発売元 Ubi Soft Entertainment
欧米でついに3月に発売されるCrytekの次世代アクションシューティング「Far Cry」のPlayable Demo。昨年のE3でDirectX 9世代のゲームエンジンCryエンジンをひっさげ華々しくデビューし、ヨーロッパ最大規模のゲームショウECTSでは「Half-Life2」を押しのけてBEST PC GAMEにも選ばれた。大方の予想どおり、「非常に重いゲーム」に仕上がっているが、FPSファンはぜひともプレイしておきたいところだ。
「Far Cry」は、南太平洋の孤島を舞台に繰り広げられる過酷なミッションを描いた血湧き肉躍るサバイバルアクション。南国の楽園的な美しい風景がどこまでも続く島は、実はテロリストが武装占拠しており、プレーヤーはゴムボートを使って単身敵の根拠地に乗り込んでいくことになる。
島には旧日本軍が遺した戦闘機や戦車、砲台といったものが遺されており、テロリストの根拠地そのものも無人化した要塞を流用しているといった具合で、楽園的な風景と、前時代的な要塞、最新の兵器といった各要素のギャップがユニーク。また、親日家がひしめくCrytekらしい日本市場を強く意識したつくりともいえそうだ。
同作の魅力は無数に指摘できるが、代表的なものをいくつかあげておくと、まず美しい3Dグラフィックス。同作のレベルエディットは、島1個丸ごとという途方もない規模になっていて、開始前にやや長いロードを経た後は、シームレスかつダイナミックにゲームが展開される。Demoミッションのオブジェクトであるアンテナは、遥か遠くの山頂に位置し、スタート直後から視認することができる。
マップが広大なことから、山頂までの道のりも一本道ではなく、時間制限もない。草陰からスナイパーライフルのスコープなどで敵の配置をじっくり観察し、複数の選択肢の中から侵入路を決めていく。この過程がおもしろくてたまらない。選択したコースによってゲームの難易度もずいぶん変わってくる。このゲームの場合、「難しすぎる」と感じられる場合、大抵は侵入路に問題があることが多いようだ。
そして敵AIも優れている。侵入者を発見してからの迅速な展開、遮蔽物をうまく利用した射撃、一箇所に留まらない柔軟な索敵能力など、同作のAIは人間的な思考をするようになっていて、歯ごたえのある銃撃戦が楽しめる。また、敵はこちらの逃げ道をふさぐように銃弾をばらまく傾向があり、ドッドッドッという土を叩く鈍い音が近づいてくる感覚などは、これまでのFPSでは味わえなかった要素だ。
ゲームデザインは完全にリアル系で、向かい合ったら基本的に逃げられず、数発の被弾で死亡してしまう。頃合いを見計らって突っ込んで一気に敵を蹴散らすというゴルゴ13的な展開はほぼ無理になっていて、手榴弾の爆風を浴びて視界がぐらついたところを複数方向からの銃撃で蜂の巣にされるのがオチだ。
何事もじっくりじっくりじわりじわり、というのが同作の基本的な展開で、敵を蹴散らす爽快感や、スピーディーな展開を望む人には同作は向いていない。製品版でどの程度ストーリーが盛り込まれるのかは不明だが、たっぷり楽しませてくれそうなシングルプレイキャンペーン、そして大規模な戦場をめいっぱい使ったマルチプレイ、FPSファンの期待に答えてくれる佳作に仕上がりそうだ。
Copyright 2003 Crytek/UbiSoft.
ダウンロードはこちら(Gamers Hell)