発売元 Majesco Games
北米でも指折りの開発力を有するプログラマ集団Terminal Realityが久しぶりに放つ新作ホラーアクションアドベンチャー「Blood Rayne」のPlayable Demo。同作はすでにコンソールで先行発売されており、トリを飾るのがPC版となる。今回もいかにも同社らしいエッジの効いた作品に仕上がっている。アクションアドベンチャー好きならぜひプレイしてみよう。
Terminal Realityは、Microsoftの「Flight Simulator」シリーズを開発したプログラマたちが興したゲーム会社で、第一作がFSの対抗作である「Fly!」シリーズ。その後、「CART Precision Racing」や「Monster Truck Madness」などを手がけ、昨年は「Blood Rayne」の原型ともいえる、「Blair Witch」シリーズ、「Nocturne」などを制作している。このラインナップを見てもわかるように、テクノロジー的に見るべき部分は多いが、一般受けの難しいタイトルばかりがならんでいる。「Blood Rayne」も幸か不幸かその系譜に名を連ねそうな作品である。
ゲームの主人公は、セクシーな装いをしたハーフバンパイア。時代設定は'30年代で、敵はナチスドイツ。主人公は、ナチスの拠点に単身で侵入し、自らの能力を駆使して、さまざまなミッションを遂行していくという内容。シナリオを聞くと、「Return to Castle Wolfenstein」に似た印象を受けるが、3人称視点で絶えず目の前に映し出される主人公Blood Rayneが圧倒的な存在感を持ち、彼女ありきの作品に仕上がっている。
彼女の多彩なアクションが作品の大きな魅力のひとつで、両肘に装着しているブレードによるコンボアクション、両手に装着した銃器によるガンアクション、そしてバンパイアの伝家の宝刀である吸血アクション、そのほか2段ジャンプや腕から飛び出る鎖によるレンジ攻撃などがある。
特に魅力的なのが吸血で、銃器を構える敵に飛びつき、血を吸い取ることで、対象を無力化させると同時に体力を回復させることができる。ボス戦ともなると、一般兵士たちはまさしく“体力回復源”であり、銃で撃たれながら吸血を続けるといった一種異様な光景が繰り広げられる。敵が悲鳴を上げるのもかまわず、髪を振り乱しながら吸血を続けるシーンはかなりショッキングで、その間に彼女が漏らす吐息がまた艶めかしい。インパクトありまくりの作品である。
このようにゲーム自体はコンソールライクな作りで好感が持てる作品なのだが、PC固有の問題としてあげられるのが、ゲームそのものの重さ。はっきりいってPentium 4、GeForce4 4600でも重くてゲームにならない。移植過程におけるチューニング不足が原因なのは間違いないが、理由はそれだけではない。
というのは、同社が創業以来こだわっているシミュレーションエンジンがパフォーマンス低下をもたらしているものと見られるのだ。同作では壁に撃ち込まれた弾痕はもちろんのこと、飛び散った血しぶきや、ブレードで掻き斬った胴体や首そのものまで、フィールド上のオブジェクトとしてどんどん追加されていく。彼女自身も、移動方向によって髪の揺れ方が異なり、オートターゲットになっている銃器も、移動のたびにその向きを変えていく。このあたりの物理シミュレーションへのこだわりは、世界最高レベルだろう。
だが、こうした現実世界同様のシミュレーションを、リアルタイム処理し、かつ蓄積していってるため、結果として途方もなく重いゲームになってしまっている。また、純粋にビジュアルのグレードで見ても、Ubi Softの「Splinter Cell」のほうが上なのもマイナスポイントで、北米市場でも総じてやや厳しい評価になっているようだ。同社の試みを見ていると、リアリティとエンターテイメントを両立させることの難しさがよくわかる。なんというか、非常に悲しいゲームだ。
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