零戦で、隼で、太平洋の空に戦う 日米戦を描いた「IL-2」シリーズ最新作 PACIFIC FIGHTERS |
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というわけで、今回紹介する「PACIFIC FIGHTERS」は「IL-2 Sturmovik」シリーズで名を馳せたソフトメーカー 1C:Maddox Gamesの最新作。ファン待望の太平洋戦争を舞台にした本格コンバットフライトシムだ。
■ トラ・トラ・トラ!
空母「赤城」から発艦する零戦21型。このゲームを最も象徴する情景のひとつ |
同シリーズは、前作「IL-2 Sturmovik: Forgotten Battles」(IL-2 FB)まで第二次世界大戦の独ソ東部戦線という、一般の日本人には馴染みの無い戦場をテーマとしていたため、その完成度が日の目を見ることはなく、国内知名度は今ひとつ振るわずマイナーに終わっていた。しかしシリーズ最新作となる本作「PACIFIC FIGHTERS」の舞台となるのは、その名の通りズバリ「太平洋戦線」。日本人にとって馴染み深いどころではなくまさに当事者であった戦場だ。
零戦や隼など日本製の軍用機が登場し、真珠湾やミッドウェイなどの戦場が舞台となるわけで、これで「IL-2」シリーズの良さを多くの一般フライトシマーに気づいて貰えると、一人の日本人フライトシマーとしてひそかにほくそえんでいる。他メーカーからは欧州戦線を舞台にしたコンバットフライトシムばかりがリリースされる昨今、日本機に飢えているコンバットフライトシムファンのみならず、日本機のフォルムが好きだ! というフライトシム未経験の方にもお勧めしたい作品というわけである。
現在のところ、本作で登場する操縦可能(フライアブル)な航空機は米英軍16機種43バリーエーション、日本軍6機種20バリエーションとなっている。日本軍機のバリエーションは零戦、隼、飛燕、疾風などの各発展型がマニアックに網羅されており、それぞれの装備や性能の違いを実際に操縦して確かめることができる。
たとえばご存知の零式艦上戦闘機(A6M)は、終戦まで後継機種に恵まれなかったため改良型の多いことで有名だが、本作では制式初期型のA6M2から、A6M21、 A6M2N、 A6M3、 A6M5、A6M5a、A6M5b、A6M5c, A6M7-62, A6M7-63と、実際に戦場に投入された型をほぼ網羅し、姿形だけでなく性能の微妙なちがいも史実に基づいて設計されている。
しかし残念ながら日本軍の機種には製作が発売に間に合わなかったものがあり、米英側に比べて種類の少なさを感じるところは否めない。ただ、開発元のMaddoxによると現在不足している機体は今後のパッチで追加すると確約しているので、状況は近く改善されると思われる。
零式艦上戦闘機21型。日本の最も有名な航空機だろう | 99式艦上爆撃機。爆弾投下後は驚くほど運動性が良い | 二式水上戦闘機。IL-2シリーズ初のフライアブル水上機だ |
陸軍航空隊の花形、隼。軽快だが火力不足が難点 | 飛燕。一撃離脱型の機体で、玄人好みな直線的な性能 | 疾風。大東亜決戦機と呼ばれた本機は本作でも高性能 |
■ 「IL-2 Sturmovik」シリーズの特徴を受け継いだゲームシステム
「FB+AEP+PF」の組み合わせでインストールした場合のロード画面。えらくにぎやかだ |
飛燕のコックピット。計器類のラベルまで再現されている |
海面に空母がおぼろげに反射しているのがわかるだろうか |
本作「PACIFIC FIGHTERS」は「IL-2」シリーズの後継作で、プログラムとしては「IL-2 Sturmovik: Forgotten Battels ver 3.0」と同等の内容となっている。したがってゲームシステムの特徴はシリーズを継承・改良したものになっており、一部の機能追加・調整を除けば前作からのドラスティックな変更点はない。このため本作は単体でプレイできるほか、前作「IL-2 FB」とその拡張パックである「Aces Expansion Pack」(AEP)に追加インストールして「FB+AEP+PF」という組み合わせの1ソフトウェアにしてしまうことも可能だ。3本を組み合わせた場合、操縦可能な航空機のバリエーションはなんと合計180種類近くにもなり、ドイツと日本の戦闘機連合で米軍のB-29を迎撃する、なんていう組み合わせも可能になる。
と、これだけでは本作からプレイしようと考える多くの方々にとって説明不足となってしまうので、各要素を詳しく見てみよう。
