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実際に起こった歴史の再現性とゲーム性とを両立させた「Civilization」は、一部で熱狂的なファンを持つシリーズだ。その最新作となる「Civilization III」に2番目の拡張パックが発売されることになった。ある時は戦国時代、またある時は太平洋戦争などの9つの場面を、異なるゲームシステムで遊べる贅沢な内容である。
■ 複雑に絡み合う人類の歴史を、地球全史規模のスケールで再現
Civシリーズを知らない読者には、「Age of Empire」のゲーム進行をリアルタイムからターン制に変更したタイトルと説明した方がわかりやすいだろうか。昨今のシミュレーションゲームは「Age of Empire」のようなリアルタイム型のゲームデザインが主流となっているが、落ち着いてプレイできるターンベース型も実は根強い人気がある。
なぜならば、Civにおいて自国を発展させる技術ツリーは、実際に人類が得てきた英知の課程を忠実にシミュレートしている。また、手持ちの資源や技術などの切り札を用いて、ライバルと外交でしのぎを削るのは、終始せわしない展開のRTSにはない要素だ。コーヒーを片手に、人類がこれまで歩んできた歴史をゆったりとたどりながら未来へと思いを馳せるような遊び方は、Civならではだろう。
■ プレイできる時代範囲を狭め、特化したルールを持つコンクエストモード 今回紹介する「Civilization III: Conquests」(以下、C3C)は、Civ3に新たな要素を追加する2番目の拡張パックである。C3Cの最大の特徴は、人類史において重大な転機となった時代及び地域にスポットを当てていること。これらの場面は全部で9つあり、”コンクエストモード”というシナリオでプレイすることができる。 コンクエストは従来のCivシリーズとは違い、それぞれシナリオでプレイできる時代が定められていることに注目してほしい。またコンクエストの種類によっては、あらかじめ発展した実在の都市や国でスタートするので、これまでランダムマップで文明を一から築き上げるプレイスタイルが主体だったCivシリーズとは、だいぶ印象が異なる。 それだけならば有志のユーザーが自主配布するシナリオ集と大差はない。しかしC3Cコンクエストの凄い所は、当時の時代背景をより深く表現するために、ゲームの基本システム面にまでひとつひとつ変更を加えた仕様が用意されているのだ。コンクエスト用として独自に書き起こしたユニットや技術ツリーの構造、固定化された外交関係や勝利条件などの異なるゲームバランスが同時に9種類というのは、他に類を見ない規模である。 つまりC3Cの基本コンセプトは、プレイできる時代範囲を狭める代わりに、その時代用に個別チューンしたゲームバランスを楽しむことにあるのだ。各コンクエストの詳細は後述するとして、とりあえずは他の主なC3C追加要素について説明していこう。 プレーヤーが選択できる国は、Civ3から新たに「ポルトガル、オランダ、ピザンチン、ヒッタイト、シュメール、マヤ、インカ」の7つが追加され、全31カ国となった。これに伴い、政治体制と文明特性も新たなものが用意され、一部の既存国にも適用されている。今回新たに追加された国は、どちらかというと国家というより文明といった方が近いものも多いが、これはコンクエストの内容に沿ったものになっているからだ。 ゲームの勝利条件は、これまでの地上制覇・国家征服・宇宙開発・文化繁栄・外交の各分野を極めることだけでなく、「不思議による勝利」が追加されている。様々な恩恵を与える不思議の総てを建築した時点で、ポイント数の最も多いプレーヤーが勝利するというシステムだ。 ここでその総てを紹介することは不可能だが、前作から新しいユニットや技術開発、不思議、地形要素、資源、都市改善などは多数追加され、歴史シミュレーションゲームとしてのリアリティがより深められている。また、AIの進化やユニット生産時のラリーポイント設定などといった、細かなプレイアビリティ面での向上もある。ゲームの難易度も、最上級者用に「現人神、シド」という2つのモードが追加された。シドとは勿論、「Civilization」シリーズの生みの親であるSid Meierのことで、これまで最上位だった「天帝」の難易度を更に上回る。
なお、1番目に発売されたCiv3拡張パック「Play the World」の要素は、すべてC3Cに引き継がれている。厳密に言うとCiv3とC3Cをインストールした時点で、スタートメニューに「Play the World」が登録される形だ。「Play the World」で追加された8つの文明や、レジサイドモードなどのマルチプレイは、Civ3+C3Cだけでプレイできる。もちろん、C3Cのコンクエストをマルチプレイで遊ぶことも可能だ。
■ 「Civilization」の方法論で「信長の野望」を実現? 〜戦国時代コンクエスト〜
