発売元 Activision
Electoronic Artsからリリースされた「Medal of Honor: Allied Assault(以下、MoH)」といえば、人気の戦争映画をオマージュとしたステージや演出、実際の戦争に使われた銃器の射撃音を使ったそれまでとは比べものにならない緻密な兵器描写などが人気となり、豊作の年であった2002年のPCゲーム市場で抜きんでたヒットを飛ばしたタイトルとして記憶に新しいところだ。
EAはその後、「Medal of Honor」シリーズを立て続けに量産し、ブランド化して展開していった。しかし、MoHを制作したゲームスタジオ2015の一部スタッフは、そういったマーケティング展開があまりお気に召さなかったようだ。結局2015のMoHのメインプログラマーの1人であるKen Turner以下、22名のクリエイターたちが独立して「Infinity Ward」という新しい制作スタジオを興すことになった。
このInfinity Wardの第1弾タイトルとなるのが今回紹介する「Call of Duty」だ。ちなみに今回のデモは、実はゲームサイト「FilePlanet」の有料会員向けに先行して配られることになっていた。しかし、これが明らかになると「3D Gamer's」や「Blue's News」といったデモプログラム配布のホスティングを請け負っている各ゲームサイトが連名で販売元のActivisionに対して宣言を行なったのだ。
その内容は、「FilePlanetに対して先行配布権を与えるのなら、今後「Call of Duty」のデモ配布は行なわない」というもの。これはActivision側もうれしい誤算だったようで、即座にFilePlanetの有料会員限定配布を撤回し、各ゲームサイトはめでたく制限なしに「Call of Duty」のデモ版を配布できることになった。
そういった曰く付きのネタ以外にも、「Call of Duty」にはMoHで重厚なオーケストラを堪能させてくれたMichael Giacchinoが音楽担当として参加していたり、映画「プライベートライアン」ではWade衛生兵として熱演したGiovanni Ribisiや、映画「トランスポーター」で主人公Flank Martinとしてニヒルな役所を見せたJason Stathamが声優として参加していたりと、注目のネタがかなり満載されている。ぜひともデモ版でその高度な出来を堪能してほしい。
さて、「Call of Duty」の基本的なゲーム内容は、英米露3カ国いずれかの兵士となって第二次世界大戦を戦い抜いていくというミリタリーアクション。今回のデモで遊べるのは、英国兵士となって戦うミッションの一部。ノルマンディー上陸作戦前夜に降下する空挺部隊に対して対空射撃を行っている対空陣地&車輌を排除するのが目的となる。プレーヤーは5、6人の部隊の一員として、戦場を駆けめぐることになる。注目したいのはそのスピーディーな展開と、敵味方の兵士を操るAI達だ。
MoHでは敵AIの評判が非常に良かった。手榴弾を投げ込めば投げ返してくるし、銃撃戦になれば伏せたり壁から体を半分だけ出して撃ってきたり、という反応を見せてくれた。この反応の良さは「Call of Duty」でも健在で、さらにパワーアップしている。
たとえば、敵AIと空間と遮蔽物を挟み込んで撃ち合いになる場合、常に敵AIはフォーメーションを組んでいる。その一部が欠けた場合、複数の兵が配置されているところから、欠けたポジションへと兵が移動したりする。また、常にこちらを狙うのに有利なポジションへ移動しようとしたり、遮蔽物から出るタイミングをずらしたり、といった非常に人間くさい行動を見せてくれる。またMG42のような機関銃担当の兵士がやられたら、別の兵士がMG42にとりついてこちらを狙ってくるので、機関銃手を倒しただけで安心してはいけない。今回の敵AIは非常に手強い。
「Call of Duty」は、MoHと同じクリエイターが開発しているだけあって、プレーヤーが一定地点まで進んだら敵が決まった行動を取るスクリプト型のシナリオを採用しているのだが、敵AIにはある程度思考の幅が与えられているようだ。当然、このAIの思考パターンは敵だけに採用されるわけでなく、味方AIにも採用されている。MoHにおける味方AIは、常に猪突猛進で前へ前へと進みまくるものでとてもじゃないが優秀な兵士とは言い難いものだった。しかし、「Call of Duty」の味方AIは洗練されており、敵AI以上に繊細な動きを見せてくれるのだ。
具体的には、ひらけた場所でMG42や大勢の敵兵士に遭遇した場合は即座に伏せ状態に移行し、じりじりと敵を排除していく。かと思えば敵の強力な火力によって遮蔽物の影に貼り付け状態にされてしまったら、いきなり二手に分かれて片方が弾幕によって敵の動きを封じ、もう片方が敵に接近して一気にけりをつける、といった非常に感嘆すべき行動を味方AIは見せてくれるのだ。
極端な話、彼らに任せていけば、プレーヤーはほとんど銃を撃つことなく先へ進めてしまうので、FPSが苦手な人でも十二分に遊ぶことができるだろう。そして、味方に指示する隊長キャラの意志によどみが無いのがこれまたすばらしい。隊長の声に従って敵を排除していけば、プレーヤーは映画に登場するような有能な兵士を演じることができるだろう。
また、登場する各武器も資料を精査して作られており、MoH以上に精細なモデルと挙動になっているので実際によく見て欲しい。ちなみに、若干弾が当たりすぎな気もするが、戦争映画のヒーローとして活躍すると思えばこんなものだろう。今回のデモ版、ザクッと遊んでも15分かからないと言う非常に短いものになっているが、その質は非常に高い。発売が非常に楽しみになってくる1本なので、ぜひとも遊んで欲しい。
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