発売元 ATARI
世界を代表するトレーディングカードゲーム「Magic: The Gathering」(以下MTG)の世界観をモチーフにしたリアルタイムストラテジー「Magic: The Gathering - Battlegrounds」のFull Trial。文字通りフルバージョンを3時間体験できるという豪勢な内容で、たっぷり楽しませてもらった。MTGをまったく知らない人がプレイしたら果たしておもしろいのかという疑問は拭えないが、ゲームとしては良くできている。お勧めだ。
MTGのデジタルゲーム化は、これまでにもWizard of The Coastの正式ライセンスを受けたデベロッパーによってたびたび行なわれてきた。それらはいずれもモニタ上でMTGのカードバトルを楽しめるという点において共通しているが、「Magic: The Gathering - Battlegrounds」の斬新な点は、MTGのカードバトルをフル3Dで描き、かつリアルタイムで再現したらどうなるか、ということを真面目に取り組んだ初のプロダクトであるところだ。
話はわき道にそれるが、「Etherlord」と呼ばれるロシア製のRTSシリーズがある。同作はMTGのカードバトルと、「Heroes」シリーズ風のターンベースストラテジーの旨味をうまくミックスさせた佳作だが、バトルシステムはターンベースであり、アクション性も皆無で、カードゲームの枠内に留まっている。
これに対し、「Magic: The Gathering - Battlegrounds」は、MTGのカードバトルの全行程を一括して完全リアルタイムで処理しており、MTGファンにとってはかなり衝撃的な内容になっている。戦場はドッジボールコートほどの広さの広場で、中央には境界線が引かれ、双方が向かい合った状態でゲームスタートする。
通常ならまずは1枚カードをめくり、その後土地やクリーチャー等のカードを出すといった展開になるが、同作の場合は自領内を走り回ることになる。一定の間隔を置いてマナクリスタルがポップし、これを使ってクリーチャーの召喚やソーサリー、エンチャントといったインスタントアクションを起こしていく。
クリーチャーを召喚すると、そのまま一直線に敵のヒーローに向かって進んでいく。立ちふさがるクリーチャーがいなければそのまま敵のヒーローを殴りつけ、敵のHPをゼロにすれば勝ちとなる。この際、ヒーローに倒されれば消えるし、倒されなければ一定の間隔を置いて再度召喚される。
「Etherlord」やMTGのヒーローは無力だが、同作では棍棒で殴ったり、シールドを張って被ダメージを抑えたりといったアクションが採れる。極端な話、敵領に踏み込んでマナクリスタルを奪ったり、敵ヒーローを棍棒で殴ったりもできるが、敵領では徐々にダメージを食らうのでバクチ性が高い。また、棍棒はレンジが短く、モーションも緩やかなので、MTGの定石どおり、敵のクリーチャーに対しては、こちらもクリーチャーを当たらせて急場をしのぐのがセオリーのようだ。
要するにフィールド内を駆け回ってマナを集め、どしどしクリーチャーを召喚して、敵を圧倒するストラテジーゲームということになるが、マナが思うようにたまらず、どんどん敵が押し寄せてきて焦る感覚がおもしろくてたまらない。リアルタイムがゆえのおもしろさといえる。
また、クリーチャーが倒れるとその場で小さなマナクリスタルを落とすため、これが敵領にばかり落ちてしまうとじり貧になるなど、同作ならではの戦術性もたっぷりあり、夢中でプレイできた。MTGの人気を底支えしているイラストレーターが参画していないため、ヒーローやクリーチャーの魅力が今ひとつなのが玉に瑕だが、しっかり遊ばせるリアルタイムストラテジーだ。
Magic: The Gathering- Battlegrounds (C) 2003 Atari, Inc. All rights reserved. "Secret Level" is a registered trademark of Secret Level, Inc. and is used with permission. The Wizards of the Coast logo are trademarks owned by Wizards of the Coast, Inc., a subsidiary of Hasbro, Inc. and are used by Atari, Inc. under license. All rights reserved.
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