MMORPGの大ブレイクを起こした“始まりのゲーム”であり、4年前に発売された作品にもかかわらず、様々な改良やアップグレードを経て、今なお現役第一線としてのプレイに耐えうる素晴らしいMMORPG「ウルティマオンライン」。映画「スポーン」などでおなじみのトッド・マクファーレンがデザインした新キャラクタが大量に登場する新シリーズ「ブラックソンの復讐」ではこれまでとは一味違ったブリタニアに接することができる。 |
■ 「ウルティマオンライン -ブラックソンの復讐-」とは?
「ウルティマオンライン -ブラックソンの復讐-」のゲーム画面。3Dクライアントでプレイしていると、キャラクタや建物などが3Dで表示される |
UOは「ウルティマ」というシングルRPGの金字塔のようなシリーズの舞台設定を持っているため、単なる戦闘だけにとどまらない、架空の世界での臨場感あふれる人生を送れるのも魅力である。戦闘のためのスキルだけでなく、家具を作ったり、料理をしたり、洋服を作ったり、武器防具を作ったり、鉱石を掘ったりと生産系スキルが充実しているのも大きなポイントで、こういった商売人、職人としてでもゲームの中で一人前に生活していけるのが人気の秘密だろう。
自分の家を持って飾り付けをしたり、勢力ごとに別れた派閥闘争で出世と領土争いのために戦闘を繰り返したりと、色々な可能性がプレーヤーに与えられている。4年前に発売されたゲームながら、アップデートや日本語ローカライズ、日本サーバーでの日本人プレーヤー同士でのプレイが可能などなど、サービス向上が続けられてきた結果、今でも十分にプレイしたいと思わせる内容になっている。
2月21日に日本語版のアップグレード版、フルバージョン版が発売される今回の「ウルティマオンライン ブラックソンの復讐」は、UOの新たな時代に突入するための拡張セットである。今回は一足先に、英語版での画面を交えて、その内容を紹介しよう。
近頃、UOではストーリー性の強いゲーム内イベントがたくさん行なわれており、「ブラックソンの復讐」にからんだ様々な物語にプレーヤー達が参加している。現在は、エクソダスという、かつてのブリタニア(UOの舞台となっている国)を危機に陥れた悪の存在が舞い戻り、ロード・ブリティッシュ王の盟友であったロード・ブラックソーンと手を組んで世界を支配しようとし始めているというところだ。また、ことはエクソダスだけに終わらず、古代に存在したミーアとジュカという2種族が現れて、さらに事態を複雑にしている。
この2種族は長きに渡って争いを続けてきた何世紀も前の古代の種族で、過去の世界でエクソダスがジュカに力を貸したことで、2種族間の均衡は破れてしまった。そして、現在のブリタニアにはエクソダスによって過去から転移させられたジュカたちが出現し、ロード・ブラックソンの軍勢と共に侵攻を開始したのである。また、ジュカと争っていたミーアたちは、ジュカの再出現によって長い眠りから目覚め、2種族間の均衡の回復を求めるべく行動し始めたというバックグラウンドになっている。
平日の夜でも日本サーバーにはこれだけの人数のプレーヤーが集っている | 自分の家にバーテンダーがおけるようになったり、ゲームシステムは日々進化している | 「ブラックソンの復讐」ならば2Dクライアントでもイルシェナーに入ることができる |
■ 「ブラックソンの復讐」に伴っての大きな変化
トッド・マクファーレンのデザインしたキャラクタによって、これまでの純正ファンタジーRPGとは少し毛色の変わった世界観になった |
・「SPAWN」などで有名なトッド・マクファーレンがデザインした新キャラクタや新モンスターが登場
アメコミの「SPAWN」などで知られているトッド・マクファーレンが新しいモンスターのデザインを担当している。これまでのファンタジー然としたデザインから一歩進んだ独自色の強いキャラクタが多く、新たな敵の侵攻という雰囲気を盛り上げている。
・ロード・ブラックソンがエクソダスと手を組んでブリタニアを危機に陥れるイベントが頻発
ブリタニアを襲い始めた謎の生物の背後にいるのは誰なのだろうか? というところから始まって、現在はブリタニアに古代種族が現われ始めているところである。イベントによってはプレーヤー達の行動しだいで結果が変わるため、シャード(サーバー)ごとに進行具合や結末が異なることもあり、ライブ感の強いプレイを楽しむことができる。
