遠く離れたビルの屋上、黒尽くめの服装でライフルを構える男がひとり。ターン! という音と共に、向かい側のビルにいた男が倒れて死んだ。それを確認した狙撃者は何事も無かったかのようにライフルをしまい、夜の雑踏へと消えていくのだった……。そんなゴルゴ13ばりの殺し屋の任務を緻密に描き出した内容と、その異様なまでの難易度が話題を呼んだ「Hitman: Codename 47」の続編としてリリースされたのが、今回紹介する「Hitman 2: Silent Assassin」だ。
■ 前作「Hitman」から数年、姿を消した凄腕の殺し屋が再びよみがえる!
その後、No.47は自分の侵した罪を懺悔するためにイタリアのシシリーにある教会に入り、ヴィットーリオ神父のもと庭師として働いていたが、彼の生存を知ったロシアンマフィアがヴィットーリオ神父をさらい、5,000万ドルという大金を身代金として要求。神父を救うため、殺し屋時代のエージェント、ダイアナに連絡を取るものの、ロシアンマフィアに関する情報をタダで手に入れられるわけがなく、No.47は神父に関する情報と引き換えに再び殺し屋の仕事に手を染めるのだった……。
そんなハードボイルド調の背景のもと、「Hitman 2:Silent Assassin」のストーリーは進行していく。このゲームは「隠密性」というキーワードを前面に押し出したスニーキング系アクションに分類される1本。プレーヤーであるNo.47はヒットマン=殺し屋となり、警護の人間に気づかれることなく、ステージごとに設定された目標(ターゲットの暗殺や人質の救出、機密文書の確保など)をこなしていくこととなる。 ■ 変装と自然な振る舞いを駆使して場に溶け込み、敵AIに警戒感を抱かれないようにしよう!
では、速やかに目標を達成し、生きて脱出するためにはどうすればいいか。答えはひとつ「敵に発見されずターゲットを排除、そしてそのまま脱出」ということになる。ここですぐに思い浮かぶのは「敵AIの目に触れず、音を立てないで移動する事」だ。当然本作では、移動アクションの中に忍び寄る歩き方があり、この歩き方を使えば音を立てず移動できる。しかし、移動がかなり遅かったり見た目がかなり怪しかったりと、この方法には限界がある。 さらに、ゲーム中かなりの頻度で建物内に進入してミッションをこなす必要があるが、たいてい入り口周辺には巡回している敵AIがいる。仮に潜入に成功したとしても、ターゲット周辺は警護の人間でいっぱいで身を隠すのも難しいという状況で「敵に発見されず」というのは難しいだろう。ではどうすればいいか、その答えは「変装」である。 変装は、前作「Hitman」から続くシステム。No.47は無力化した人間の着衣を奪い着込むことができる。変装といってもルパン三世がやるような顔までそっくりに化けるというわけではなく、外見だけの変装だ。とはいうものの、警護の人間といっても24時間、神経を張り詰めているわけではないだろう。外見さえ変えれば、仮に遠目から敵AIに姿を見られたとしても近づかない限りそうそう正体を見破られることはない。変装という選択肢は敵AIに「警護対象に危害を加える人物」として認識させることなく、警護の人間がいる空間に自然に溶け込むための一手段というわけだ。 ただ、あくまで変装した人物の振る舞いを“自然に”演じることで場に溶け込むのだから、外見を変えたからといって好きに行動して良いわけではない。警備の人間に変装したら「警護対象の周りを巡回している」ような行動をとらなければいけないし、ウェイターや郵便局員といった一般の人物に変装したとしても同様で、目立つ銃なんてぶら下げていたら一発でばれてしまう。胸のホルスターに収まりきらない銃もあるし、敵AIにボディーチェックをされるかもしれないからだ。
さらに変装した人物を知っている人物にも近づいてはならない。いくら外見が一緒といっても顔はぜんぜん違うわけで、接近されたら違う人物だと認識されてしまうからだ。同じ理由で警護の人間に変装した際、同僚の敵AIに「こいつは怪しげだ」と思われた場合、きわめて自然に「私は巡回中ですよー」とでも言わんばかりに、ゆっくりと自然に現場から遠ざかることがキーポイントになる。
■ めまぐるしく変わる状況にあわせて武器を選択し、自分の痕跡の一切を残すな!
