★ PCゲームファーストインプレッション★


これは単なる移植タイトルではない オンライン専用として生まれ変わったPSOに注目せよ
ファンタシースターオンライン
ブルーバースト

  • ジャンル:オンラインRPG
  • 発売元:ソニックチーム
  • 発売/運営元:セガ
  • 価格:無料
  • 利用料金:月額1,050円より
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:オープンβテスト中


 これまで数多くのハードで展開されてきたネットワークゲームの雄PSOが、装いを新たにして登場する。キャラクタデータのサーバー保存を初めとする数々の新コンテンツを引っさげ、オンライン専用RPGとしてWindowsに帰ってくるのだ。本日5月21日よりオープンβが開始される本作について、クローズドβのプレビュー記事をお届けしよう。


■ PSO-BBは本日より無料のオープンβテストが開始

Windows版「ファンタシースターオンライン」。2003年の12月末に丸2年間の運営を終えたばかりだ
 「ファンタシースターオンライン」(以下、PSO)は、2000年12月にドリームキャスト向けに発売されたネットワークRPGである。親しみやすいキャラクタや何度も繰り返し遊べるゲームシステム、そしてコンソール機初の本格ネットワークゲームという新鮮さがユーザーに受け入れられ、爆発的なヒットを記録。その結果、「第5回日本ゲーム大賞」を初めとする数々の賞を受賞し、ネットワークゲームの門戸を大きく広げたタイトルである。

 PSOはドリームキャスト版以外にも、ゲームキューブ、Xbox、それとWindowsといった機種へ移植され、様々なバージョンが存在する。今回紹介する「ファンタシースターオンライン ブルーバースト」(以下、PSO-BB)は、基本的にはXbox版の「Episode 1&2」をベースに、様々な新要素及び仕様変更を盛り込んだものとなっている。だが、PSO-BBの変更点はこれまでのどのバージョンよりも大きいのだ。この点については後ほどじっくりと説明しよう。

 現在のPSO-BBはクローズドβテストの段階にあり、5月17日にクローズドβが終了した。そして本日5月21日よりオープンβが始まり、十分なアップデートを施した上で正式サービスへと移行する運びだ。正式サービス開始時期については現時点では未定だが、オープンβ用のクライアントをアップデートしてそのまま使用する可能性が高い。

 またオープンβクライアントは、雑誌添付のCD-ROMや公式ホームページからのダウンロード等にて手軽に入手できる。オープンβで作成したキャラクタにレベル制限は設定されておらず、実質的には無料サービス期間という見方もできるだろう。ただし、正式サービス開始時点でレベル20に達していると、その時点で課金対象となるので注意したい。

 βテストの進行状況についてだが、元々コンソール用として開発されたPSOは、操作方法がコントローラ使用を前提としている。しかしWindows向けに展開されるPSO-BBではマウスとキーボード派のプレーヤーも考慮する必要があり、この辺りの操作関連のチューンアップに苦労している様子だ。βテスター用の内部BBSは、新要素に関する議論や不具合報告、新たな解決法の模索等といった発言で常に賑わっている。プログラムのアップデートも矢継ぎ早に行なわれ、密度の濃いβテストとなっているようだ。

 PSOシリーズはコンソール機を中心に既に絶大な知名度を誇るものの、Windows版に限っては前作の発売から間が開いている。今回のPSO-BBで初めて存在を知る、もしくは実際に触れるという読者もいることだろう。そこで本稿では、主に新規ユーザーを対象にPSOの基本ゲームシステムをざっと説明してから、PSO-BBの新要素について紹介していきたい。


