開発元 Magitech
武田信玄の全国制覇という、世界的に見れば非常にマイナーなテーマをモチーフにしたRTS「Takeda」でデビューしたカナダのゲームデベロッパーMagitechの最新作「Strength & Honour」のPlayable Demo。相変わらず2DのRTSのため、ファイルサイズは増えに増えて400MBを超えてしまっているが、「Total War」を凌駕する大局的な視点からの戦闘指揮は新鮮味たっぷりだ。
「Strength & Honour」は、紀元前におけるローマ帝国を中心とした民族間の興亡をテーマにしたリアルタイムストラテジー。全ヨーロッパと北アフリカから中央アジア、インド北部、そして中国までの広大なエリアを舞台に、戦闘や外交を駆使した民族間の攻防が繰り広げられる。
基本的なゲームデザインは、ワールドマップ上で内政を行なったり、軍団の駒を動かしていくターンベースのフェイズと、広大なマップでリアルタイムで決着を付ける戦闘フェイズで構成されている。この2段階によるシステムは、戦略級RTSの代名詞的存在である「Total War」シリーズや、マイクロソフトの「Rise of Nations」、そして国産でも「信長の野望」シリーズなどにその類例が求められる。
内政は基本的に建物の建設と、税率など施政についてはスライドを動かして設定するだけと、比較的シンプル。特にキャンペーンではすでにある程度内政が進んでいるので、すぐ外征に突入できる。政体も10種類以上から自由に選択できるが、それによって特殊な能力が身に付いたりすることはない。基本的にパラメータ重視のヒストリカルゲームといえるだろう。
同作で評価できるのは戦闘シーンで、「Takeda」の頃から定評が高かった群れ制御エンジンが進化していて、激突後のもみ合いを経て、いずれかが崩れ、潰走し、勝者側が追撃に移るという一連のパターンを見事に描いている。戦いを決めるのは部隊の総数ではなく、あくまで激突時の衝撃力の大きさと、各方面ごとの数的優位の確保で、非常にシンプルなことながらこれが一番難しい。人の集団という本来制御しがたいものを制御することの難しさがよくわかるゲームだ。
グラフィックスに関しては、一見3Dのように見えつつ、実は3Dレンダリングしたデータを貼り付けているだけという疑似3Dグラフィックスを採用。このため最大までズームインすると荒いビット絵のキャラクタが出現してガッカリさせられるが、俯瞰時のダイナミズムは、過去最高級に見事だ。いずれにしてもズームイン視点ではうまく部隊を指揮できないので、ある程度俯瞰した状態で指揮を取れば存分に楽しめるRTSだ。
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