~ライターによる、GM思い出 暴れ語り~
●担当ライターが思い入れたっぷりにゲームとGMを語ります。
■ 合言葉は「コンゴトモヨロシク……」……「女神転生I・II 合体盤・召喚盤」
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漫画まで載ってる分厚いインナーがうれしい。余談ですが友人の結婚式に出席したとき、インナー漫画を描かれた方と席が隣でちょっとうれしかった。ちなみに2次会も隣だった(自慢たれ)。「Labyrinth~午前2時の迷宮」(アレンジ)もいい曲です。こういう甘ったるい曲って大好きさー。これってコード2つしかないんですよね、だからよけいに途切れなく感じて甘いムードなのかも。
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今回のお題目は「女神転生」です。
「メガテン」シリーズはまだ続いていますが、やはり私は初代と「II」の曲が一番好きですね。
当時のRPGのBGMというと、なんとなく古めかしいオーケストラが似合うような曲調が多かったような気がします。その中でファミコン用として発売された「女神転生」の曲はかなり異色で、特にインパクトがあったのが戦闘シーンのBGM。何故かバリバリのハードロックだったんですが、今にして思えば「コンピュータで悪魔を呼び出す」というシステムがちょっと現代風なので曲も今までとは変えてみたのかなー、と思います。
初代「メガテン」ではまだ「ステージごとに合ったBGMを作りました」という感じなのですが、これが「II」になると舞台背景もサイバーパンク(そのころはやっていたかも)なのも手伝って全体的により現代風に、よりハードロックっぽく進化し、それが現在の「『メガテン』っぽい」曲のベースになっていると思うのですよ。
今でこそなんでもアリのRPGの曲ですが、「メガテン」の曲のコンセプトは15年前にしてはとても新しい試みでしたね、いつ聴いても全然古臭くないもん。
「メガテン」の曲ははっきりいって全部大好きです。特に好きなものをいくつか挙げるとしたら、初代では「Hellfire~炎の腐界」と「Battlefield~戦場」ですかね。
「炎の腐界」は、その名のとおり背景が炎で包まれているステージで、思わず手をかざしてしまいたくなるくらい「アチチ」な雰囲気とBGMのハードなギターの音色が合っていていい感じです。
「Battlefield~戦場」は戦闘BGMで、メガテンのルーツここにありともいえるべき曲。リアルタイムでメガテンをプレイしているときは何も考えずにただノリノリで闘ってましたが、稼ぎもあんまり苦痛じゃなかったのはこの「Battlefield~戦場」がスバラシかったせいなのでは? と、思ってみたり。「Beep」という雑誌におまけでついてきたソノシートにこの曲が収録されてて、毎日飽きずに聴いていたなあ、懐かしい記憶ですねえ。
さて、「女神転生II」のほうはといいますと、ダントツで「Explorer~閉ざされた街」ですかねえ。
この曲は3Dダンジョン汎用の曲なのですがはっきりいってとても地味なボロい曲です。どうしてダントツなのかといいますと、アレンジが激かっちょええからなんですよ。
今回語っているCDは「女神転生I・II」というタイトルで2枚組でリリースされました。「召喚盤」と「合体盤」というセットで「召喚盤」はIとIIのオリジナル、「合体盤」は両作品からピックアップした曲のアレンジのみ、という構成になっています。
この合体盤のほうに入っている「Explorer~閉ざされた街」のアレンジが兎にも角にもステキすぎる! オリジナルではただ地味だったイントロもキラキラした音色になり、そのあとにくるずっと継続して流れるシンセのリフも途中から倍音が重なってみたり、メロのバックのギターがヘヴィで気持ち良かったり。さらにすごいことにCメロまで付いている! そこのギターが超盛り上がっててまたよろしい。だんだんと音が重なっていってイントロのラス、小節の最後で「タン!」と、入るスネアを合図にそれぞれのパートがはじけるのがグッときますねえ。その他もいろいろ、ここまですべてがパーフェクトでハートにメガショックなアレンジって私的に初めてですねえ。
アレンジってゲームミュージック好きな人には賛否両論だけど、オリジナルの曲のイメージを崩さずに良いところをより強調して作ってあればダメな訳ないんですよ。ハードのスペックや音源の限界にとらわれずにコンポーザーの人が作ったらこういうふうになるんだー、とあれやこれや想像しながら聴くのが楽しいもんです。
「Explorer~閉ざされた街」も、ダンジョンの閉鎖感みたいなのは残しつつオリジナルが歩いて進んでいるんのに対してアレンジは駆け足で移動、のようなドライブ感がギターが加わることによって出たかなー、とか。よりせっぱつまった雰囲気を感じるなー、とか。
「合体盤」は当時のボロっちいファミコン音源のBGMの雰囲気をこわさず、さらには「メガテン」のなんたるかもこわさず、良い部分ウリの部分を伸ばしてあげただけの、余計がないアレンジばかりだと思うんですよ。それなのにこんなに素晴らしいのは、アレンジャーさんが「メガテン」らしさとは何かを理解してくれていて、それだけは崩さないようにしてくれてるからでしょうね。実際そのコアなところさえ残しておけばどのゲームのアレンジ曲も絶対ヘンなアレンジにはならないと思うんですがねえ。