「戦国時代(Sword of the Shogun)」コンクエストは、1467年の応仁の乱によって幕を開け、1603年に徳川幕府が成立するまでの日本を舞台としたシナリオである。この期間中、全国各地に乱立する諸国が、将軍の地位を目指し大小様々の戦いを繰り広げる。プレーヤーはそれらの中から一人の大名を選び、国を興して覇を競うのが目的である。 より具体的に説明すると、「総ての大名を倒して天下を統一」、「70%の地上を領地にする」、そして「幕府を設立して投票によって征夷大将軍に推される(国際連合ではない)」のいずれかを達成した大名が勝利となる。幕府設立による勝利方法は、必ずしも戦闘を必要とはしない。いかにも「Civilization」らしい設定である。 ゲームを開始して最初に気づくことは、開拓者と百姓(いわゆる労働者)の他に「大名」がユニットとして存在すること。大名とはいわば戦闘可能なヒーローユニットで、技術開発を進めると10段階のアップグレードが可能となる。最終的には攻撃力11/防御力11プラス様々な特殊能力を駆使する、シナリオ中最強のユニットとして君臨できるのだ。ゲーム序盤は内政作業を行ないながら大名を放浪させて、各地にいる原住民アイヌから知識を譲り受ける(強奪する)展開になるだろう。ただし、大名が倒された時点で即座にゲームオーバーとなってしまう点は要注意。 大名以外の通常ユニットも、足軽や騎馬武者、侍大将といったように日本テイスト溢れるものとなっている。これらは既存のCivユニットの名称を変えただけでなく、同様に戦国時代に合うように調整された技術ツリーと密接に絡んでいるのが面白い。例えば、弓術を開発することで「弓大将」を作れるようになり、これに居合術と薙刀術を加えた後に武士道を開発し、「足軽大将」を作るといった流れだ。
このように、かつて日本史に実在したユニットを、技術ツリーを絡めつつ順を追って確認するのは、我々日本人ならとても興味深くプレイできるはずだ。この手の込んだシステムが海外において開発されたという事実は、映画「ラスト・サムライ」を観たときと同様に日本人として誇らしく思ってしまった。 しかし、史実の日本史がそうであったように、戦国時代の戦術はいずれ激変することになる。その引き金となったのは、ポルトガル人によってもたらされた、黒色火薬と鉄砲の技術だ。この事象についても勿論C3Cでは再現しており、「ポルトガル人との接触」や「火薬」などの技術ツリーを経て、「鉄砲隊」ユニットを作れるようになる。 鉄砲隊の威力は凄まじく、それまで最強のユニットだった騎馬隊など足下にも及ばなくなる。まさに、鉄砲の到来によって刀の時代は終わりを告げるのだ。他大名としのぎを削りながら、いかにして早くこの鉄砲の技術へと到達するかが、戦国時代コンクエストにおける最大の焦点である。 これは一例だが、序盤は戦闘ユニットは一切無視してひたすら技術開発に資金を注ぎ込み、他大名に対しては土下座外交に徹する。その後、先駆けて鉄砲隊を編成できるようになったら、手のひらを返して破竹の勢いで天下統一へ突き進むといった展開も面白い。なお、鉄砲隊を生産するには、技術を進化させるだけでなく、新たな戦略資源「硝石」の確保が必須となる。これの取引を巡った外交手腕も中盤以降では大きな意味を持ってくるだろう。 その他のポイントとしては、日本列島が細長い地形であることを利用するとよい。特に中部・近畿より西の地域は、2〜3の都市を並べれば簡単に封鎖できる。とりあえず封鎖さえしてしまえば、後はよほどのことがない限りは邪魔されることがないだろう。この際、隣接する大名とは相互通行条約を結ばないでおけば、比較的楽に領土を広げられるはずだ。
■ その他のコンクエスト概要を一気に紹介
1.メソポタミア(Mesopotamia)紀元前4000年〜
2.ローマの勃興(Rise of Rome)紀元前300年〜
3.ローマ帝国の滅亡(Fall of Rome)紀元324年〜
4.中世(Middle Ages)紀元843年〜
5.メソアメリカ(Mesoamerica)紀元300年〜
6.大航海時代(Age of Discovery)紀元1490年〜 7.戦国時代(Sengoku - Sword of the Shogun)
8.ナポレオン期のヨーロッパ(Napoleonic Europe)紀元1800年〜
9.太平洋戦争(WWII in the Pacific)AD 1941年〜
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□サイバーフロントのホームページ http://www.cyberfront.co.jp □「シヴィライゼーションIII コンクエスト」のホームページ http://moon.cyberfront.co.jp/title/pc/civ3co/ (2004年4月1日)
[Reported by 川崎政一郎]
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