・ブリタニアに繋がる別世界“イルシェナー”の詳細が明らかに
通常世界のブリタニアからワープポイントを使って向かうことのできる新世界「イルシェナー」は、ドーナツのような形をした土地だ。イルシェナーはなぜどうしてそこに存在するようになったのか謎につつまれていたのだが、一連のイベントによって、徐々にその理由が明らかになってきている。
このイルシェナーのドーナツ型土地の中央部分にも、近頃になって行けるようになり、前述の新種族やさらなるトッド・マクファーレンデザインのモンスターに会えるようになった。今回の製品版パッケージがあれば、2Dクライアント(UOは2Dでも3Dでも、どちらのクライアントでも自由にインストールしてプレイできる)でも新世界を旅することができる。
・徳システムの導入開始
プレーヤーがいろいろなテーマに沿って善行を積むことにより、“八徳”の称号を得られるというもの。善行は常に続けていないと称号が保てないため、生半可な気持ちでは続けられないだろう。このシステムはプレーヤー同士が積極的にコミュニケートしたり、ゲームの中で公正に振舞うことが求められるため、ネットワークRPGではどういったプレイがフェアで親切なのかということも合わせて学べるようになっている。
イルシェナーの北にあるカオス地帯での一こま。Stone Gargoyleのグラフィックが新しい | イルシェナーにあるロード・ブラックソンの拠点。中ではジュカの戦士達が襲ってくる | ミーアの民が長い間眠っていた場所。ジュカの再出現と共に行動を始める |
イルシェナーにはブリタニアにはなかったような荒々しい景色も存在する | イルシェナーの最奥にあるエクソダスの本拠地。もちろん、まわりはモンスターだらけ | 巨人タイプのモンスターが集まっているエリア。巨人用の寝床やかまどなどが確認できる |
モンスターだらけのイルシェナーの中にもジプシーのキャンプやガーゴイルの街などがあり、プレーヤーが利用できる | モンスターなどの新グラフィックに加えて、植物などのグラフィックも一部新たにされた | イルシェナーのピクシーの村。これまで2Dクライアントでは会えなかった妖精達にも会えるようになる |
■ どのパッケージを購入すればいいのか?
2Dクライアントでプレイ指定アカウントのバージョンがT2Aのままの人は公式サイトから、アカウント変更ページに飛んで、「ブラックソンの復讐」のレジストレーションコードを入力しなくてはならない。変更が完了すると、アカウント情報が「T2A」から「LBR」という表示に変わる |
まず購入しなくてもいいのは「第3の夜明け」を持っていて、3Dクライアントで遊んでいるプレーヤー。これはクライアントが自動アップグレードされるので、製品版を買う必要はない。次にアップグレード版の「ブラックソンの復讐」が必要なプレーヤー。これは「第3の夜明け」を持っていない、もしくは2Dクライアントでイルシェナーに行きたいプレーヤーが該当する。そしてフルバージョンの「ブラックソンの復讐」が必要なのは、これまでUOを一切プレイしたことがない人や「セカンド・エイジ」以前のプレーヤーとなる。
まとめると、以下のような感じだ。
・フルバージョン版→ウルティマオンラインは初めて。セカンドエイジ以前のクライアントしか持っていない
・アップグレード版→2Dクライアントでプレイしていてイルシェナーに行きたい
・購入不要→第3の夜明けの3Dクライアントでプレイしている
また、アカウントを複数持っている場合で、そのどれもがアップグレードの必要がある場合、アカウント数分のレジストレーションコード、つまりパッケージが必要となる。
■ 大きく変わった2Dクライアントでのグラフィック
洞窟の奥に隠された金銀財宝。そばには強力なSkeltal Dragonが待ち構えている |
3Dクライアントのデザインをそのまま持ってきたグラフィックには賛否両論あり、確かに、新グラフィックが派手な分、Hell Houndのように既存のグラフィックデータの色を変えて無理やりモンスターに見立てているようなキャラクタが同じ画面内にいると、ギャップを感じる時があった。