そういう意味で大オススメの「女神転生I・II」(というか合体盤)なわけであります。今気がついたけど「Hellfire~炎の腐界」も「Explorer~閉ざされた街」も、コンポーザーの増子さんが「I」と「II」のBGMのなかで、それぞれ一番最初にできた曲だそうです。気合が伝わってきたのかもしれないですね。
もうあんまり手には入らないかもしれないけど、ぜひ聴いてみてほしいタイトルです。
[Text : 遠藤 美幸]
■ 哀愁……「雷電2」
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94年3月18日、サイトロンレーベルよりリリースされた「雷電2」。ジャケットに、シビシビ電気が走ってて、す・て・き。1曲だけ未使用曲が収録されているんだけど、使用されなかったのがもったいない出来です。
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最近面白くて仕方ないのが、「雷電2」です。2台隣りで稼働している「怒首領蜂 大往生」を見るに、時代の流れと反対方向の遊びをしてるなぁと思います。そうなんですよ、太った当たり判定と、自機の鈍足っぷりに苛まれてます。
「雷電2」は、縦スクロールシューティング。装備は段階を経て強力になっていき、最強状態のワイドショットとミサイルの組み合わせは強くて爽快! でも自機の速度が遅い上に、スピードアップも行なえません。画面いっぱいに広がるショットを撃ちまくっていても、横からちらりと顔を出す憎い戦車の弾1発で、さっくりやられちゃいます。
自機の速度に任せて、何となくレバーをぷるぷるしてたら適当に避けちゃった、なんてことは極めて起こりにくいんです。そう、「大往生」や「ライデンファイターズJET」に慣れた体は、足の遅い自機を操る際の色んな約束ごとを忘れていました。もっとも上級者なら、足が速かったり、当たり判定の小さいゲームでも、そんな適当な避け方はしないと思うんだけど……。
逆に言うと、敵の配置や攻撃パターンを覚えて対策を立てていくことで、私でも上達していける。敵の出現前から、前に出て張り付きに行けば、砲台に重なって弾を封じれば、ボスに重なって速攻で倒せば……生きられる。「雷電」シリーズは初代を最も遊んでいたので、その時学習したことを思い出しながら、改めて「雷電2」で遊んでいます。昔やったゲームのリハビリは辛いけど、「雷電2」は取りこぼしていたから私に取っては最新ゲーム同然で、面白いんですわ。
「雷電」シリーズは、時代の流れと共に「ライデンファイターズ」シリーズへと生まれ変わって大きく変化しました。足の速い自機も増え、以前と異なる稼ぎ要素も注入されました。その変化は、BGMにおいても顕著だったのです。以前このコーナーでも書かせてもらった通り、「ファイターズ」シリーズはダンステクノを意識して作られてますが、それより昔の「雷電2」は、べったべたのGMという感じです。曲調は全体的に力強さと切なさが満ち溢れる感じ。「キーコンセプトは前作同様ミドルテンポのマイナー調」と、ライナーノーツには書かれてます。
1面のメロディーの異様な切なさは、ゲームがスタートして早々、まるで死に逝く戦闘機乗りに送る鎮魂歌みたい(そりゃ言い過ぎ?)。 ドラムが「タンっタンっ」ていうより「ぽふっぽふっ」て聞こえるところや、低音部分がビリビリいってるところは、大いにツボです……にしても、何というかその、昔聴いていた頃に比べて正直言うと、ハマらない曲が増えました。そしてそれは、取り返しのつかない悲しい出来事のようにも思います……。勇ましいリズムよりも哀調が強すぎるように感じるんです。CDで聴くよりも実際にゲームをやったり、人のプレイを見ながら聴くのが、現在の私にとっては正しい「雷電2」の聴き方です。
ぽけらーと聴いて純粋にカッコイイなぁと思う曲、それは2面と8面(同じ曲)のテーマ。1面はメロディーが盛り上がるまでに導火線が長いけど、2面8面は頭からメロディーが綺麗な色で泣いてます、リズムも頑張ってます、あぁ「雷電」っぽいという感じ。正当派シューティングとよく評される、このゲームに絶妙に合った曲です。あと、5面の曲も聴き心地良いですね。他の面とは別の色合いを持つメロディーの切なさに、じんわりきます。
これら暮れゆく色合いのメロディは、ゲームの世界観を作るパーツとして、大いに力を発揮してると思います。自機の雷電2ったら、あの絶大な火力に加えて垂直離着陸が可能、いやそれどころか宇宙まで飛んでっちゃうのに、マイナー調で固められた曲群を聴くと、妙~にプロペラ機の空中戦の匂いを発してるように思えて……この脆弱な機体で生きて帰還できるのかしら、雷電2が私の棺桶となるのでしょうか、っていう切なさを抱かずにはいられません。「雷電」というネーミングからしてレトロというか旧日本海軍な感じで、三菱製? とか思っちゃうし、タイトルロゴだってこの通りずびびっと筆書きですから。
地球を死守すべく、プラズマレーザーと拡散ボンバーを搭載し、雷電2は飛び立つ。そこへ近未来的な四足歩行の砲台ボスや、遙かに機動性に勝る敵機が雨あられと出現するなか、それでも雷電2は宇宙にまで行って、人類の未来を賭して戦う……というこの物語には、やっぱり悲哀の色がよく似合う。そりゃそうだ。
だけど、曲だけで聴くと「何でこんな哀しげなんだろうなぁ、雷電2って」と思っちゃうのです。いかんともしがたいシビアさ、マゾっ気溢れる鈍足さと共に、その一貫したマイナー調にはヒロイズムが滲んでるのは確かで、複雑な気持ちになる、といったところです。
[Text : 河本 真寿美]
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