターンに対する制作者のこだわりは感心させられるものがある。

 しかし、ちょっと疑問に思うのが、キャラクタの個性的な攻撃アクションは武器や防具を手にしていない時に限られているという点だ。剣や盾を装備すると、8種類のキャラクタがすべて没個性のモーションになってしまうのだ。剣と盾はキャラクタを強化する上で必要な装備であり、キャラクタ独自のモーションを楽しむには、これらを外した不利な戦いを覚悟しなくてはならない。ちょっと謎の仕様である。

 本作は、「装備品のレベル制限」が徹底しており、各キャラクタの装備はレベル10ごとで厳密に規定され、職業ごとの選択肢もない。レベル20ではこれ、30ではこれ、というようにすべてのキャラクタが全部同じ装備になってしまうのだ。服装や装備に関する自由度が少ないのは残念な部分である。もっとも、こういった不満を有料化アイテムで解消するというのが本作の狙いなのかもしれない。現在、公式ページでは有料化のプランに対してはまったく明らかにされていない。ジークレストの今後の対応に期待したい。可能ならば日本のユーザーの意見も採り入れた展開を望みたいところだ。

 とはいえ、こだわりの2Dグラフィックとシンプルな要素、さらに基本システムが無料というポイントは、女性や低年齢層のユーザーなど、初心者にオススメできる作品である。韓国産MMORPGの入門作品として、チャレンジしてみてはいかがだろうか?

大きなボクシンググローブをつけて一生懸命戦うバニー。筆者お気に入りのキャラクタパターンである 丸くなって寝るキャラクタ。ちょっと面白い遊びをしている人を発見したので撮影させてもらった アヒル型の帽子に熊の顔をした盾、ピコピコハンマーと非常にユニークな装備だが、レベル30以上の強者である
装備を販売するショップ。もう少し選択の自由が欲しいところだ フラダンスの衣装をまとった「フラタコス」。同じグラフィックで強力な「裏フラタコス」に注意が必要だ セリフを話ながら襲ってくるモンスターも登場する。モンスターの個性にこだわっているのが分かる演出だ
輪切りになって倒れるパイナップル型モンスター。ユニークなキャラクタパターンは戦いを楽しくしてくれる ピラミッドダンジョンで待ち受けるミイラ。包帯を伸ばして攻撃してくる 戦いは海の中まで広がっていく。高レベルのモンスター、フィールドともに実装済みである


■ドリルシステム、クエストなど、本作ならではの要素

詳細なチュートリアル。ちょっとお節介すぎるほどに丁寧である
 本作の基本的なシステムは、敵をクリックすることで近づき、攻撃をするオーソドックスな韓国のMMORPGルールを採用している。他のゲームをプレイした人はもちろん、初心者でもすんなりとプレイできるだろう。さらに、本作には詳細なチュートリアルが搭載されており、本作の独自性をしっかり把握することができる。

 本作の最も個性的なシステムは、「ドリル」システムだろう。本作は戦闘とは別に、ドリルを使って地面を掘ることでさまざまなアイテムをゲットすることができる。Dキーを押すことでキャラクタはドリルを構えるグラフィックにチェンジ、マウスボタンを押すことでドリルを使って地面を掘ることになる。ゲージが一杯にならないように、タイミングを計ってボタンを離したりして、地面を掘り進んでいく。

 ドリルを構えるグラフィックは専用の物が用意されており、ここでもキャラクタならではの表情が楽しめる。アイテムがなかった場合は、どばーっと涙を流したりとコミカルだ。ドリルを掘るタイミングはちょっとしたミニゲーム風で、本作の良いアクセントになってくれる。この探索に夢中になってしまうプレーヤーも多いだろう。なかなか新鮮な感触を持った要素である。

 掘り出したアイテムは街のクエストで使用する。街にはアイテムを求めているNPCがいて、彼らの求めるアイテムを渡すことができればお金などを得ることができる。埋まっているアイテムはフィールドである程度決まっているが、非常に多くの種類のアイテムが埋まっている場合があり、なかなか目的のアイテムが見つからない場合がある。

 ここで役に立つのがプレーヤー間の取引だ。本作でも韓国産MMORPGではおなじみとなった露店システムが導入されており、これらをうまく活用すれば、クエストをうまくこなすことができるだろう。多く取ってしまったアイテムを売りに出すことも可能だ。高価で取り引きされるアイテムを求めて、ダンジョンの深奥部までドリルを担いで旅立つプレーヤーもいるという。危険な場所に行くにはそれなりの強さが必要となるが、探索に集中したプレイも可能になっている。

 クエストは戦闘に関しても用意されている。モンスターギルドには、決められた時間に一定数の敵を倒すクエストが用意されている。こなすことでボーナスの経験値をもらうこともできるので、クエストによるレベル上げも可能だ。決められた時間内に多くの敵を倒したり、最短時間で敵を倒すことでランキングに登録される。現在のバランスでは、短時間で敵を倒すのは魔法型のキャラクタの方が有利なようだ。

