~ライターによる、GM思い出 暴れ語り~
●担当ライターが思い入れたっぷりにゲームとGMを語ります。
■ 「スナッチャー」
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'89年にキングレコードより発売。ゲーム自体の発売は'88年です。私的「スナッチャー」名物はしゃべり風につくられたビープ音(でもちっともしゃべってるようには聞こえない)、長い長いエンディング(当時のアドベンチャーにしてはホントに長い)、戦闘シーン前の読み込み(読み込みが始まると「戦闘だ!」と、テンキーに置く指が震えました)。「スナッチャー」プレイしたことがない人はPS版などやってみたらいかがでしょう? 入手しやすいし。88版とはいいませんヨ(笑)。 |
誰に聞いても「いいゲームだ」というお墨付きをもらえる、名作中の名作アドベンチャーゲームですよね、「スナッチャー」は。
もう10年以上昔になりますか、かねてから欲しいと思っていたPC-8801を友人が安く譲ってくれるというのでお部屋にスペースを作って我が家に88がやってくるのを楽しみに待っていたことがありました。
88自体はそれより1年くらい前にいとこの男の子がゲームをやっているのを見ていたり、全く知らない物体という訳ではなかったものの、ゲーム機といえばファミコンとディスクシステムしか知らなかった私は(PC-88はゲーム機ではないですが)、88のきれいなグラフィックと深みのあるサウンドに「こんなものが世の中にはあるんだー!」と、かなりショックを受けました。
そのときいとこがプレイしていたのはファルコムの「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」だったような気がします。興味津々で88をのぞきこむ私に、いとこは次々といろいろなゲームを見せてくれましたが、いとこの好みがRPGだったせいか、ほとんどがファルコムのメジャーどころのRPGでした。
後日、友人たちに「PC-88がほしい」と言いまくっていたところ、ラッキーにも手に入れる手段ができたわけですが、うちにきた88におまけでついてきたのが「スナッチャー」を筆頭に「ハイドライド3」や「ミスティーブルー」といった超名作ゲームばかりだったのです。
そんな風に出会った「スナッチャー」、このゲームってキャラクタとかストーリーとか、なんかアダルトな大人っぽい雰囲気ですよね。主人公ギリアンはバツイチだし(笑)。いとこは当時中学生だったから「スナッチャー」のストーリーの深い部分とか、いまいちピンとこなかったのかもしれませんね。
さて、今回書いている「スナッチャー」はPC-88版のほかにもサターンやプレイステーション、PC-ENGINEのCD-ROM
2などいろいろなハードに移植されました。CD-ROMで供給された「スナッチャー」はなんと声優さんがしゃべってくれるという、88時代からは考えられない要素が加わっています。
でも、でもですね、日本語でしゃべられるのにものすごい違和感を感じて、なんとなく興ざめなんですよ。
何故かというと、「スナッチャー」の88版オリジナルサントラはゲームのストーリーに合わせて曲とドラマがほどよく織り交ぜられている凝った作りで、そのドラマのセリフが英語だったからなのです。ちょっと刷り込まれてしまったかな、と自覚しつつ、私が好んでいたちょっと大人な、洋画っぽい雰囲気が、日本語で聞こえてくるといきなりチープに聞こえちゃって嫌なんだもの。洋画を字幕で見るか、吹き替え版で見るかの違いと同じだと思うんですが、「スナッチャー」のしゃべりは絶対英語、そうじゃなければ88のビープ音のほうがいいなあ。
曲も、88音源のキラキラした音がオープニングの「TWILIGHT OF NEO KOBE CITY」なんかには特に合っていて、一番好みです。しっとりとした曲調がネオコウベシティの夜景にマッチしていてこれまた大人な雰囲気。家庭用ハードではオープニングは違う曲になってしまっているのも残念です。
「スナッチャー」の楽曲って、スピード感があるものもバラードも両方好きですねえ。お気に入りはベタベタですが「THEME OF JUNKER」と「THEME OF SNATCHER」、そして「FADED MEMORIES」。
中でも「THEME OF JUNKER」はストーリーの中盤、事件の真相を解明しようとギリアンがノリノリなときに流れるので曲もハイテンポ、テンションも高いです。聴いている私もやる気出まくり、ノリノリです。
お気に入りの3曲はどれも少しずつ真実が見えてきて、事件現場などに移動する際に使用されていますがストーリーの進行度合いによってスピード感が違います。これは真実を知れば知るほどやるせなくなっていくギリアンの心情を表しているんでしょうね。