■ コンソール出身だけあって気軽に楽しめるアクションRPG

基本となる3職業は、それぞれでプレイスタイルがまったく異なる。PSOはキャラクタの個性を幅広く設定できることもあり、ついつい新しいキャラクタを作成してしまう
各キャラクタが得意とする武器にも、いくつかの種類がある。直接攻撃用の武器ひとつを取っても、間隔の短い短剣や、振りは遅いが複数にダメージを与えられる大剣等があり、それぞれ独自のノウハウがあるのだ
1人では攻略が不可能な状況でも、仲間と共にトラップやテクニック等で補うことによって先へ進めるようになる。オンラインで初めて一緒にプレイする仲間と意気投合した瞬間は、とても気持ちがいい
 PSOは3Dグラフィックを用いた、3人称視点のアクションRPGだ。プレーヤーは惑星ラグオルにて活躍する冒険者として、他の仲間達と共に謎を解き明かしてゆくのがメインストーリーである。選べる職業は大別すると、直接攻撃の「ハンター」、遠隔攻撃の「レンジャー」、テクニック(魔法のようなもの)に特化した「フォース」の3種類。さらに種族や性別によって能力が微妙に差別化されており、これらは全部で12種類のバリエーションが用意されている。

 ゲームの基本的な流れは、タウンエリアにてクエストの依頼を受け、フィールドエリアでそれを遂行していく形になる。フィールドエリアは蟻の巣のように複数のフロアが細い道で繋がった構造になっており、各フロアへ進入するとモンスターが多数出現する。これらをなぎ倒しながら目的地へと突き進むのだ。それぞれのクエストで冒険できるフィールドの広さが限られており、その結果、一度のプレイが1時間程度と区切りをつけやすいのが特徴的である。

 また、多彩なゲームモードの種類もPSOの大きな魅力のひとつ。クエストは1人用とパーティ用とで分かれており、同じフィールドでも複数の難易度が用意されている。他にも装備品が一切ない状態でスタートし、冒険の課程でそれを整えてゆく「チャレンジモード」等、何度も繰り返しプレイできる要素がぎっしりと詰まっているのだ。

 PSOの本質面は、世界観や操作方法こそ大きく違うものの、Blizzard EntertainmnetのオンラインRPG「Diablo」シリーズに通じるものがある。仲間と共にダンジョンを攻略し、キャラクタのレベルアップやレアアイテムの取得に一喜一憂するハック&スラッシュの醍醐味は、まったく同じといってよい。

 この面白さのエッセンスを中核に据えながら、ファンタジーとSFのおいしい所だけを抜き出して肉付けし、コンソール向けに敷居を低く調整したのがPSOである。今までネットワークゲームを知らなかったコンソールのユーザー層が、これに飛びついたのは至極当然といえよう。「EverQuest」の骨格を吸収して、単なるコピーに留まらない完成度まで昇華させた「Final Fantasy XI」と同様、国内メーカーの底力を見せつけてくれたタイトルである。

キャラクタ作成時の設定項目はとても多い。特に体型をモーフィングによって変更できるのは、PSO発売当初に大きな衝撃を与えた。ちなみこれらの画像は総て同じ職業だ(HUmar)

タウンエリアにてクエストの依頼を受ける。担当NPCやフィールドに点在するメッセージが次の目標を丁寧に教えてくれるので、何を行なえばよいのか戸惑うことはない。基本的にストーリーは一本道の作りだ

各クエストの最終章では、強力なボスモンスターがプレーヤーを待ち受けている。それぞれのボスは様々な特殊攻撃を繰り出してくるだけでなく、通常時と異なるフィールドのため白熱した戦いとなる

プレーヤーのペットのような存在の「マグ」を育成する楽しみもある。使用回数こそ少ないが、マグを育てることで一撃必殺の大業をも繰り出せるようにもなる 冒険中に入手したアイテムを鑑定するときは、とてもどきどきする。レアアイテムの魅力に取り憑かれ、夜な夜な冒険を繰り返すプレーヤーを今なお続出させているのだ



■ 単なる移植ではないことを伺わせる豊富な変更点

キャラクタ最大登録数が減ってしまったのは残念だが、サーバー保存の事情を考えると致し方ないだろう。それよりも、セキュリティ面での向上部分に目を向けたい
画面下部にある10個のアイコンが、それぞれキーボードの1~0キーに対応している。頻繁に用いるアクションは既存の6アイコンに、例えばテレパイプのようなアイテムは1~0に登録するとよいだろう
 前置きが長くなってしまったが、PSO-BBの新要素について紹介していこう。まず最初に挙げるべきは、キャラクタのセーブデータをローカル保存からサーバー保存へ変更したことだ。この変更によって、キャラクタデータが常にサーバー上に保管されることになったため、PSO-BBさえインストールしていれば外出先でも同様にプレイできるようになった。