 装備アイテムの他に、キャラクタの個性を出すものとして「ペット」がある。レベル20まではペンギンだけだが、それ以上になると、それぞれのキャラクタをモデルにした多彩なペットを連れて歩けるようになる。高レベルになると、妖精や風船といったユニークなペットもお供にできるようになる。それぞれのペットは決められたステータスを強化させてくれるというメリットがある。攻撃や探知能力など、キャラクタの利点をさらに伸ばすか、弱点を補強するかといったポイントで選ぶのも良し、デザインで選ぶのもありだろう。小さな手足でよちよちと、一生懸命プレーヤーキャラクタの後を追いかけるペットの姿は、とてもかわいい。

 また、モンスターを倒したり、クエストをクリアするとカードが入手できる。コレクション欲を刺激してくれるほか、カードゲームを楽しむことができる。街での雑談時など、楽しいコミュニケーションツールになってくれるだろう。

ドリルを構えると専用のグラフィックに。フィールドごとに掘り出せるアイテムには傾向がある 掘り出すアイテムを集めるクエスト。非常にたくさんのアイテムが一つのフィールドから出るのでなかなかそろわない 規定時間にモンスターを倒すと経験値がもらえるクエスト。最短時間や狩った数でランキングされることも
ペット一覧。レベル20からは、様々な動物を連れて歩けるようになる レベル80でなくては飼うことができない「妖精」をもつ上級プレーヤーに遭遇 入手したカードにより、カードバトルが楽しめる


■独特の「まったり感」をもったゲームバランス

 本作の戦闘バランスはレベル10あたりから明確になってくる。本作では全体的に敵の体力の設定が高めで、一匹倒すのに時間がかかる。ところが敵がリポップする速度は速く、フィールドは常に多くの敵がいる状態になる。このため自分から攻撃してくるアクティブな性格付けをされている敵のいるフィールドではあっという間に囲まれてしまう。ギリギリの強さの敵と戦っている場合は注意が必要だ。本作では敵は数歩離れると追いかけてこないというユニークな性格付けがされているので、囲まれそうになったら逃げるという作戦が非常に有効である。

 戦闘で各キャラクタの個性を発揮するのが「スキル」である。本作ではスキルマスターからカードを買い、これを使用することで様々なスキルを使用することができる。感知型はドリルの使用に有利になったりと個性的なものが用意されているが、レベルが低い場合、ほとんど選択肢がないところが寂しいところだ。実用的なスキルは用意されているので、レベル20までは1つか2つのスキルを使って戦っていくことになる。囲まれた敵をまとめて攻撃するようなスキルは、魔法型でレベル35まで待たなくてはいけない。

 多くのプレーヤーが同一フィールドで狩りをするMMORPGでは他人のターゲットを横取りしてしまういわゆる「横殴り」でプレーヤー間がもめることがあるが、本作は他のプレーヤーがターゲットしている敵にはちゃんとアイコンが出て、攻撃を抑止する機能がある。魔法などを使おうとしてもメッセージが出て止められるのだ。なかなか良いアイデアだと感心されたのだが、それでもフィールドでは「俺のターゲット取ったろ!」ともめているプレーヤーがいて興味深かった。どうやら敵に囲まれて、タコ殴りにされているキャラクタを助けるつもりでプレーヤーが狙っている以外の敵を倒したというのが問題だったようだ。

 「囲まれている敵は全部俺の物」というわけで、価値観と解釈は人それぞれだと改めて考えさせられた。こういったトラブルを避けるには、パーティーを組んでしまうのも一つの手である。序盤のパーティープレイはひとつのフィールドで経験値を共有し、それぞれがバラバラにターゲットを狙い、大量の敵を倒すというスタイルになる。例え横殴りをしてもメンバーならばお互いのメリットになるというわけだ。

 一匹の敵を倒す時間が少し長め、という本作のバランスはこのパーティーシステムに非常にマッチしていると感じられた。敵が少し弱いバランスのフィールドで狩りを行なえば、キャラクタはあまりダメージを受けなくなる。一回の戦闘には時間がかかるので、キャラクタが攻撃アクションを繰り返している間、いったんターゲットに攻撃指定をしておけば、後は余裕を持ってチャットで会話を楽しむことができる。危なくなったらスキルや回復アイテムを使えばいい。高レベルになってくれば戦闘はもっと緊張感のあるものになっていきそうだが、こののんびりとした戦いは筆者にはなかなか新鮮だった。

 韓国産MMORPGでは、敵を倒すのに数秒しかかからないため、次から次へと新しいターゲットを狙い、会話をしている余裕がないことも多いだけに、戦闘をしながらも会話が楽しめるというバランスは思い切った割り切りかただ。お気に入りの仲間を見つけて、会話を楽しみながら狩りを続けていればいつの間にか強くなる。のんびりプレイを楽しみたい人にはうってつけのゲームバランスといえるだろう。