警戒されると部屋に閉じこもったり、逃げ出したりするターゲットもおり、目標達成の難易度が大幅に上昇してしまう。よって、自分の痕跡を発見されないようにいろいろと工夫をする必要があるわけだ。 たとえば変装衣装を奪った敵AIの死体をゴミ箱の影や小部屋に引きずって移動させたり、巡回が激しいところの敵を倒す場合は血痕が残らないようにワイヤーを使って首を絞めたりといった具合だ。加えて気をつけたいのは「音」という痕跡に対する注意だ。音は特に敵AIに警戒心を抱かせやすいので銃声などもってのほか、できる限り音を立てないように心がける必要がある。
敵を無力化する方法を音の出ない武器、たとえばサイレンサー付の銃やナイフで後ろから首を掻っ切るなどの倒し方を選択しよう。音を立てずに敵AIを殺害し、痕跡を一切残さないように気をつければミッション達成は相当簡単になるはずだ。
■ ミッションクリアへの道は千差万別、自分の得意とする方法でクリアを目指せ
たとえば銃で殺す場合ひとつとっても、近づいてハンドガンか遠距離からスナイパーライフルかという選択肢があるし、接近できるならナイフやワイヤーを使って背後から静かに殺害するというのもアリだ。さらに特異な方法としては毒殺なんて手段もある。武器と潜入経路を考えれば選択肢は無限大に広がる。加えて「静かに目標を達成する」というスニーキング系アクションの根本原則をまったく覆して、マップ内の敵AIを皆殺し! という力任せな正面突破も可能だ。 もちろん完全スニーキングが美しいのは言うまでもないが、あまりに潜入に時間がかかったり警戒が厳しい場合は正面突破も選択肢のひとつとしておいておくといいだろう。とは言うものの、一部のマップではキーパーソンを殺害してしまうとクリアできなくなってしまうものもあるのでほどほどに。
では一般的な潜入狙撃ミッションを誌上プレビューで紹介しよう。エージェントダイアナによるミッション内容だが、今回は神父をさらったロシアンマフィアとつながりのあるロシア軍の将軍を狙撃して殺害するのが目的。将軍たちはミッション当日本部ビル内で会議をするらしい、今回はその中の特定のひとりを暗殺する。当然本部ビル周辺は多数のロシア軍兵士で警護されている。地下鉄を使って現地に入り駅ロッカー内に武器を持ち込んでおいたので、これを使って狙撃を実行してくれ……とのこと。ではミッション開始だ。
■ 頭を使ってじっくり考え、Silent Assassinの称号を得られる実力を身に付けろ! さて、今回紹介した「Hitman 2:Silent Assassin」。難易度は相当に高い。特に真正面からの皆殺しではなく、本来のスニーキングによってクリアを目指す道のりは非常に困難で、パズルのように何度も挑戦しないと目標達成が到底無理なステージもある。しかし、一度も敵に見つからず、敵AIに自分の存在を気取らせないまま終われば最高峰の称号「Silent assassin」が手に入るほか、ステージによっては特殊武器が手に入る。 「Hitman 2」にはマルチプレイがないこともあり、そのゲーム内容の作りこみにはレビューで紹介しきれないほど濃いものがある。久しぶりにじっくり頭を使うアクションを楽しんでみてはいかがだろうか。
Hitman 2: Silent Assassin (c) I.O Interactive A/S, 20021.
□「Hitman 2:Silent Assassin」公式ホームページ http://www.hitman2.com/ (2002年11月12日)
[Reported by tyokuta]
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