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【ドラマチックアドベンチャーゲーム】

サクラ大戦 3~巴里は燃えているか~

●セガ●7,800円●1人
大神一郎を軸にした異色の「サクラ」レビュー

 こんなことを書くとサクラファンに怒られるかもしれないが、「サクラ大戦」シリーズの魅力のひとつに主人公大神一郎の人柄の良さがあげられる。といっても彼の行動はプレーヤーが決めていくわけだから、中にはガラの悪い大神がいてもおかしくないが、私を含むほとんどの大神は、温度差の激しい熱血漢で、やけに女性に対して面倒見がよく、そしてちょっとエッチであるはずだ。

 彼のおもしろさは、各話ごとにまったく性格が異なるところにある。ゲームで重要なのは、ヒロインの機嫌を損なわないように行動することで、別に隊長としてしっかり考え方の筋を通し、意思の統一をはかる必要はない(が、最終的にそうなるところがまたおもしろい)ため、ともすれば彼女たちのご機嫌取りに終始してしまう。ストーリーイベントではおおむねビシッと硬派に決めておきながら、平時は「エリカくーん!」と突然性格が変わるこの腰砕け感がなんともいい感じで好きなのである。「サクラ大戦 3」では、大神の感情の度合いを表現するアナログリップスが追加され、これがこちらが思ってた程度より高かったり低かったりして、意外なリアクションが見られ、いよいよ楽しくなっている。

 もちろん、シリーズの魅力の根幹にあるのは、隊員として付き従ってくれるヒロインたちとの広範にわたるコミュニケーションにあるわけだが、個人的にはプレーヤーが決定した行動に対する彼のリアクションも楽しみのひとつである。そんなこんなでサクラ大戦 3は、結局5回もクリアしてしまった。結果的にヒロイン全員のエンディングを見たことになるが、5回クリアしたのはそれが目的ではなく、主人公大神一郎の究極必殺技「震天動地」をどうしても見たかったからだ。

 未プレイ者のために詳しくは伏せておくが、この技を出すには1話から最終話まで最効率の選択肢を選んでいかなければならず、しかも発動できるのは最終話のみと、条件が途方もなく厳しい。今回もアドベンチャーパートはすこぶる自由度が高く、行ける場所も多岐にわたるため、2度や3度クリアしただけではとうていたどり着けない。4度目で発動しなかったときは、さすがに攻略本を待とうかとも思ったが、意地の5度目、最終戦ギリギリでようやく発動した。

 何がそこまでさせたのかといえば、大神の魅力としかいいようがない。さらに付け加えるとすれば、ゲームそのものの完成度の高さと遊びやすさ、そしてサウンドの良さが挙げられる。特に遊びやすさについては、前作から大幅に向上しており、2週目以降の戦闘パートが苦にならない。前作は大神含め9人を毎ターン操作する必要があったため、終盤はキャラを動かすのだけで一苦労だったが、3では全6人と適当な人数に抑えられたのと、アナログ操作が導入されたこともあって、いいテンポで最後まで遊べる。

 ちなみに必殺技のムービーそのものは、とある場所で条件を満たすことで見ることができる。だからムービーを見たのはこれが始めてではなかったわけだが、それでもラストボスに炸裂させたときは結構な感動があった。おそらく必殺技の中では最長のムービーだと思われるが、サクラファンを魅了しまくるこだわりの演出が見られる。個人的には彼が技の前に発するセリフが恥ずかしすぎて好きである。

 さて、6月に新たな続編「サクラ大戦 4~恋せよ乙女~」の開発が発表され、ファンも一安心といったところだろう。大神ファンとしては、「そろそろ海軍大学編だろう」などといい加減な憶測を立ててみたくなるが、真面目な話、ゲームの展開は1話くぎりのままでいいとしても、彼に考え方の筋を通させて欲しい気がする。つまり、同じヒロインに対し、前話と逆のことをいえば、「前言ったことと話が違うじゃないですか!」と詰られるような蓄積型の会話システムである。もしこれが実現化したときの私を含む全国の大神のうろたえようが目に見えるようで、実におかしい。「いや、あの、確かにそのとおりなんだけど……」

主人公大神一郎のリアクションがなんともいえない味を生んでいる作品

(C) SEGA / OVERWORKS, 2001 (C) RED 2001

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