開発/発売元 Ubi Soft
全編トゥーンレンダリングを採用したフランス生まれの異色FPS「XIII(サーティーン)」のPlayable Demo。「Splinter Cell」に続く、PS2、Xbox、GC、PCのマルチプラットフォームタイトルで、ようやく今年9月に発売される運びとなった。ずいぶん発売が遅れてしまった印象があるが、通例こうなってしまうと、「その他大勢」に分類され、市場的価値は激減してしまう。が、実際にプレイしてみたところ、なかなかどうして圧倒的な吸引力を備えた作品に仕上がっていた。「Far Cry」に並ぶ本年度の代表作となりそうな傑作だ。
「XIII」は、フランスの同名漫画をそのままのテイストでゲーム化したアクションシューティング。同社は、このマルチプレイ全盛の現代において、シングルプレイ重視FPSでも、作り込み次第によっては十分商業的成功を収めうるというという事実を「Splinter Cell」において鮮やかに実証して見せたが、今度は漫画をモチーフにFPS仕立てでオリジナルストーリーを展開させるというさらに大胆な試みに挑戦するわけである。
ちなみに、原作を知らなくてもまったく問題なく楽しめる。主人公は、記憶喪失の男性で、既知の情報は、XIIIと彫られた入れ墨と持っていた銀行の鍵だけ。グラフィックは、キャラクタからオブジェクトまですべてカートゥーン処理が施され、イベント時は動くアメコミを見ているような錯覚に陥る。最初はやや違和感を覚えるが、間もなくそのオリジナリティ抜群の世界観に魅了されてしまう。
これはゲームエンジンに新世代Unrealエンジンを採用しているところもあるが、丁寧に作られたレベルエディットによるところが大きい。また、ビジュアルはカートゥーン処理のため地味で大味に映るが、蒸気や爆発のエフェクトはしっかりしており、影もリアルタイムで処理されている。敵を一撃で倒すと連続カットで死亡シーンを表現するといった具合に「ゴルゴ13」を彷彿とさせる劇画手法も随所に取り入れるなど、演出面も抜群にうまい。同作は、トゥーンレンダリングをパフォーマンス維持のための方便ではなく、3D表現の一手法として本格的に取り組んだ初のケースだろう。今後この技法は、同作がリファレンスになりそうだ。
さて、基本的なゲームスタイルは、「Splinter Cell」や「No One Lives Forever」シリーズでお馴染みの謎解き要素のあるアクションアドベンチャーといった感じで、銃撃戦が必須であり、スニーク要素はほぼ皆無というところがこれらとの違いといえる。つまり、向かい来る敵を倒しながら、各エリアの隅々を歩き回ればなんとかなるというわかりやすいデザインというわけだが、銃撃戦は意外とシビアで、特定のアイテムを駆使して切り抜けるケースも多い。数回プレイしてみた限りでは、「子供向け」と書いたE3のインプレッションは明らかに誤りで、バリバリにコアゲーマー向けの作品だ。
Demoでは、プロローグシーンと単身米軍基地に乗り込む2つのステージがプレイできる。プロローグシーンでは、いきなり敵に襲われるシーンから始まり、丸腰の状態からいかにして危機を脱するかを試される。冷静になればそれほど難しいケースではないが、戦闘ヘリが銃撃を仕掛けてきたり、山影から狙撃してきたりなど、プレーヤーの度肝を抜く演出が目白押し。2つ目のステージは、多数の重武装の米兵と熾烈な銃撃戦を繰り広げる。謎を解く楽しみ、未知のエリアを探索する楽しみが存分に味わえる。難易度は高めだが、これぐらいがおもしろい。個人的には「Splinter Cell」以来と言っていい傑作FPSだ。
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