開発/発売元 Wargaming.net
ストラテジーゲーム専門のゲームデベロッパーWargaming.netの最新作「Massive Assault Network」のTrial Demo。昨年欧米で発売された「Massive Assault」のマルチプレイ対応バージョンだが、ターンベースストラテジーにして、専用サーバーによる充実した機能のオンライン対戦をサポートするなど、ユニークな展開が好印象。往年のストラテジーゲームファンに好まれそうなプロジェクトだ。
「Massive Assault」は、SF世界をモチーフにしたターンベースのストラテジーゲーム。ストラテジーゲームは、RTSの登場以後、「Civilization」シリーズなどごく一部の人気シリーズを除いて、一気に下火になっていったが、一部のユーザーの間ではまだまだ根強い人気を維持している。
いったん下火になると、予算や人員が削減され、負のスパイラルに落ち込んで二度と立ち上がれなくなるのが通例だが、同作はオリジナルの3Dエンジンを採用し、ビジュアル面で現行のRTSと同等程度のクオリティを実現。見栄えの面ではまったくひけをとらない。
ゲームデザインは、オーソドックスなヘックス式のターンベースストラテジーで、ユニットはヒットポイント制を採用している。SF仕様の装甲車や戦車、迫撃砲、輸送車、爆撃機など、手持ちの手駒を有効活用して敵を撃破していくことになる。イメージとしてはSSIの「Panzer General」シリーズのSF版といった印象だ。
同作のユニークなところは、RTSの醍醐味であるリアルタイムアニメーションと、ターンベースならではの旨味をうまくミックスしているところ。一例を挙げると、ターンベースなので同時に命令を下せるユニットは1つだが、命令そのものと、その後のアニメーションは意図的に非同期になっていて、戦闘アニメーションの終了を待たずに、次のユニットへの命令が下せる。
つまり、戦艦が移動して砲塔を旋回し、艦砲射撃する間に、戦車を動かしたり、戦闘機に爆撃させたりといった具合に、システムとしては完全にターンベースながら、戦場の臨場感はRTSのそれに近いものを実現しているわけである。このユニークな処理はまさに21世紀のターンベースストラテジーといっても過言ではない。
もうひとつ斬新だと思ったのはマルチプレイのシステム。ターンベースストラテジーは、待ち時間が発生することから原則的にマルチプレイには不向きのゲームジャンルとされてきたが、同作のマルチプレイはこの待ち時間を逆手にとって、待ち時間を1日単位で設定している。1日1回だけ自分のターンをこなせば、不特定多数とのマルチプレイに参戦できるというわけで、忙しいサラリーマンにはありがたいシステムだ。
さらにユニークなのは、同時進行で複数のゲームのマルチプレイに参加できるところ。RTSのようなスピード感はゼロといっていいが、時間を問わず、マシンスペックを問わないこのマルチプレイモードは要注目といっていい。専用サーバーを介するシステムを採用しているため、日本語化は望み薄だが、今どき珍しいまったりじっくり楽しめるストラテジーゲームだ。
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