 非常にユニークなバランスを持った作品ではあるが、常にギリギリの戦いを志し、キャラクタ強化に特化し、どこまでも高みを目指すというプレイももちろん可能となっている。回復薬を山ほど持って、きついバランスの敵と戦い続ければいいのだ。現在フィールドや街にはレベル10~40ほどのプレーヤーが多いようだが、80を越えるレベル制限のアイテムを身につけたキャラクタもたまにみかけることがある。彼らは効率重視の戦いを繰り返し、高みを目指している。特に魔法型のキャラクタは魔法関係のパラメーターをアップしていけば非常に強力になり、ソロプレイでもキャラクタ育成に特化したプレイが可能とのことだ。

 コミュニケーションを楽しみたいプレーヤーには今後楽しみな要素の実装が予定されている。その際たるものが「マイキャンプ」システムである。さまざまなアイテムを自分の部屋に置き、自由にカスタマイズができる。自分だけの部屋を自慢したり、友人を招待することができるのは、まったり派のプレーヤーに特に喜ばれる要素だ。一日も早い実装を期待したい。

たくさんの露店。無料のためか、プレイしている人も多く、仲間をすぐに見つけられるだろう スキルカード。それぞれのスキルはポイントを使ってレベルを上げていくシステムなため、種類はそれほど多くない 敵をまとめて倒す魔法型のスキル。威力が低いうちは余り強い敵には撃てないとのことだ
本作ではたくさんの敵に囲まれる場合も多い。そんな時パーティーなら安心だ レベル20くらいからは、二人のパーティーで適正レベルの敵を倒すことも有効になる フィールドにはさまざまなオブジェクトがあり、冒険の大きな楽しみになってくれる
レベル20くらいまでの戦場となるマリンデザート。美しい砂浜の中に遺跡がある さまざまな場所にワープできるが、強力なモンスターがひしめいているため、旅行には覚悟が必要である イベントガーデン。今後のイベント開催が待たれる。
メガロポリスと名付けられたフィールドであるが、人影はまだまばらで無人の商店ばかりが並んでいる。今後の賑わいに期待したい 本誌で以前紹介した「マイキャンプ」システムと追加アイテムのスクリーンショット。マイキャンプには数百種類のアイテムを置きカスタマイズが可能だという。こういった場所に友人を呼んで、雑談を楽しむ日が早く来て欲しい

 筆者は正直なところ、現在の本作に対してはもうちょっとアイテムやスキル、クエストにボリュームが欲しいと感じた。前述した横殴りを禁止しているシステムや、パーティーメンバーを検索するインターフェイス、経験値配分まで設定できるパーティーシステムなど、本作はMMORPGが要求する基本的な要素を非常に高いレベルで実現している。フィールドとモンスターも非常に多彩で、現状でもプレーヤーはキャラクタをどこまでも強くできる。しかし、だからこそ、実装が予定されている部分に期待をしてしまう。

 繰り返すが、本作の本当の魅力が明らかになるのはこれからである。それは新しい街が風景としてまだ寂しいところからも感じることができる。本作のフィールドには今後さまざまなアイデアが盛り込まれるであろう「余裕」を随所から感じることができるのだ。何よりも有料化アイテムの導入でこの世界がどんな広がりを持ち、プレーヤーがどんな社会を構成していくかに筆者は興味を持っている。

 どんなアイテムが用意されるのか、今後どんな実装が予定されているのか? 本作のプレーヤーの多くの関心もそこにあると思う。ジークレストには、一日も早い情報の開示とアップデートの実施をお願いしたい。本作はキャラクタイラストの一新というポイントで既に日本でのオリジナル要素をアピールしている。今後も日本のユーザーの意見を採り入れたユニークな展開にも大きく期待したい。

Copyright (c) 2004 GCREST Co., Ltd. All Rights Reserved
(c) Copyright 2004 NtreevSoft Co., Ltd. All Rights Reserved. Ntreev and Trickster are registered Trademarks.


【トリックスター】
  • CPU:Pentium II 400MHz以上(Pentium III 700MHz以上推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上推奨)
  • HDD:1.5GB以上
  • ビデオカード:VRAM 16MB以上(32MB以上推奨)


□ジークレストのホームページ
http://www.gcrest.com/
□「トリックスター」のページ
http://www.trickster.jp/
□関連情報
【1月21日】ジークレスト、WIN「トリックスター」オープンサービスを開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050121/trick.htm
【2004年9月9日】ジークレスト、動物をモチーフにしたかわいいキャラクタが登場
MMORPG「トリックスター」12月よりオープンβサービス開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040909/trick.htm

(2005年2月2日)

[Reported by 勝田哲也]


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