2003年度のGame of The Yearsを獲得した CoDに待望の拡張パックが登場! Call of Duty: United Offensive 完全日本語版 |
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筆者が「Call of Duty」本編で特に印象深かったのがソ連軍のステージで、武器も持たされずに「母なる大地ロシアの為に戦え!!」といわれ、敵のマシンガンや戦車の待ち構える広場に投入され、引き返そうものなら反逆者として味方のマシンガンで射殺されてしまう一人背水の陣といった場面。映画「スターリングラード」の冒頭を彷彿とさせるが、ちょっと油断した瞬間に死んでしまうシビアさが、プレーヤーが戦場にいるということの臨場感を際立たせ、筆者にその場に居るかのような錯覚を感じさせたものだった。
有名戦争映画で見られるシチュエーションを舞台に戦友達との協力を描いて2003年にはゲームオブザイヤーを獲得し、MoHと肩を並べるほどのゲームとして成長した「Call of Duty」。今回は、期待の拡張パック「Call of Duty:United Offensive」を紹介しよう。
■ 合計13にも及ぶ新たなシングルミッションを通してドイツ軍を蹴散らせ!!
「Call of Duty」では「ノルマンディ上陸作戦」、「ペガサスブリッジ攻防戦」、「スターリングラード」といった激戦地を題材にしていた。今回の拡張パック「Call of Duty: United Offensive」では、米英ソというプレーヤーが所属する軍こそ前作同様だが、新たに「バルジの戦い」、「シチリア島侵攻」、「クルスクの戦い」を中心に戦いが描かれている。では、実際の画面写真を用いて各国のミッションを紹介していこう。
【米軍ミッション】
早期終戦ムードが漂い、連合軍は油断をしていた。突如としてアルデンヌの森林から現れたドイツ装甲軍が一気に進撃することになる。プレーヤーは第101空挺師団のライリー二等兵を操作し、ドイツ軍の侵攻を食い止めるべく戦うことになる。
デモ版でもプレイ可能だったステージ。哨戒任務が終わりかけた頃に敵の小隊とはちあわせになり、数で押されて劣勢になってしまう。前線から撤退後、敵の前線部隊を迎え撃つべくバズーカや新規追加されたマシンガン等を駆使して敵の進撃を阻止する |
「バンド・オブ・ブラザーズ」の1シーンを彷彿とさせる場面。敵の砲撃や銃弾をかいくぐりながら徐々に侵攻していく。こちら側は敵から丸見えなのに対し、敵側は建物の中などからスナイパーが狙ってくる。そのため、スナイパーを処理しなければならないのだが、ぼさっと建物をみているとすぐに眉間を打ち抜かれてしまう |
【英軍ミッション】
プレーヤーが操作するのは英国空軍に所属するB-17乗組員のドイル軍曹だ。爆撃後に敵のBF109の攻撃によって緊急脱出を余儀なくされるが、後に英軍の特殊工作部隊と合流し行動を共にして戦っていくことになる。
この空中戦ミッションは、本作が本当に「Quake 3」エンジンを使用しているのか疑わしくなってしまうほどに美麗な画面を見ることができる。迫り来るBF109に対して機銃で応戦するが、下手をすると機関部を破壊されしまうことも。上手く敵機を撃墜することができると、爆発する機体から投げ出される敵パイロットの姿も確認できる。細かい演出だが、そこまでやっているのかと驚かされた |
【ソ連軍ミッション】
プレーヤーはユーリという名前の兵士を操作し、ツィタデレ作戦(クルスクの戦い)を手始めに、ポニリ、ハリコフと大戦車戦が行なわれた戦場を転戦していくことになる。
さて、「戦場を描く」という点から考えると、これらのスクリーンショットを見て頂いてもわかるとおり、本作はすばらしい完成度を誇っている。しかし、筆者がシングルモードで遊んでいて一番気になったのは別な点、自由度の低さという部分だ。本作では、プレーヤーがマップ内で制作者の意向に逆らった動きをすると、すぐに砲撃で即死してしまう。
たとえば、「バルジの戦い」では、塹壕から這い上がり、別の塹壕に援護に行く際に、本来行くべき方向とは別の方向に進もうとすると敵の砲撃で即死してしまう。つまり、一連のストーリー展開におけるプレーヤーの自由度は実に非常に狭いのだ。せっかくここまで広大なフィールドを表現しているのだから、プレーヤーにはもっと行動可能範囲を広げるなどして自由度を与えて欲しいと思ってしまう。とはいっても本作はスクリプトで進行するゲームなので、そこまでの自由度の高さを求めても仕方ないかもしれない。
もう一点気になったのは、いつまでたっても建物の中から沸き続ける敵兵だ。遠距離で機銃を撃ってくる敵をライフルで射殺した際、少し時間が経過すると代わりの兵士が建物内から沸いてくる。試してみたら、90人射殺してもまだまだ敵が湧いて出てくるため、建物内にいったい何人がつめこんでいたのかと興ざめしてしまったぐらいだ。いくらスクリプトといえど、こういった荒い演出があるというのは少々残念ではある。