 また、これまでのPSOで唯一の弱点だったキャラクタデータの改竄、いわゆるチート行為も、PSO-BBでは不可能である。つまりPSO-BBは、他機種版のPSOプレーヤーとは一緒に遊ぶことができない独立したタイトルと考えた方がよい。ようやく名実共に、オンラインRPGとしての環境が整ったといえよう。

 これに伴うプログラム変更は相当な量に及ぶはずだが、クローズドβの段階で既にセーブ時のタイムラグは一切感じられず、またデータの巻き戻りといった致命的な不具合も発生していない。これまでのPSOシリーズと同じ感触でプレイでき、システム周りの根幹部分は問題ないので安心してほしい。なお、ローカルにデータを保存するわけではないため、キャラクタの登録数には制限があり、1アカウントにつき最大で4体までとなっている。

 PSO-BBは総てのプレーヤーがキーボードを所持していることにより、これを活用するための変更もある。キーボード上部にある「1~0」キーを、アイテム使用のショートカットとしての利用が可能になったのだ。状態異常を回復させる薬品や、敵を一網打尽にする各種トラップを初めとした、様々なアイテムがPSOには登場する。これまでのPSOシリーズでは、通常攻撃も含めて6つのアクションしか登録できないため、緊急時にはインベントリーから直接指定しなければならなかった。そのような場合でも、PSO-BBではより落ち着いて対処できるはずだ。

 プレーヤーのコミュニティー関連については、新たに「チームシステム」が導入された。これは通常の冒険を行なう最大4人のパーティーとは別の集団で、MMORPGにおけるギルドやリンクシェルに相当するものと考えれば判りやすい。同じチームに所属するキャラクタは、離れたシップやロビーにいる仲間たちと、ゲーム中であるか否かに関わらずグループチャットを行なえるので、従来のシリーズ作品と比べて飛躍的に意志疎通を行ないやすくなっている。チームチャットを用いれば雑談だけでなく、冒険を一緒に行なう仲間を募ったり、アイテム交換等といったことも手軽に行なえるだろう。

 チームを用いた機能はチャットだけではない。チーム別のポイント機能も実装されているのだ。これは冒険を行なうことで所属チームにポイントが蓄積され、これを消費して様々な特典を得られるというシステムである。特典の一例を挙げると、ビジュアルロビーでチームフラッグを表示できるものや、チームの最大登録枠を拡大するといったものがある。また、チーム別のポイントランキングといった機能もある。チームに参加することで、プレーヤーのモチベーションは更に高まることだろう。

 運営面については、ソニックチームの担当者がゲームマスターとして登場するようになった。MMORPGのそれのように、ビジュアルロビー等にゲームマスターが表れ、プレーヤーと直接関わるのだ。もっとも、PSO-BBのゲームプレイは最大4名でエリア範囲も限られているため、不具合調査やハラスメント対応といった本来の職務を行使する機会は、それほど多くないと思われる。むしろ一般プレーヤーに近い立場として、イベントを盛り上げたりといった活躍に期待したいところだ。

チームの新規登録作業はどのキャラクタでも無料にて行なえる。気軽に作成できる反面、一度に複数のチームに所属はできないので慎重に 試しにチームチャット機能を使ってみた(1人だけのチームなので淋しい)。既存のメッセージ送受信とは違って、複数のプレーヤーと同時に会話できる専用ウィンドウが常時せり出している


これはクローズドβ最終日のチームランキング一覧。首位チームのメンバーへGMがインタビューを行なったりと、チームを活用した様々な展開が期待できるだろう 写真はPSO-BBで初登場のNPC「モモカ」。従来のEpisode1クエストに相当する「総督府クエスト」を担当する、PSO-BBのマスコット的存在だ



