今回レビューする「PlanetSide」は、MMOFPSというジャンルに分類することができるゲームだ。MMOFPS=Massively Multiplayer Online First Person Shooter、要するに“インターネット経由で大人数のプレーヤーが遊ぶ1人称視点のシューティングゲーム”というわけだ。 当然、“Massively”と付くからにはこれまでのFPSのような「最大64人が同時プレイ可能!」といったようなレベルは完全に凌駕している。β版では表示されていた現在のサーバー接続人数が、製品版では表示されなくなってしまったために、正式サービス後の正確な数字はつかめないが、製品版リリース前に実施されていたβ版では連日3,000人を超すプレーヤーが4つのサーバーすべてにログインしていた。 「PlanetSide」の場合、1サーバーの最大同時接続人数は3,500人となっている。これまでのFPSだと、最大同時プレイ人数は64人までというのが標準的なので、プレーヤーは桁違いの規模の味方と協力して、桁違いの規模の敵を相手にするということになる。大人数で遊ぶFPSとしては、エレクトロニック・アーツの「Battle Field 1942」がここ最近のタイトルでは思い出されるが、純粋に人数だけを見れば、約50倍の人数が同時に遊ぶことになるわけだ。さすがに局地戦で50倍というわけではないが、それでも大規模な戦闘になると数百人単位の人間が戦闘に関わってくる。
■ “ONE PLANET THREE EMPIRES ONE GOAL”、三つ巴の戦闘の勝者となれ! さて、「PlanetSide」の舞台は地球から遠く離れた惑星Auraxis。人類が誕生してから数千年後、銀河系間貿易によって繁栄していた地球からの調査隊によって発見された惑星だ。その後、地球からの植民者が入植して惑星の開拓が始まり、現在の惑星Auraxisでは3つの勢力がその覇権を争って戦闘を繰り広げている。ということで、プレーヤーはゲームを始めるにあたって、自分が所属する勢力を決めなくてはならない。「PlanetSide」に登場する3勢力の特徴は以下のとおりだ。
後述する2勢力に長い間虐げられてきた人々による新興勢力。圧政からの解放を目的に戦うことになる。使用する武器は一発毎の破壊力が大きく、歩兵の手持ち武器はショットガンやロケットランチャーがメイン。また、乗り物は150mmの大口径砲を備えた戦車など、圧倒的火力が特徴のものが揃っている。「戦闘は火力!」という人にぴったりな勢力だ。
最初に惑星Auraxisに入植した旧来の支配勢力。秩序を乱す他勢力を鎮圧し、法による秩序を惑星Auraxisにもたらすことが目的。一発一発の威力は小さいが連射がきく武器を中心に装備をそろえている。手持ち武器の多くはマシンガン系であり、乗り物などにはチェーンガン(大口径のマシンガン)が装備されている。とにかく撃ちまくりたい、「弾数で勝負!」 という人におすすめの勢力だ。
人類は進化の限界に近づいており、これを打ち破るには科学技術を使ってでも強引に人間を進化させるしかないと考える勢力。技術こそ力と考えており、その装備の多くはレーザーを使用したエネルギー兵器となっている。また、戦車はホバー動力によって水上を移動できたり、MAX(要するにパワードスーツ)はジェット噴射で空を飛べたりするなど、他勢力にはない奇抜な装備がそろっている勢力だ。 この10個の島それぞれには9~16箇所の基地施設(Facility)が点在している。最終的には、すべての島のすべての基地施設を占領することが目的となる。とはいうものの、これは現状での目的であり、今後のアップデートいかんでは、敵本拠地を攻めて陥落させることもできるだろう。この最終目的に関しては今後のアップデートが待たれるところだ。
■ 経験値「BEP」と「CEP」を稼いで、利用可能装備を増やそう
このCertificationPointは、直訳すると“認証ポイント”とでもいえばいいだろうか。プレーヤーは、このCertificationPointを使ってゲーム中で使用することのできるさまざまな武器や乗り物の許可を受けることになる。このCertificationPointをどのように割り振るかでプレーヤーキャラの特徴が決まってくるわけだ。とはいうものの、このCertificationPointの割り振りは固定ではない。24時間に一回、CertificationPointを解除して、再割り振り可能にすることが可能となっている。 ちなみにFPSのプレーヤーからするとレベル上げに「経験値稼ぐのなんてダルイ」という所もあるが、基本的な装備はゲーム開始時から支給されている。「射撃」や、「避ける」といった動作に命中率や防御率といった確率論的な要素はいっさい入っていない。ここら辺は純粋にFPSで培った能力が生かせるので安心していい。 また、装備品以外にもBattleRankが6、12、18に達すると「Implant」を埋め込むことが可能になる。Implantは装備品と違ってプレーヤーキャラの身体内に埋め込む内蔵機器。装備することによってInfiltration Suitと呼ばれる光学迷彩スーツを着込んで姿を隠している敵の姿を見破ったり、足音を立てずに移動したり、遠くにいる敵の姿を拡大してみることができるようになったり、という特殊技能を身につけることができる。装備品と並んで、プレーヤーキャラクタの個性を決める要素だと言えるだろう。 また、Implanetを装備することができるBRに達すると、キャラクタが着ているスーツの配色が変更されたりするという外見上の変更もある。当然、戦場ではBRの高いプレーヤーは周囲のプレーヤーから狙われることは必須である。BRがあがってきたら、今度は実際に戦闘に加わるのではなく、Commanderとして戦闘を指揮する側に回ってみると、「PlanetSide」を違った面から楽しむことができる。 Commanderにはどうやってなるのか。基本的には自分がリーダーとなってSquad(RPGにおけるパーティーのようなもの)を組めばいいだけだ。あとは、Squadメンバーにリアルタイムで的確な指示を出していけばいい。このCommanderでプレイしている際に得られるポイントがCEPだ。 CEPは“Commander Experience Point”の略。CEPはプレーヤーがSquadのリーダーである際、BEPを取得すると別途加算され、これによってCommanderRankが上昇するようになっている。CommanderRankが上昇すると、Squadメンバーに向けてWaypoint(目標地点)の設定や、マップ上に侵攻ルートを記載できたりする。