だが、実際に2Dクライアントでゲームをプレイし続けていると、思っていたより違和感がない。しかも、これまでモンスターの大きさが限られていたのが、かなりビッグサイズになっているため迫力満点。これはかなり嬉しい。例えば、これまでのAncient Wyrmは単にDragonの色違いという感じだったが、新グラフィックではよりカラフルに細かい部分まで描写され、大きさもどどーんとパワーアップしていたので、手ごわいモンスターの雰囲気が良く出ていた。
Gargoyleのような2Dクライアントならではの味のあるグラフィックも好ましいが、新グラフィックもかなりいい線をいっているし、「あのモンスターがこんな姿に!」みたいな楽しみも生まれている。日本語版の「ブラックソンの復讐」発売後は、ぜひあちこち旅をして、いろいろなモンスターを確認してみてほしい。
UOでは前述のように昨年後半から現在にかけて、プレーヤーの行動でシャードごとに結末が異なるストーリーイベントや新称号、生産系スキル用のバルクオーダーシステム(NPCからのオーダータスク)といったものが導入されており、「ブラックソンの復讐」以降も植物栽培(自分で種から植木鉢で植物を育てる)の噂など気になる要素は多い。
また、「ブラックソンの復讐」の発売を機に導入され始めている「徳システム」はウルティマシリーズ本来の思想を色濃く引き継いでおり、プレーヤーがどんな生き方と人との交わり方をゲーム内でするのか考えさせられ、切った張ったのみが多い昨今のMMORPGの中で非常に際立った存在だ。一度UOのアカウントを停止してしまったという人も、また、ぜひブリタニアの地に降り立ってみてほしい。きっと新たな発見があるはずだ。
“古代龍”のイメージにふさわしい貫禄のAncient Wyrm | 骨っぽい肢体が強調されているWyvern | Shadeはずいぶんゴージャスな感じの裾になった |
Unicornもきちんと頭に角がついたグラフィックになっている | オレンジ色の馬でしかなかったKirinもこの通り!! | ギクシャクとした動きをするGolem |
ミーア族のMeer Eternal。一般のプレーヤーキャラクタには友好的 | ミーア族のMeer Warrior。こちらもブルーネームだ | スカート姿の印象が強いミーア族のMeer Mage |
プカプカと宙に浮かんでいるExodus Overseer | 2Dバージョンのガーゴイルとはかなり印象の違うEnslaved Gargoyle | Giant Spiderもかなりスマートな容姿に変更 |
黒Evil Mageの新グラフィック | Mummyもさらにリアルな感じの包帯に | 非常に小さなグラフィックのPixie |
タイタンは腕をはげしく振り回す | Skeltal Dragonは骨の隙間から向こうが見える | かなり大きいので出会うとぎょっとするSerpentine Dragon |
(c)2002 Electronic Arts Inc. All Rights Reserved.
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■ 今週の気になる直輸入ソフト
あまり新作が見つけられなかった今週だが、OverTopにて韓国のRPG「Magna Carta」を発見。普通の製品パッケージよりふたまわりほど大きい箱がどどーんと置かれているのですぐにわかるだろう。また、秋葉原のLAOXゲーム館5階の輸入ゲームソフトの棚が、エスカレーターのすぐそばから、反対側のフロア奥の壁際に移動していた。代理店版のソフトもフロア中央の棚に豊富に取り揃えられている。
日本ファルコムがローカライズして国内販売した「西風の狂詩曲」の開発元として知られる韓国SOFTMAXのRPG。キャラクタデザインに凝った意欲的なRPGだったのだが、致命的なバグがあるのに出荷されたことや対応のまずさからリコール問題に発展するなど、何かと話題になった作品だ。
キャラクタは完全に日本市場を意識した日本人好みの絵柄なので思わず手にとってしまいそうだが、当然ながらゲーム中の文章はすべてハングルなので、韓国語がわからないプレーヤーは手探りでのプレイとなる。
(c)2001 Softmax.co.,Ltd. All Rights Reserved.
(2001年2月20日)
[Reported by 西尾ゆき]
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