同様に、制限時間いっぱいまで防衛しろというミッションでも、毎回同じところからドイツ兵がでてくるので、出てくる→撃つを繰り返す単なる作業になってしまう傾向にある。このあたりの「Medal of Honor: Allied Assault」から続く一連のスクリプト偏重型のゲームデザインは、一長一短あって一概に非とは言えないが、繰り返しのプレイに向いたゲームではないことは間違いない。
■ 砂塵の粒子まで再現し、空気感に説得力を与える「パーティクルシステム」
FPS(一人称視点)のゲームは主人公の目で見ているものを、モニターを介してプレーヤーが見ている。オーバーにいえば、その場に居るかのような表現をしているのであり、それゆえにウソ臭い爆発エフェクトや、演出を目の当たりにすると、プレーする気力がそがれていってしまうことが多々ある。特に第二次世界大戦のゲームはリアル志向なゲームが多く、表現力を競っているのではないか? と思えるくらい戦場をリアルに描くということに力が注がれている。
今回実際に日本語版をプレイしてみて印象深かったのはグラフィック面での向上だ。特に「パーティクルシステム」(粒子表現)の強化は大きく、これまでスプライト(平面的なポリゴン)の組み合わせだけで誤魔化していた爆発を、今作では爆発時におきる砂塵や煙などを粒子で描いて爆発表現に加えている。このため迫撃砲の着弾や、戦車の爆発時の演出がこれまでになかった物になり「本当に近くで爆発しているのでないか」と錯覚させるほどの迫力を味わせてくれる。
しかし、一方で「パーティクルシステム」の演出が際立ってしまうため、他の1枚絵のスプライトでの組み合わせで表現している部分が浮き彫りになってしまい、見る角度によっては逆に酷く違和感を感じてしまうこともある。これは今後の表現を向上させていくための課題となるだろう。
画面をみてわかるとおり、「パーティクルシステム」の強化により、雪原での爆発による砂塵の舞い方が非常にリアルに表現されている。また、戦車が燃えている煙などもモクモクと煙が吹き上がる様子が綺麗に演出されているのも注目して欲しい |
「パーティクルシステム」の強化により効果が甚大となったのがスモークグレネード(煙幕弾)だ。煙の有効範囲が広く、部屋の中などで使用すると、あっというまに視界が悪くなる。屋内では部屋に入ったはいいが、どこから出れるのかすらわからなくなってしまう。敵戦車へと近づくために使うと効果覿面だ |
■ 多くの追加要素が盛り込まれ、より一層熱くなったマルチプレイ
今回の拡張パックのマルチプレイでは3つの新モードが追加されている。まず、互いの基地の主要ポイントの制圧を目指すBase Assault。CTFという名前でよく知られている、旗取り合戦のCapture The Flag。そしてMAP上のエリアを徐々に制圧していくDominationだ。
ちなみに、「Call of Duty」のサーバーは現在日本国内に60人が同時に参加できる規模の物が存在している。CTFやDominationなどの対戦は規模が大きければ大きいほど盛り上がるため、マルチプレイの盛んな「Call of Duty」シリーズの上記の新ゲームモードが追加されたのは大きな魅力だ。
これが新しいゲームモードのBase Assaultでの目標となる建物だ。戦車などでこの建物を攻撃すると崩壊し中に侵入可能な状態となる。地下へおりるとそこにはすでに爆薬がおいてあるのでこれを起動し、爆発させればベースを落としたことになる。見事爆破すると、派手な爆発エフェクトと共に、戦功としてプレーヤーキャラクタの階級が上がる |
「Call of Duty: United Offensive」のマルチプレイで追加になるマップは10個。対戦人数やプレーヤー人数が増えることを想定してなのか、前作の2倍以上のサイズを誇るマップもある。当然、シングルプレーヤーで登場したクルスクやハリコフなどかも登場する。すでに「Call of Duty」を遊び倒して同じマップをただやり続ける状態に飽きが来ている人には嬉しい追加要素だろう。
また、本作は拡張パックということもあり、新たに武器が複数追加されている。まず、一番の目玉なのは、軽機関銃だろう。この軽機関銃、立った状態での射撃は不可能だが、匍匐状態でマウントさせれば銃座が固定され、連続射撃が可能となる。敵が通ることがわかっている部分に向けて設置すれば、一気に敵をたたくことも可能だ。
また、火炎放射器も追加された。マルチプレイの際に数回使ってみた限りでは、現在マルチプレイが可能なサーバーの多くは開けているマップを使っているため、残念ながら火炎放射器をあまり有効に使うことはできなかった。やはり、市街戦の細い路地など待ち伏せて使うと恐るべき効果を発揮することだろう。
