★PS2/GBAゲームレビュー★

にほんごはたのしいよ
「ことばのパズル もじぴったん」
「ことばのパズル もじぴったんアドバンス」
  • ジャンル:パズル
  • 発売元:株式会社ナムコ
  • 価格:4,800円(両バージョンとも)
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
    ゲームボーイアドバンス
  • 発売日:PS2版:1月9日発売
    GBA版:1月10日発売

画面左の「えらぶくん」からもじブロックを選んで右のマスに置く(GBA)
 ナムコの業務用パズルゲームとして登場した「ことばのパズル もじぴったん(以下もじぴったん)」が、プレイステーション 2とゲームボーイアドバンスに移植された。

 このゲームのルールは至極シンプルだ。画面左の「えらぶくん」からひらがなの「もじブロック」を選び、右にあるパネルのマスに持っていき、置く。上下左右の隣り合った文字ブロックとの組み合わせが「ことば」になればOK。パネルを戻したいときはPS2版は△、GBA版はL/Rボタンを押せばいい。既定の条件を満たせばその時点でステージクリアとなる。

 PS2版とGBA版の違いはオフィシャルページに詳しいが、ステージ数はいずれも業務用を上回る。PS2版には対戦要素があり、GBA版はROMカートリッジの利点を活かし、ゲームデータのロード、セーブがシームレスであるという点がポイントになろう。



■ ことばを「つないで」いく楽しさ

 「もじぴったん」は、基本ルールからもわかるとおり、登録された辞書にあることばを作り出さねばならない。その登録数は膨大なものがあり、2つの文字の組み合わせだけでも相当のものがある。

 この「2文字」のことばをいかに作り出すかがこのゲームの基本であり攻略においても重要なポイントとなる。2文字から発展させて挟み込むように3、4、5と文字を追加し組み合わせていけば「れんさ」が起こり、スコアも向上する。「あ」、「い」の右に「す」を置くか、「か」を置くかなど、同じ組み合わせから発展させるにしてもいろんな手段がある。この組み合わせの引き出しをいかに持ち合わせているか、そしてステージに応じた戦略を組み立てていけるかが、このゲームをクリアするための必須の能力となってくる。

 当然、知らない言葉は意外と多い。困ったらあてずっぽうにもじブロックを放り込んでもいいだろう。「え? これはOKなの?」というときもあるし、「これはアウトなの?」と思うこともある。76,500語以上という登録語句にも、限界はあるからだ。なんでもかんでもOKということになれば、ゲームの難易度にも影響する。そういった意味で、この辞書はほどよいバランスになっていると思う。

 ただ、いつも切羽詰っていては落ち着いてゲームが楽しめない。自分なりに得意な組み合わせを作っておくと、なんとなくクリアは楽になってくるだろう。無理に長い言葉を作ろうとせず、最初はこつこつ2文字から、徐々に伸ばせるようにパターンを組んでいくのだ。とくに、濁音、半濁音、「ぬ」、「ね」、「へ」、「わ」、「を」、「ん」あたりのもじブロックを使って言葉を作れるようになっておくと心強い。

 偶然できあがった単語はメモするなどして覚えておきたい。実際に作った単語は、組み合わさる(もじブロックを置く)と同時にもじくんたちのリアクションとともに意味が表示されるが、PS2、GBA版ともに、プレイ中にセレクトボタンを押すことで、今まで作った言葉のリストが表示されるようになったのはアーケード版との大きな違いだ。

 「えらぶくん」にストックされているもじブロックは基本があいうえお順に配置されており(ステージやモードによっては「いろはにほへと」や文章になっているなど順番が異なることもある)、ハイスコアを狙う上で、どうしても「あ」行~「か」行系列のことばに詳しくないと慣れるまではプレイするにはつらいかもしれない。時間制限内に条件を満たさねばならないので、最大7文字を表示する「えらぶくん」の特性上、文字を選んでいる時間は少しでも短いほうがいい、ということはプレイしていればおのずとわかってくる。ただ、もじブロックが不足してくると、「な」行以降でいかに言葉を作れるかが勝負になってくる。

 また、もじブロックを置くと移動する「移動マス」、指定方向に回転する「回転マス」の存在がカンフル剤として用意されている。移動および回転マスと同じ色のマスが移動するようになっているので、移動したあとのことも考えながらもじブロックを置かねばならないのだ。これが意外と慣れるまでが大変。反面、思わぬれんさや長いことばをうみだすこともあり、非常にユニークな仕掛けといえるだろう。

どんどん作ったことばを伸ばしていくように組み立てていけるようになればプレイが楽に(PS2) 「回転マス」。ひとつのマスにもじブロックを置くと、同じ色のマスが回転する(PS2) プレイ中にセレクトボタンを押せば作ったことばを閲覧できる(PS2)



