「Battlefield」シリーズは、2002年にリリースされた多人数FPS「Battlefield 1942(以下BF1942)」から続くシリーズで、BF1942本編と「The Road to Rome」、「Secret Weapons」という拡張パック2本が現在リリースされている。そして、今回紹介する「Battlefield Vietnam(以下BFV)」は、ベトナム戦争を舞台としたBattlefieldシリーズの最新作だ。先の拡張パック2本が新マップや新機軸の兵器が中心だったのに対し、今回は時代そのものが変わったことに加え、3Dエンジンや、ゲームデザインにまで手が加えられているのが特徴だ。
■ ユーザーからもっとも支持を受けたゲームモードに絞った「Battlefield Vietnam」
今回もマルチプレイの基本となるのは「CONQUEST」と呼ばれるモードで、プレーヤーはアメリカ軍もしくは北ベトナム軍に所属し、マップ各所に点在する陣地を制圧しあうのだ。BF1942からの変更点を見つけるとすれば、敵陣地にたどり着いてから制圧完了までの残り時間が残り何秒という形(実際には勢力メーターのような表示と時間表示が出る)で視認できるようになったことだろうか。 また、多人数で陣地を制圧しにかかったとき、制圧完了までの時間がその人数に応じて短くなる点も重要な変更点のひとつだ。BF1942ではとにかく乗り物を使ってスピード制圧したチームが有利というところがあった。制圧までの時間が変わらないため順番に陣地を制圧していかないと、安定した占領はなかなかできなかったのだ。 しかし、この変更によって、本作では輸送兵器による迅速な陣地制圧という要素がクローズアップされた。多人数が乗ったヘリが急速に陣地を制圧にかかることで、敵の後方に突如として安定した味方陣地が出現し、さらに包囲作戦まで可能になるというケースが多くなったのだ。 BFVには「CONQUEST」モードの他に、「EVOLUTION」というゲームモードも用意されている。これは通常CONQUESTモードでは1ラウンドで勝負を競うところを、2ラウンド続けて戦って勝負を競おうというもの。1ラウンド目のチケット(チーム全体で共有される、勝敗を決めるためのポイント)が2ラウンド目に持ち越されるため、1ラウンド目での勝ち方負け方が後に影響してくる長丁場のゲームモードだ。
そして、前作においてまったく人気が無かった「Capture the Flag」や「DeathMatch」といったゲームモードはBFVでは削除された。実際BF1942の時代でも末期になってくると、両ゲームモードが稼働しているサーバーはあまり無かった。ユーザーの人気もなかったし、数発の弾でやられてしまう「Battlefield」シリーズのゲームデザインとは相性が悪かったのだろう。 ■ 一気に現代レベルにまで進化した新兵器の登場によって、戦場の様子はガラリと一変 「Battlefield Vietnam」の魅力は、なんといっても一気に20年以上もの進化を遂げた最新兵器たちだ。銃から戦車、航空機まですべてが変わっている。全部挙げていくときりがないので、その中から代表的なものを紹介していきたいと思う。 ・アメリカ軍
・北ベトナム軍
■ ヘリコプターの登場によって、さらに苛烈になった戦場 BFVではBF1942とはまったく異なる兵器が登場する。しかし、特にBFVで注目すべきなのはヘリだ。ベトナム戦争で本格的に実戦へ投入されたヘリコプターは、それまでの地上戦を一変させた存在だ。そして、本作でもその重要性に変わりはない。これまで平面上で敵味方が前線を押し合っていたBF1942シリーズの戦闘が、ヘリコプターによってガラリと変わったのだ。 たとえばBF1942だと、陣地に近付く前に敵部隊と遭遇し、戦車や歩兵による平面的な戦闘が発生することが多かった。仮に飛行機が飛んできたとしてもそれは一瞬のこと、地上兵器と飛行機の速度は違いすぎるので、やり過ごせばいいだけの話だったのだ。 だが、ヘリコプター兵器の登場はそういった状況を一変させた。ヘリコプターはホバリングという動作によって、空中兵器でありながら地上兵器と進行スピードを揃えることができる。それによって、これまで平面的だった戦闘が上空まで広がり、三次元的な戦闘が繰り広げられるようになったのだ。 今回のヘリの登場によって、歩兵や陸上兵器は圧倒的に不利な立場に置かれることになった。ホバリングで空中に滞空するヘリコプターからの強烈な攻撃を一方的に受ける立場となってしまったのだ。手持ちの機関銃やロケットランチャーではなかなか有効なダメージを与えられず、車載の大口径機関銃で狙ったとしてもヘリを落とす前にこちらがやられてしまう結果となる。結局へりに追われた場合は建物の中であきらめるのをじっと待つか、飛行機の増援を呼んでヘリをたたき落としてくれるのを待つしかないのだ。