余談だが、現在の所CommanderRankは5まであげることができる。この最高レベルまで上がると、惑星Auraxisの軌道上に展開する攻撃衛星から地上に向かって高エネルギーレーザーを発射して、着弾地点から20m内のものをすべて焼き払うことができるようになっている。 ■ FPSが苦手なプレーヤーでも、できることはいっぱいある
FPSというと、キャラクタスキルよりプレーヤースキルが高い、FPSというゲーム形態に精通した人間のほうが有利にゲームを進められる傾向にあったが、「PlanetSide」ではそういったプレーヤースキルは非常に限定された条件でしか役に立たない。 激戦となるのは基本的に基地施設内やその周辺の狭い地域内、そんなところに100人単位の敵兵がうごめいているのだから、いくら射撃能力に自信があったとしても正面切って戦ったらあっという間に蜂の巣にされてしまう。 では、どうやって戦えばいいのか。基本的に勝利に結びつくのはSquadメンバー同士の連携であり、Squad同士の連携である。たとえば、非常に守りの堅い基地施設を攻略する場合だとこのような作戦が妥当だろう。
1、戦車をメインとしたSquadの一斉砲撃が敵基地施設を蹂躙、敵歩兵や地上部隊は基地施設内に退避する。 ここで重要なのは指令をだすCommander役の戦略やタイミングを読む能力であり、プレーヤー個人に要求されるのは与えられた役割を忠実にこなすことだろう。それに攻撃すれば、怪我を治療するスキルを持ったMedic役のプレーヤーや、被弾したアーマースーツを直すスキルをもったEngeneerも必要になってくるだろう。 また、基地を稼働させるにはNTUと呼ばれる燃料がどうしても必要になる、敵の猛攻にさらされNTUが枯渇しかけている基地施設に燃料を運ぶ運搬役も必要となってくる。FPSに由来する射撃能力が要求される歩兵以外にもやることはいっぱいあるのだ。Squadを組んでいれば、メンバー同士でBEPは分配されるので、実際に戦闘に参加しなくても経験値を稼ぐことができる。
■ 空と陸に存在するさまざまな兵器たち 「PlanetSide」を語る上でプレーヤーが利用できる兵器は欠かせない要素のひとつといえる。これらの兵器は非常に強力で、使いこなせばどれもが一騎当千の力を発揮してくれる。また、輸送や補給に関する兵器は戦線を維持したり、押され気味な戦況をひっくり返すきっかけともなり得る。是非とも自分が得意な兵器をひとつ作っておこう。得意兵器があれば、Squadへ参加する際の自己アピールのひとつともなるはずだ。
■ 月々12.95ドルを支払うだけの価値がある充実したサービス 「PlanetSide」は通常のFPSと異なるMMOFPSという独自の位置づけのオンラインゲームだ。当然通常のFPSのようにユーザーが勝手にサーバーをたてられるわけではなく、MMORPGと同じように専用サーバが用意されている。この利用料として、ソフト代とは別に毎月12.95ドルという料金を払う必要がある。 気になるのは、「PlanetSide」に毎月12.95ドルを払うだけの価値があるのかという点だが、結論を言ってしまうと「ある」という一言に尽きる。バグなどの不具合解消や、Exploit(システム上の不具合を利用したズル)の解決、サーバーの安定性向上、などに関するパッチは現在頻繁にアップデートされており、これまでほとんどほったらかしで、半年に一回パッチが出るか出ないかというのが当たり前だったこれまでのFPSに比べればそのサービスの充実具合は桁違いだ。 さらに、これだけ大規模なゲームとなってくると24時間気になってしまうのは戦況だ。これに関しても公式ホームページにおいて、現在の戦況やOutfitと呼ばれるユーザー同士のクラン情報などをほぼリアルタイムで見ることができるようになっている。 また、爆撃機が追加されたり敵本拠地への侵攻作戦(通常本拠地への進行はできないが、イベント的な形で実施されることは考えられる)などの新要素の追加も今後のアップデート予定として発表されている。こういったアップデートの頻繁さは月会費を取るMMORPGなどと共通するものがあり、これまでのFPSだとユーザー主導で不完全な形でしか起こらなかった組織的な大規模戦がスタッフ主導でイベントという形で実施されたり、戦局を打開するような超兵器が実装されて勢力図が一気に書き換わったり、ということが予想される。今後の展開が非常に期待できる商品だと言えるだろう。 ちなみにMMOFPSというゲームの先駆けとして、すでに「World War II Online」があるが、あちらは実在の兵器考証に基づいたシミュレーター的な武器が多かったり、戦場の移動に実際と同じように時間がかかったりとかなり玄人向けの作りとなっている。MMOFPSとしては、「PlanetSide」よりもかなり前にリリースされた作品であり、MMOFPS=WW2Onlineというイメージを持っている方もいるかもしれない。WW2Onlineに比べると「PlanetSide」は非常に初心者向けの作りになっているので、是非とも気楽に楽しんで欲しい。
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□「PlanetSide」公式ホームページ http://planetside.station.sony.com/ (2003年6月2日)
[Reported by tyokuta]
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