発売元 Frog City Software
箱庭型シミュレーションゲームの傑作「Tropico」の続編「Tropico 2: Pirate Cove」のBeta Demo。Betaと銘打つだけあって、体験版とβ版の合いの子のようなプログラムだが、不完全な内容にもかかわらずぐいぐい遊ばせてくれる。前作同様の圧倒的な吸引力を備えた作品だ。
「Tropico」は、無人に近い孤島を舞台に、移民たちが幸せに暮らせる独裁国家を作りあげていく箱庭型の育成シミュレータ。プレーヤーは島の大統領として、選挙で他の候補を退けつつ、政治、経済、治安などのあらゆる面で堅牢な独裁国家を目指して努力していくことになる。ゲームシステムのみならず、グラフィック、サウンドとも素晴らしく、2001年度の育成SLGを代表する作品だ。
その続編である「Tropico 2: Pirate Cove」は、海賊の親玉として、海賊島を舞台に、海賊たちの楽園を造り上げていく経営シミュレーションゲーム。最大の特徴は、厳格な身分制度が引かれているところで、海賊と捕虜の両輪をうまく回転させつつ、荒れ果てた島をぐりぐり改造していくことになる。
グラフィックエンジンは前作と同じようだが、ゲームシステムが根本的に異なるため、再び新鮮な気分でゲームを楽しむことができる。具体的には、島でのすべての営みは、島民のためではなく、島を補給地にして略奪行為を繰り返す海賊船のためにある。生産品の多くは、長期航海に耐えるための食料をはじめ、戦闘を行なうための銃器、艦砲などで、そのほか、久々に陸地を踏んだ海賊たちを慰労するための賭博場や酒場といった慰安施設も設置していく必要がある。
前作のように、男女の島民の間で子供が生まれ、やがて成長して正規の教育を受け、成人後は電力工場で働くといった平和なプロセスはいっさい省かれ、略奪行為の一環として船に押し込んだ捕虜たちに一切の生産活動をやってもらうことになる。プレーヤーは海賊と捕虜の双方の関係を維持させつつ、島を発展させていくことになるが、海賊はもともと不平不満が多く、捕虜は日々虐げられているため、常に爆発する危険性を備えている。このあたりの微妙な支配政治におもしろさがある。
Demoでは、そうしたゲーム内容の序盤がプレイできる。一応フリープレイとなっているが、牧師や教師など海賊にはこなせない人材を作るための教育機関が建てられなかったり、建てられる建物の選択肢そのものが限られているため、ある一定以上は進行できなくなっている。サウンドは相変わらずラテン系の声楽曲でノリノリで遊べる。プレイ中、鞭の音がバシバシ聞こえてくる珍しい経営SLGだ。
(C) 2002 Frog City Software, Inc.
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