忘れられないゲームというのは何本かあるもので、この「ソウルキャリバー」は、テクモの「DEAD OR ALIVE 2」とともに、いまだに私の記憶に強烈な印象を残すタイトルの1本だ。フリーライターを営んでいた自分に飛び込んできた「キャリバーがDCに移植」の報は、なにしろ「ナムコってPS陣営じゃん」と思いこんでいた自分の目を覚まさせるに十分だったし、なんとなく「バーチャファイター3」以外に目立ったタイトルがなかったDCの格ゲーにすごい強力な援軍が来て心強かった気分だったし(そのころ「DOA2」はまだ業務用が開発進行中だった)、開発陣の「キャラすごいんでぜひみてください」にも「おーーーーー!」と思うだけのものがちゃんと出来上がっていたのだから、本当に興奮したのを覚えている。この記憶に残るゲームたちは、えげつない話だがライターとしての仕事を生み出して「自分を救ってくれた」ゲームであるが、そのデキが「この仕事やっててえがっだー」ってホント思える、生きるための糧となってくれたゲームたちだ。
“8WAY-RUN”による自由な移動と、従来の格闘ゲームにない剣と剣の渡り合いがいまだ他の追従を許さない、まさに“3D対戦格闘ゲーム”といえるゲームシステム。縦斬り、横斬り、キックとガードの4つのボタン、そして8方向への移動というシンプルな操作で楽しめ、大小の刀剣、ヌンチャクなどを操る個性的なキャラクタたちが登場する。といっても、前作「ソウルエッジ」のファンには、DC版のみに許された「セルバンテス」の復活がうれしいという人もいるが……(笑)。
個人的にお気に入りはヌンチャク使いのマキシと、ムチと剣の特性を合わせ持つアイヴィーブレードを使うアイヴィー。あと、忍者好きとしてははずせないタキもグッ。マキシは構えを中心にした多彩な技群がヌンチャク使いの本領発揮でとてもいいし、アイヴィーは最大ダメージを誇るが最高にコマンドが多い収束する世界(マイトアトラス)がカッコイイ(技のネーミングも失禁もの。どうよ? でも、ホントは“お尻”がなんともいえずチャーミングなのよ。この尻を超える尻をまだみたことないね。うん)。タキは忍者なんでなんでもかんでもイイです(タキの“お尻”もイイです)。
なにしろどのキャラもモーションが武器を含めてとにかく“魅せて”くれる。「バーチャファイター4」に採用された溜め攻撃だって、このゲームにはちゃんと機能する“ホールド技”として2年前に組み込んであるし、最近はやりの構えのシフトだって、やっぱマキシやナイトメアが元祖じゃないかな、ぐらいの先進性を持っていた。ハデさを通り越して「眼がいてえぇ!」となるほどのガードインパクトを始めとしたエフェクトもすばらしい。
それから、上、中、下段、投げ技で縛られた3D格闘ゲームに、間合いと移動をメインとしたカウンターアタックを食らわせたゲームバランスは、全てがうまく機能しているとは断言できないが、新たな駆け引きを生み出したことは間違いない。対戦で負けて「ミツルギムカツクよー!(いや、ほんとこれも悔し涙を流しまくりましたけどね)」といった一過性の感情だけでなく、このゲームは間違いなくそこらじゅうに“カッコイイ”と思わせるものがあってとてもすがすがしい思いをしていた記憶がある。
また、オリジナルモードである「ミッションバトルモード」は、このゲームのシステムをうまく解説しつつ、ゲームシステムをアレンジして一人でも楽しめるようにできている。このモードのルールで対戦してみても面白そうだが、大変そうだったりもする。それから、バツグンによくできているのがプラクティスモード。技を実演してコマンドタイミングを表示してくれるのには頭がさがる。
まあとにかく、プレイしたことのない人はまず、さわってみてほしい作品だ。それから、回路基板のように絡み合う人物相関図を始めとしたバックボーンの物語にも大注目。攻略本を作ったとき、鬼のように苦労したけど、読んでてとてもたのしかったんだから。
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