■ 家庭用オリジナルの「じっくりぱずる」も楽しい

 さて、家庭用「もじぴったん」には以下のモードが用意されている。

設定時間は長めになっている(GBA)
  • じっくりぱずる
     「すべてのマスを埋めろ」など、条件を指定された中でのクリアを目指す、熟考型のパズル要素の強いステージが300以上用意されている。ステージクリアすると「もじくんめだる」が1個もらえ、コインの取得状況に応じていろんな変化が起こる。200個以上集めるといいことがある。難易度は3段階あるが、最初は難易度1のものしかプレイできない。
     「あーけーど」と違い途中でさくっとやめることもできるので、GBA版では移動中などのプレイにはぴったりだ。
ステージ数は業務用の3倍に増加(GBA)
  • あーけーど
     業務用同様の「かんたん(全5ステージ)」、「ふつう(全6ステージ)」をクリアすればエンディングとなる業務用移植版ともいえるモード。ただし、総ステージ数は業務用の3倍に増加しており、「ふつう」コースの各ステージを30秒以上残してクリアすれば「えくすとらすてーじ」もプレイできるようになる。
     また、「おこのみモード」で好きなステージをプレイできるようになったのも業務用との違いだ。
  • いろいろでーた
     「もじくんめだる」やハイスコア、最高れんさ数などのデータが閲覧できる。
  • おぷしょん
     操作、難易度設定の変更が可能。BGMも聴くことができる。PS2版では「ソフト(フリッカフリー)」と「シャープ」の画質選択も可能。
特別すてーじのひとつ「はちえもん」(GBA)
(c)KTV. 
  •  すぺしゃる
     
    PS2版は4ステージ、GBA版は8ステージの特別ステージがプレイできる。
2つのルールで遊べる(PS2)
  • ふたりで対戦(PS2版のみ)
     
    PS2版にしかない対戦モード。業務用に比べ、遊べるステージ数が12→48と増加している。交互にもじブロックを置くか、はやいもの勝ちにするかルールが選択できるようになっている。
集めた「もじくんかるた」を閲覧できる(PS2)
  • もじくんかるた(PS2版のみ)
     「じっくりパズル」をプレイしているとゲットできる「もじくんかるた」コレクションを閲覧できる。

 なお、「あーけーど」、「ふたりで対戦」でステージクリア(あーけーどはオールステージクリア)すると、プレイ中作った単語から分析した「せいかく(対戦時はあいしょう)しんだん」が表示される。

「せいかくしんだん」は作ったことばのジャンルから分析される(GBA) 「あーけーど」のステージ間ではスロット遊びもできる(GBA)



■ PS2、GBA版のどちらを選ぶか?

 PS2版の最大のセールスポイントはやはり「ふたりで対戦」モードがあることだろう。交互に文字ブロックを置くルールでは、ひとつのパネルでガラッと情勢が変化し、シングルプレイでは味わえない奥深さがある(「パネルクイズアタック25」を思い起こさせる)し、逆にGBA版はハードの特性上、ひとりでじっくりプレイする用途にこのうえなく向いている。

 家でプレイするときはPS2版、移動中はGBA版とまさに「もじぴったん」漬けの生活を数日過ごしているのだが、「どちらかひとつを選べ」といわれたら、個人的には、おそらくGBA版を選んでしまうだろう。理由は至極簡単。立ち上げるための時間がかからない、オートセーブもシームレス、というハードの特性の違いである(PS2版もロードはほぼ皆無で、ストレスなくプレイできるが)。将来、任天堂の「ゲームボーイプレーヤー」が発売されれば、ある程度の大きさの画面でのプレイも可能になることを考えると、GBA版とPS2版との差異は大雑把にいえば「ふたりで対戦」とステージ数、そしてマスの数の違いなどになる(すぺしゃるはGBA版がステージが多く、対戦ステージはPS2版のみ)からだ。

 今までに述べた利点のほかにも、PS2版はセーブデータを持ち歩ける、プラットフォーム的に普及度が高いという魅力がある。結局は自分の環境しだいということになるだろう。

【ゲームボーイアドバンス版】 【プレイステーション 2版】
気軽に持ち運べる、セーブ時間が皆無などの利点を持つ 大きな画面で遊びやすい、対戦モードが用意されているというアドバンテージを持つ



 最後に、このゲームの個人的に気に入っている点をひとつ挙げたい。それは古原奈々さんの歌う主題歌「ふたりのもじぴったん」、エンディングテーマ「じゅもんをあげるよ」をはじめとしたBGM群が非常にきもちいいこと。GBA版でも、ビットレートこそ低いがちゃんとヴォーカル入りのBGMが収録されている。お気に入りはやはり「ふたりのもじぴったん」と、ポップな曲調の「クッキー&クリーム」、「Piacevole!」。「ふたりの~」は、'80年代アイドル歌謡風でありながら、ベタベタではない歌詞と軽いイメージの楽曲がふんわりしたイメージで、お気に入りの作品。同社の「太鼓の達人 タタコンでドドンがドン」にもメドレー版が収録されており、ゲームをプレイしてないときも、作業中にヘヴィローテションでBGMとして活躍している。

 そんなこんなで、「ことば」に関してこれだけ考えることもそうそうない私に、「ことば」を見直すいいきっかけを与えてくれたこのゲーム。しりとりなどにはじまる日本語遊びの新しい形を見せつけられた作品だ。今回の家庭用移植でさらにプレーヤー層が広がるととてもうれしいな、と考える大プッシュの1作である。

(c) 2001 2002 NAMCO LTD.

□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□オフィシャルサイト「もじぴったんうぇぶ」
http://www.namco.co.jp/home/cs/lineup/mojipittan/index.html
□古原奈々さんオフィシャルページ「ふわふわふるるん。」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~r-happy/
□関連記事
【12月26日】ナムコ、言葉を使ってひねり出すパズル「もじぴったん」プレイステーション 2とゲームボーイアドバンスで発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021226/namco.htm

(2003年1月8日)

[Reported by 佐伯憲司]


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