発売元 The Adventure Company
カナダの大手パブリッシャーDreamCatcher Interactiveのアドベンチャーゲーム部門The Adventure Companyの新作アドベンチャー「Aura: Fate of the Ages」のPlayable Demo。Demoのレベルではオリジナリティの面でかなり弱く、アドベンチャー性も皆無だが、アドベンチャーゲームが好きな人にはそこそこ楽しめる内容だろう。
「Aura: Fate of the Ages」は、超現実的な仮想世界を舞台にしたファンタジーアドベンチャーゲーム。同ジャンルの代表作に「Myst」シリーズが存在するが、「Aura」も同シリーズに強烈にインスパイアされ、堅牢なファンタジー世界を構築したところまではよかったが、完成してみれば単なるコピーに過ぎなかったという典型的なピュアアドベンチャーゲーム。グラフィックスの雰囲気といい、BGMといい、サウンドエフェクトといい、「Myst」シリーズにそっくりだ。
その善し悪しは別として、Demoをプレイして気になったのが、Demoから観察できるゲームの方向性そのもの。Demoではいくつかの謎解きを試すことができるが、それを解くと終了となる。その前後にストーリーらしきものは一切提示されず、ドラマティックな演出もない。まさに謎解きのための謎解きである。もっとも、オプションに字幕表示の有無といった項目もあり、製品版ではガラリと変わるのかもしれないが、メーカーがこのDemoで何を見せたいのかがわからない。
謎解きの性質としては、無人の屋内から情報やパーツを集め、複数の機器により構成された得体の知れない装置を稼働させるというもの。それ自体は、プリレンダーグラフィックスからシームレスに展開されるアニメーションや、オブジェクトの緻密な描き込みなど、アドベンチャーファンを満足させるクオリティだが、本来主体であるべき前後のストーリー、要するにアドベンチャー要素が存在しないため、ちっともおもしろくない。
また、解き方がわからないユーザーのためにテキストファイルでDemoの全解法を載せているのもおかしな話で、必要なのは主人公の現況と次の目的なり目標を示す前振り情報であるはず。それを全部カットしておいて、解き方だけをゲーム外テキストで提示しておくというのは、もはやゲームではない。
すべての謎を解き終えたところで、Demoの終了を告げる静止画を挟んで終了となるが、あまりの唐突な終わり方に「アドベンチャーファンを舐めてるのか」という気になる。
「Myst」頼みのアドベンチャーゲーム界という構図はまだまだ続きそうな印象だ。
(C) 2004 Dreamcatcher Interactive.
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