・グラフィック
「IL-2」シリーズの特徴として、非常に精密な高ポリゴンの航空機モデルが挙げられるが、これは「PACIFIC FIGHTERS」でも申し分のない完成度だ。外面だけでなくコックピット内部の作りこみも徹底している。実際に動作する計器のひとつひとつをズームインして観察してみると、これほど精密なコクピットを日本軍機で再現したフライトシムがかつて存在しただろうか、と思わず溜息をついてしまうほど。フライアブルな機体すべてがこの調子で、可能な限り正確な史料に基づいてフライトモデルを製作するというこだわりの姿勢は、シリーズを通して一貫しているポイントだ。
また、今回は洋上がメインフィールドというだけあって水面の表現が特に進化している。前作「FB」から導入されたバンプマップでの水面の凹凸表現をさらに改良し、船などのオブジェクトが水面におぼろげに反射するようになり、艦艇の存在感、海に浮いているという臨場感が増した。また海岸線は南の島らしいエメラルドグリーンの浅瀬を再現、海底が深くなるに従って、深い青へとグラデーションする表現が美しい。広大な海と小さな島々が主な舞台となる本作だけに、こういった部分できちんとクオリティを上げてきているところは高く評価できるポイントだろう。全体としての絵作りは単にフォトリアリスティックというよりは、明るくてさわやかな印象を受けるが、そのために各種計器や敵機、艦艇の視認性は高くストレスを感じることはない。
・フライトモデル
前作の経験者ならおなじみの本シリーズのフライトモデルはかなりリアル寄り。機体の性能は可能な限り史実に即する内容で再現され、無理な機動をおこなえば失速し、最悪の場合制御不能に陥る。回転するプロペラのトルクが機体を傾かせ、適切なプロペラピッチ、燃料混合気比率を与えなければ推進力がダウンする。機体が被弾すれば、損害の個所や程度に応じて挙動が変化する。こういった「現実的」な挙動はフライトシム初心者には多少厳しくもあるかもしれないけれども、空を飛ぶこと自体の楽しみを与えてくれる適切なリアリズムは今日的なフライトシムには必須のもの。それでも、あまり難しい操縦を好まない向きには至れり尽せりの難易度調整機能が付いているので安心されたい。
そして筆者が特に注目したいポイントとして、本シリーズのフライトモデルが大気の「厚み」や「硬さ」をよく感じ取れる挙動を示すところを挙げたい。特にそれを感じるのは限界に近い急旋回をする時などに発生する機体の微細な振動。翼端失速を起こしつつある機体がガタガタと振動し、大気の粗密が機体にぶつかってくる感触が伝わってくる。操縦桿の操作に対して、機体やコクピットが震えるという視覚的に表現されるにぶい反応が、機体が失速ギリギリの状態にあることを教えてくれる。
穴だらけになった機体。外板が剥離した翼は浮力を失い、機体は不安定になる | 対空砲の直撃を受けて後ろ半分を失った97艦攻。木の葉のようにきりもみ状態で落下していく | 哀れ機体は粉々に。粉砕された各パーツのばらけっぷりが素敵である |
感度調節画面。インターフェースは全体的にシンプル |
リアルよりのフライトシミュレーターとして作られている本作だけに、操作に必要なキーの数はそれなりに多い。基本的な操縦に必要なものだけでも、機体のピッチ、ロール、ヨーの各軸、スロットル、ギア、フラップの上げ下げ、そして本作で追加された空母への着艦に必要なフック操作や主翼の展開・収納、また視点の各種操作など……。これらの操作というのはフライトシム経験者にとって空気や水のようなものなのだが、本作のテーマに惹かれてこれからフライトシムの世界に足を踏み入れようとする人にとっては過酷な内容であることは疑いない。
それだけに、ゲームとしてのフライトシムにはわかりやすくて柔軟なカスタマイズ機能が要求されるわけなのだが、その点、本シリーズの扱いやすさは十分な水準だ。キー設定機能は全ての項目がずらっと並んでいるために最初は圧倒されるだろうが、シンプルで理解しやすいつくりだ。また、複数のジョイスティックへの対応、各軸の感度調整機能、感度の段階調整機能、マウスでのなめらかな視野操作機能。さらにヘッドトラッキングデバイス「TrackIR」にも対応しており、モダンなフライトシムに必要とされる各要素をしっかり押さえている。そういった「IL-2」シリーズの良さを継承している本作は、長く楽しめる趣味としてのフライトシム入門用ソフトとして考えても申し分ない内容であると言えるだろう。
英文の無線テキストにあわせて、つながりのおかしい日本語音声が…… |
