動物をモチーフとしたかわいいキャラクタが活躍する韓国産MMORPG「トリックスター」。ジークレストが日本で運営するにあたり、キャラクタのイメージイラストを一新、より日本人に親しみやすいテイストが加えられた。 本作は1月21日よりオープンサービスを開始した。アイテム課金のシステムを採用しており、基本的なプレイは無料で楽しめる。2Dグラフィックのゲームなため動作環境も軽く、手軽に楽しめる。MMORPG初心者には特におすすめできる作品だ。 現在有料アイテムはまだ未実装になっており、本当の魅力が明らかになるのはこれからと言ったところだが、ちりばめられたクエストやユニークな“ドリル”システムなど、現在でも楽しめる本作ならではの要素はたくさんある。本稿では、「トリックスター」ならではの特徴を中心に紹介していきたい。
■こだわりの2Dグラフィックが楽しめるMMORPG
本作は暖かみのあるグラフィックで統一されており、そのほのぼのとした空気が非常に心地よい。戦闘でも殺伐とした「戦い」といった雰囲気はなく、一生懸命武器を振るキャラクタを見ると、思わず応援をしたくなってしまう。 プレーヤーが選べるキャラクタは、攻撃型、魔法型、感覚型、魅力型それぞれに男女の別があって全8タイプから選択する。攻撃型の女性はバニーの格好をした女子高生、感覚型の女性はキツネの格好をしたメガネをかけた理知的な考古学者と、それぞれイラスト付きで設定されている。イラストは日本で独自に追加されているのだが、ゲーム上のキャラクタと違和感なくマッチしており、イメージを膨らませてくれる。 本作の可愛いキャラクタは操っているだけで楽しい。本作をプレイする上で、モチベーションを上げる原動力となってくれる。回復方法として、キャラクタは「座る」だけではなく、「寝る」こともできる。身体を丸めて丸くなる姿は実にほのぼのとしている。実際のところ、この座ることと寝ることのふたつのアクションを用意していることでのルール的メリットはあまり見いだせないが、プレーヤーキャラクタのアクションが増えていることで、表情が豊かになっている。ゲームの実用性よりも、キャラクタの表現を優先しているところが、本作のベクトルをよく表していると思う。 各キャラクタの攻撃パターンもまた魅力だ。筆者は特にバニーのパンチがお気に入りである。大きなボクシンググローブをはめた女の子が真剣な顔で可愛らしくパンチを繰り出すところなど、本作のセンスの良さが感じられる。他のキャラクタも非常に表情豊かである。 モンスターもまた可愛い。カモノハシはセリフを喋りながら攻撃してくるし、タコのモンスター「フラタコス」はその名の通り、フラダンスの踊り子の格好をしたタコでその外見には独特のおかしさがある。パイナップルのモンスターはやられると輪切りになるし、シェルクラブは貝殻の中から白旗を取り出す。彼らの凝ったキャラクタパターンに対する制作者のこだわりは感心させられるものがある。 しかし、ちょっと疑問に思うのが、キャラクタの個性的な攻撃アクションは武器や防具を手にしていない時に限られているという点だ。剣や盾を装備すると、8種類のキャラクタがすべて没個性のモーションになってしまうのだ。剣と盾はキャラクタを強化する上で必要な装備であり、キャラクタ独自のモーションを楽しむには、これらを外した不利な戦いを覚悟しなくてはならない。ちょっと謎の仕様である。 本作は、「装備品のレベル制限」が徹底しており、各キャラクタの装備はレベル10ごとで厳密に規定され、職業ごとの選択肢もない。レベル20ではこれ、30ではこれ、というようにすべてのキャラクタが全部同じ装備になってしまうのだ。服装や装備に関する自由度が少ないのは残念な部分である。もっとも、こういった不満を有料化アイテムで解消するというのが本作の狙いなのかもしれない。現在、公式ページでは有料化のプランに対してはまったく明らかにされていない。ジークレストの今後の対応に期待したい。可能ならば日本のユーザーの意見も採り入れた展開を望みたいところだ。 とはいえ、こだわりの2Dグラフィックとシンプルな要素、さらに基本システムが無料というポイントは、女性や低年齢層のユーザーなど、初心者にオススメできる作品である。韓国産MMORPGの入門作品として、チャレンジしてみてはいかがだろうか?