■ PSO-BBは新旧プレーヤーが共に遊べる今がまさに旬

公式サイトで公開された新エリアのスケッチ。PSO-BBは、その気になればパッチで幾らでも新マップやモンスター等を追加できるのが強みだ
大盛況となったクローズドβ用CDの配布イベント。これを機に、PC本体の購入に踏み切ったPSOファンも多いのではないだろうか
 原稿執筆時点ではまだ実装されていないが、PSO-BBの新要素はまだまだある。もっとも注目して欲しいのは、新たなエリアやモンスター、それにクエスト等のデータがパッチによって随時追加されるようになるのだ。ソニックチームの公式サイトではこれらのイメージ画像が公開されており、PSOを相当やり込んだプレーヤーからも注目を集めている。

 ここまで読んでもらえば薄々気付いて貰えると思うが、PSO-BBは単なる移植作ではない。まるでWindows用の新作タイトルを制作しているかのような強い意気込みを、はっきりと感じ取れるはずだ。コンソールからWindowsへとハードの枷が外れたPSOが、パッチによって今後どのように進化してゆくのかは、1ユーザーとしても実に興味深い。

 現在のPSOシリーズ最新作はゲームキューブ版の「Episode 3」で、これはカードゲームの要素を取り入れており、メインストリームからは外れている。そして、今なおアクションRPGとしてのPSOの魅力を忘れられないという人は、相当な数がいるはずなのだ。もしかするとPSO-BBは、既存のWidnwosユーザーのみならず、今後もPSOをずっと楽しみたいというコンソールのファンをも、丸ごと引き込む可能性を秘めているのではないだろうか? これが、クローズドβを一通り経験した上での筆者の感想である。

 実はクローズドβにて浮き彫りになった問題点は、総てが解決されたわけではない。キャラクタの死亡時に課せられるペナルティの度合いや、オープンβから正式サービス移行時のデータリセットの是非等、解決すべき要素は多い。しかし、異例の盛況さを見せたクローズドβ用CDの配布イベントや、活発に意見の交わされるBBS、そして運営側の真摯な対応を見るにつけ、関わる人達総てのPSOに対する深い愛情を感じ取れる。これは何としても成功してほしいなあと個人的にも思ってしまった。

 本日5月21日より開始されるオープンβは、総てのプレーヤーがレベル1からの再スタートとなる。新旧プレーヤーが入り交じってパーティを編成するこの時期は、たとえPSO-BBが初めて接するネットワークゲームだという人でも、その気になればいくらでも楽しめるチャンスがあるはずだ。オンラインRPGには、その完成度とプレーヤーのレベル分布帯を元にした「旬」の時期が存在するが、PSO-BBに関してはまさしく今こそが旬だと断言しよう。興味を持った読者は是非とも、今、このPSO-BBオープンβを体験し、その熱気に触れてみてほしい。

クローズドβで接したプレーヤーの大半が、とても丁寧な対応だったのが印象的であった。今回新たに始めるようなプレーヤーでも、一般常識さえわきまえていればPSO-BBをきっと楽しめるはずだ なんだかんだ言っても、やはりPSOは売れるだけの中身を持ち合わせている。今までコンソールにあまり興味がなかった人も、余計な偏見を捨てオープンβを一度プレイしてもらえたらと思う


(C)SONICTEAM / SEGA, 2000,2004


【ファンタシースターオンライン ブルーバースト】
  • CPU:Pentium III 700MHz以上(Pentium 4 1.4GHz以上を推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD:1.3GB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上


□「ファンタシースターオンライン ブルーバースト」のホームページ
http://psobb.jp/top.html
□関連情報
【5月18日】セガ、WIN「PSO ブルーバースト」
オープンβテストを5月21日より実施、事前登録受付開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040518/pso.htm
【5月12日】セガ、WIN「PSO ブルーバースト」サービス開始を延期
新たにオープンβテストを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040512/pso.htm
【4月23日】セガ、「PSOブルーバースト」の正式サービスプランを発表
クライアント無料の月額課金制、PC版オリジナルマップを追加
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040423/psobb.htm

(2004年5月21日)

[Reported by 川崎 政一郎]


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