サウンドエフェクトに関しては前作「Forgotten Battles」からの大きな変化は見られない。リアル感に富み説得力のあるエンジン音等の各種効果音は本作でも健在。キャノピーの遮音効果を加味して生成される臨場感のある音響や、ドップラー効果の効いた航空機の通過音のかっこよさは本シリーズならではの特徴といえるだろう。ただ日本軍機のエンジン音が前作でのドイツ戦闘機の使いまわしになっている点は残念。可能ならば現存する「栄」や「誉」エンジンで録音したエンジン音を当てて欲しかった、といのは贅沢すぎる要望だろうか。
本作で導入された日本軍の空中無線についても触れておこう。本作では戦争初期における旧海軍機の無線が史実的に性能不十分であったことを再現しており、一部の海軍機では基地への通信を除いて無線機能が利用不能になっている。このため、真珠湾攻撃やミッドウェイ海戦のミッションをプレイするときには編隊機に対して細かな指示を出すことができないという内容になっている。こういったミッションでは戦闘に入る前にあらかじめ編隊を有利な位置に誘導しておくような慎重さが必要不可欠となるだろう。陸軍機や、戦争後期の海軍機にはこういった制限はない。
もうひとつ、気になる日本軍無線の音声データについて。実は筆者本人が、数ヶ月前、開発会社1C:Maddox Gamesが公開フォーラムで行なった「日本軍無線の音声データを録音できる、日本語話者の協力が欲しい」という呼びかけに応じて、ボランティアで無線の音声データを吹き込んでいたりする。つまり、日本軍無線の音声データの一部に筆者の声が使われている。録音内容については、一人の「IL-2」ファンとして最良のものを目指したつもりではあるけれども、結果でき上がったものの評価については本作をプレイされる諸氏にゆだねたいと思う。
……と思ったのだが、完成したゲームを手にしてすぐ、大問題が発生していることに気が付いた。なんと無線の内容や構造がゲーム完成前の土壇場で変更されたらしく、録音したものと実際のゲームのものとで不整合が発生。Maddoxは新しい無線仕様に変更前の仕様で作られた音声データを無理矢理、おそらくファイル名だけを頼りに詰め込んだようで、いくつかの部分でおかしなことになってしまっていた。一部抜粋するとこんな感じである。
「護衛部隊の合流に感謝する。ありがたい、護衛に感謝する。さらばだ、また会おう」
「注意!目標敵戦闘機、行くぞ!10時方向~」
「これより、我々は攻撃を開始する。敵艦船!目標!」
多分、日本語を解するスタッフのいないMaddoxはこの問題に気づいてさえいない。というわけで現在、私は問題の音声データの修正作業を進めている。うまくいけばリリース後最初のパッチで対応できることになるかもしれないけれども、それまで、ヘンなつながりの日本語を聞かされることに対してどうか御容赦を頂きたい。
■ 太平洋に浮かぶ艦艇、そして空母。着艦は楽しい!
甲板上で発進を待つ飛行中隊 |
発艦する99艦爆。背後に待機中の機体群が見える |
やはり、本作の目玉は太平洋戦線を再現する上で必須の艦艇が多数再現されていることだろう。日米両軍で30種を超える戦闘艦艇に加え、本作から導入された最重要ポイントとして「航空母艦」が登場。登場する空母として確認した限りでは、日本海軍には「赤城」と「翔鶴」級。対する米海軍には「レキシントン」、「サラトガ」級や商船を艤装した護衛空母が確認された。そのどれもが「IL-2」シリーズの例にもれず素晴らしい3Dモデリングの精度で、なおかつ実寸で再現されている。
さて、本作の空母は現実と同様に、いわば移動する基地。空母はプレーヤーがミッションを遂行する間も航行を続けており、マップ画面にオブジェクトアイコンを表示する設定にしておかないと長い空戦のあとに見失ってしまうこともしばしば。海戦を再現するミッションでは、帰るべき空母が撃沈されて残りの空母に着艦要請が殺到、着艦の順番が回ってこないうちに燃料切れで墜落したりとなかなか手厳しい。
そして今回、なんといっても楽しいのが着艦だ。海軍機のキャンペーンをプレイする限り、何十回何百回と成功させなければならない着艦。単なる飛行機ゲームではなくハードコアなフライトシムでもある本作では、現実で難しいと言われる着艦は、やっぱり難しい。着艦するには飛行甲板の前半部、わずか幅20メートル、長さ50メートルあまりの空間めがけて機体を失速させ、設置されている数本のワイヤに機体尾部の着艦フックをひっかける。わずかでも速度が速すぎれば尾部が浮き上がってしまいダメ、遅すぎては艦尾に接触してコナゴナ。意図的にギアを破損したり、ひっくり返って羽根を砕いたりすれば甲板上で停止することができるけれど美しくない。オートパイロットにすれば完璧な着艦を披露してくれるけれど、面白さを失う。
