開発/発売元 Microid
2003年度を代表するアドベンチャーゲーム「Syberia」の続編「Syberia II」のPlayable Demo。前作はPlayable Demoで衝撃的なデビューを遂げ、製品版発売後も世界中で高い評価を受けた。今回の続編は当然DreamCatcherだろうと思っていたら、もともとの開発/発売元であるMicroidsがいつのまにか復活していて、その第1弾がこの「Syberia II」となる模様だ。前作の販権そのものはすでにカナダのDreamCatcherに移っており、内部で何が起こっているのかは不明だが、ゲームの内容もいまひとつすっきりしない出来映えだ。
「Syberia」は、ニューヨークで活躍する弁護士ケイト・ウォーカーの東アジア紀行を描いたアドベンチャーゲーム。アドベンチャーというと警察モノ、探偵モノが通例だが、「Syberia」の醍醐味は謎解きというより、プレイ中にしばしば遭遇する胸のすくような幻想体験そのものにあり、その意味では「Myst」シリーズの影響が強く感じられるシリーズである。
「Syberia II」は、前作の世界観、登場人物をバックグラウンドに、まったく新しいストーリーを描いた続編と言うより外伝的エピソードとなっている。ゲームエンジンも前作と同じで、プリレンダーの2Dビジュアルを背景に、3Dモデルのキャラクタを置くというシンプルな内容になっている。プリレンダービジュアルは、前作にも増して美しいが、前作とやれることが変わらないので新鮮味はゼロといっていい。
前作の場合、プロローグシーンの絶妙な演出で、プレーヤーを一気にゲーム世界に引き込んでくれたが、今回は少なくともDemoのレベルでは、そうした気の利いたプリレンダー映像は一切流されない。「Syberia II」では、防寒具に身を包んだケイト・ウォーカーとシロクマのペットが、寒冷地帯の森林を散歩しているような、遭難しているような、どうとでも採れる曖昧なシーンから幕を開ける。
Demoの内容は、森の奥にある無人の狩人小屋でいくつかの謎解きに挑戦できる。謎解きはそれほど難しくないが、答えがわかっていてもアプローチの仕方が不親切でなかなか解けず、イライラさせられた。謎解きの対象となる大熊の行動も不自然だし、釣りのシーンでは、毎回ノロノロとした無駄なモーションを繰り返すなど、全体的に退化している印象がある。
もちろん、画面を見て貰えればわかるように、ビジュアルはしっかりしており、ピュアアドベンチャーとしては十分及第点を与えられるクオリティを備えているが、あの「Syberia」の続編かというとやや複雑な気分になる。これはオートマトンが不在だからということもあるし、謎解きの内容が気に入らないということもあるかもしれない。発売は欧米で3月というが、もう少し細部のチューニングに時間をかけた方がいいのではないかと思ってしまった。
(C) Syberia II 2004 MC2-Microds. All Rights Reserved. Produced and Published by MC2-Microds. Author and Art Director: Beno Sokal. All other trademarks and logos are property of their respective owners.
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