カウントダウン“Xbox”!

第1回
“Xbox”どーなってるの? ハードウェア特集



1.Xboxのグラフィック機能を徹底チェック

 Xboxのグラフィック機能は、これまでの家庭用ゲーム機とは一線を画す、非常に高い機能が実現されている。ここでは、そのXboxのグラフィック機能を詳しくチェックしていこう。


GeForce3と同等の3D描画機能により、映画品質のグラフィック描画を実現

 Xboxのグラフィック機能は、マイクロソフトと、グラフィックチップメーカーのNVIDIAが共同で開発したXbox専用チップ「Xbox Graphics Processing Unit(XGPU)」によって実現されている。そして、XGPU内蔵のグラフィック機能は、NVIDIAがPC用グラフィックカード用として開発したグラフィックチップ「GeForce3」と同等の機能となっている。

 マイクロソフトは、Windows用のマルチメディアAPI群「DirectX」を提供しており、その中には3Dグラフィックスの描画APIである「Direct3D」が含まれている。そしてGeForce3は、DirectX 8.0ベースのDirect3Dで定義されている3D描画命令のほぼ全てをハードウェアレベルでサポートしている点が特徴となっている。ということは、GeForce3とほぼ同じ描画機能を持つXGPUのグラフィック機能も、DirectX 8.0の3D描画機能がハードウェアレベルで実現されているということになる。

 XGPUの持つ3D描画機能の中で特に注目すべき部分は、「プログラマブル・ピクセルシェーダー」と、「プログラマブル・バーテックスシェーダー」だ。

 ピクセルシェーダーとは、3D描画時の陰影処理を、画面を構成するピクセル1個単位で行なうというもので、XGPUではその処理内容を自由にプログラミングできるようになっている。ピクセル単位に表示色を制御できるため、非常に高品質なグラフィックを再現できる。また、バーテックスシェーダーとは、画面内に登場するキャラクタなどを構成するポリゴンモデルの頂点情報を変化させるというもので、こちらもXGPUでは処理内容を自由にプログラミング可能となっている。これにより、1つのモデリング情報だけで、髪の毛が風になびく様子や水面の波紋をリアルに表現したり、キャラクタの表情を微妙に変化させるといったことが可能となっている。この2つの機能によって、映画品質のグラフィックが実現できるのである。

 例えば、「DEAD OR ALIVE 3」の緻密でリアリティ溢れるグラフィックや、「ねずみくす」でふわふわの体毛を表現する「ファーシェーディング」なども、これら機能を余すところなく利用して実現されている。

 またXboxにはメモリが64MB搭載されているが、UMA方式によってメインメモリとビデオメモリがシェアされる点も特徴のひとつ。これによって、ビデオメモリの容量を最大64MBまで割り当てられるため、画面描画に関する制約が非常に少なくなっている。例えば、大容量のテクスチャデータも余裕で扱えることになり、それだけ描画品質の向上が期待できる。大容量のテクスチャデータを扱う場合、メモリとXGPU間のデータのやりとりが増え、メモリ帯域がボトルネックとなる可能性もあるが、Xboxではテクスチャ圧縮機能によってテクスチャデータを最大1/6に圧縮して利用できるため、メモリ帯域の節約が可能で、ボトルネックの心配も少ない。表示解像度が最大1,920×1,080ドットとなっている点も、家庭用ゲーム機として考えると驚異的といえる。

 そして機能面と同様に重要な部分が、Xboxのハードウェア部分がDirectX互換のため、ソフトの開発もDirectXベースで行なえるという点だ。これまでの家庭用ゲーム機の場合、マシンのパフォーマンスを引き出すためには、ハードウェアを解析するなどの作業が必要となっていたが、XboxではDirectXベースでアプリケーションを開発するだけで、ハードウェアのパフォーマンスを直接引き出せる。しかも、PC用の開発環境としてDirectXベースのアプリケーション開発環境は十分整っており、開発側のノウハウも蓄積されているが、その開発環境やノウハウはほぼそのままXboxにも応用できるため、既に現段階でXboxの開発環境はかなり高いレベルにある。つまり、開発側にとってXboxは非常に扱いやすいハードであり、ソフトの開発もスムーズに行なえることになる。これにより、これまでPC向けにのみゲームを供給していたメーカーもXboxへ簡単に参入できるため、ゲームのバリエーションが増え、高品質なゲームも多数登場することが期待できる。

Xboxと同時発売タイトルとなる「ねずみくす」。ふわふわなネズミはファーシェーディングを使って描かれている こちらも同時発売タイトル「Project Gotham:World Street Racer」。周りの風景が映り込む環境マッピングがガンガン使われている テクモ「DEAD OR ALIVE 3」。とにかくこれでもかと綺麗な映像に仕上がっているそれがリアルタイムに描かれているのだからたまらない


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HDTV対応で高品質グラフィックを余すところなく表示可能

 Xboxの高いグラフィック機能も、実際に映像を表示させるのが家庭にある一般的なテレビであることを考えると、実際にはあまり活かされないのでは、と感じるかもしれない。確かに、Xboxの表示解像度は最大1,920×1,080ドットだが、一般的なテレビではせいぜい640×480ドット程度の解像度までしか対応できず、せっかくの高いグラフィック機能も活かしきれないように思える。しかし、XboxではHDTV出力に対応しており、ハイビジョン対応のテレビに接続することで、高品質グラフィックを余すところなく表示できるようになっているのだ。

 Xboxの表示出力機能には、コンポジットビデオやSビデオなどの通常のビデオ出力だけでなく、525P(D4/D3/D2)、750P(D4)、1125i(D4/D3)でのコンポーネント出力を利用したハイレゾリューション表示に対応しており、ハイビジョン相当の映像出力が可能となっている。

 では実際に、北米版「Halo」を利用して、映像出力の違いによる表示品質の違いをチェックしてみよう。下に示した画像は、Haloをコンポジットビデオ経由で表示させたテレビ画面と、コンポーネント出力で表示させたテレビ画面を、直接撮影したものだ。利用したテレビはD3表示に対応したハイビジョンテレビ。これを見ると、コンポーネント出力で表示させた画像の方が、明らかに境界線部分などがくっきりと表示されていることがわかると思う。また、この写真ではわかりづらいが、コンポーネント出力の方が発色も鮮やかで、表示品質の差は歴然であった。

 もちろん、ハイレゾリューション表示を行なうには、D2~D4入力をサポートするハイビジョン対応テレビが不可欠となるが、Xboxのグラフィック能力を余すところなく体験したいのであれば、ハイビジョン対応テレビは必須といえるだろう。

 ちなみに、コンポーネント出力を利用したハイレゾリューション表示は、対応ソフトでのみ可能となっている。日本でXbox本体と同時に発売が予定されているソフトの中では、テクモの「DEAD OR ALIVE 3」がハイレゾリューション表示に対応している(D2表示)。

コンポジット出力:全体的にぼやけたような印象を受ける画像で、発色もやや弱い。「X」の文字が若干つぶれている コンポーネント出力:写真ではわかりづらいが、境界線がくっきり表示され、発色も鮮やかだ。「X」の文字がつぶれずにくっきり表示されている




(2002年2月1日)

[Reported by 平澤寿康]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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