■ ベトナム戦争映画で描かれたジャングルをリアルに再現した新3Dエンジン ベトナム戦争といえば、深いジャングルの中で行軍するアメリカ軍兵士達が、そこかしこの繁みから出現した北ベトナム軍の兵士に襲撃されるというシーンが思い浮かぶ。この状況、実際にあった戦場の様子というよりは、地獄の黙示録やプラトゥーンといった、ベトナム戦争を描いた映画のイメージに近いだろう。先日エレクトロニック・アーツが開いたBFVのマスコミ向け内覧会の時、開発側からのコメントとして「BFVは数あるベトナム映画の雰囲気を再現するように心がけた」ということだったが、まさにそんな感じだ。 BFVでは、BF1942とは比べものにならないレベルで草木が茂っており、マップによっては1m先すらも満足に見通せないほどに視界が制限されている。これによりプレーヤーは、常にどこから銃弾が飛んでくるかもしれないという恐怖に襲われる。この恐怖感は映画で感じさせられる“現実感の欠落した恐怖感”とでも言えるものだ。同作のジャングルの視界の悪さは文章で説明するよりも、実際に写真で見た方が早いので、スクリーンショットを参照して頂きたい。 ちなみに、兵器の運転席に乗った場合“0”キーをおすことによってラジオを聞くことができる。流れる曲は、ベトナム戦争当時に流れていたロックの名曲が中心だ。ベトナム戦争を描いた映画で流れた曲などもラインナップされているので、曲を聴きながら気分を盛り上げて遊ぶのも良いだろう。
しかし、これだけ視認性が悪いと歩兵と陸上兵器でジリジリと敵陣地へ接近するのも危険だし、仮に敵陣地へ入れたとしても周囲の繁みから狙撃されたら意味がない。何とか周辺の繁みにいる敵兵を一掃したいところだが、ヘリコプターによる掃射は、薮の中で視認できない敵に対しては効果が薄い。そこでオススメしたいのが航空機による空爆だ。両軍とも対地上兵器用の爆弾を抱えた飛行機を持っているので、それを占領する予定の敵陣地周辺にばらまいてやれば良いだろう。 また、アメリカ軍限定ではあるがF4ファントムに搭載されているナパーム弾を使うのがもっとも手頃で良いだろう。敵がいそうな繁みに向かって投下してやると、その一帯が一定時間燃え上がり、その炎の中にいるキャラクタは多大なダメージを受ける。“繁みの中の敵を、繁みごと焼き尽くす”という事のみに特化した兵器なので、その効果のほどはかなりのものがある。
■ ゲームバランスには難があるが、今後のパッチサポートに期待か BFVをひととおり遊んでみて、ゲームとして致命的な弱点だと感じさせるのは、ヘリに対抗する手段が少ないがために、ヘリが地上兵器に対して圧倒的に有利になってしまう事だ。飛行機やヘリ、北ベトナム兵の一部は赤外線誘導ミサイルを持っているのだが、多くの地上兵器は機関銃か直線的に飛ぶロケット弾で対抗するしかないのだ。ロケット弾は弾速も遅く、空中をスライド移動するヘリにはまず当たらない。機関銃で狙ったとしても、ヘリを落とす前にこちらに向かってロケット弾が飛んでくるのがオチだ。 また、アメリカ軍の対戦車兵の装備が強力すぎることも問題だ。M60という一気に弾をばらまく軽機関銃と、グレネードやロケット弾を一緒に持ち歩けるため、一対一の地上戦ではほぼ無敵の実力を持っているのだ。そのためアメリカ軍の兵士は対戦車兵ばっかりというサーバーも珍しくない。 実はBF1942がリリースされた直後もそのゲームバランスが大きな問題となった。しかし、段階的にリリースされるアップデートパッチによって、ユーザーの声を反映した調整がなされていった。BFシリーズに限らず、マルチプレイがメインとなっているゲームでは、実際にリリースされた時点で終わりではなく、ユーザーからの声を反映してバランスが調整されるものだ。 特に今作の場合、ヘリという新機軸の武器、隠れるところの多い深い密林を再現する3D描画エンジン、スピーディーに変わった新占領システム、BF1942シリーズよりさらに強化されたネットコードなど、BFVのポテンシャルは非常に大きいと感じさせられた。リリースされた直後のバランスだけで、すべてを決めるのは尚早というものだ。今後、エレクトロニック・アーツからリリースされるパッチに期待したい。
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□エレクトロニック・アーツのホームページ http://www.japan.ea.com/ □「Battlefield Vietnam 日本語版」のホームページ http://www.japan.ea.com/battlefield/vietnam/index.html (2004年4月7日)
[Reported by tyokuta]
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