開発/発売元 工画堂スタジオ
工画堂が2月27日に発売を予定しているリアルタイムストラテジー「POWER DoLLS 6」の体験版。「POWER DoLLS」シリーズは、今年で10周年を迎える旗艦ブランドだが、6作目にして初のフル3Dグラフィックを採用。投入されている3Dテクノロジーは前時代レベルで、DirectX 9世代の欧米産FPSと比較すると辛い印象だが、3Dになったことでゲームの印象もずいぶん変わっている。同シリーズのファンにとっては嬉しい進化ではないだろうか。
「POWER DoLLS」は、2つの勢力が覇を競いあっているSF世界を舞台にしたストラテジーゲーム。もともと2Dのターンベースストラテジーとしてスタートし、途中でリアルタイムになったり、ターンベースに回帰したりといった変遷を経ながら、最新作は3Dリアルタイムストラテジーとなった。
ゲームの内容は、「DoLLS」女性隊員が搭乗するパワーローダーと呼ばれる人型ロボットを指揮し、さまざまなミッションにチャレンジしていくというもの。前作までは2Dグラフィックだったこともあり、クォータービューの視点から戦術指揮を執るというスタイルだったが、今回はフル3Dになったことことで、隊長のパワーローダーの視点で戦闘に参加するスタイルになっている。
「POWER DoLLS 6」は、初のフル3Dタイトルということで、ビジュアルに関してはあまり期待はしていなかったが、初うんぬんを差し引いても全体的に出来が悪い。フル3Dにするメリットというものが本質的な部分で理解できていない気がする。まず、体験版でプレイできるステージは、崖の上からスタートするのだが、崖から飛び降りることすらできない。落ちてパワーローダーが壊れるというのならまだしも、がけの縁の見えない壁に阻まれるというのは、欧米産のFPSではまずありえない処理だ。
さらに肝心のAIの思考ルーチンもいまひとつだ。フォーメーションモードで自機に追随させると途中でしばしばスタック状態になったり、攻撃命令を出すとそのまま突っ込みながら銃撃するだけだったり、信頼できる隊員と共に難敵を撃破する快感がまったく失われている。そのほか、3人称視点のフル3Dゲームでありながらマウス感度の調節機能がなく、デフォルトでは旋回速度が遅すぎて話にならないなど、不満がたまる仕様になっている。
同シリーズは「アクションゲームではなくストラテジーゲームなのだ」といってしまえばそれまでだが、これまでにもゲームテクノロジーの進化に対応し、ファンの期待に応える姿勢を示しているのだから、そこからさらにもう一歩踏み込んで3Dゲームとしての業界標準までゲームを磨き上げてほしいところだ。
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