発売元 Project Three Interactive
ズーが7月25日に発売を予定しているアクションシューティング「New World Order」のPlayable Demo。北米では「Daikatana」以来の惨憺たる評価を受けて、専用サーバーは早くも閑古鳥が鳴いている状態だが、プレイしてみたところ世評に同調せざるを得ない。ここまで出来の悪いFPSは久しぶりだ。
「New World Order」は、近未来の混沌とした世界を舞台にしたアクションシューティング。プレーヤーは、日々暗躍するテロリスト集団に対抗する国際的組織「Global Assault Team(GAT)」の一員として、さまざまなミッションに挑戦していくことになる、という「Rainbow Six」風なバックグラウンドとなっている。
同作がRSシリーズと異なるのは、主人公は常に単身で行動し、スタート時に「Global Operations」のようにリストから好みの武器と弾薬を調達できるというところ。謎なのは、なぜプレーヤーがテロ組織に対して単身で戦わなければならないのかという点。
ステージの周囲には警察がバリケードを置いて行く手をふさいでおり、その中にいるのは多数のテロリストと自分だけというシチュエーション。仲間はサテライトを使って情報を提供してくれるものの、命がけで戦うのは自分だけなのだ。そこには当然RSシリーズのような高揚感はない。
グラフィックはオリジナルだが、クオリティは2002年度前半のレベルで、リアルタイムシャドウやLevel of Detailも粗っぽい内容で、RTSならまだしも、FPSではすでに許容できないレベルといっていい。ステージの作り込みは丁寧だけにこの点はややもったいない。
そして同作の致命的な欠陥となっているのがそのパフォーマンスの悪さだ。これはマシンスペックうんぬんではなく、明らかにプログラミング側の問題で、XGA/32bitというスタンダード設定で、推奨環境を完全に満たした状態でも、敵が複数出ただけで10フレーム以下に低下してしまう。
敵がいなくても周囲を見渡しただけでがくがくフレームレートが下がる。おそらく段階的LODのプログラミングに欠陥があるものと見られるが、あまりに苦痛なので途中で放り出してしまった。まるでプロトタイプを長時間強制プレイさせられるデバッガの心境だ。
グラフィックが「Splinter Cell」や「Unreal II」あたりの2002年度最高レベルのタイトルを完全に凌駕しているのならまだしも、明らかに劣っていてかつ途方もなく重いのでは、話にならない。ましてやわずかなパフォーマンス低下すら許されないマルチプレイで同作が受け入れられる余地はまったくないといっていい。
「パフォーマンスが良ければなあ」と多少は思わないでもないが、ノーマル難易度でも数発で死亡し、敵の視界が異様に広く、壁の向こう側にいるこちらの存在も一方的に察知するなど、ゲーム難易度がすこぶる高い割に、死亡するとスタート地点からのやり直しとなるなど、率直に言って非常に腹の立つ仕様となっており、この点も許容しがたい。どういう面から評価しても出来が良くない。
世界最後発の日本語版で、このあたりがどうなるのかは不明だが、基本設計に欠陥があるため、ほとんど変わらないと見ていいだろう。同社のFPSを日本語化して売るという姿勢は評価できるし、その丁寧な仕事ぶりは期待できるものだが、いくらなんでも作品が悪すぎる。
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