「スナッチャー」が世に出てからずいぶん時間もたち、家庭用ハードも進化しましたよね。ここらでひとつ、字幕版、吹き替え版をセレクトできる最新版「スナッチャー」を発売していただきたいものです。もちろん音源は88版と同じFM音源とPSGを再現したものでね。基本でしょう(笑)。
[Text : 遠藤 美幸]
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「ナイトストライカー」
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'93年にサイトロンから発売された1500名盤シリーズです。これまでの他のアルバムに収録されたアレンジ曲などもまとめられていて、アレンジ3曲+オリジナル曲が収録されています。個人的にはオリジナルがあまりにも良いと感じているらしく、アレンジには反応しなかったなぁ |
闇夜に光彩を放つビル群は、ものすごいエネルギーを湛えているくせに何故か退廃的で、神秘的な印象を受けます。一種独特の匂いを放つ光景が、見る者に近未来にいるような錯覚を起こさせます。
夜の工場地帯をバイクで走るときや、東京の繁華街や都庁付近を自転車で爆走する時など、ついこの威圧的な何とも言えない光景に見惚れます。急に外壁がぐるんと反転したかと思うと、ランダムな順番にバラバラめくれていって砲台が出現し、フジツボみたいにびっしりと兵器に覆われた要塞に変わんねーかなー、と心の中で妄想しながら眺めていると、突然身に迫る危険を感じる、でも、目はその光景を捉えて離さない。脳に焼き付けようとする……きっと人間には、そういう習性があるに違いない! いや、それはいいから、運転中は前を見ろって私!!
こういう時、アタマの中は概して「ナイスト」状態です。「夜、ビル、光」から記憶を引き出す脳内リンクリストには、映画の「AKIRA」や、MSX「SNATCHER」、メガドラ「PHANTASYSTAR II」のパッケージイラストなんかも、入っているんだけれど……。
一番に「ナイスト」が出てくる理由は、他の何よりも突出して私に与えてくれたものがあって、それが「疾走感」です。あの、耐え難いほどの爽快さです。夜の空間を駆け抜ける気持ちよさです。
そして切なくも格好良いBGM群。これぞ「ナイスト」。あの音楽なしに、あの世界観は無かったんじゃないかと思います。私にとってはゲームとGM、どっちの比重がデカいのか、本当に絶妙なレベルまでGMが好きという数少ないゲームのひとつ。珍しく「好きじゃない曲」が見あたりません。
その中でも無理矢理絞るとすれば、私がいっとう好きな曲は「BURNING ROAD(地下道のテーマ)」と、「BOSS6(ラスボス)」です。金色のパイプがまぶしい水路も捨てがたいし、誘導弾から逃げるのが難しい海の曲も相当キテます。出だしがほんのりダメな風味を漂わせる空の曲も、途中からメロディーが繰り返しになって盛り上がりを見せる辺りから凄まじく良い。むしろメロディーが一番胸に突き刺さるのは、この曲です。
「ダライアスシリーズ」同様、クリア後に2択のステージを選んでいき、ツリー状に広がっていくのですが、面クリアごとにバリアが増えるというとても親切な仕様で、クリアを目指すだけなら簡単でした。毎度ボス曲が違うというのも、すごく贅沢です。だって他でもない、あの曲群ですよ。
何で「BURNING ROAD(地下道のテーマ)」と、「BOSS6(ラスボス)」が一番好きなのかと言うと、ステージ内容が気に入ってるのがデカいですね。地下道の障害物を避けるのがすごーく楽しかったのと、最終ステージはいつも左から2つ目、Qゾーンを選んでいて、ここがめちゃくちゃ気に入っていたんです。Qゾーンは、被弾した「インターグレイ」を乗り捨てて、中からボディスーツに身を包んで推進装置を背負ったパイロット(ドライバー?)が出てくるというアレです。ボスとの一騎打ちも、追いかけっこみたいでめちゃくちゃ楽しいんですよー。最近になって、遠藤さんの身内の間ではQゾーンを「アムロ」と呼んでいたと聞いて、爆笑しました。確かにアムロっぽい!
後々になって、弾を撃たない「パシフィストボーナス」を身内がやり始め、ビデオも回ってきてスゲーと思ったけど、自分はそこまでやりませんでした。当時は撃ちまくるのが楽しかったし、夜景をひらひら舞うのが楽しかったのです。
タイトル画面も異様に格好良かったなぁ、闇に溶け込む摩天楼、その上に緑のLEDっぽく「NIGHT STRIKER」。プレイ中の、女の人の無機質な声も、格好良かった。あんな夢に出てくるカッコイイゲーム、また出してくださいよぉ。今度はもうちょっと、台数多めでお願いしまーす。
[Text : 河本 真寿美] |