加えて今回の 「Call of Duty:United Offensive」からマルチプレイで新たに階級の概念が追加された。プレーヤーは二等兵からスタートし、サーバーでの活躍具合により、昇進、降格などがされていく。当然ただ階級が上がるだけでなく、それぞれには階級に応じた追加装備(所持弾薬が増えたり、双眼鏡が与えられたり)が与えられる。例にあげると、シングルプレーヤーで使用が可能だった「砲撃要請」が最上級のクラスでは使えることになる。(サーバーの設定によって使えない場合もある)
さて、ここまで紹介しただけでも本作の結構なパワーアップぶりだが、今回の拡張キットではユーザーからの要望の多かったマルチプレー時の戦車やジープなどの車両に搭乗が可能となり、より一層戦いの幅が広がった点にも注目だ。乗り物が利用可能になったことにより、Capture The Flagでは追撃や援護などにより拍車がかかった激しい戦いとなる。筆者がプレーした時点ではまだ多くても32人でのプレーが一番多い参加人数だったが、前述した通り、60人規模でのサーバーが立てば実際の戦闘さながらの戦いになることは間違いない。
今回から使用が可能になったサッチェルチャージ(梱包爆薬)は、一見使い勝手がよさそうに見えるが、戦車などに接着させることができないので、実は使いどころが非常に難しい兵器だ。相手の戦車のすきをついて車体の下にすりこませるのが一番いいかもしれない。威力は高いものの、1発で戦車を破壊できないのも難点だ |
サッチェルチャージ同様に今回から追加された武器、火炎放射器。まだサーバーで使ってる人を見かけることがないが、対人相手には非常に効果がありそうだ。ただ、問題として開けているマップでは炎が相手に届く前に遠距離から射殺されてしまう事がほとんど。建物内や、敵の復活地点で使用すると、効果は絶大だろう |
立った状態で射撃が一切できないため、移動時はハンドガンなどになってしまう。だが、立っている状態から、マウントさせるまでの時間が意外と短いので、設置するタイミングさえ誤らなければわりと重宝する武器となる可能性が高い |
階級が上がったら取得可能な双眼鏡。実際に支援砲撃の要請をしてから実際に着弾するまでには若干の時間差が生じる。ゆえに、まえもって敵戦車の通過するであろう地点を予測して使用するのがベストだろう。成功すると堅さで有名なT-34といえど、右の写真のように完全に破壊することができる |
味方のプレーヤーキャラクタの頭上に階級証が見える。これにより、だれが上手いプレーヤーなのかが一目でわかるようになった。筆者はひたすら階級の高いプレーヤーのおこぼれを狙うというセコイプレーをしてたからか、サーバーからキックされてしまったこともあった |
■ 前作の不満点を解消し、ユーザーのニーズに答える事ができた拡張パック
さて、「Call of Duty: United Offensive」は、本編をプレイしたユーザーとしては買いなのかどうかというと、文句なしに買いの1本だと言える。今回、筆者の不満点なども記述してみたが、それらを差し引いても、「Call of Duty」の拡張パックとしては破格の出来といっても過言ではない。また新規に始めるユーザーに対しても「Call of Duty」以上の勢いでお勧めしておきたい。
「パーティクルシステム」など、若干のエンジン改良なども発生したが、前作が快適に遊べていたプレーヤーにはまったく問題なくあそべる筈だ。筆者の環境はAthlon64 3200、Radeon9700pro、メモリー1GBといった環境であるが、グラフィックオプションを一番綺麗な状態にし、解像度1,280×1,024ドットでプレイしてみたところ、まったく処理落ちはみられなかった。
グラフィックスエンジンが、最近のFPSとしては旧世代に属する「Quake 3」エンジンであるという事もあるが、これだけ原形を留めぬ拡張を施しておきながら、それでなおかつ処理が軽いということはパフォーマンスの最適化が十分に行なわれているという何よりの証拠だろう。
自由度を求める方にはおすすめできないが、戦争映画好きまたは戦争ゴッコが大好きという人にとっては特別な吸引力持つ本作。4,000円でこれだけの大作が遊べるようになったとは、いい時代になったものである。
戦車に乗り込み、敵の待ち構える前線へと向かう戦車部隊。たまに鹵獲された戦車などに敵がのっているため、階級証のないプレーヤーだと思い、見過ごして殺されることもある。また、機関銃の装備されたジープで敵歩兵をがんがん蹴散らす強引なプレーも可能だ。この画面写真を撮影した直後、右折したらT-34戦車とはちあわせて屍となった |
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(2004年10月8日)
[Reported by BRZRK@ukeru.jp]
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