■ アンリミテッド:サガ オリジナルサウンドトラック
「アンリミテッド:サガ」。昨年の「東京ゲームショウ2002」でも、スクウェアブースに設置された音響体験コーナーには、プレイを待つ長い列ができていたのが記憶に新しいところです。
オリジナルサウンドトラックのほうも、ドルビーサラウンドプロロジック
IIによるエンコードがなされ、ステレオ再生よりも臨場感のある5chサラウンドに対応していて、立体的で迫力のある音響で楽しむことができます。収録曲は全58曲、2枚組み仕様で、分厚いライナーノーツも、制作秘話が語られていて面白いです。
広大な「サガ」ワールドにまず引き込まれるのが、ゲームを立ち上げると目に飛び込んでくる冒頭のデモ映像です。近年のスクウェアタイトルは、毎度ショー会場などでデモ映像に釘付けにされますが、「サガ」ワールドでは、平面のイラストが持つ独自の暖かみ、存在感をそのままに、キャラクタがリアルに動き出します。これに、「アンリミテッド:サガ序曲」が流れ、まさに絵と音楽がより合わさって画面からあふれ出すといった感じです。
イラストも瑞々しい7人のキャラクタには、それぞれのテーマとなる音楽があって、美しいビジュアルと相まって、イメージを豊かにしてくれます。流れるような弦楽器のメロディが綺麗な未亡人ローラのテーマは、夫を亡くした彼女の運命を表しているように聞こえるし、駆け出しの運び屋「ヴェント」のテーマは、スローテンポのギターで奏でられ、運び屋の集まるギルドのちょっとうらぶれた雰囲気にもぴったり。
バトルのテーマ曲は豊富に用意されていて、またそれぞれが独特の雰囲気を持っています。これは、ライナーノーツをご一読されることをお薦めします。戦闘の曲では、ゲーム冒頭から何度も聞く「バトルI」のメロディの素朴な音色も印象深いですが、ローラでゲームを始めたときにイベントで最初に突入する戦闘の「バトルのテーマVI」が、カスタネットみたいな打楽器が激しく鳴ってカルメン調の曲かと思いきや、それとは違う独特の勇ましい曲だったりする部分が、激しく気に入っています。
ゲーム内で流れる楽曲はすべてストリーミングで、情景にあわせた楽曲がたくさん聞けます。中には「March
in C」や「フィナーレ」など、フルオーケストラの楽曲が3曲あって、本サウンドトラックではそれらを中心に、2chステレオ音声で聞くことを目的として再度制作しなおされたボーナストラックも用意されていて、本編とは違う2chで楽しむことができます。
「アンリミテッド:サガ」のサウンドコンポーズを担当しているのは、「サガフロンティア2」、「FFX」を担当された浜渦正志氏。分厚く読み応えのあるライナーノーツの前半で、浜渦氏と、シンセサイザープログラマー担当山崎氏のお2人が語り合う形式で、サガの音楽について綴られています。それによると、お2人が「サガフロ2」から共に制作された楽曲は、200曲以上にも上るのだとか。気心知れたやりとりの中で交わされる内容は楽曲の解説にとどまらず、制作の内幕や、音楽制作のやり方、シンセサイザーの扱い方についてなど、突っ込んだ部分にも触れられています。読んで納得した上で改めて聞くと、またイメージが違って聞こえてきますよ。
[Text : 河本 真寿美]
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