というわけで、きれいな着艦をするには正確な舵の操作はもちろん、的確なスロットルコントロールが必要不可欠。失速ぎりぎりの低速でふらつく機体をうまく制御するために大変神経を使わされるのだが、フライトシムファンにとってはこれこそが醍醐味といえるだろう。長く激しい戦闘で被弾した機体を生還させねばならないときなど、ただでさえ神経を使う着艦のシーケンスに加えて機体の不安定が加わり、ついでに悪天候ならなおさらハードになる。
さて、登場艦船のヒストリカルな側面に目を向けてみよう。さすがに製作できるモデルの物量に限りがあるため、いかんせんすべての艦艇が再現されているわけではなく、真珠湾攻撃ミッションで停泊している戦艦はすべて英国のキング・ジョージ5世級だったりする。ミッドウェー海戦ミッションでも日本海軍4隻のうち2隻が赤城だったり、米海軍に「ヨークタウン」も「エンタープライズ」も居ないばかりか、エセックス級が登場するなど、艦隊の再現が不完全であるところに不満が残った。せめて、蒼龍、飛竜あたりは登場させて欲しかった……というのは欲張りすぎだろうか。ただ、終戦間際に日本近海で多数動員された武装漁船がモデル化されているあたりに、このシリーズならではの細部への目の行き届きぶりが感じられて思わずニヤけてしまった次第だ。
■ 真珠湾から、ミッドウェイ、沖縄、九州まで。太平洋を股に掛けた大航空戦を追体験する
各ゲームモードには、このシンプルなメインメニューからアクセスする |
・シングルミッション
文字通りあらかじめ用意された単独のミッション群。日米それぞれの機体を選択し、真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦などのヒストリカルな戦い、あるいは空母の離着艦のようなトレーニングを行うことができる。
・ダイナミックキャンペーン
「ダイナミックキャンペーン」あるいは「パイロットキャリア」は、本作のキモと言えるゲームモードだ。ミッションは計算により自動生成され、プレーヤーがミッション目的を果たすたびに、戦況に応じて新しいミッションが発生していく。ここでプレーヤーは一人のパイロットとして終戦までの長い長い戦いを続けていくことになるわけだ。
・クイックミッションビルダー
正確にはゲームモードと呼べないかもしれないが、このミッション編集機能を使って、敵・味方の航空機の種類と数を自由に設定してサクッと戦闘を行なうことができる。戦場と時間、状況の有利不利なども大雑把に指定することができるので、特定の状況に限定して練習するときに重宝するゲームモードだ。キャンペーンやシングルミッションでは現れない特殊な組み合わせを試したり、AI機だけを登場させて高みの見物をするのもまたおもしろい。
・フルミッションビルダー
こちらはゲーム中に登場するあらゆるオブジェクトを配置できる、完全なミッションエディタとなっている。一見しただけで操作方法を理解できるクイックミッションビルダーと違って一通りの編集ができるようになるまで若干の学習が必要になるが、基本的には任意のオブジェクトをリストから選んで配置していくだけのシンプル設計。シリーズを通して搭載されてきた機能であり、これまで多数のユーザー作成ミッションが共有されてきた実績がある。
・マルチプレイ
本作のマルチプレイは「Quake」や「Counter-Strike」のようにプレーヤー自身がホストする方式で、専用のサーバーでは同時最大128人までのプレーヤーが参加可能であるとアナウンスされている。モードとしてはチーム同士で戦うドッグファイトモードに加え、AI機の登場するミッションを共同で行なうコオペレーティブ、さらにキャンペーンモードもマルチプレイで行なえる。「All-Seeing-Eye」などのサーバーブラウザにも対応しているので、相手がみつからない、なんて心配は無用だ。
シンプル・イズ・ベストなクイックミッションビルダー。筆者の場合、まったり練習飛行によく利用 | フルミッションビルダーより沖縄。海外ゲームで日本の正確な地図を見せられるのは複雑な気分? | こちらは九州マップ。と説明するまでもない説得力に満ち満ちた地形である |
