イノのギターを追え! ~ESP学園潜入記~ 其の壱

 9月に開催された「東京ゲームショウ 2002」に、「ギルティギア イグゼクス」の登場キャラクタ「イノ」がゲーム中で使用しているギターが展示されたのをご存知だろうか。サミーのブースでケースに入れて展示してあったため、来場した多くの人が目にしたことと思う。

 しかし、このギターがどのような経緯で誕生し、誰が制作し、現在どんな状態にあるかはほとんど知られていない。そこでこのコーナーでは、この「イノのギター」を追ってみようと思う。


完成間近!? 「イノのギター」はここで作っている!!
 「イノ」の使っているギターは石渡氏デザインのオリジナルで、同じギターは実在しない。そこで、石渡氏のデザインをもとにゼロからギターが制作されることになった。ギターの制作を担当するのは、「専門学校ESPミュージカルアカデミー」。

 ギターを使ったり購入した人なら誰でも知っているであろうギターメーカー「ESP」が母体となっており、ミュージシャンから音響スタッフ、プロデューサー、イベンターまで様々な人材の育成がなされている。そのなかで、今回ギターの制作をお願いしたのが「ギタークラフト科」。ギターの制作や調整、リペアなどの技術を教えており、木を削るところからギターを作れるようになるという。

 「イノのギター」は、サミーが企画し、ESPミュージカルアカデミーが制作を担当することで実現することになった。制作は、ESPミュージカルアカデミーでギタークラフト科の講師をしている松本行雄氏が担当。ゲームの画面や原画、イラストなどを見ながら、可能な限り原作に忠実なギターの制作を開始した。

こうしてギターは作られた
(1) 製図 (2) ボディー材
まずは、石渡氏の描いた原画やイラストなどを元に各パーツの寸法を測りながら設計図を描く 次に、まな板のような木材を切ってバック材を制作。今回は音色を考慮し、2枚を貼り合わせてボディー(楽器の胴体)にする前に内側をくりぬく方法にした


(3) タグ (4) ボディー接着
くりぬかれたボディーの内側には、今回特別に作られたことを記念するタグが貼られた。これが世界で1本だけの証だ ボディー用の2枚の板をボンドで接着する。周りを囲う丸いものは、圧着するためのクランプ


(5) ネック加工 (6) セル巻き
のこぎりやカンナなどを使って、ネックを整形する ヘッド(楽器の頭)に、装飾用の白いセルを溶剤で溶かしながら巻きつける


(7) フィンガーボード加工 (8) フィンガーボード接着
フィンガーボードにのこぎりで溝を切り、位置の目印となるマークを埋める フィンガーボードをボンドでネックと接着する


(9) ネックグリップ加工 (10) ドリル加工
ネックの握り具合を調整 ドリルでパーツを取り付ける穴を開ける


 次週は、ギター制作の続きと松本行雄氏へのインタビューの模様を掲載。「イノのギター」の詳細や、このギターの商品化について質問する。原作に忠実なだけでなく、音色も本格的な「イノのギター」。次週はそのすべてがあきらかになる。



【専門学校 ESPミュージカルアカデミー】
 ギターメーカーの「ESP」が母体となっており、ミュージシャンをはじめ、音響等のスタッフ、プロデューサー、イベンター、さらに楽器クラフトマンにいたるまで、音楽業界にかかわるすべての人材を育成する総合音楽学校。今回紹介する「ギタークラフト科」は、まったく原型のない木材からイメージ通りのオリジナルギターを制作することのできる学科で、メーカーで培われた技術指導のもと、将来ギター業界で活躍する多くの人材を輩出している。

専門学校 ESPミュージカルアカデミー
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-3-19 入学事務局(本館)
TEL:(03)3368-6840 FAX:(03)3368-6815 E-mail:esp@esp.ac.jp  URL http://www.esp.ac.jp/

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[Reported by 田名網陽平]



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