■ドリルシステム、クエストなど、本作ならではの要素
本作の最も個性的なシステムは、「ドリル」システムだろう。本作は戦闘とは別に、ドリルを使って地面を掘ることでさまざまなアイテムをゲットすることができる。Dキーを押すことでキャラクタはドリルを構えるグラフィックにチェンジ、マウスボタンを押すことでドリルを使って地面を掘ることになる。ゲージが一杯にならないように、タイミングを計ってボタンを離したりして、地面を掘り進んでいく。 ドリルを構えるグラフィックは専用の物が用意されており、ここでもキャラクタならではの表情が楽しめる。アイテムがなかった場合は、どばーっと涙を流したりとコミカルだ。ドリルを掘るタイミングはちょっとしたミニゲーム風で、本作の良いアクセントになってくれる。この探索に夢中になってしまうプレーヤーも多いだろう。なかなか新鮮な感触を持った要素である。 掘り出したアイテムは街のクエストで使用する。街にはアイテムを求めているNPCがいて、彼らの求めるアイテムを渡すことができればお金などを得ることができる。埋まっているアイテムはフィールドである程度決まっているが、非常に多くの種類のアイテムが埋まっている場合があり、なかなか目的のアイテムが見つからない場合がある。 ここで役に立つのがプレーヤー間の取引だ。本作でも韓国産MMORPGではおなじみとなった露店システムが導入されており、これらをうまく活用すれば、クエストをうまくこなすことができるだろう。多く取ってしまったアイテムを売りに出すことも可能だ。高価で取り引きされるアイテムを求めて、ダンジョンの深奥部までドリルを担いで旅立つプレーヤーもいるという。危険な場所に行くにはそれなりの強さが必要となるが、探索に集中したプレイも可能になっている。 クエストは戦闘に関しても用意されている。モンスターギルドには、決められた時間に一定数の敵を倒すクエストが用意されている。こなすことでボーナスの経験値をもらうこともできるので、クエストによるレベル上げも可能だ。決められた時間内に多くの敵を倒したり、最短時間で敵を倒すことでランキングに登録される。現在のバランスでは、短時間で敵を倒すのは魔法型のキャラクタの方が有利なようだ。 装備アイテムの他に、キャラクタの個性を出すものとして「ペット」がある。レベル20まではペンギンだけだが、それ以上になると、それぞれのキャラクタをモデルにした多彩なペットを連れて歩けるようになる。高レベルになると、妖精や風船といったユニークなペットもお供にできるようになる。それぞれのペットは決められたステータスを強化させてくれるというメリットがある。攻撃や探知能力など、キャラクタの利点をさらに伸ばすか、弱点を補強するかといったポイントで選ぶのも良し、デザインで選ぶのもありだろう。小さな手足でよちよちと、一生懸命プレーヤーキャラクタの後を追いかけるペットの姿は、とてもかわいい。 また、モンスターを倒したり、クエストをクリアするとカードが入手できる。コレクション欲を刺激してくれるほか、カードゲームを楽しむことができる。街での雑談時など、楽しいコミュニケーションツールになってくれるだろう。
■独特の「まったり感」をもったゲームバランス 本作の戦闘バランスはレベル10あたりから明確になってくる。本作では全体的に敵の体力の設定が高めで、一匹倒すのに時間がかかる。ところが敵がリポップする速度は速く、フィールドは常に多くの敵がいる状態になる。このため自分から攻撃してくるアクティブな性格付けをされている敵のいるフィールドではあっという間に囲まれてしまう。ギリギリの強さの敵と戦っている場合は注意が必要だ。本作では敵は数歩離れると追いかけてこないというユニークな性格付けがされているので、囲まれそうになったら逃げるという作戦が非常に有効である。 筆者は正直なところ、現在の本作に対してはもうちょっとアイテムやスキル、クエストにボリュームが欲しいと感じた。前述した横殴りを禁止しているシステムや、パーティーメンバーを検索するインターフェイス、経験値配分まで設定できるパーティーシステムなど、本作はMMORPGが要求する基本的な要素を非常に高いレベルで実現している。フィールドとモンスターも非常に多彩で、現状でもプレーヤーはキャラクタをどこまでも強くできる。しかし、だからこそ、実装が予定されている部分に期待をしてしまう。 繰り返すが、本作の本当の魅力が明らかになるのはこれからである。それは新しい街が風景としてまだ寂しいところからも感じることができる。本作のフィールドには今後さまざまなアイデアが盛り込まれるであろう「余裕」を随所から感じることができるのだ。何よりも有料化アイテムの導入でこの世界がどんな広がりを持ち、プレーヤーがどんな社会を構成していくかに筆者は興味を持っている。 どんなアイテムが用意されるのか、今後どんな実装が予定されているのか? 本作のプレーヤーの多くの関心もそこにあると思う。ジークレストには、一日も早い情報の開示とアップデートの実施をお願いしたい。本作はキャラクタイラストの一新というポイントで既に日本でのオリジナル要素をアピールしている。今後も日本のユーザーの意見を採り入れたユニークな展開にも大きく期待したい。
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□ジークレストのホームページ
(2005年2月2日)
[Reported by 勝田哲也]
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