さて、シングルプレイゲームの要である「ダイナミックキャンペーン」。レビューの執筆までにプレーできたのは18ミッション。今回は真珠湾攻撃から日本海軍の戦闘機パイロットとしてのキャリアを開始、18ミッションを経過して現時点では1942年10月25日、ガダルカナルを巡る、いわゆる南太平洋海戦の前夜となっている。
「IL-2」以降、東部戦線をテーマにした前作までのキャンペーンゲームは、パイロットが負傷しなければ連日、開戦の1941年から終戦までほとんど休まず飛びつづけるという地獄のような内容だったが、太平洋戦争の特殊性を考慮した本作では趣が変わった。
本作のキャンペーンは史実における有名な海戦・航空戦を転戦するパイロットのキャリアを再現しており、1ミッションで進む時間は数時間と前作に比べ短くなったものの、数日の連続した戦闘が終結すると、次の戦いまで数ヶ月が自動的に経過するという形になっている。今回のプレイでは1941年12月7日の真珠湾攻撃を皮切りに、翌年5月6日~7日の珊瑚海海戦と6月4日~6日のミッドウェイ海戦の実質4日間でおおむね12ミッションをこなしたフライトログが残っている。前作では同じ期間に50~60ミッションを必要とした記憶があるので、キャンペーン全体としては短くなっているのかもしれない。
ハワイ沖、朝もやの中出撃を待つ第一次攻撃隊 | 爆弾を抱えた艦爆が次々に発艦していく | 編隊を組み、一路真珠湾をめざす。長い巡航時間がキビシイ |
午前7時。朝日もまぶしい真珠湾は霧の中 | 停泊中の戦艦めがけて急降下していく | ダイブブレーキを出し、照準を覗いてタイミングを待つ |
■ まとめと今後の課題 - ボリュームの不足は早急に改善されることを望む
キャンペーン進行中。このミッションはウェーキ島への攻撃 |
しかしさすがに、細部のリアリティや純粋なゲームとしての遊びやすさを求めてしまうと不満がないといえば嘘になる。ひとつはプレーヤー以外の航空機や艦艇が全てAIであることからくる単調な戦術。たとえばミッドウェイ島の凄まじい対空砲火に飛び込んだ挙句、同数のF2A戦闘機に食いつかれ、低空を這いずり回ったあげく全滅させられる零戦隊であるとか、敵空母に対して数機ずつばらばらに攻撃をしかけて各個撃破される艦爆部隊。前作から変わらず6時につけばすぐに失速機動へと入る敵戦闘機など、パターンにはまった行動しか取れないのだ。
太平洋上を舞台にするゆえの、戦場の遠さも問題と言えるかもしれない。ところによってはゲーム内時間で片道40分の巡航、これは本作から導入された高速タイムスキップ機能で緩和され実時間では5分程度となるものの、繰り返すとやはり少々辛い。
厳しい目で見るとこれらの不満点が出てきてしまうのだが、こういった複雑な要素がからむ問題はシングルプレイのリアル系コンバットフライトシムとしては避けがたい限界なのかもしれない。
しかし「IL-2」シリーズ三作を通して200近いフライアブル機を製作した実績あるMaddoxである。まずは、実装が予定されながらも本稿執筆時点では間に合わなかった機体、あるいは不足しているシングルミッション等、コンテンツボリューム面の改善を期待しておこう。現在、本作「PACIFIC FIGHTERS」の購入を検討し迷っている方においては、今後のパッチの出揃い具合を見てから判断しても良いのではないかと思う。
【空母決戦】 | ||
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激しい水しぶきが上がる中、緊急出撃 | 迫るSBDドーントレスの群れ | 生かして返さんよ! とばかりに敵機をめったうちにする |
直撃弾を受け炎上、大破しながらも対空砲で奮闘する母艦 | かたきは取る!と爆弾投下後の敵機を追撃 | しかし健闘むなしく、母艦は海の藻屑と消えた |
【空母決戦】 | ||
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B25を迎撃する「隼」 | 火力の弱い隼では精密な射撃を長時間浴びせる必要があって難しい | 射撃に集中しすぎて接触……翼が取れてしまった |
複数の編隊機が一機のP40に追いすがる。海軍と違って陸軍航空隊では開戦初期から空中無線が利用できるので、多数を少数にぶつける戦法をうまく活用して戦局をコントロールしよう。 |
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[Reported by KAF@ukeru.jp]
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